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《剣聖》になった弟に追放された俺のスキルは《会員》でした ~ハズレスキルだと思っていたら、ポイントで好きな能力を買えるらしい~  作者: アカメノコバチ
第10章 再び南へ

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202/212

第202話 三人の新しい力

新連載もよろしくお願いします!

『平民出身の転生執事、最強王女を育成する』という作品です。

お手すきの際に是非!

https://ncode.syosetu.com/n5173mx/1からご覧いただけます。

 四十九階層へ下りる階段を進みながら、俺は竜爪剣の柄に手を添えた。


 さっき手に入れた《剣神》。


 軽く振っただけでも、今までとの違いを感じた。


 でも、実際の戦闘ではどうなんだろう。


「アレン、嬉しそうだね!」


 ルナが笑った。


「そうかな?」


「うん! 新しいスキルを早く試したいんでしょ?」


「あはは。分かっちゃった?」


「もちろん!」


 フェリシアも笑っている。


「私も八つのオービットを使ってみたいな」


「私も《弓神》を試したい!」


「じゃあ、次は三人とも新しい力を試そうね」


「うん!」


 そのとき、後ろから声がした。


「ワフ!」


「キュ!」


 テリーとステフが、俺たちの横へ並んだ。


 二匹ともやる気みたいだ。


「あっ、二匹とも今日は見学していてね」


「ワフ?」


 テリーが首を傾げる。


「《共有》で強くなったけど、いきなり四十九階層で戦うのは危ないから」


 俺は二匹の頭を撫でた。


「今度、浅い階層で一から練習しようね」


「ワフ!」


「キュ!」


 二匹とも元気に返事をした。


 ◇


 四十九階層に入ると、これまでより天井の高い通路が続いていた。


 岩壁には青白く光る鉱物が点々と埋まっている。


 俺は《魔力感知》を使った。


 少し先に、五つの反応がある。


「魔物がいるね」


「うん!」


 俺たちは通路を進んだ。


 現れたのは、黒い毛皮に覆われた大きな狼だった。


 額には短い角があり、鋭い牙をむき出しにしている。


 俺は《鑑定》した。


【ダークホーンウルフ】


【鋭い角と牙を持ち、高速で獲物を襲う魔物】


「五体か」


 俺は竜爪剣を抜いた。


「まずは俺がやってみてもいい?」


「もちろん!」


 ルナが頷く。


「何かあったら援護するね」


「ありがとう」


 フェリシアもオービットを用意した。


 その直後、先頭の一体が地面を蹴った。


 速い!


 黒い影が一気に近づいてくる。


 俺は竜爪剣を構えた。


 ……あれ?


 不思議だ。


 魔物の動きが、今までよりはっきり見える。


 次にどこへ足をつくのか。


 どの角度から飛びかかってくるのか。


 自然と分かる気がする。


 俺は一歩だけ横へ動いた。


 魔物の牙が、目の前を通り過ぎる。


 そして。


 ザシュッ!


【5,800P獲得】


 竜爪剣を振り抜くと、魔物がその場に倒れた。


「……おおっ」


 今のは、かなり滑らかに斬れたな。


 続けて二体目が襲いかかってくる。


 俺は剣の向きを少し変えた。


 ザシュッ!


【5,800P獲得】


 三体目。


 今度は左からだ。


 俺は振り向きざまに剣を振るう。


 ザシュッ!


【5,800P獲得】


「すごい!」


 ルナが声を上げた。


「アレン、動きが全然違うよ!」


「うん。俺も驚いてる」


 剣を振るうときの迷いが、ほとんどなくなっている。


 残る二体が、左右から同時に襲いかかってきた。


 俺は一体目の角をかわし、そのまま身体を回転させる。


 ザシュッ!


【5,800P獲得】


 続けて、もう一体。


 ザシュッ!


【5,800P獲得】


 五体すべてを倒した。


「……すごいな、《剣神》」


 俺は竜爪剣を見つめた。


 今までだって剣は使えていた。


 でも、今は余計な動きが減っている気がする。


 力を込めるタイミングも、刃を当てる角度も、自然と分かる。


「アレン、すごくきれいな動きだったよ!」


 ルナが言った。


「うん。剣が身体の一部みたいだったね」


 フェリシアも頷く。


「ありがとう。でも、まだ使い始めたばかりだからね」


 これからもっと慣れていきたいな。


 俺は五体の魔物を《収納》にしまった。


 ◇


 その後、俺たちはさらに奥へ進んだ。


 しばらく歩くと、広い空洞に出た。


 天井が高く、岩の柱が何本も立っている。


 俺は《魔力感知》で周囲を確認した。


 六つの反応がある。


 岩柱の陰から姿を現したのは、巨大なサソリのような魔物だった。


 黒い岩石に覆われた身体。


 太い鋏。


 そして、背中から伸びる長い尾。


【ロックテイルスコーピオン】


【岩石のように硬い甲殻と、強力な尾を持つ魔物】


「六体いるね」


 フェリシアが言った。


「うん。ちょっと厄介そうだね」


 魔物たちは岩柱の間へ広がり、俺たちを囲もうとしている。


 そのとき。


「アレン、今度は私がやってみてもいい?」


 フェリシアが声をかけてきた。


「もちろん。大丈夫そう?」


「うん。八つのオービットを試してみたいんだ」


「分かった。無理はしないでね」


「ありがとう!」


 フェリシアは《収納》から群晶石を取り出した。


 一つ。


 二つ。


 三つ。


 四つ。


 そして、さらに四つ。


 合計八つのオービットが、フェリシアの周囲に浮かび上がった。


 ふわっ。


 八つの石が、円を描くように動き始める。


 青白い光が、それぞれの石に灯った。


「……いくよ」


 フェリシアが小さく呟いた。


 次の瞬間。


 シュンッ!


 八つのオービットが、一斉に散った。


「おおっ!」


 俺は思わず声を上げた。


 一つは天井近くへ。


 一つは岩柱の陰へ。


 別の二つは魔物の背後へ回り込んだ。


 残る四つも、それぞれ別の方向へ飛んでいく。


 八つの石が、空中を自在に動いていた。


「……すごい」


 ルナが呟いた。


 魔物たちは、突然現れた八つの光を警戒して動きを止めた。


 フェリシアが右手を上げる。


「《魔弾》!」


 ドンッ!


 最初の一発が、右端の魔物に命中した。


 その直後。


 ドンッ!


 ドンッ!


 別の方向から、二発の魔弾が飛んだ。


 魔物たちは身体をひねって防ごうとしたけど、背後から飛んできた魔弾までは防げなかった。


 ドゴォン!


 一体が地面へ倒れる。


 さらに、天井近くのオービットが真下を向いた。


 ドンッ!


 今度は上から魔弾が降り注ぐ。


「わっ!」


 ルナが驚いている。


「上下左右、全部から攻撃してる!」


 そのとおりだ。


 八つのオービットは、それぞれ違う位置から魔物を狙っている。


 右を向けば左から。


 左を向けば背後から。


 上を警戒すれば足元近くから。


 魔物たちは、どこから攻撃されるのか分からないみたいだ。


 フェリシアがもう一度手を動かした。


 シュシュシュッ!


 八つのオービットが一斉に移動する。


 そして、六体の魔物を囲むように配置された。


「……いけるかな」


 フェリシアが少し息を吸った。


「八つ同時に……!」


 八つのオービットが、同時に青白く輝いた。


 次の瞬間。


 ドドドドドドドドッ!


 八発の魔弾が、一斉に放たれた。


 ドガァァァン!


「うわっ!」


 俺は思わず腕で顔をかばった。


 凄まじい爆発音が、広い空洞に響き渡った。


 衝撃で砂煙が巻き上がり、視界が真っ白になる。


 足元の岩まで震えていた。


「フェリシア!?」


 俺が呼びかける。


「……えっ?」


 フェリシア自身も驚いている。


 砂煙が少し薄くなった。


 さっきまで魔物がいた場所を見て、俺は言葉を失った。


 六体の魔物が、跡形もなくなっている。


 硬い甲殻も、鋏も、尻尾も。


 何も残っていない。


 床には大きな穴が開き、砕けた岩が散らばっていた。


「……全部、消えちゃった?」


 ルナが呟いた。


「うん……」


 俺も驚いた。


 あれだけ硬そうだった魔物が、粉々になってしまったらしい。


 《収納》で持ち帰れる素材も残っていない。


 そのとき。


 ゴゴゴゴ……。


 天井から小さな石が落ちてきた。


 続いて、近くの岩柱に亀裂が走る。


 ガラガラッ!


「……まずいね!」


 俺は二人を見た。


「いったん入口まで戻ろう!」


「うん!」


 三人で急いで通路へ戻る。


 テリーとステフも、俺たちについてきた。


 その直後。


 ドゴォン!


 大きな岩柱が崩れ落ちた。


 さらに天井の一部まで落下してくる。


 ゴゴゴゴ……。


「……危なかった」


 俺は思わず息を吐いた。


 あのままあそこにいたら、巻き込まれていたかもしれない。


 フェリシアも青ざめている。


「ご、ごめん……」


「大丈夫だよ。みんな無事だったし」


「でも、あんな威力になるなんて思わなかった」


 フェリシアは八つのオービットを見つめた。


「魔力を流すのはすごく楽になったんだけど、まだ威力の加減が難しいみたい」


「そうだね。俺もびっくりしたよ」


 ルナが大きく頷いた。


「私も!洞窟が壊れちゃうかと思った!」


「本当にね」


 俺は崩れた空洞を見た。


 今も細かい石が落ちている。


「それに、魔物の素材も回収できなくなっちゃったね」


「あっ……」


 フェリシアが申し訳なさそうな顔をした。


「そうだね……」


「でも、どれくらい強いか分かったし、いい経験になったよ」


 俺は笑った。


「次からは、もう少し弱く撃てるように練習しようか」


「うん。気をつける」


 フェリシアが頷いた。


「八つ同時に撃つと、さすがに魔力もかなり使うみたい」


「そうなんだ」


「うん。でも、まだ余裕はあるよ」


 それにしても、ものすごい威力だったな。


 洞窟の中で使うには、少し強すぎるかもしれない。


 ◇


「次は私だね!」


 ルナが元気よく言った。


「うん。いい相手が見つかるといいね」


 俺たちは別の通路へ進んだ。


 しばらくすると、天井の高い広間に出た。


 その上の方から、バサバサと羽音が聞こえてきた。


「……あっ!」


 ルナが上を見た。


 天井の岩棚に、大きな翼を持つ魔物が何体も止まっている。


 俺は《鑑定》した。


【ナイトウィング】


【暗闇の中を高速で飛行し、鋭い爪で獲物を襲う魔物】


 五体いる。


「飛ぶ魔物だね!」


 ルナが弓を構えた。


「うん。今度はルナに任せようか」


「任せて!」


 俺とフェリシアは少し後ろへ下がった。


 もちろん、危なくなったらすぐに援護するつもりだ。


 そのとき、ナイトウィングたちが一斉に飛び上がった。


 バサバサバサッ!


 大きな翼が、広間の空気をかき回す。


 五体が別々の方向へ飛んでいった。


 しかも、かなり速い。


「ルナ、大丈夫?」


「うん!」


 ルナは落ち着いて弓を構えた。


 そして。


 ヒュンッ!


 一射目。


 矢は天井近くを飛ぶ魔物へ向かった。


 ドスッ!


 一体が翼を折り、地面へ落ちた。


 次の瞬間。


 ヒュンッ!


 二射目。


 今度は左側の魔物に命中した。


 さらに。


 ヒュンッ!


 三射目。


 右側から飛びかかろうとしていた魔物が、空中で体勢を崩した。


「……速い!」


 俺は驚いた。


 矢を構える動きが、ほとんど見えなかった。


 三本の矢を放つまで、ほんのわずかな時間しかかかっていない。


「まだまだ!」


 ルナが弓を引いた。


 残る二体が、左右から同時に急降下してくる。


 ルナは右側の一体へ矢を放った。


 ヒュンッ!


 命中。


 しかし、左側の魔物はすでに近くまで迫っていた。


「ルナ!」


 俺が声をかける。


 でも、ルナは慌てなかった。


 身体を少しひねり、弓を構え直す。


 そして。


 ヒュンッ!


 至近距離から放たれた矢が、魔物の胸を貫いた。


 ドガァン!


 魔物はそのまま地面へ叩きつけられた。


「……おおっ!」


 俺は思わず声を上げた。


 五体すべてを倒した。


 しかも、一度も狙いを外していない。


「すごいね、ルナ!」


「えへへ!」


 ルナが嬉しそうに笑った。


「私もびっくりした!」


「今までより、ずっと速く撃てていたね」


 フェリシアが言った。


「うん。それに、魔物の動きがすごく分かりやすかった!」


「《風読み》のおかげ?」


「それもあるけど、《弓神》のおかげで、どこを狙えばいいのか自然と分かる感じ!」


 なるほど。


 《風読み》で動きを察知して、《弓神》で正確に射抜く。


 二つの能力がうまく組み合わさっているんだな。


「それに、矢の威力もすごかったよ」


 俺が言うと、ルナが頷いた。


「うん! でも、あんまり強く撃ちすぎると、フェリシアみたいに洞窟を壊しちゃうかもね!」


「もう、ルナ!」


 フェリシアが笑いながら言った。


「ははは!」


 俺も思わず笑ってしまった。


 確かに、今の二人なら気をつけないといけない。


 俺たちは倒した五体の魔物を《収納》へしまった。


 ◇


 その後、俺たちは少し休憩することにした。


 広めの通路を見つけ、周囲に魔物がいないことを確認する。


「ふう。なんか、すごかったね!」


 ルナが言った。


「うん。三人とも、かなり強くなったのが分かったね」


 俺が答える。


「私もびっくりしたよ」


 フェリシアが八つのオービットを見つめた。


「今までだったら、あんな動かし方はできなかったから」


「うん。でも、威力には気をつけないとね」


「そうだね」


 フェリシアが苦笑した。


「次は洞窟を壊さないようにするよ」


 ルナも笑った。


「私も、矢の威力をちゃんと調整できるようになりたいな」


「うん。二人とも、少しずつ慣れていこうね」


 俺は竜爪剣を見た。


 《剣神》。


 《魔神》。


 《弓神》。


 三人とも、それぞれ新しい力を手に入れた。


 これなら、今までよりもっと安全に探索できるかもしれない。


 でも、力が強くなったからこそ、使い方には気をつけないと危ない。


「ワフ!」


「キュ!」


 テリーとステフが、俺たちの近くで元気よく鳴いた。


「二匹も、今度練習しようね」


「ワフ!」


「キュ!」


 二匹とも嬉しそうだ。


 みんなで強くなっていけたらいいな。


 俺は最後に《会員》の表示を開いた。


 俺が倒した魔物は五体。


 一体五千八百Pだったから、合計二万九千Pだ。


 でも、二人が強くなったのは本当によかった。


 これからもっと強い相手が出てきても、三人で対応できそうだ。


「じゃあ、そろそろ行こうか」


「うん!」


「次は五十階層だね!」


 ルナが嬉しそうに言った。


 五十階層か。


 また階層主がいるかもしれない。


 俺は竜爪剣を握り直した。


 三人とも新しい力を手に入れたばかりだ。


 これからどんな魔物が現れるのか、ちょっと楽しみだな。


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八つのオービット……きっとフェリシアの背中から八つの光の翼が出てきて高速移動ができるように………
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