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《剣聖》になった弟に追放された俺のスキルは《会員》でした ~ハズレスキルだと思っていたら、ポイントで好きな能力を買えるらしい~  作者: アカメノコバチ
第10章 再び南へ

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196/201

第196話 デスヒドラ

新連載はじめました!

『王女殿下、まずは拳をお下げください ~転生執事と最強王女の成り上がり~』という作品です。

お手すきの際に是非!

https://ncode.syosetu.com/n5173mx/1からご覧いただけます。

 二十七階層に入った俺たちは、さらに奥へと進んでいた。


「アレン、また魔物がいるよ!」


 ルナが前方を指差す。


 通路の奥から現れたのは、灰色の毛皮に覆われた四足の魔物だった。


 身体には岩のような硬い突起が並んでいる。


 俺は《鑑定》した。


【ロックウルフ】


【硬い突起に覆われた身体を持ち、群れで狩りをする魔物】


「七体いるね」


 フェリシアが言った。


「うん。囲まれないように気をつけよう」


 ロックウルフたちは左右へ広がり、俺たちを包囲しようとした。


 でも、フェリシアの方が早かった。


 四つのオービットが宙へ浮かび、魔物の進路へ回り込む。


 ドンッ!


 魔弾を受けた一体が足を止めた。


 続いてルナの矢が飛ぶ。


 先頭のロックウルフが体勢を崩したところへ、俺は竜爪剣を振り下ろした。


【1,700P獲得】


 ほかの魔物たちが一斉に飛びかかってくる。


 だけど、ルナとフェリシアの援護があれば問題ない。


 俺は次々と仕留めていった。


 七体を倒し、獲得したのは一万千九百P。


 二十七階層は、Pも多いみたいだね。


 ◇


 二十八階層に下りると、通路のあちこちに大きな岩が転がっていた。


「ねえ、アレン。あれって……」


 ルナが前方を指差す。


 岩の塊が、ゆっくりと動いている。


「あっ、スウォームロックだね」


「また群晶石が手に入るかな?」


 フェリシアが尋ねた。


「たぶんね」


「じゃあ、私がコアを狙うよ!」


 ルナが弓を構える。


 スウォームロックは周囲の小さな岩の魔物を集め、身体を大きくしていった。


 でも、もう攻略方法は分かっている。


 フェリシアが四つのオービットを動かし、集合体の周囲から魔弾を放つ。


 ドンッ!ドンッ!


 岩の塊が崩れ、小型のスウォームロックが飛び出した。


 俺は近づいてきた魔物を斬り倒していく。


 やがて中心部のコアが見え、ルナの矢が一直線に飛んだ。


 バキッ!


 コアが砕けると、集合体が崩れ落ちた。


 俺は岩の中から群晶石を拾い上げた。


「やっぱりあったね」


 フェリシアが近づいてくる。


「これ、私が持っていてもいい?」


「もちろん!」


 俺は群晶石を渡した。


「でも、今すぐオービットを増やすわけじゃないんだよね?」


 ルナが聞いた。


「うん。まずは四つをもっと使いこなしたいの。でも、いつか五つ、六つと動かせるようになったら使いたいから」


「そっか!」


 ルナが頷く。


 確かに、フェリシアなら将来もっと多くのオービットを使えるようになるかもしれない。


 そのときのために、取っておくのもいいと思う。


 フェリシアは群晶石を自分の《収納》へしまった。


 その後も、二十八階層では魔物との戦闘が続いた。


 俺は小型のスウォームロック八体を含め、何体もの魔物を倒してPを獲得した。


 ◇


 二十九階層に入ると、さらに魔物の数が増えた。


 通路の奥から現れたのは、黒い甲殻に覆われた大きな魔物だった。


【ダークビートル】


【硬い甲殻と鋭い角を持つ大型の魔物】


 三体のダークビートルが、大きな角を突き出して突進してくる。


「来るよ!」


 ルナが弓を構えた。


 俺は一体の突進を横へかわす。


 ドゴォン!


 角が岩壁へ突き刺さった。


 その隙にフェリシアのオービットが回り込む。


 左右から魔弾を受けた魔物が体勢を崩した。


「アレン!」


「うん!」


 俺は甲殻の隙間へ竜爪剣を突き立てた。


【2,100P獲得】


 残る二体も、ルナとフェリシアの援護を受けながら倒していく。


 その後も何度かダークビートルが現れ、この階層では合計八体を討伐した。


 獲得したPは一万六千八百P。


「ふう……」


 戦闘を終えたところで、フェリシアが小さく息をついた。


「フェリシア、大丈夫?」


 俺が尋ねると、彼女は頷いた。


「うん。でも、魔力が結構減ってきたかな」


「そうなんだ」


「ずっと魔法を使ってるからね。オービットを動かすだけなら、それほど魔力は使わないんだけど……」


「《魔弾》を撃つと、やっぱり減るんだね」


「うん。四つから何度も撃ってたから」


 なるほど。


 《共有》のおかげでフェリシアの魔力量は増えているけど、無限に使えるわけじゃない。


 ここまで、ずいぶん多くの魔物と戦ってきた。


 魔力が減っているのも当然だろう。


「じゃあ、次からは俺とルナが頑張るね」


「うん!任せて!」


 ルナが元気よく答えた。


「ありがとう。でも、まだ魔力は残ってるから大丈夫だよ」


 フェリシアが微笑む。


 俺は前方の階段を見つめた。


 次はいよいよ三十階層だ。


「階層主がいるかもしれないし、無理しないでね」


「うん。気をつけるよ」


 俺たちは階段を下りていった。


 ◇


 三十階層には、大きな広間が広がっていた。


 天井は高く、奥まで見渡せる。


 そして、広間の中央には巨大な魔物がいた。


「……何、あれ?」


 ルナが足を止める。


 大きな胴体から、三本の長い首が伸びていた。


 それぞれの先には、巨大な蛇のような頭がついている。


 俺は《鑑定》した。


【デスヒドラ】


【三つの頭を持つ大型の魔物】


【三つの頭がそれぞれ独立して攻撃する】


「ヒドラか……」


 三つの頭が、俺たちを別々に見つめている。


「右の頭は私を見てるね」


 ルナが言った。


「左は私かな」


 フェリシアも呟く。


 そして、中央の頭は俺を見ていた。


「三つとも別々に動くみたいだね」


 俺が言った直後だった。


 シャアアアッ!


 中央の頭が、俺に向かって飛びかかってきた。


 俺は横へ跳んでかわした。


 直後、右の頭がルナへ向かう。


「ルナ!」


「大丈夫!」


 ルナは後ろへ跳びながら矢を放った。


 矢が頭部に命中する。


 だが、デスヒドラは動きを止めない。


 さらに左の頭がフェリシアへ迫る。


 その進路に、二つのオービットが飛び込んだ。


 ドンッ!


 魔弾を受けた頭が、大きく後ろへ反った。


 俺は中央の頭が戻る隙に、胴体へ近づこうとした。


 しかし。


 シャアッ!


 今度は右の頭が、横から俺へ向かってきた。


「おっと!」


 俺は足を止め、すぐに後ろへ跳んだ。


 そこへ中央の頭が再び襲いかかってくる。


 三つの頭が、互いの隙を補っているんだ。


 一つを避けても、別の頭が攻撃してくる。


 これでは簡単に胴体へ近づけない。


「アレン、どうする?」


 ルナが尋ねる。


「三つの頭を同時に止められたら、近づけそうなんだけど……」


「同時に?」


 フェリシアがデスヒドラを見つめた。


 それから、自分の周囲に浮かぶ四つのオービットへ目を向ける。


「……攻撃する回数を減らしても、できるかもしれない」


「何か考えがあるの?」


 俺が尋ねると、フェリシアが頷いた。


「うん。オービットで三つの頭を別々の方向へ向かせてみる」


「なるほど。囮にするんだね」


「うん。魔弾は必要なときだけ撃つよ」


 魔力を節約しながら、三つの頭を引き離す作戦か。


 それなら俺も胴体へ近づけるかもしれない。


「ルナ、右の頭をお願いできる?」


「任せて!」


「フェリシアは左の頭を。中央は俺が引きつけるよ」


「うん!」


 三人で頷き合った。


 まず、ルナが右の頭へ矢を放った。


 ヒュンッ!


 矢が目元に命中する。


 右の頭が大きく首を振り、ルナの方を向いた。


 その隙にフェリシアがオービットを動かす。


 二つの石が左の頭の左右へ分かれた。


 ドンッ!


 一発の魔弾が左の頭に命中する。


 デスヒドラは攻撃したオービットへ顔を向けた。


 フェリシアが石を移動させると、頭もそれを追っていく。


 なるほど。


 何度も魔弾を撃たなくても、オービットの位置を変えるだけで敵の注意を引けるんだ。


 俺は中央の頭へ向かって駆け出した。


 シャアアッ!


 大きな口が開き、鋭い牙が迫る。


 俺は横へかわした。


 中央の頭が追いかけてくる。


 もう一度、反対側へ跳ぶ。


 その間に、ルナは右の頭を牽制し続けていた。


 フェリシアも左の頭を引き離している。


 だが、中央の頭を避けたところで、右の頭が俺へ向き直ろうとした。


「アレン、右!」


 ルナが声を上げる。


 俺はすぐに横へ跳んだ。


 その直後、巨大な牙が地面に突き刺さる。


 危なかった。


「ルナ、ありがとう!」


「うん!」


 ルナは続けて矢を放ち、右の頭を再び自分の方へ向けさせた。


 そのとき、フェリシアが声をかけてきた。


「アレン、準備できたよ!」


 左の頭は、広間の端まで誘導されていた。


 残る二つのオービットが、中央の頭の左右へ移動する。


「じゃあ、お願い!」


「うん!」


 フェリシアが魔力を集中させた。


「そこ!」


 ドンッ!ドンッ!


 二つのオービットから放たれた魔弾が、中央の頭の左右に命中する。


 大きな首が横へ流れた。


 そこへ、ルナの矢が飛ぶ。


 右の頭の目元に命中し、動きが止まった。


 左の頭は、まだ離れた場所にいる。


 今なら、三つの頭すべてが俺を狙えない。


「アレン!」


「うん!」


 俺は地面を蹴った。


 デスヒドラの懐へ飛び込む。


 狙うのは、三本の首がつながる胴体の中心部。


 さっき《鑑定》で確認した急所だ。


 俺は竜爪剣を構え直した。


「はあっ!」


 ザシュッ!


 刃が深く食い込んだ。


 デスヒドラの身体が大きく震える。


 三つの頭が同時に持ち上がった。


 そして、巨大な身体がゆっくりと傾く。


 ドオォン!


 広間に大きな音が響いた。


【7,500P獲得】


「やったー!」


 ルナが弓を下ろした。


「うん。倒せたね」


 俺も竜爪剣を引き抜いた。


 フェリシアの方を見ると、彼女もほっとしたように笑っていた。


「フェリシア、大丈夫?」


「うん。でも、魔力はだいぶ減っちゃったかな」


「そっか。無理させちゃったね」


「ううん。大丈夫だよ。最後はあまり魔弾を撃たずに済んだし」


 フェリシアは四つのオービットを手元へ戻した。


「それに、三人でうまく戦えたから」


「そうだね!」


 ルナが笑った。


 確かに、今回はルナの弓も大活躍だった。


 フェリシアが魔弾を連射できなくても、二人の力を合わせれば強敵を倒せる。


「二人とも、ありがとう」


 俺が言うと、ルナとフェリシアが微笑んだ。


 俺はデスヒドラの身体を《収納》へしまった。


 ◇


 そのときだった。


 ゴゴゴゴ……。


「……あれ?」


 ルナが広間の奥を見つめた。


 岩壁の一部が、大きな音を立てながら動いている。


「何だろう?」


 やがて、岩壁の奥から巨大な扉が現れた。


 その扉が、ゆっくりと開き始める。


 ゴゴゴゴ……。


 扉の向こうには、暗い通路が続いていた。


「まだ先があるみたいだね」


 俺が言うと、ルナが目を輝かせた。


「本当だ!もっと下に行けるのかな?」


「そうかもしれないね」


 俺は《魔力感知》で扉の向こうを探った。


 少し離れたところに、魔物の反応がある。


 どうやら、このダンジョンは三十階層で終わりじゃないらしい。


「行ってみたいね!」


 ルナが言った。


「うん。でも、今日はここまでにしようか」


 俺は二人を見た。


「フェリシアの魔力も減ってるし、ずいぶん長い時間探索してるからね」


「うん。私もそろそろ休みたいかな」


 フェリシアが頷いた。


「そっか!じゃあ、続きはまた今度だね!」


 ルナも笑った。


 ここまで怪我もなく進めたけど、無理をする必要はない。


 魔力や体力を回復させてから、また来ればいいんだ。


「じゃあ、帰ろうか」


「うん!」


 ◇


 広間の片隅には、淡く光る転移石があった。


 俺たちが近づくと、足元に光が広がる。


 そして、次の瞬間。


 周囲の景色が変わった。


「戻ってきたね!」


 ルナが声を上げる。


 俺たちはダンジョンの一階層に立っていた。


「じゃあ、外へ出ようか」


「うん!」


 俺たちは出口へ向かった。


 洞窟を抜けると、夕方の空が広がっていた。


「ふう。今日は結構歩いたね」


 フェリシアが言った。


「うん。三十階層まで進めるとは思わなかったよ」


 俺も頷く。


 未踏だった二十六階層から先へ進み、群晶石の鉱脈を発見した。


 そして、三十階層の階層主も討伐できた。


 今日は本当にいろんなことがあったな。


「街に戻ったらギルドに報告しようか」


「うん!きっと驚くだろうね!」


 ルナが嬉しそうに言う。


「群晶石もあるし、報告することがいっぱいだね」


 フェリシアも頷いた。


 そうだな。


 アビスクラーケンの討伐依頼も達成しているし、ギルドには話すことがたくさんある。


「じゃあ、戻ったらゆっくり休もう」


「うん!」


 テリーとステフも、元気に鳴いた。


「ワフ!」


「キュ!」


 俺たちはミナリアへ向かって歩き出した。


【保有:244,320P】

【累計獲得P:701,530P】



最後まで読んでいただきありがとうございます。

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