↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
《剣聖》になった弟に追放された俺のスキルは《会員》でした ~ハズレスキルだと思っていたら、ポイントで好きな能力を買えるらしい~  作者: アカメノコバチ
第10章 再び南へ

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
199/210

第199話 久しぶりの苦戦

新連載もよろしくお願いします!

『平民出身の転生執事、最強王女を育成する』という作品です。

お手すきの際に是非!

https://ncode.syosetu.com/n5173mx/1からご覧いただけます。

 金色のスライムが、再び跳び上がった。


 シュンッ!


「アレン、左!」


 ルナの声に反応して、俺は横へ跳んだ。


 直後、金色の影がすぐ脇を通り過ぎる。


 ドゴォン!


 背後の岩壁が砕けた。


 危なかった。


 あの速度でまともにぶつかられたら、かなり痛そうだ。


「フェリシア、オービットで動きを止められそう?」


「やってみる!」


 フェリシアは四つのオービットを広間の四方へ散らした。


 そのうち一つを、ゴールドスライムの進行方向へ移動させる。


 ドンッ!


 魔弾が放たれた。


 しかし、スライムは突然方向を変え、魔弾をかわした。


 さらに二つ目のオービットが魔弾を放つ。


 これも当たらない。


「……難しいね」


 フェリシアが呟いた。


 確かに、あの速さでは狙いを定めることすら難しい。


 俺は《魔力感知》で動きを追いながら、ゴールドスライムを観察した。


 床。


 壁。


 天井。


 金色の身体が、次々と場所を変えていく。


 しかも、跳ね返るたびに方向が変わる。


「アレン!」


 今度はルナの矢が飛んだ。


 しかし、これもかわされた。


「うーん。全然当たらない」


「そうだね。でも……」


 俺はスライムの動きを見つめた。


 何か、気になることがある。


 速いのは確かなんだけど、ずっと同じ速度で動いているわけじゃない。


 壁にぶつかったとき。


 床に着地したとき。


 ほんの一瞬だけ、動きが止まるんだ。


「ルナ、あいつが壁にぶつかる瞬間って分かる?」


「うん。風の動きで、ある程度は分かるよ!」


「じゃあ、次にどこへ飛ぶか教えてくれる?」


「任せて!」


 ルナが弓を構え直した。


 俺も竜爪剣を握り直す。


 まずは、あの速さに慣れないとね。


 ◇


 ゴールドスライムが右の岩壁へ向かった。


「アレン、次は左上!」


 ルナが叫んだ。


 俺は視線を向ける。


 金色の影が壁から跳ね返り、左上へ飛んだ。


 本当だ。


 ルナの予測が当たっている。


 なら、次は。


「ルナ、もう一回お願い!」


「うん!」


 スライムが天井へぶつかる。


「下! アレンの方へ来るよ!」


 俺は剣を構えた。


 来る。


 今度は、ちゃんと見えている。


「はあっ!」


 ガキンッ!


 竜爪剣が金色の身体に命中した。


 しかし、また弾かれた。


「……やっぱり硬いな」


 攻撃を当てることはできた。


 でも、これでは倒せない。


 その直後、スライムが再び俺へ向かってきた。


 俺は横へ跳んだ。


 ところが、着地したところで足元の岩が崩れた。


「……っ!」


 わずかに体勢が崩れる。


 その隙を逃さず、金色のスライムが跳ね返ってきた。


 ドンッ!


「ぐっ!」


 今度は剣で受け止めたけど、勢いを殺しきれなかった。


 俺は後ろへ押され、岩壁の近くまで滑った。


 左腕に痛みが走る。


 見ると、壁に擦れたところから少し血が出ていた。


「アレン!」


 フェリシアが声を上げた。


「大丈夫! かすり傷だよ!」


 俺はすぐに剣を構え直した。


 この程度なら戦える。


 だけど、同じ攻撃を何度も受けるのはよくないな。


 ◇


「ねえ、アレン」


 フェリシアが声をかけてきた。


「何?」


「さっき、剣が当たったときなんだけど……」


「うん」


「スライムの身体が、少しだけ変わった気がするの」


「変わった?」


「うん。壁にぶつかってから跳ね返るとき、身体が潰れて、また元に戻るでしょ?」


「ああ、確かに」


「そのときだけ、金色の表面が少し柔らかそうに見えたんだ」


 俺はゴールドスライムを見つめた。


 そういえば、壁にぶつかったときは身体が少し平たくなっていたな。


 普段は金属みたいに硬いのに。


 ……もしかして。


 俺は改めて《鑑定》した。


【ゴールドスライム】


【金色の硬質な身体を持つ魔物】


【極めて素早く移動する】


【高速移動中は身体の表面が硬化する】


「あっ!」


 なるほど!


 高速移動中は身体を硬くしているんだ。


 それなら、動きが止まった瞬間はどうなんだろう?


「フェリシア、いいことに気づいたね!」


「えっ?」


「このスライム、高速で動いているときは身体が硬くなるみたいなんだ」


「そうなの?」


「うん。だから、壁にぶつかって次に跳ぶまでの一瞬を狙えば、剣が通るかもしれない」


「なるほど!」


 ルナが頷いた。


「じゃあ、その瞬間に攻撃すればいいんだね!」


「うん。でも、かなり短い時間だから……」


 俺は広間を見回した。


 床にも壁にも、スライムがぶつかった跡がいくつも残っている。


 そのうち、入口から少し離れた岩壁には、大きな窪みができていた。


 あそこなら。


「二人とも、ちょっと手伝ってくれる?」


「もちろん!」


「うん!」


 俺は考えた作戦を説明した。


 ◇


 まず、フェリシアが四つのオービットを動かした。


 二つは広間の右側。


 残りの二つは左側。


 金色のスライムは、相変わらず壁や天井を跳ね回っている。


「ルナ、次はどっち?」


「右だよ!」


「分かった!」


 俺は右側へ走った。


 スライムが壁にぶつかる。


 その瞬間、フェリシアが進行方向の少し先へ魔弾を放った。


 ドンッ!


 魔弾は当たらない。


 でも、スライムは進む方向を変えた。


 よし。


 狙いどおりだ。


 続いて、別のオービットが左側へ移動する。


 ドンッ!


 また魔弾が床に命中する。


 しかし、スライムはその場所を避けるように跳ね返った。


 フェリシアは魔弾を連射せず、必要な瞬間にだけ撃っている。


 俺が駆け寄る側の進路だけを、少しずつ空けてくれていた。


 俺はさっき見つけた岩壁の窪みへ向かった。


「ルナ、お願い!」


「うん!」


 ルナが弓を引いた。


 ヒュンッ!


 矢がスライムの進路を横切る。


 金色の影が方向を変える。


 その先には、フェリシアのオービットがあった。


 ドンッ!


 魔弾が床を叩く。


 スライムは再び跳ね返った。


 そして。


「アレン! 次、あの壁だよ!」


 ルナが叫んだ。


 俺は窪みのある岩壁へ視線を向けた。


 金色のスライムが一直線に飛んでくる。


 速い。


 でも、今度は行き先が分かっている。


 俺は壁の横で剣を構え、待ち受けた。


 ドンッ!


 スライムが窪みにぶつかった。


 身体が平たく潰れ、金色の表面がわずかに波打つ。


 今だ!


「はああっ!」


 俺は竜爪剣を突き出した。


 ザシュッ!


 今度は弾かれなかった。


 刃が金色の身体へ深く食い込む。


「よし!」


 スライムが大きく震えた。


 それでも、まだ跳ね返ろうとしている。


 俺は剣を握る手に力を込めた。


「これで!」


 さらに刃を押し込む。


 次の瞬間、スライムの身体から力が抜けた。


 金色の塊が、ゆっくりと床へ落ちる。


 そして、動かなくなった。


【30,000P獲得】


「……えっ?」


 俺は目の前に現れた表示を見つめた。


 三万P?


 間違いない。


 一体で三万Pも獲得したんだ。


「やったー!」


 ルナが駆け寄ってきた。


「倒せたね!」


「うん!」


 フェリシアも嬉しそうに笑った。


「アレン、どうしたの?」


「ああ、ちょっと驚いてて」


「何に?」


「このスライム、三万Pだったんだよ」


「ええっ!?」


 ルナが目を丸くした。


「一体で!?」


「うん」


「すごいね!」


 フェリシアも驚いている。


 これだけ手強い相手だったし、特別な魔物だったのかもしれないな。


 ◇


「それにしても、今回は結構大変だったね」


 ルナが言った。


「うん。久しぶりに苦戦したね」


 俺は頷いた。


「剣が当たっても弾かれるなんて、なかなかないからね」


「私の矢も全然当たらなかったもん」


「でも、最後はちゃんと動きを読めたよね」


 フェリシアが言った。


「うん。フェリシアが身体の変化に気づいてくれたおかげだよ」


「そう言ってもらえると嬉しいな」


 二人が笑い合う。


 今回も三人で協力したから勝てたんだと思う。


「あっ、アレン!」


 ルナが俺の左腕を指差した。


「怪我してるよ!」


「ああ、さっき壁で擦っちゃったんだ」


 袖が少し破れ、腕に細い傷ができていた。


 血はもうほとんど出ていない。


「大丈夫?痛くない?」


「うん。平気だよ」


 フェリシアも心配そうに近づいてきた。


「でも、ポーション使った方がいいよ」


「そうだね」


 俺は《収納》からポーションを一本取り出した。


 蓋を開け、中身を飲んだ。


 すると、腕の痛みが引き、傷口も塞がっていく。


「よし。もう大丈夫そう」


 俺は腕を動かしてみた。


 痛みはない。


「よかった!」


 ルナが安心したように笑った。


「次は気をつけてね」


「うん。ありがとう」


 ポーションを使うのも久しぶりだな。


 最近はほとんど怪我をしていなかったから。


 俺は空になった瓶を《収納》へしまった。


 ◇


「それじゃあ、これも回収しておこうか」


 俺は床に残ったゴールドスライムを見た。


 倒されたあとも、金色の身体はそのまま残っている。


「これ、売ったら高そうだね!」


 ルナが言った。


「どうだろう。でも、珍しい魔物だしね」


 俺はゴールドスライムを《収納》へしまった。


 そのときだった。


 ゴゴゴゴ……。


「……あっ!」


 フェリシアが広間の奥を指差した。


 岩壁がゆっくりと動き、大きな扉が姿を現した。


 そして、その扉が開き始める。


 扉の向こうには、下へ続く階段があった。


 さらに、広間の片隅には淡く光る転移石がある。


「あっ、転移石だね」


「うん。登録しておこうか」


 俺たちは転移石へ近づき、順番に触れた。


【第四十階層が転移先に登録されました】


 これで、次に来るときは四十階層から探索できる。


 ◇


「それで、どうする?」


 俺は二人に尋ねた。


「今日はここまでにする?」


「私はまだ元気だよ!」


 ルナが答えた。


「フェリシアは?」


「うん。魔力もまだ余裕があるよ」


 フェリシアが頷く。


 俺もポーションのおかげで怪我は治っている。


 体力もまだ十分残っていた。


「じゃあ、もう少し進んでみようか」


「うん!」


 俺たちは四十一階層へ向かった。


 ◇


 四十一階層では、黒い甲殻に覆われた大きな魔物が現れた。


 俺は《鑑定》した。


【アーマービートル】


【分厚い甲殻と強靭な脚を持つ大型の魔物】


「じゃあ、いつもどおりにいこうか」


「任せて!」


 ルナが弓を構えた。


 フェリシアのオービットが魔物の進路へ回り込む。


 さっきのゴールドスライムと違い、動きはそれほど速くない。


 俺は一体の突進をかわし、脚の付け根へ竜爪剣を振り下ろした。


 ザシュッ!


【3,200P獲得】


 続けて二体目。


【3,200P獲得】


 硬い甲殻を持っているけど、関節の隙間を狙えば剣が通る。


 俺は次々と魔物を倒していった。


 八体で二万五千六百P。


 やっぱり、深い階層はPが多いな。


 ◇


 その後も、俺たちは探索を続けた。


 四十二階層では、大きな角を持つグランドバイソンの群れが現れた。


 集団で突進してくる魔物だったけど、ルナが動きを察知し、フェリシアがオービットで隊列を崩してくれた。


 俺はその隙に踏み込み、七体を倒した。


 さらに四十三階層。


 今度は岩のような身体を持つストーンガードが現れた。


 硬い相手だったけど、動きは遅い。


 俺たちは落ち着いて六体を討伐した。


 ここまでで、またかなりPが増えたな。


 ◇


 四十三階層の戦闘を終えたところで、ルナが大きく伸びをした。


「ふう!いっぱい倒したね!」


「うん。今日はこの辺りまでにしようか」


 俺が言うと、フェリシアが頷いた。


「そうだね。さすがに少し疲れてきたかも」


「じゃあ、四十階層の転移石まで戻る?」


 ルナが尋ねた。


「うーん……」


 俺は少し考えた。


 そういえば、今日買ったベッドがある。


「ねえ、せっかくだから、ここで休んでみない?」


「えっ、ダンジョンの中で?」


「うん。安全に休めそうな場所があればだけどね」


「いいね!」


 ルナが目を輝かせた。


「私もベッドを使ってみたいな」


 フェリシアも笑った。


「じゃあ、場所を探そうか」


 ◇


 俺たちは周囲を調べ、通路から少し外れたところに広い空洞を見つけた。


 入口は一つだけ。


 その奥は行き止まりになっている。


 これなら、四方から魔物に囲まれる心配は少なそうだ。


 俺は《魔力感知》で周囲を確認した。


 近くに魔物の反応はない。


「ここなら、少し休めそうだね」


 フェリシアが言った。


「うん。でも、魔物が来ないとは限らないからね」


 俺はテリーとステフを見た。


「二匹とも、周りの様子を見ていてくれる?」


「ワフ!」


「キュ!」


 テリーは入口の方へ向かい、鼻を動かしながら周囲を確認し始めた。


 ステフも飛び上がり、入口付近の岩棚に止まった。


「ありがとう。何か来たら教えてね」


「ワフ!」


 とはいえ、二匹だけに任せるつもりはない。


 俺も《魔力感知》を使い、定期的に周囲を確認することにした。


 ◇


「じゃあ、ベッドを出そうか」


「うん!」


 俺は《収納》から、今日購入したベッドを取り出した。


 ドサッ。


 立派なベッドが、洞窟の床に現れる。


 続けて二台目。


 三台目。


「わあっ!」


 ルナが嬉しそうに声を上げた。


「本当にダンジョンの中にベッドが並んじゃった!」


「ちょっと不思議な光景だね」


 フェリシアも笑った。


 俺は敷物を広げ、ベッドを並べ直した。


 買ったばかりの寝具も取り出して、それぞれのベッドに置いていく。


「できたよ」


「やったー!」


 ルナが早速ベッドに腰を下ろした。


「ふかふか!」


 そのまま、ぽすんと仰向けになる。


「これ、最高だね!」


「ルナ、気持ちよさそうだね」


 フェリシアも自分のベッドに腰かけた。


「うん。やっぱり買ってよかったね」


 俺もベッドの端に座ってみた。


 柔らかい。


 さっきまで硬い岩の上を歩いていたから、余計に気持ちよく感じるな。


 こんな場所でも、ちゃんとしたベッドで休めるんだ。


 《収納》って、本当に便利だな。


「ねえ、アレン」


 ルナが寝転がったまま顔を向けた。


「何?」


「これからは、ずっとこうやって冒険できるのかな?」


「そうだね。安全な場所さえ見つかれば、できると思うよ」


「えへへ。楽しみ!」


 フェリシアも微笑んだ。


「食事もおいしくなったし、寝る場所も快適になったね」


「うん。あとは安全に休めるように気をつけないとね」


 俺は入口の方を見た。


 テリーとステフが、しっかり周囲を警戒してくれている。


 見張りについては、三人で交代する必要もあるだろう。


 でも、今は少し休んでもよさそうだ。


「じゃあ、しばらく休憩しようか」


「うん!」


 ルナが気持ちよさそうに伸びをした。


 今日はゴールドスライムに苦戦したけど、たくさんPを獲得できた。


 それに、ダンジョンの中でもこんなに快適に過ごせることが分かった。


 これからの探索が、ますます楽しみになってきたな。


【保有:420,220P】

【累計獲得P:877,430P】


最後まで読んでいただきありがとうございます。

内容が良かったり何か感じることがありましたらブックマークと★★★★★をお願いします。

執筆の励みになります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
家とまでは言わないが小屋ごと持ち歩けば良いのに
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。