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《剣聖》になった弟に追放された俺のスキルは《会員》でした ~ハズレスキルだと思っていたら、ポイントで好きな能力を買えるらしい~  作者: アカメノコバチ
第10章 再び南へ

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192/200

第192話 十五階層の成果

新連載はじめました!

『王女殿下、まずは拳をお下げください ~転生執事と最強王女の成り上がり~』という作品です。

お手すきの際に是非!

https://ncode.syosetu.com/n5173mx/1からご覧いただけます。

 ダンジョンを出た俺たちは、そのままミナリアの冒険者ギルドへ向かった。


「今日はいっぱい進んだね!」


 ルナが嬉しそうに言った。


「うん。十五階層まで行けるとは思わなかったよ」


「珍しい魔物もたくさんいたね」


 フェリシアが笑う。


 確かにそうだ。


 ルミナタートルにロックミミック。それから、小さな魔物が集まって巨大な身体を作るスウォームロック。


 ミナリア西ダンジョンには、まだまだ知らない魔物がいるらしい。


「それに、素材もたくさんあるね!」


「そうだね」


 俺は《収納》の中身を思い浮かべた。


 ……結構な量だな。


 全部取り出したら、かなりの場所を取りそうだ。


 ◇


 ギルドへ入ると、受付の女性がこちらに気づいた。


「あっ、皆さん。お帰りなさい!」


「ただいま」


「ダンジョンはいかがでしたか?」


「面白かったよ!」


 ルナが元気よく答える。


「それはよかったです。ちなみに、何階層まで進まれたんですか?」


「十五階層までだよ」


「十五階層……?」


 女性は一瞬、手を止めた。


「今日が初めての探索でしたよね?」


「はい」


「それで十五階層まで!?」


 目を丸くした女性は、俺たちの冒険者証へ視線を落とした。


「ああ、でも……さすがSクラスのアレンさんと、Aクラスのお二人ですね!」


 そう言って笑う。


「普通の冒険者でしたら、初日で十五階層まで進むなんて考えられませんよ」


「そうなの?」


 ルナが首を傾げる。


「もちろんです!」


 女性が力強く頷いた。


 まあ、普通は魔物を倒すのにも時間がかかるだろうし、仕方ないのかもしれない。


「それで、依頼の達成報告をお願いしたいんですけど」


「承知しました。まずは探索結果を確認させてください」


 俺たちは、到達した階層と遭遇した魔物について簡単に説明した。


 十一階層の水位の変化や、十三階層で群れになって襲ってきたリバーラプターのことも伝える。


「そんな魔物がいるんですね……」


 女性が熱心に記録を取っていった。


 ◇


「あ、それから」


 俺は受付の女性へ声をかけた。


「倒した魔物も買い取ってもらいたいんですけど」


「はい。もちろんです」


「数が多いし、大きな魔物もいるから、解体場で取り出してもいいですか?」


「わかりました」


 女性が頷いた。


「それでは、奥の解体場へご案内しますね」


「ありがとうございます」


 俺たちは女性の後について、ギルドの奥へ向かった。


 ◇


 解体場には、大きな作業台がいくつも並んでいた。


 職員たちが魔物の解体や、素材の仕分けをしている。


「こちらでお願いします」


 受付の女性が、解体担当の男性へ声をかけた。


「魔物の買取をご希望です。量が多いそうなので、場所を空けていただけますか?」


「分かりました」


 男性が俺を見る。


「どのくらいありますか?」


「結構あります」


「それでしたら、まずはこちらへお願いします」


 俺は案内された広い場所で《収納》を使った。


 まずは比較的小さな魔物から。


 一体。


 二体。


 三体。


 アーマークラブにリバーラプター。それから、ロックミミック。


 次々と魔物を取り出していく。


「……あの」


 男性が声をかけてきた。


「はい?」


「これ、全部今日の獲物ですか?」


「ええ」


「……そうですか」


 男性は床に並んだ魔物を見回した。


「まだあります?」


「はい。あと大きいのが一体」


「大きいの?」


「結構大きいから、もう少し場所を空けてもらえますか?」


「……少々お待ちください」


 男性が近くの職員へ声をかけた。


 何人かが作業を止め、場所を空けてくれる。


「これで大丈夫でしょうか?」


「はい。ありがとうございます」


 俺は《収納》を開いた。


 ドサッ!


 巨大なタイドサーペントが姿を現した。


「うわっ!?」


 職員の一人が飛び上がった。


「な、何ですか、これ!?」


「十階層にいた魔物です」


「タイドサーペント……ですか?」


 担当の男性が長い身体を見つめる。


「これを丸ごと持ち帰ったんですか?」


「はい。《収納》があるので」


「……なるほど」


 男性はしばらく黙っていた。


 そして、受付の女性に顔を向ける。


「すみません。応援をお願いできますか?」


「は、はい!」


 女性が慌てて奥へ向かう。


「みんな驚いてるね!」


 ルナが楽しそうに笑った。


「これだけ大きい魔物だからね」


 フェリシアも笑っている。


 俺は残りの魔物も取り出した。


 これで全部だ。


 ◇


 しばらくすると、解体場に何人もの職員が集まってきた。


 魔物の種類と数を確認しながら、次々と記録を取っていく。


「いやあ、すごいですね……」


 担当の男性が感心したように言った。


「Sクラスの方だというのは伺っていますが、これほどの量を一度に持ち帰る方は、そうそういませんよ」


「そうなんですね」


「普通は、運ぶだけでも大仕事ですからね」


 確かに全部運ぶのは大変そうだ。


 良いスキルを持てて良かった。


「それで、買取金額はいつ頃分かりますか?」


「これだけの量ですので、本日中の解体と査定は難しいですね」


「そうですよね」


「明日には通常素材の金額をご案内できると思います」


「わかりました」


 急いでいるわけでもないし、明日で問題ない。


「あと、これも見てもらえますか?」


 俺は《収納》から小さな石を取り出した。


 黒い表面の内側で、青白い光がゆっくりと揺れている。


「これは?」


「十五階層で手に入れた魔石です。群晶石っていうらしいのですが」


「群晶石……」


 男性が石を受け取った。


「……少々お待ちください」


 男性は、近くにいた別の職員を呼んだ。


 二人で小声で話しながら、石を確かめている。


「何だろう?」


 ルナが俺の袖を引く。


「分からないけど、珍しいものなのかもしれないね」


 やがて、男性が戻ってきた。


「申し訳ありません。こちらは少し詳しい確認が必要になりそうです」


「そうですか」


「通常の素材とは別に、お調べしてもよろしいでしょうか?」


「はい。ただ、売るかどうかは値段を聞いてから決めたいんだけど、良いですか?」


「もちろんです。まずはお預かりして確認いたします」


「ありがとうございます」


 俺は群晶石を預けた。


 いったい、どれくらい珍しい魔石なんだろう。


 ちょっと楽しみだな。


 ◇


 解体場を出たところで、ルナが俺の袖を引いた。


「ねえ、アレン」


「どうしたの?」


「あの亀のことなんだけど……」


「ああ、ルミナタートル?」


「うん」


 ルナが少し心配そうな顔をした。


「あの子のこと、ギルドに教えちゃうの?」


 俺は足を止めた。


 十二階層で出会った、大きな亀。


 背中にはルミナフィッシュが集まり、身体についた藻を食べていた。


 俺たちが魚を守ると、まるでお礼を言うように頭を下げてくれた。


「……どうしようか」


「あの子、人を襲ってこなかったよね?」


「うん」


「でも、場所が分かったら、倒しに行く冒険者もいるかもしれないでしょ?」


 確かに、そういう人もいるだろう。


 珍しい魔物なら、素材目当てで探す冒険者がいてもおかしくない。


「それは嫌だな……」


 ルナが小さく呟いた。


 すると、フェリシアが口を開いた。


「でも、危険な場所のことは伝えておいた方がいいんじゃないかな?」


「そうだね」


 俺も頷いた。


 十一階層には、水位が変わる通路があった。


 知らずに進めば、危険な目に遭うかもしれない。


「じゃあ、どうする?」


 ルナが聞いてきた。


 俺は少し考えた。


「危険な場所のことはちゃんと伝えよう。それから、ルミナタートルの詳しい場所は、むやみに広めないでもらえるか相談してみようか」


「本当!?」


「うん。ギルドにも情報の扱い方があるだろうしね」


「それがいいと思う!」


 ルナの顔が明るくなった。


 ◇


 受付へ戻ると、先ほどの女性が書類を整理していた。


「あっ、皆さん。お預かりは終わりましたか?」


「はい」


「それでは、依頼の達成手続きをいたしますね」


 女性が書類を確認する。


「今回のダンジョン探索依頼、達成です」


 その瞬間。


【依頼達成を確認しました】


【100P獲得】


 よし!


 また100P増えた。


 魔物の討伐でもPを稼げたし、依頼達成でもPがもらえる。


 やっぱり、冒険者の仕事はいいな。


「報酬は十八万ジェニーになります」


「ありがとうございます」


 俺は報酬を受け取った。


「三人で六万ジェニーずつだね」


 フェリシアが言った。


「うん」


「やった!」


 ルナが嬉しそうに笑う。


「美味しいもの食べに行こうよ!」


「もう食べること考えてるの?」


 フェリシアが笑った。


「だって、いっぱい動いたんだもん!」


「確かにお腹は空いたね」


 俺も笑った。


 これとは別に、明日は素材の買取金額も分かる。


 今日の探索は、なかなか実りの多いものになったな。


 ◇


「あ、それから、もう一つ相談したいことがあるんですけど」


 俺は受付の女性へ声をかけた。


「はい。何でしょう?」


「ダンジョンで見つけた珍しい魔物の情報って、どこまで公開されますか?」


「珍しい魔物、ですか?」


「ええ。俺たちには襲いかかってこなかった魔物なんだけど」


 女性が少し考えた。


「内容によりますね。危険な魔物なら注意喚起が必要ですし、珍しい魔物については、ギルド内で確認してから扱いを決める場合もあります」


「そうですか」


「何か見つけられたんですか?」


「はい。十二階層で、大きな亀の魔物に会いました」


「亀の魔物ですか?」


「ルミナタートルっていうんだけど、周りに小さな魚がたくさんいたんです」


 俺は、ルミナフィッシュと一緒に暮らしている様子や、魚を襲った魔物を倒したことを説明した。


「そんな魔物がいるんですね……」


 女性が興味深そうに聞いている。


「ただ、その亀の詳しい生息場所は、むやみに広めてほしくないんです」


「それは、どうしてでしょう?」


「珍しい魔物だと分かったら、討伐しようとする人がいるかもしれないから」


 俺は続けた。


「俺たちに敵意はなかったし、できれば静かに暮らしていてほしいんです」


 女性は少し考えてから頷いた。


「分かりました。すぐに一般公開することはせず、まずはギルド内で確認しますね」


「お願いします」


「ただ、ほかの冒険者に危険が及ぶ可能性があれば、注意喚起が必要になるかもしれません」


「はい。それはもちろんです」


 俺たちに襲いかかってこなかったからといって、ほかの人にも安全とは限らない。


 そこはギルドに判断してもらおう。


 それから、十一階層の水位変化について、詳しい位置と危険な時間帯を伝えた。


 これで少しでも事故が減るといいな。


 ◇


 ギルドを出ると、空は夕方の色に変わり始めていた。


「よかったね、アレン!」


 ルナが嬉しそうに言った。


「亀のこと?」


「うん! ちゃんとお願いできたもんね!」


「そうだね」


 俺も少し安心した。


 もちろん、これですべて解決したわけじゃない。


 でも、何もしないよりはよかったと思う。


「それにしても、今日はすごい量だったね」


 フェリシアが笑った。


「素材のこと?」


「うん。解体場の人、びっくりしてたよ」


「確かにね」


「明日の買取金額、楽しみだね!」


 ルナが目を輝かせる。


「うん。群晶石のことも気になるしね」


 あの魔石を見たとき、解体場の人たちは何かを確かめていた。


 ただ珍しいだけなのか、それとも別の理由があるのか。


 明日になれば、何か分かるかもしれない。


「ねえ、アレン!」


「何?」


「お腹空いた!」


「じゃあ、何か食べに行こうか」


「やった!」


 ルナが元気よく歩き出す。


 テリーもその後を追った。


「ワフ!」


「キュ!」


 ステフも嬉しそうに鳴いた。


 今日の依頼で、Pもジェニーも増えた。


 そして明日には、素材の買取結果が分かる。


 ダンジョン探索は、まだまだ楽しめそうだな。


【保有:107,210P】

【累計獲得P:564,420P】



最後まで読んでいただきありがとうございます。

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