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《剣聖》になった弟に追放された俺のスキルは《会員》でした ~ハズレスキルだと思っていたら、ポイントで好きな能力を買えるらしい~  作者: アカメノコバチ
第4章 Aランクへの道

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第45話 対ミスリルゴーレム

 ミスリルゴーレムがフェリシアへ向かって突進する。


 俺はすぐにその間へ入り、炎牙剣を構えた。


「こっちだ!」


 炎をまとわせた刃を右腕へ叩き込む。


 ガキィィンッ!


 さっきより強く魔力を流した。それでも刃は銀白色の表面をわずかに削っただけだった。


「くっ……!」


 腕に強い衝撃が返ってくる。


 ミスリルゴーレムが俺へ向きを変え、太い腕を横へ振った。


 速い。


 身体を沈めると、頭上を巨大な腕が通過する。


「《魔弾》!」


 後方からフェリシアの魔弾が三発続けて飛び、同じ肩へ命中した。


 カンッ! カンッ! カンッ!


 少しずつ傷は増えているが、どれも浅い。


「もう一度いきます!」


「はい!」


 俺が正面から距離を詰める。


 今度は左腕が振り下ろされた。


 横へ抜け、炎牙剣を膝へ叩き込む。


 ガキンッ!


 やっぱり弾かれる。


 こいつの身体は、ほとんどすべてが同じくらい硬い。


 振り返った瞬間、銀白色の拳が迫っていた。


「っ!」


 避けるのが遅れた。


 左腕を上げる。


 ドンッ!


「ぐっ!」


 身体が浮き、そのまま数メートル吹き飛ばされた。


 背中から石床へ叩きつけられる。


「アレンさん!」


「大丈夫……です」


 起き上がろうとした瞬間、脇腹に鋭い痛みが走った。


「くっ……」


 まともに拳を受けたわけではない。ブラックスチールリザードの軽鎧も衝撃を減らしてくれたはずだ。


 それでもこの威力。


 フェリシアが魔弾を連射し、ミスリルゴーレムを俺から遠ざける。


 身体を起こした。


 このまま戦えないことはない。


 でも、無理をする必要もない。


 《会員》を開く。


【全回復 100P】


 迷わず使用した。


【負傷・疲労が完全に回復しました】


【保有:35,165P】


 脇腹の痛みが消える。


 背中も腕も、朝から戦い続けて溜まっていた疲労までなくなった。


「アレンさん?」


「大丈夫です。回復しました」


「よかった……」


 立ち上がり、もう一度炎牙剣を構える。


 身体は元に戻った。


 でも、それだけでは勝てない。


 炎牙剣でもほとんど斬れず、フェリシアの圧縮した魔弾でも表面を少し削る程度だ。


 何かあるはずだ。


 ゴーレムなら、動くための何かが。


 《固有スキル購入》を開く。


 一覧の中で、一つの名前に目が止まった。


【《魔力感知》 5,000P】


 魔力を感じ取るための固有スキル。


 ミスリルゴーレムは生き物じゃない。それなのに動いている。


 魔力で動いているなら、何か分かるかもしれない。


「買います」


【《魔力感知》を購入しました】


【5,000P消費】


【保有:30,165P】


 身体の感覚が少し変わった。


 目で見える景色は同じなのに、目の前のミスリルゴーレムから流れる魔力を感じる。


 腕や脚、胴体へ薄く広がった魔力が全身を巡っていた。


 その中で、一か所だけ明らかに違う場所がある。


 胸の奥。


 そこだけ魔力が強く集中している。


「フェリシアさん!」


「はい!」


「胸です。胸の奥に魔力が集中してます!」


「そこを壊せば?」


「止まるかもしれません!」


 問題は、その胸が一番分厚そうなことだ。


「《魔弾》!」


 フェリシアが圧縮した魔弾を撃ち込む。


 ドンッ!


 胸の表面がわずかに削れた。


 俺も同じ場所へ炎牙剣を叩き込む。


 ガキィンッ!


 傷はつく。


 でも、胸の奥までは届かない。


「もっと威力があれば……」


 炎牙剣を見る。


 この剣は、俺の魔力を使って炎を生み出す。


 剣聖と戦った時も、《魔力操作》で炎を刃の周囲へ集めることで威力を上げた。


 それなら、魔力そのものを増やせばいい。


 《会員》を開く。


【魔力強化(大) 1,000P】


 保有ポイントは三万以上ある。


 一回だけ買う必要はない。


「五回買います」


【魔力強化(大)を5回購入しました】


【5,000P消費】


【魔力+900】


【保有:25,165P】


 身体の中にある魔力が一気に増えた。


 元々の基礎魔力は198。


 そこへ九百加わり、1,098になる。


 フェリシアとは《共有》しているので、そのうち一割の109が彼女へ移る。それでも俺に残る魔力は、これまでとは比べものにならない。


「……すごいな」


 自分でも分かる。


 身体の中にある魔力の量が、さっきまでとはまるで違う。


「アレンさん!」


 フェリシアの声がした。


「どうしました?」


「私の魔力も、急に増えました」


「《共有》です」


 これまでは俺の基礎魔力198の一割。


 今は1,098の一割。


 フェリシアへ渡る魔力も大きく増えている。


 フェリシアが白銀樹の杖を握り直した。


「これなら、もっといけます」


 杖の先に青白い魔弾が生まれる。


 一つではない。


 二つ、三つと増え、五つの魔弾がフェリシアの周囲に浮かんだ。


「そんなに同時に?」


「今ならできます!」


 増えた魔力に加えて、《魔力操作》がある。


 白銀樹の杖も、魔力を素早く流すのを助けている。


 ミスリルゴーレムがこちらへ走り出した。


「フェリシアさん、胸を!」


「はい!」


 杖が向けられる。


「《魔弾》!」


 五つの青白い光が次々に飛んだ。


 ドンッ! ドンッ! ドンッ!


 すべて胸の同じ場所へ集中している。


 さっきまでとは威力も速度も違う。


 銀白色の表面が削れ、ミスリルゴーレムが腕で胸を守ろうとした。


「まだいけます!」


 フェリシアの周囲に、再び魔弾が浮かぶ。


 今度は最初から強く圧縮されていた。


「《魔弾》!」


 さらに胸へ叩き込まれる。


 バキッ!


 初めて違う音がした。


 胸に亀裂が入っている。


「アレンさん!」


「見えてます!」


 地面を蹴る。


 ミスリルゴーレムが拳を振る。


 さっきまでと同じ速さだ。


 でも今は疲労もない。


 横へ抜け、炎牙剣へ魔力を流した。


 ゴオオオオッ!


「なっ……!」


 自分でも驚くほどの炎が噴き上がった。


 今までの炎牙剣とはまるで違う。


 その炎を《魔力操作》で刀身の周囲へ押し込める。


 広がらせるんじゃない。


 細く、鋭く、刃に沿わせる。


 炎の中心が白く輝き始めた。


 狙うのは一か所。


 フェリシアが作った胸の亀裂だ。


「はああっ!」


 炎牙剣を突き込む。


 ギギギギッ!


 強い抵抗がある。


 それでも、今度は止まらない。


 刃が少しずつ奥へ入っていく。


「入った!」


「アレンさん、そのまま!」


 さらに魔力を流す。


 白く圧縮された炎が、亀裂の奥へ入り込んでいく。


 《魔力感知》で胸の内部を探る。


 最も強く魔力を感じる場所まで、あと少し。


 剣をさらに押し込んだ。


 ズンッ!


 手応えが変わる。


 刃先が硬い何かへ触れた。


「ここだ!」


 力を込める。


 バキンッ!


 何かが割れた。


 同時に、ミスリルゴーレムの全身を巡っていた魔力が大きく乱れる。


 拳が振り上げられた。


「アレンさん!」


 炎牙剣を引き抜いて後ろへ跳ぶ。


 だが、拳は振り下ろされなかった。


 ミスリルゴーレムの腕が途中で止まる。


 銀白色の巨体が揺れた。


 ドンッ!


 片膝をつく。


 胸の亀裂から光が漏れ、そのまま巨大な身体が前へ倒れた。


 ズズゥンッ!


 広間が揺れる。


 しばらく待った。


 動かない。


 その直後、表示が現れた。


【8,000P獲得】


【保有:33,165P】


【累計獲得P:85,375P】


「八千……」


 一体で八千P。


 これまで倒したどの魔物より多い。


「倒したんですか?」


「はい。倒しました」


「やった……!」


 フェリシアがその場に座り込んだ。


「さすがに魔力を使いすぎました」


「大丈夫ですか?」


「はい。でも、今の魔弾は自分でも驚きました」


「俺も炎牙剣があそこまで変わるとは思いませんでした」


 俺自身の魔力が増えれば、《共有》しているフェリシアの魔力も増える。


 そして俺には《魔力操作》、フェリシアにも《付与》した《魔力操作》がある。


 今回の戦いで、《共有》の使い方が少し分かった気がした。


 倒れたミスリルゴーレムへ近づく。


「これも収納できるかな」


「入ったら、すごい値段になりそうですね」


「試してみます」


 巨体へ手を触れる。


 次の瞬間、ミスリルゴーレムが消えた。


「入った……」


「また解体場の人に謝らないといけませんね」


「今回は本当に怒られるかもしれません」


 その時だった。


 ゴゴゴゴゴ……。


「何です?」


 広間の奥を見る。


 石壁がゆっくりと左右へ動いている。


 十階層で見た光景と同じだった。


 壁の奥に小さな部屋が現れ、その中央には青白く光る大きな石がある。


「転移石ですね」


「やっぱり二十階にもありましたね」


 二人で近づく。


 俺が先に触れると、転移石が強く光った。


 続けてフェリシアも触れる。


 これで次からは二十階まで直接来られる。


 十階に着いた頃は、ここまで来られるなんて考えてもいなかった。


 でも今は、二十階より先にも道が続いている。


「次は二十一階ですね」


 フェリシアが奥へ続く階段を見る。


「そうですね。でも、今日は戻りましょう」


「はい。素材もすごい量ですし」


 今日倒した大量の魔物に、ミスリルゴーレム。


 そして、保有ポイントはまだ三万以上ある。


 俺は炎牙剣を鞘へ戻した。


 まだまだ強くなれる。


 累計獲得P=85,375P



最後まで読んでいただきありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
もうギルドに投資して解体関連施設と人員を拡張した方が良さそう。 今まで《収納》持ちがいなくて大して解体するものがなかっただろうから絶対にキャパオーバーしてる。 仕留めた魔物を持ち込み続ければ利益は上が…
しかしまぁ、家から追い出されなければスキルを活かす場はなかったわけで。冒険者になってなければ針の筵だったね…
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