第200話 オリハルコン会員
新連載もよろしくお願いします!
『平民出身の転生執事、最強王女を育成する』という作品です。
お手すきの際に是非!
https://ncode.syosetu.com/n5173mx/1からご覧いただけます。
しばらくベッドで休んだあと、俺たちは探索を再開することにした。
「ふう。気持ちよかった!」
ルナがベッドから起き上がり、大きく伸びをした。
「うん。ちゃんとしたベッドで休めるのはいいね」
フェリシアも満足そうだ。
俺も少し身体が軽くなった気がする。
硬い岩の上で休むのとは、やっぱり違うな。
「じゃあ、片づけようか」
「うん!」
俺は三台のベッドと寝具を《収納》へしまった。
あっという間に、空洞は元の静かな場所に戻った。
「便利だねえ」
ルナが感心したように言った。
「そうだね。これなら何日も探索できそうだよ」
ただし、食料や魔力の残りには気をつけないとね。
「テリー、ステフ。ありがとう」
「ワフ!」
「キュ!」
二匹も元気そうだ。
俺たちは周囲の安全を確認してから、四十三階層の奥へと進んだ。
◇
四十四階層へ下りると、すぐに魔物が現れた。
通路の向こうに、赤黒い甲殻を持つ大型の魔物がいる。
俺は《鑑定》した。
【クリムゾンスコーピオン】
【硬い甲殻と毒を持つ尾で攻撃する魔物】
「サソリみたいだね」
ルナが言った。
「うん。尻尾に気をつけよう」
魔物たちは大きな鋏を動かしながら、こちらへ近づいてくる。
そのうち一体が、突然尾を振り上げた。
「アレン、来るよ!」
「うん!」
鋭い針が俺に向かって突き出される。
俺は横へかわし、尾の付け根へ竜爪剣を振り下ろした。
ザシュッ!
尾が地面へ落ちる。
続けて、甲殻の隙間へ剣を突き立てた。
【4,400P獲得】
「よし!」
その間に、フェリシアのオービットが別の魔物の背後へ回り込んだ。
ドンッ!
魔弾を受けた魔物が体勢を崩す。
「アレン、そっち!」
ルナの矢が、別の一体の脚に命中した。
俺はその隙に駆け寄り、次々と仕留めていく。
五体すべてを倒し、二万二千Pを獲得した。
「結構もらえるね!」
ルナが言った。
「うん。深い階層だけあるね」
俺は倒した魔物を《収納》へしまった。
まだまだ先がありそうだし、どんどん進もう。
◇
四十五階層では、巨大な蜘蛛のような魔物が現れた。
八本の脚を広げ、天井や岩壁を素早く移動している。
【グレイアラクネ】
【岩壁や天井を移動し、糸で獲物の動きを封じる魔物】
「うわっ、糸を出してきた!」
ルナが後ろへ跳んだ。
白い糸が岩壁に張りつく。
どうやら、あれに絡まると厄介そうだ。
「フェリシア、お願い!」
「うん!」
フェリシアが四つのオービットを動かした。
天井に張りついた魔物の周囲へ、石が回り込む。
ドンッ!
魔弾が一体の脚に命中した。
魔物が体勢を崩し、地面へ落ちる。
「今だね!」
俺は駆け寄り、竜爪剣を振り下ろした。
【4,600P獲得】
続けて、ルナが別の魔物の糸をかわしながら矢を放つ。
フェリシアのオービットも、天井からの攻撃を牽制してくれる。
俺は落ちてきた魔物を次々と仕留めた。
五体で二万三千P。
倒した魔物はすべて《収納》に入れた。
いい感じだ。
◇
四十六階層へ進むと、今度は大きな岩の塊が動き出した。
「……あれも魔物だよね?」
ルナが尋ねる。
「うん。魔力の反応があるよ」
俺は《鑑定》した。
【アイアンロック】
【岩石と金属が混ざった硬い身体を持つ魔物】
岩のような身体には、黒い金属がところどころ露出している。
五体のアイアンロックが、ゆっくりと近づいてきた。
「硬そうだね」
フェリシアが言った。
「うん。でも、動きは遅いみたい」
俺は一体の側面へ回り込んだ。
竜爪剣を振るう。
ガキンッ!
刃が硬い身体にぶつかった。
なるほど。かなり頑丈だな。
でも、ゴールドスライムほどではない。
俺は《鑑定》で身体の構造を調べ、金属の少ない部分を狙った。
「はあっ!」
ザシュッ!
【5,000P獲得】
よし。
これなら倒せる。
その後も、ルナとフェリシアの援護を受けながら五体を討伐した。
獲得したのは二万五千P。
倒した魔物はすべて《収納》に入れた。
俺は表示を見ながら、少し考えた。
そういえば、累計獲得Pはかなり増えているはずだ。
もうすぐ百万Pに届くんじゃないかな。
◇
四十七階層でも、魔物との戦闘が続いた。
今度は、青黒い鱗に覆われた大きな四足の魔物だった。
【ブルーファング】
【鋭い牙と強靭な脚を持つ魔物】
五体が一斉に飛びかかってくる。
「アレン、右から二体!」
「うん!」
俺は最初の一体をかわし、もう一体の側面へ回り込んだ。
ザシュッ!
【5,200P獲得】
フェリシアはオービットを使い、ほかの魔物が俺を囲まないように動きを制限してくれた。
ルナの矢も、次々と魔物の脚に命中する。
俺は五体すべてを倒した。
二万六千Pを獲得。
倒した魔物はすべて《収納》に入れた。
ここまで来ると、普通の魔物でも一体で五千P以上になるんだな。
俺は《会員》の表示を開いた。
【累計獲得P:973,430P】
「おおっ!」
思わず声が出た。
「アレン、どうしたの?」
ルナが尋ねる。
「累計獲得Pが、もうすぐ百万になるんだよ」
「百万!?」
「うん。あと二万六千五百七十Pだね」
「すごいね!」
フェリシアも驚いている。
「百万Pになったら、何かあるの?」
「うん。次の会員ランクになるはずなんだ」
「そうなんだ!」
ルナが目を輝かせた。
「じゃあ、もう少しだね!」
「うん」
確か、次はオリハルコン会員だったはずだ。
プラチナ会員になったときも、いろいろな特典が増えた。
今度は何が変わるんだろう。
ちょっと楽しみだな。
◇
四十八階層に入ると、広い通路が続いていた。
壁には黒い岩が露出し、ところどころに小さな光が見える。
俺は《魔力感知》を使った。
少し先に、五つの反応がある。
「また魔物がいるね」
「うん!」
俺たちは通路を進んだ。
現れたのは、黒い甲殻に覆われた大型の魔物だった。
頭部には二本の角があり、太い脚で地面を踏みしめている。
俺は《鑑定》した。
【ブラックホーン】
【硬い甲殻と二本の角を持つ大型の魔物】
「五体だね」
フェリシアが言った。
「うん。じゃあ、いこうか」
「任せて!」
ルナが弓を構える。
ブラックホーンたちは一斉に突進してきた。
ドドドドッ!
「結構速いね!」
ルナが言った。
「うん。でも、ゴールドスライムほどじゃないよ」
俺は横へ跳んで突進をかわした。
フェリシアのオービットが一体の脚を狙う。
ドンッ!
魔弾を受けた魔物が体勢を崩した。
「今だよ!」
「うん!」
俺は竜爪剣を振り下ろした。
ザシュッ!
【5,600P獲得】
続いて二体目。
【5,600P獲得】
残る三体が、左右へ広がった。
しかし、ルナの矢が一体の進路を塞ぎ、フェリシアのオービットが別の一体を牽制する。
俺はその隙に三体目を斬り倒した。
【5,600P獲得】
さらに四体目。
【5,600P獲得】
最後の一体が、大きく角を振り上げた。
俺は横へかわし、胴体の隙間へ竜爪剣を突き立てた。
ザシュッ!
【5,600P獲得】
よし。
これで五体すべて倒せた。
倒した魔物はすべて《収納》に入れた。
その瞬間だった。
【累計獲得Pが1,000,000Pを超えました】
【会員ランクが上昇しました】
【プラチナ会員 → オリハルコン会員】
「……あっ!」
俺は目の前に現れた表示を見つめた。
ついに。
オリハルコン会員になったんだ!
「アレン?」
ルナが声をかけてきた。
「どうしたの?」
「百万Pを超えたみたいだよ!」
「本当!?」
「うん。オリハルコン会員になったんだ」
「やったね!」
ルナが嬉しそうに笑った。
「おめでとう、アレン!」
フェリシアも微笑んだ。
「ありがとう!」
俺は改めて《会員》の表示を開いた。
◇
【会員ランク:オリハルコン】
【累計獲得P:1,001,430P】
【保有P:544,220P】
【会員特典】
【能力強化:20,000P/能力値+1,000】
【半回復:10,000P】
【全回復:20,000P】
【《共有》が強化されました】
【共有可能人数:5人】
【共有率:30%】
【会員本人の負担率:1%/人】
【購入済み固有スキルの再購入が可能になりました】
【新たな固有スキルが追加されました】
「おおっ!」
俺は思わず声を上げた。
すごいな。
またいろいろな特典が増えている。
まず、《共有》だ。
今までは三人までだったけど、今度は五人まで共有できるらしい。
それに、共有率も二十%から三十%へ増えている。
しかも、俺自身の負担は一人につき一%。
これはかなり大きい。
俺自身の能力をあまり下げずに、仲間を強くできるんだ。
そして、もう一つ気になる表示があった。
【購入済み固有スキルの再購入が可能になりました】
「……再購入?」
どういうことだろう。
以前買ったスキルを、もう一度買えるようになるのかな。
今までは一度購入したものは、もう購入できなかったはずだ。
同じスキルを二回買ったら、どうなるんだろう。
これはあとで確かめてみたいな。
◇
俺は新しく追加された固有スキルの一覧を開いた。
【購入可能な固有スキル】
【200,000P】
《念話》
《耐水》
《浮遊》
《言語理解》
《結界》
《探知極》
《隠密極》
《錬成》
《浄化》
《魔力吸収》
《炎神》
《氷神》
《水神》
《土神》
《光神》
《風神》
《雷神》
【300,000P】
《転移》
《スキル共有》
《時間加速》
《重力操作》
《魔法無効》
《分身》
《癒神》
「……すごいな」
俺は思わず呟いた。
見たことのないスキルが、こんなにたくさん追加されている。
しかも、二十万Pや三十万Pのものばかりだ。
今までのスキルとは、少し違うみたいだな。
俺は気になったものから説明を読んでいった。
【《念話》】
【《共有》に登録されている者同士で、離れた場所から会話できる】
なるほど。
これがあれば、離れていても連絡を取り合えるんだ。
【《耐水》】
【水中で呼吸でき、水圧の影響を受けない】
【《浮遊》】
【自分の意思で空中を移動できる】
「……空も飛べるのか」
これは便利そうだ。
今まで行けなかった場所にも行けるかもしれない。
さらに説明を読み進める。
【《転移》】
【過去に訪れた場所へ瞬時に移動できる】
【使用者に触れている者も一緒に転移できる】
……これはすごい。
街から街へ移動するのも、ずいぶん楽になるんじゃないかな。
しかも、一緒にいる仲間も連れていけるらしい。
次に目に入ったのは、《言語理解》だった。
【《言語理解》】
【人間以外の生物とも意思疎通できる】
……あっ。
これって、もしかして。
俺はテリーとステフを見た。
「ワフ?」
「キュ?」
二匹が不思議そうに首を傾げる。
このスキルがあれば、テリーやステフとも話ができるのかな。
それはちょっと楽しそうだ。
◇
さらに、俺は別のスキルを確認した。
【《探知極》】
【広範囲の生命反応、魔力、罠、隠された通路などを探知できる】
【《隠密極》】
【自身の姿、気配、魔力反応を隠すことができる】
【《結界》】
【指定した範囲に、外部からの侵入や攻撃を防ぐ結界を展開する】
なるほど。
探索に役立ちそうなスキルも増えている。
特に《結界》は、ダンジョンで休むときにも使えそうだな。
そして、俺はもう一つ気になるスキルを見つけた。
【《スキル共有》】
【《共有》に登録されていない人物や生物にも、自身の所有するスキルを共有できる】
【必要P:300,000】
「……へえ」
これは面白い。
今まで《共有》の対象になっていなかった相手にも、スキルを分けられるんだ。
もし使えるなら、いろいろなことができそうだな。
ただ、三十万Pか。
かなり高い。
今の保有Pなら買えるけど、ほかにも欲しいスキルがたくさんある。
どれを買うか、よく考えないとね。
◇
他にも属性の名前がついたスキルが並んでいた。
【《炎神》】
【炎を自在に生成・操作し、炎系魔法の威力と制御能力を高める】
【《氷神》】
【氷を生成・操作し、強力な凍結魔法を使用できる】
【《水神》】
【水を自在に生成・操作できる】
【《土神》】
【土や岩石を自在に操作できる】
【《光神》】
【光を自在に生成・操作できる】
【《風神》】
【風を自在に生成・操作できる】
【《雷神》】
【雷や電気を自在に生成・操作できる】
すごいな。
どれも強力そうだ。
魔法を得意とするフェリシアなら、こういうスキルを使いこなせるんだろうな。
でも、これをどう使うかは、まだよく分からない。
俺は最後に《癒神》を確認した。
【《癒神》】
【傷や病気を瞬時に治療できる】
【熟練度の上昇により、さらに高度な治癒が可能になる】
【極めて高い熟練度に達した場合、蘇生が可能となる場合がある】
「……蘇生?」
俺は表示を見つめた。
死んだ人を生き返らせることも、いつかできるようになるのか。
もちろん、すぐに使えるわけじゃないみたいだけど。
それでも、とんでもないスキルだな。
◇
「ねえ、アレン」
ルナが声をかけてきた。
「新しい会員ランクって、そんなにすごいの?」
「うん。かなりすごいと思う」
「例えば?」
「今までより強くなれるし、新しいスキルもたくさん買えるようになったんだ」
「へえ!」
ルナが興味深そうに近づいてくる。
「どんなスキル?」
「空を飛べるものとか、遠くへ一瞬で移動できるものとか」
「ええっ!?」
ルナが目を丸くした。
「空も飛べるの!?」
「うん。スキルを買えばね」
「すごい!」
フェリシアも驚いた表情をした。
「それなら、今まで行けなかった場所にも行けそうだね」
「そうだね」
俺は頷いた。
ほかにも《言語理解》や《結界》など、便利そうなものがたくさんある。
それに、スキルを《共有》に登録していない人や生き物にも分けられるようになるらしい。
今まで以上に、できることが増えそうだ。
「どれを買うか迷っちゃうな」
俺が言うと、ルナが笑った。
「じゃあ、みんなで考えようよ!」
「うん。そうしようか」
百万Pか。
ここまで来るのに、いろいろなことがあったな。
家を追い出されたときは、こんなことになるなんて思ってもいなかった。
でも、今はルナとフェリシアがいる。
テリーとステフも一緒だ。
それに、まだ行ったことのない場所もたくさんある。
俺は新しく増えたスキルの一覧をもう一度眺めた。
これから、どんな冒険が待っているんだろう。
ちょっと楽しみだな。
【保有:544,220P】
【累計獲得P:1,001,430P】
最後まで読んでいただきありがとうございます。
内容が良かったり何か感じることがありましたらブックマークと★★★★★をお願いします。
執筆の励みになります。




