↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
《剣聖》になった弟に追放された俺のスキルは《会員》でした ~ハズレスキルだと思っていたら、ポイントで好きな能力を買えるらしい~  作者: アカメノコバチ
第4章 Aランクへの道

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
47/206

第47話 Aランクへの道

 職員に案内され、俺とフェリシアはギルドの奥へ向かった。


 通されたのは、以前Bランクへ昇格した時にも入った部屋だった。


 中ではギルドマスターが待っている。


「座ってくれ」


「はい」


 俺たちは並んで椅子へ座った。


 ギルドマスターは机の上に置かれた書類を確認してから、こちらを見る。


「まずは二十階層踏破、おめでとう。それも階層主まで二人で討伐したそうだな」


「ありがとうございます」


「ミスリルゴーレムを丸ごと持ち帰ったと聞いた時は、何の冗談かと思ったが」


「解体場にあります」


「職員が何人も慌ただしくしているぞ」


 ギルドマスターが苦笑する。


「それで、Aランクへの昇格についてだ」


 少し姿勢を正した。


 さっき受付嬢から聞いたばかりだ。


 二十一階より先へ進むには、Aランクになる必要がある。


「俺たちは、Aランクになれるんですか?」


「候補には入る」


 ギルドマスターは迷わず答えた。


「戦闘能力については、もう疑う必要はないだろう。二十階層の階層主を二人で討伐した。

それ以前にも、ドラン帝国との戦争で大きな戦果を挙げている」


 剣聖を倒したことも記録には残っているはずだ。


「ただし、AランクはBランクまでとは意味が違う」


「意味が違う?」


「ああ。Aランク冒険者になると、それはサハル王国でも有数の冒険者だ。

 その名前自体が信用になり、大きな依頼を任されるだけでなく、時には貴族や大商会、王国そのものから協力を求められることもある」


 そこまで大きな立場なのか。


「だから、強ければ誰でもなれるわけではない」


 フェリシアが聞く。


「他には何が必要なんですか?」


「この国への貢献だ」


「サハル王国への?」


「そうだ」


 ギルドマスターが頷く。


「高い戦闘能力があることは大前提だ。そのうえで、その力を何に使ってきたのかが問われる。

 高難度依頼の実績、判断力、信用、そして王国への貢献。それらを含めて、Aランクの名にふさわしい人物か判断される」


「戦争での功績は?」


 今度は俺が聞いた。


「もちろん大きく評価されている。ドラン帝国の侵攻を防いだ戦いで、お前たちが果たした役割は大きい。

 アレンは敵の剣聖を倒し、フェリシアも第一班の一員として前線で戦った。

 その実績だけでも、普通の冒険者とは比較にならない」


 そこで言葉を区切った。


「だが、それだけでAランクへの昇格が決まるわけではない」


「そうなんですね」


 少しだけ期待していた。


 二十階層まで攻略したことで、すぐにAランクへ上がれるのかもしれないと思っていた。


 でも、話を聞けば納得できる。


 Aランクというのは、単に強い冒険者へ与えられる称号ではないらしい。


「では、俺たちは何をすればいいんでしょう?」


「それを考えていた」


 ギルドマスターが机の上に地図を広げた。


 ベルガントから北東へ指を動かし、一つの大きな都市を示す。


「王都へ行ってみてはどうだ?」


「王都?」


「王都の冒険者ギルドには、ベルガントには回ってこない依頼が集まる。

 王宮や国の機関から出されるものもあるし、王国全体に関わる仕事も多い」


 ギルドマスターが地図の王都を指す。


「国への貢献を積むのであれば、ベルガントに留まるより機会は多いはずだ」


 なるほど。


 Aランクになるために、ただ依頼を数多くこなせばいいわけじゃない。


 王国にとって意味のある仕事をする必要がある。


「王都か……」


 行ったことはない。


 王国最大の街で、王宮もある。


 冒険者ギルドにも、ベルガントとはまったく違う仕事が集まっているはずだ。


 フェリシアを見る。


「どうします?」


「私は行ってみたいです」


「俺もです」


 決まった。


「王都へ行きます」


 ギルドマスターが頷いた。


「それがいいだろう。Aランクだけを目的にする必要はない。

 今のお前たちなら、王都で経験を積むこと自体が今後につながる」


「分かりました」


「今日持ち込んだ素材は量も多い。

 ミスリルゴーレムもあるから、査定には少し時間がかかるだろう。結果を受け取ってから出発するといい」


「そうします」


 さすがにミスリルゴーレムを預けたまま王都へ出る気にはならない。


「話は以上だ」


 俺たちは立ち上がった。


 部屋を出る前、ギルドマスターが声をかけてくる。


「アレン、フェリシア」


「はい?」


「Bランクになったばかりだからと、Aランクを目指すことまで遠慮する必要はない。

 候補として名前が挙がるところまで来たのは、お前たち自身が積み上げてきた結果だ」


「ありがとうございます」


 俺たちは一礼して部屋を出た。


 ◇


 ギルドを出ると、外はすっかり暗くなっていた。


「王都ですか」


 フェリシアが隣を歩く。


「急に次の行き先が決まりましたね」


「二十一階へ行こうと思ってたんですけどね」


「それはAランクになってからですね」


「まずはそっちですね」


 今日は朝からダンジョンへ潜り、二十階層まで攻略した。


 ミスリルゴーレムも倒した。


 そして、次の目標まで決まった。


「せっかくだし、何か食べて帰りません?」


「お祝いですか?」


「二十階層踏破のお祝いです」


 フェリシアが少し考える。


「前に行った店はどうです?」


「いいですね」


 Bランクへの昇格を祝った時にも行った店だ。


 そのまま二人で向かうことにした。


 ◇


 扉を開けると、店内はかなり賑わっていた。


 食事をしている冒険者もいれば、酒を飲んでいる者もいる。


 空いている席を探していると、奥から声が飛んできた。


「アレン!」


 聞き覚えのある声だった。


 見ると、クロードが手を上げている。


 同じテーブルにはボルク、リディア、セシルもいた。


「クロードさん」


「こっち来いよ」


 四人のところへ向かう。


「皆さん、ここにいたんですね」


「ああ。俺たちも飯を食いに来たところだ」


 ボルクが笑う。


「それより、お前たちだろ」


「俺たち?」


「聞いたぞ。二十階の階層主を倒したって」


 もう広まっている。


「今日倒したばかりなんですけど」


「冒険者ギルドであれだけ騒ぎになれば広まるだろ」


 リディアが呆れたように言った。


「しかもミスリルゴーレムを丸ごと持ち帰ってきたんでしょう?」


「《収納》に入ったので」


「それができる時点で普通じゃないのよ」


「まあ、いいじゃないか」


 クロードが笑う。


「座れ。二十階踏破なら祝わないとな」


 空いている椅子へ座り、料理を頼んだ。


「二十階層踏破、おめでとうございます」


 セシルが笑顔で言う。


「ありがとうございます」


「Bランクになって、もう二十階か」


 クロードが感心したように俺を見る。


「本当に速いな」


「今日、Aランクの話もされました」


 クロードの表情が少し変わった。


「もうそこまで話が出たのか」


「すぐ昇格できるわけじゃないです」


 ギルドマスターから聞いた話を説明する。


 Aランクには王国への貢献も必要なこと。


 戦争での功績は評価されているが、それだけで昇格が決まるわけではないこと。


 そのために、王都へ行くことを勧められたこと。


「それで、王都へ?」


「はい。素材の査定が終わったら行こうと思っています」


「そうか」


 クロードが少しだけ考えた。


「俺は騎士団にいた頃、ずっと王都にいた」


「どんなところです?」


「人も仕事も多い。ベルガントとは規模が違う。冒険者として上を目指すなら、行って損はない」


「じゃあ、いいところなんですね」


「いいところかどうかは人によるな」


「え?」


 クロードが苦笑する。


「王宮があって、大貴族も集まる。金も情報も仕事も多い分、面倒なことも多い」


「面倒なこと?」


「まあ、行けば分かるさ」


「それ、一番気になる言い方ですよ」


「今から余計な心配しても仕方ないだろ」


 それはそうかもしれない。


 クロードが俺とフェリシアを見る。


「王都でも、今まで通り二人でよく相談して動け。

 強くなったからって、何でも自分たちだけで何とかしようとするなよ」


「はい」


「それができれば大丈夫だ」


 第一班にいた時にも、クロードは似たようなことを言っていた。


 一人で全部やる必要はない。


「頑張ってきます」


「ああ」


 そこへ料理と飲み物が運ばれてきた。


 俺の前には果実水。


 フェリシアの前にも、よく似た色の飲み物が置かれる。


 フェリシアがグラスへ手を伸ばした。


「ちょっと待ってください」


「何です?」


 グラスを見る。


「それ、お酒じゃないですよね?」


「え?」


 フェリシアもグラスを見る。


 店員へ確認すると、果実酒だった。


「……危なかった」


「今日はやめてくださいね」


「分かってますよ!」


 前にこの店で酒を飲んだフェリシアを思い出す。


 あの日は宿まで背負って帰ることになった。


「そんなに警戒しなくても大丈夫です」


「一応です」


「信用してください」


「信用してます。でも、お酒は確認します」


 向かいでクロードが笑った。


「何だ? 何かあったのか?」


「何もありません」


 フェリシアが即答する。


 これ以上は言わない方がよさそうだ。


 果実酒を別の飲み物へ替えてもらう。


 改めてグラスを持つ。


 クロードが自分の酒を掲げた。


「じゃあ、二十階層踏破と、これからの王都行きに」


 みんながグラスを上げる。


「乾杯」


「乾杯!」


 グラスを合わせた。


 料理を食べながら、戦争の時の話や最近のベルガントの話をする。


 少し前まで、俺たちは同じ第一班として戦場にいた。


 これからは、またそれぞれ別の場所で進んでいく。


 俺とフェリシアには、新しい目標ができた。


 Aランク。


 そのために、王都へ行く。


 あとは今日持ち込んだ素材の査定を待つだけだ。


 結果を受け取ったら、王都へ向かおう。


 累計獲得P=85,475P



最後まで読んでいただきありがとうございます。

少しでも何かを感じて頂けたら評価とブックマークで応援いただけると執筆の励みになります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
解体現場からギルマスに「あいつら追い出してくれ」って泣きが入ったか? 持ち込まれる素材が需要よりも多過ぎれば討伐依頼料が下がって他の冒険者の実入りが減るし、まあ王都に行かすのは英断か
ふぅむ。 まあ地方都市ではチート保持者を抱えきれないですね。 ここのギルドとして損失な気もしますが、適材適所ということですか。
フェリシアがA級に足る実力なのかはおおいに疑問 それともパーティとしてのランクなのか?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。