↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
《剣聖》になった弟に追放された俺のスキルは《会員》でした ~ハズレスキルだと思っていたら、ポイントで好きな能力を買えるらしい~  作者: アカメノコバチ
第10章 再び南へ

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
205/215

第205話 商人の目

新連載もよろしくお願いします!

『平民出身の転生執事、最強王女を育成する』という作品です。

お手すきの際に是非!

https://ncode.syosetu.com/n5173mx/1からご覧いただけます。

「ローデン商会ですか?」


「ああ。アルスレイン王国に本拠を置く商会なんだ」


「そうなんですね。よろしくお願いします」


 俺が頭を下げると、ヴィクトルさんは笑顔で頷いた。


「こちらこそ。それで、群晶石を持っているという話だったけど。」


「はい」


「よかったら、実物を見せてもらえないか?」


「もちろんです。ただ……」


 俺はフェリシアを見た。


「フェリシア、大丈夫?」


「うん! 見せるくらいなら問題ないよ」


「ありがとう」


 そのとき。


「ねえ、アレン……」


 ルナが俺の袖を引っ張った。


「どうしたの?」


「お腹空いた……」


 そうだった。


 ギルドに来る前から、ずっとおいしいものを食べたいって言っていたんだ。


「ああ。ごめんね」


「もう限界だよ……」


 ルナがお腹を押さえた。


 その様子を見て、ヴィクトルさんが笑った。


「だったら、食事でもしながら話さないか?」


「えっ?」


「俺もちょうど腹が減っていたところなんだ。よかったら、ご馳走するよ」


「本当!?」


 ルナの表情が、一瞬で明るくなった。


「いいんですか?」


「ああ。こっちから話を聞きたいんだから、気にしないでくれ」


「ありがとうございます」


「やったあ!」


 ルナが両手を上げた。


 こうして、俺たちはヴィクトルさんと一緒に食事をすることになった。


 ◇


 ギルドから少し歩いたところに、港を見渡せる料理店があった。


 外の席ならテリーとステフも一緒にいられるというので、そこに座ることにした。


「わあ! いい匂い!」


 ルナが嬉しそうに料理を見つめた。


 運ばれてきたのは、焼きたての魚料理や肉料理、それに野菜の入った温かいスープだ。


「いただきます!」


 ルナがさっそく食べ始めた。


「おいしい!」


 フェリシアもスープを口に運んだ。


「本当。ダンジョンから帰ってきたって感じがするね」


「そうだね」


 俺も魚料理を食べた。


 うん。おいしいな。


 しばらく食事を楽しんだあと、ヴィクトルさんが口を開いた。


「それで、群晶石についてなんだけど」


「はい」


「まず、その石をどこで見つけたのか教えてもらえるか?」


「ミナリア西ダンジョンです」


「なるほど。ダンジョンで採れる魔石なのか」


「はい。ちょっと変わった性質があるみたいです」


「魔力に反応して光るんだろ?」


「それだけじゃないんです」


「ほう?」


「フェリシアが魔力を流すと、空中を自由に動かせるんですよ」


「……空中を?」


 ヴィクトルさんの手が止まった。


「浮かぶだけじゃなくて、動くのか?」


「はい。上下左右、好きな方向へ動かせます」


「それは、石自体の能力なのか?」


「どうなんでしょう。フェリシアが魔力を流して操作しているんです」


 ヴィクトルさんは腕を組んだ。


「……」


 何か考え始めたみたいだ。


「ちなみに、どれくらい動かせるんだ?」


「今は八つです」


 フェリシアが答えた。


「……八つ?」


「はい」


「同時に?」


「そうです」


 ヴィクトルさんの目が大きくなった。


「それは面白いな!」


 今まで以上に興味を持ったようだ。


「ぜひ実際に見てみたいんだけど、できるか?」


「はい。でも、ここで動かすのは危ないかもしれません」


「そうだな。だったら、明日どこか広い場所を借りよう」


「ギルドの訓練場なら、使わせてもらえるかもしれません」


 俺が提案すると、ヴィクトルさんは嬉しそうに頷いた。


「それは助かる。じゃあ、明日お願いできるか?」


「はい。大丈夫です」


「ありがとう!」


 そうしている間にも、ルナは次々と料理を食べていた。


「ヴィクトルさん、これも食べていい?」


「ああ。好きなだけ食べてくれ」


「やったあ!」


 ヴィクトルさんは楽しそうに笑った。


 商人って、もっと堅苦しい人が多いのかと思っていたけど、ずいぶん話しやすい人だな。


 ◇


 翌朝。


 俺たちは冒険者ギルドの訓練場を訪れた。


 事前に事情を説明すると、訓練場の一角を使わせてもらえることになった。


 広い土の地面には、木製の標的がいくつも並んでいる。


「ここなら大丈夫そうだね」


 フェリシアが周囲を見回した。


「うん。でも、魔弾の威力は弱くしてね」


「分かってるよ!」


 今日は、群晶石の動きを見せることが目的だ。


 訓練場を壊してしまったら大変だからね。


「それじゃあ、お願いするよ」


 ヴィクトルさんが少し離れた場所に立った。


「はい」


 フェリシアが《収納》から群晶石を取り出した。


 一つ。


 二つ。


 三つ。


 四つ。


 そして、さらに四つ。


 合計八つの群晶石だ。


 ヴィクトルさんが興味深そうに眺めた。


「見た目は普通の石とそれほど変わらないな」


「そうなんです。でも、魔力を流すと変わるんですよ」


 フェリシアが両手を広げた。


「いきますね」


 ふわっ。


 八つの群晶石が、ゆっくりと浮かび上がった。


「……おおっ!」


 ヴィクトルさんが目を見開いた。


 青白い光を帯びた八つの石が、フェリシアの周囲を回り始める。


「じゃあ、動かしますね!」


 シュンッ!


 八つのオービットが、一斉に飛び出した。


 一つは高く舞い上がり、別の一つは地面すれすれを滑るように移動する。


 残る六つも、それぞれ異なる方向へ飛んでいった。


 そして、フェリシアが軽く手を動かすと、八つの光が一斉に方向を変えた。


「……何だ、これは!」


 ヴィクトルさんが驚いている。


「これを全部、一人で操作しているのか?」


「はい」


「八つとも別々に?」


「そうです」


「……すごいな」


 ヴィクトルさんは空を飛び回る石から目を離さなかった。


「それに、これだけじゃないんだよ!」


 ルナが得意そうに言った。


「フェリシアは、この石から魔弾も撃てるんだ!」


「魔弾!?」


「そう!」


 フェリシアが頷いた。


「今日は弱い魔弾でお見せしますね」


 八つのオービットが、それぞれ別の標的へ向きを変えた。


「《魔弾》!」


 ポンッ! ポンッ! ポンッ!


 青白い魔弾が次々と放たれる。


 トンッ!


 トンッ!


 八つの標的に、それぞれ小さな焦げ跡が残った。


「……なるほど!」


 ヴィクトルさんが感心したように頷いた。


「動かすだけでなく、狙った場所に魔法をあてることもできるのか!」


「はい。でも、八つを同時に操作するのは、まだ練習中なんです」


「い、いや、十分すごいぞ」


「フェリシアはね、もっと強い魔弾も撃てるんだよ!」


 ルナが笑った。


「この前なんて、自分で撃つのも合わせて十三発だったんだから!」


「……十三発!?」


 ヴィクトルさんがフェリシアを見た。


「ええ。それを一か所に集中させて、巨大な魔物の装甲を砕いたんです」


「……とんでもないことをするな」


 ヴィクトルさんが小さく笑った。


 でも、彼の視線は砕けていない標的よりも、フェリシアの周囲に浮かぶ群晶石へ向けられていた。


 ◇


「なあ、フェリシア」


「はい?」


「その石、俺にも触らせてもらっていいか?」


「もちろんです」


 フェリシアが一つの群晶石を手渡した。


 ヴィクトルさんは手のひらに載せ、魔力を流し始めた。


 ぽうっ。


 石の内部が青白く光った。


「おっ!反応したぞ!」


「はい。ちゃんと魔力が流れていますね」


「それじゃあ、浮かせてみるか……」


 ヴィクトルさんが石を見つめた。


 しかし。


「……ん?」


 石は手のひらに載ったままだ。


 もう一度試してみても、光が少し強くなるだけだった。


「なるほど。魔力を流せば誰でも動かせるわけじゃないのか」


「そうみたいですね」


 フェリシアが答えた。


「私は魔力を流しながら、一つひとつを操作しているんです」


「かなり難しそうだな」


「はい。でも、練習しているうちにできるようになったんです」


「そうか……」


 ヴィクトルさんは群晶石をフェリシアへ返した。


 そして、少し考えてから尋ねた。


「ところで、この石は魔弾を撃たなくても動かせるんだよな?」


「はい」


「だったら、小さなものを運ぶことはできるのかな?」


「……運ぶ?」


 フェリシアが首を傾げた。


「例えば、この石に何かを取り付けて、一緒に動かすんだ」


「なるほど……」


 フェリシアも興味を持ったみたいだ。


「ちょっと試してみてもいいですか?」


「ああ、ぜひ!」


 ヴィクトルさんは訓練場に落ちていた小さな木片を拾った。


 それを細い紐で群晶石に結びつける。


「このくらいならどうだろう?」


「やってみますね」


 フェリシアが魔力を流した。


 ふわっ。


 群晶石が浮かび上がる。


 すると、紐で結ばれた木片も、ゆっくりと地面から離れた。


「……あっ!」


 俺は声を上げた。


「運べたね!」


「うん!」


 フェリシアが嬉しそうに頷いた。


 群晶石は木片をぶら下げたまま、ゆっくりと移動していく。


 そして、数メートル先で静かに着地した。


「……なるほど!」


 ヴィクトルさんが笑みを浮かべた。


「小さなものなら、一緒に運べるのか!」


「はい。でも、重いものまで運べるかは分かりません」


「それに、操作する人の魔力も必要だな」


「そうですね」


 ヴィクトルさんは腕を組んだ。


「どのくらいの重さまで運べるのか。どれくらい遠くまで動かせるのか。それに、魔力をどれだけ使うのか……」


 次々と疑問を口にする。


「調べることが山ほどあるな!」


 何だか楽しそうだ。


「ヴィクトルさんは、こういうことが好きなんですか?」


「もちろん!」


 ヴィクトルさんが即答した。


「珍しいものを見つけるのも好きだけど、それが何に使えるのかを考えるのはもっと楽しいんだ」


「そうなんですね」


「新しい使い道が見つかれば、それを必要とする人がいるかもしれない。そうなれば、商売にもつながるからな」


 なるほど。


 俺たちは戦うために使っていたけど、ヴィクトルさんはまったく別のことを考えているんだな。


「ところで、アレン」


「はい?」


「この群晶石、ほかにも持っているのか?」


「はい。いくつかあります」


「よかったら、少し譲ってもらえないか?」


「群晶石をですか?」


「ああ。余っているものがあれば研究用に買わせてもらいたいんだ」


「研究用ですか?」


「うん。まだ分からないことが多すぎるから、もう少し詳しく調べてみたい」


 なるほど。


 それなら、売ってもいいかもしれないな。


 俺はフェリシアを見た。


「フェリシア、どう思う?」


「私はいいと思うよ。でも、予備は残しておきたいな」


「そうだね」


 せっかく八つまで扱えるようになったんだ。


 予備の群晶石も必要だろう。


「ヴィクトルさん。予備を残したうえで、余った分をお譲りする形でもいいですか?」


「もちろん。それで十分だよ」


「ありがとうございます」


「値段については、ギルドの買取価格も参考にして、納得してもらえる金額を提示したい」


「はい。お願いします」


 すると、ヴィクトルさんが少し考え込んだ。


「……でも、研究するなら、もう少し数が欲しいな」


「そうなんですか?」


「ああ。同じ種類の石でも、一つひとつ性質が違うかもしれないだろう?」


「なるほど」


「それに、いろいろな実験をするなら、数が多い方がいい」


 ヴィクトルさんが俺たちを見た。


「アレンたちは、また群晶石を採りに行く予定はあるのか?」


「今のところはありません。まだ、ダンジョンから帰ってきたばかりなので」


「そうか。だったら、無理にお願いするのも悪いな」


 ヴィクトルさんは笑った。


「そうだ。ギルドに採取依頼を出してみようかな」


「採取依頼ですか?」


「ああ。群晶石を集めてきてくれる冒険者を募集するんだ」


 ……なるほど!


 そうすれば、俺たちが採りに行かなくても、群晶石を集められるかもしれない。


「もし継続的に集められるなら、研究も進めやすくなるだろう?」


「そうですね!」


「それに、冒険者にとっても新しい仕事になる」


 確かに。


 群晶石は、今のところ用途が限られている。


 でも、ヴィクトルさんが買い取ってくれるなら、採取する価値が生まれるのだろう。


「このあと、ギルドで相談してみる」


「分かりました。採取場所については、俺たちも分かる範囲でお伝えしますね」


「ありがとう! 助かる」


 ヴィクトルさんは満足そうに頷いた。


 ◇


 訓練場を出たあと、俺たちはヴィクトルさんと一緒にギルドの受付へ向かった。


「すみません。少し相談したいことがあるんですが」


 ヴィクトルさんが職員に声をかけた。


「はい。どのようなご用件でしょうか?」


「群晶石の採取依頼を出したいんです」


「群晶石ですか?」


「ええ。必要な数量を集めたいので、冒険者の方々に採取をお願いできないかと思いまして」


 職員は頷いた。


「採取依頼でしたら、お受けできます。ただ、採取場所や危険度によって依頼の条件が変わりますので、詳しくお話を伺ってもよろしいでしょうか?」


「もちろんです」


 ヴィクトルさんは群晶石について説明を始めた。


「それでしたら、深層へ進める冒険者向けの依頼になると思います。詳しい条件を確認してから、募集を開始する形でいかがでしょうか?」


「ぜひ、それでお願いします」


 ヴィクトルさんが笑顔で答えた。


「報酬についても、相応の金額を用意します」


「承知しました。それでは、依頼内容がまとまり次第、ご連絡いたします」


「よろしくお願いします」


 こうして、群晶石を集めるための採取依頼を、ギルドに相談することになった。


 ……すごいな。


 俺たちが偶然見つけた石が、商人の目に留まって、新しい仕事につながろうとしている。


 こんなこともあるんだな。


 ギルドを出ると、ルナが大きく伸びをした。


「ふう! 今日は面白かったね!」


「うん」


 フェリシアも嬉しそうだ。


 隣を歩いていたヴィクトルさんが、ふと思い出したように口を開いた。


「それにしても、群晶石か……」


「どうかしましたか?」


 俺が尋ねると、ヴィクトルさんは楽しそうに笑った。


「いや、あいつに見せたら、何て言うかなと思ってね」


「……あいつ?」


「ああ。俺の親友。ちょっと変わったやつなんだ」


「変わった人なんですか?」


「ははは。そうだな。普通の人間が見向きもしないようなものから、とんでもないものを作り出すんだ」


「へえ……」


 それは、すごい人だな。


「俺も何度驚かされたか分からないよ」


 ヴィクトルさんは楽しそうに続けた。


「この石を見せたら、きっとまた何か思いつくんじゃないかな」


「その方は、何というお名前なんですか?」


 ヴィクトルさんが答えた。


「リオン・ハル。俺の親友で、アルスレイン王国の男爵だ」


【保有:353,220P】

【累計獲得P:1,110,430P】


最後まで読んでいただきありがとうございます。

内容が良かったらリアクション、ブックマークと★★★★★をお願いします。

執筆の励みになります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。