↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
《剣聖》になった弟に追放された俺のスキルは《会員》でした ~ハズレスキルだと思っていたら、ポイントで好きな能力を買えるらしい~  作者: アカメノコバチ
第4章 Aランクへの道

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
51/199

第51話 キングオーガ

 キングオーガの咆哮が町の前まで響いた。


 巨大な棍棒を肩に担ぎ、ゆっくりとこちらへ近づいてくる。


 その後ろからも、オーガ、アーマードエイプ、ブラッドボアなど十体以上の魔物が姿を現した。


「まだこんなに……」


 領兵の一人が呟く。


「グオオオオオッ!」


 キングオーガが再び吠えた。


 その声に反応するように、後ろにいた魔物たちが一斉に動き出す。


「まさか……」


 年配の領兵がキングオーガを見た。


「何か知ってるんですか?」


「キングオーガは周囲のオーガや、力の弱い魔物を従えることがあると聞いたことがある」


「じゃあ、今回のスタンピードは?」


「こいつが中心になっているのかもしれん」


 原因が何であれ、町へ行かせるわけにはいかない。


「フェリシアさん」


「はい」


「後ろの魔物をお願いできますか?」


 フェリシアがキングオーガを見る。


「アレンさんは?」


「こいつを止めます」


「一人で?」


「みんなでキングオーガを相手にしたら、他の魔物が町へ抜けます」


 フェリシアは少しだけ考え、すぐに頷いた。


「分かりました。でも、無理はしないでくださいね」


「はい」


 領兵たちを見る。


「キングオーガは俺が引きつけます。残りの魔物を町へ行かせないようにお願いします」


「お前一人でやるつもりか?」


「その方が動きやすいです」


 炎牙剣を構える。


 キングオーガが俺を見た。


「来い!」


 地面を蹴った。



 キングオーガとの距離が一気に縮まる。


「グオッ!」


 巨大な棍棒が振り下ろされた。


 横へ飛ぶ。


 ドゴォンッ!


 地面が砕け、土と石が飛び散った。


 まともに受けたら、ブラックスチールリザードの軽鎧があっても危ない。


 ただ、ミスリルゴーレムほど速くはない。


 棍棒を振り下ろした直後の右腕へ炎牙剣を走らせる。


 ザシュッ!


「グアッ!」


 刃が通った。


 かなり硬いが、ミスリルゴーレムとは違う。


 こいつなら斬れる。


 キングオーガが腕を振り回したため、一度距離を取る。


 その横を青白い光が飛んだ。


「《魔弾》!」


 フェリシアだ。


 ただし、狙っているのはキングオーガじゃない。


 町へ向かおうとしていたブラッドボアの脚へ二発の魔弾が命中する。


「今です!」


「おおっ!」


 倒れたブラッドボアへ領兵が槍を突き込んだ。


 別方向からアーマードエイプが迫る。


 フェリシアの周囲に三つの魔弾が浮かび、次々と撃ち出された。


「右からも来ます!」


「こっちは任せろ!」


 領兵たちもフェリシアの声に合わせて動いている。


 あっちは任せて大丈夫そうだ。


「グオオッ!」


 キングオーガの棍棒が横から迫った。


 身体を沈める。


 頭上を棍棒が通り過ぎ、風圧で髪が大きく揺れた。


 懐へ入る。


 炎牙剣へ魔力を流した。


 ゴオッ!


 赤い炎が刀身を包む。


「はっ!」


 右の太腿へ斬り込んだ。


 炎牙剣が深く食い込む。


「グアアアアッ!」


 キングオーガが吠え、俺を蹴ろうとした。


 すぐに後ろへ跳ぶ。


 巨体が一歩よろめいた。


「効いてる」


 もう一度行く。


 そう思った瞬間、キングオーガが俺から目を外した。


「え?」


 見ているのは町だった。


 そのまま俺を無視して歩き出す。


「まずい!」


 キングオーガの先では、フェリシアと領兵たちが他の魔物を食い止めている。


 あそこへ突っ込まれたら防ぎきれない。


 地面を蹴り、横から右脚へ炎牙剣を叩き込んだ。


「こっちだ!」


 ザンッ!


「グオオオッ!」


 キングオーガが振り返った。


「そうだ!俺を見ろ!」


 巨大な棍棒が振り上げられる。


 真上から振り下ろされた。


 寸前でかわす。


 ドゴンッ!


 地面が大きくへこんだ。


 その隙に、さっき斬った太腿へもう一度炎牙剣を入れる。


 炎が傷口を走った。


「グガアアアッ!」


 キングオーガが片膝をつく。


 首を狙って踏み込もうとした瞬間、巨大な左腕が横から飛んできた。


「っ!」


 身体をひねる。


 手が胸の前を通り過ぎた。


 少しでも遅れていたら吹き飛ばされていた。


 キングオーガが立ち上がる。


 まだ倒れない。


「丈夫だな」


 さすがにアイアンオーガとは違う。


 背後から魔物の叫び声が聞こえた。


「《魔弾》!」


 五つの青白い光が飛び、アーマードエイプとオーガへ集中する。


「今です!」


「おおっ!」


 領兵たちが一斉に前へ出た。


 槍と剣が魔物へ突き込まれる。


 残っている魔物はかなり減っていた。


 キングオーガを倒せば終わる。


「グオオオオオッ!」


 キングオーガが大きく吠えた。


 その声に反応して、残った魔物たちが一斉に町へ向かおうとする。


「止めろ!」


「抜かせるな!」


 領兵たちが防ぐ。


 やっぱり、こいつだ。


 こいつがいる限り終わらない。


 《魔力感知》へ意識を集中する。


 キングオーガの全身から強い魔力を感じるが、ミスリルゴーレムの時のように一か所へ集中しているわけではない。


 弱点が見えるわけじゃない。


 だったら、正面から倒す。


 炎牙剣へ魔力を流した。


 以前とは比べものにならない量の魔力が剣へ入っていく。


 赤い炎が大きく広がる。


 その炎を《魔力操作》で刀身へ集めた。


 広げるんじゃない。


 細く、鋭く。


 刃に沿わせる。


 ミスリルゴーレムと戦った時にも使った方法だ。


 あの時とは違い、今はほとんど迷わず炎を整えられる。


 炎の中心が白く変わった。


「行くぞ」


 キングオーガが棍棒を振り上げた。


 正面から走る。


「アレンさん!」


 フェリシアの声が聞こえた。


 棍棒が落ちてくる。


 寸前で右へ踏み込み、その横を抜けた。


 狙うのは、二度斬った右脚。


「はっ!」


 炎牙剣を振り抜く。


 ザシュッ!


「グガッ!」


 太腿を深く斬られ、キングオーガが大きく体勢を崩した。


 片膝をつく。


 今度こそ。


 地面を蹴る。


 キングオーガが左腕を伸ばしてきた。


 炎牙剣を振る。


「はあっ!」


 刃が腕へ深く食い込み、そのまま斬り抜いた。


「グアアアッ!」


 キングオーガの左腕が地面へ落ちる。


 巨体が大きく傾いた。


 首が下がる。


「これで――」


 炎牙剣へさらに魔力を流す。


「終わりだ!」


 横薙ぎに振り抜いた。


 白く輝く炎が首を走る。


 刃に強い抵抗がかかる。


 それでも止めない。


 そのまま押し切った。


 ザンッ!


 キングオーガの頭が落ちる。


 巨大な身体がゆっくりと前へ傾いた。


 ズズゥンッ!


 地面が揺れる。


 視界に表示が現れた。


【5,000P獲得】


【保有:40,935P】


【累計獲得P:93,145P】


「五千……」


 アイアンオーガの倍以上。


 やっぱりかなり強い魔物だったらしい。


 周囲を見る。


 キングオーガが倒れた途端、残っていた魔物たちの動きが変わった。


 一体のグレイウルフが森へ向かって走り出す。


 それにつられるように、他の魔物たちも逃げ始めた。


「逃げるぞ!」


「追え!」


 領兵の一人が走り出そうとする。


「待ってください!」


 声を上げると、領兵が止まった。


「でも、今なら倒せる!」


「深追いしない方がいいです。森の中にまだ何がいるか分かりません。

 それより、怪我人と町を確認しましょう」


 領兵が森を見る。


 少し迷った後、頷いた。


「……分かった」


 周囲の領兵たちも武器を下ろしていく。


 もう森からこちらへ向かってくる魔力反応はない。


「終わったみたいです」


 俺が言うと、あちこちから安堵の息が漏れた。


 ◇


 防衛線から町へ戻った。


 怪我人は何人か出ていたが、死者はいなかった。


 町へ入り込んだ魔物も一体もいない。


「本当に……助かった」


 年配の領兵が呟く。


「お二人がいなければ、どうなっていたか」


「領兵の人たちも戦ってましたから」


「それでもだ」


 避難していた住民たちも少しずつ戻ってきている。


 俺を見る人が多い。


「アレン様……」


「キングオーガまで倒したのか」


「本当に《剣聖》を倒したって話も……」


 また視線が集まる。


 やっぱり居心地はよくない。


「アレンさん」


「何です?」


「そろそろ慣れた方がいいんじゃないですか?」


「無理だと思います」


 フェリシアが笑った。


 そこへ年配の領兵が近づいてくる。


「今回の件は、必ず侯爵家へ報告します」


「分かりました」


「アレン様が町を救ったことも」


「そこまで大げさに言わなくても」


「大げさではありません」


 真顔で言われてしまった。


「俺たちは、たまたま通りかかっただけですよ」


「その通りかかった方が戻ってきてくださらなければ、この町は無事では済みませんでした」


 何も言えなくなる。


 その時、遠くから馬の蹄の音が聞こえてきた。


 一頭ではない。


 何頭もいる。


「増援だ!」


 領兵の一人が声を上げた。


 街道の向こうから騎馬の一団がやってくる。


 十数人。


 全員、揃いの鎧を身につけていた。


 先頭の男が町の前まで来て馬を止める。


「状況は!」


 年配の領兵が駆け寄った。


「スタンピードは止まりました!」


「止まった?」


「はい」


 騎士らしい男が周囲を見回す。


 町の前に倒れている何十体もの魔物。


 さらにその奥には、首を失ったキングオーガの巨体が横たわっている。


「……あれは」


「キングオーガです」


「キングオーガまで出たのか?」


「はい」


 騎士の表情が険しくなった。


「誰が倒した?」


 年配の領兵がこちらを見る。


「アレン様です」


 騎士の視線が俺へ向いた。


「アレン様?」


 俺の顔を見て、表情が変わる。


「まさか……アレン・ヴァルディス様ですか?」


「はい」


 騎士は驚いたまま、もう一度周囲に倒れた魔物を確認した。


「今回のスタンピードについて、詳しくお話を伺いたい」


「構いません」


「それと……」


 騎士が少し言いにくそうに続ける。


「領都へ同行していただけないでしょうか」


「領都へ?」


 行くつもりのなかった場所の名前が出てきた。


 俺たちは王都へ向かうだけのはずだった。


 どうやら、そう簡単には通り過ぎられないらしい。


 累計獲得P=93,145P



最後まで読んでいただきありがとうございます。

少しでも何かを感じて頂けたら評価とブックマークで応援いただけると執筆の励みになります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
> 「お前一人でやるつもりか?」 領主の元嫡子とわかったのにお前呼ばわりするのか
呼ぶな呼ぶな。 侯爵家から追放された元嫡子を、領主と現嫡子が居ない間に呼ぶんじゃない。 叛意を疑われるぞ。 今は冒険者なんだから現場で聴取してギルド経由で報告を上げさせてくれ。 なに?マジで担ぎたい…
「領都へ同行していただけないでしょうか」 王様に言われているわけでもなく、領主が今いないことも分かっているのだから、急いでいると言って断っても角は立たないでしょう。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。