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《剣聖》になった弟に追放された俺のスキルは《会員》でした ~ハズレスキルだと思っていたら、ポイントで好きな能力を買えるらしい~  作者: アカメノコバチ
第10章 再び南へ

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191/200

第191話 巨大な影の正体

新連載はじめました!

『王女殿下、まずは拳をお下げください ~転生執事と最強王女の成り上がり~』という作品です。

お手すきの際に是非!

https://ncode.syosetu.com/n5173mx/1からご覧いただけます。

 湖の中央から、黒い物体がゆっくりと持ち上がっていく。


「……大きい!」


 ルナが目を見開いた。


 水面から現れたのは、巨大な岩の塊のようなものだった。


 高さは十メートル以上ありそうだ。


 その表面は黒く、ごつごつしている。


 でも、よく見ると少し変だった。


「……あれ?」


 俺は目を凝らした。


 表面が、細かく動いている。


 まるで無数の何かが、身体の上を這い回っているみたいだ。


「アレン、あれ何?」


「ちょっと待ってね」


 俺は《鑑定》を使った。


「《鑑定》」


【スウォームロック】


【小型の岩石型魔物】


【多数の個体が集合し、巨大な身体を形成する】


【分離して行動することもできる】


「……へえ」


「どうしたの?」


「あれ、一体の魔物じゃないみたいだよ」


「えっ?」


「小さな魔物がたくさん集まって、大きな身体を作ってるんだって」


「本当!?」


 ルナが巨大な影を見上げる。


「じゃあ、あれ全部が魔物なの?」


「そういうことみたい」


 フェリシアも興味深そうに見つめている。


「だから表面が動いてるんだね」


「うん。よく見ると、一つ一つが小さな岩みたいだ」


 こんな魔物もいるんだな。


 ◇


 スウォームロックが岸へ向かって動き始めた。


 ザバァ……。


 水面に大きな波が広がる。


 巨大な身体を構成する小さな岩が、互いにぶつかりながら動いている。


「こっちに来るよ!」


 ルナが弓を構えた。


「うん。少し離れていよう」


 俺たちは湖から距離を取った。


 テリーも俺たちの横に立ち、スウォームロックを見つめている。


「グルル……」


 ステフは俺の肩から飛び立った。


「キュ!」


「ステフも気をつけてね」


 スウォームロックが岸へ近づいた。


 巨大な身体の下半分は、まだ水の中にある。


 すると、その一部が盛り上がった。


 次の瞬間。


 ドンッ!


 黒い塊が、こちらへ飛んできた。


「おっと!」


 俺は横へ跳んだ。


 ドガンッ!


 黒い塊が岩場にぶつかり、ばらばらになった。


 ……いや。


 砕けたと思ったものが、地面の上で動いている。


 拳ほどの大きさの黒い岩だった。


 その下から、小さな脚が伸びている。


「うわっ! 動いてる!」


 ルナが驚く。


「一つ一つが魔物なんだよね!」


 黒い岩が俺の足元へ近づいてきた。


 俺は竜爪剣を振り下ろす。


 ザシュッ!


【30P獲得】


 小さな魔物が動かなくなった。


「……なるほど」


 一体ずつなら、それほど強くないみたいだな。


 ◇


 すると、巨大なスウォームロックの身体から、さらに黒い岩が飛んできた。


 ドンッ!


 ドドンッ!


 岩場に落ちた黒い塊が、次々と動き始める。


「いっぱい出てきた!」


 ルナが弓を構えた。


 でも、俺は思わず笑った。


「これなら、Pをたくさん稼げそうだね」


「えっ?」


「一体倒すと30Pもらえるんだ」


「じゃあ、十体倒せば300Pだね!」


 ルナが嬉しそうに言った。


「そういうこと!」


 俺は竜爪剣を構え直した。


 小型のスウォームロックたちが、地面を跳ねるように近づいてくる。


 まずは先頭の一体。


 ザシュッ!


【30P獲得】


 続けて二体目。


 三体目。


 四体目。


 竜爪剣を振るたび、黒い岩が砕けていく。


【30P獲得】


【30P獲得】


【30P獲得】


 なるほど。


 この大きさなら、まとめて倒せそうだ。


 俺は一歩踏み込んだ。


 そして、横一列に並んだ五体へ向けて剣を振り抜く。


 ザンッ!


 五体の身体が、一斉に砕け散った。


 P獲得の通知が次々と現れる。


 よし。


 最初の一体も含めて、これで十体だ。


 全部で300P。


 なかなか悪くないな。


「アレン、楽しそうだね!」


 ルナが笑う。


「うん。こうやって少しずつ増えるのも面白いからね」


 ◇


 俺たちが小型魔物を倒している間に、巨大なスウォームロックが岸まで近づいていた。


 その身体からは、まだ無数の小型魔物が動いている。


「……すごい数だね」


 フェリシアが呟いた。


「うん。全部倒すのは大変そうだね」


 俺は《魔力感知》を使った。


 巨大な身体から、たくさんの反応がある。


 一つ一つは小さい。


 でも、数が多すぎる。


「じゃあ、大きい方もやってみようか」


 俺は地面を蹴った。


 一気に距離を詰め、竜爪剣を振る。


 ザンッ!


 巨大な身体の一部が大きく崩れた。


 黒い小型魔物が、ばらばらと水面へ落ちていく。


「すごい!」


 ルナが声を上げた。


 でも……。


「あれ?」


 散らばった魔物たちが動き始めた。


 一つ。


 二つ。


 次々と湖の中央へ向かっていく。


 そして、再び巨大な身体にくっついていった。


「元に戻ってる!」


 ルナが驚いている。


「本当だね」


 フェリシアも目を丸くした。


 さっき斬った場所が、少しずつ埋まっていく。


 どうやら、ばらばらにしただけでは駄目らしい。


 でも、斬った中には、動かなくなった個体もいる。


 せっかくだし、もう少しPを稼いでおこうかな。


 ◇


 俺は岸に上がってきた小型魔物たちへ向かった。


 今度は、まとめて倒すことにする。


 右から五体。


 左から四体。


 さらに後ろから三体。


 合わせて十二体だ。


「アレン、後ろにもいるよ!」


 ルナが教えてくれる。


「うん。分かってる!」


 俺は竜爪剣を振り抜いた。


 ザンッ!


 まずは右の五体。


 続けて身体をひねり、左の四体を斬る。


 さらに振り向きざまに、残る三体をまとめて斬り払った。


 ザシュッ!


 小型魔物たちが砕け散る。


【30P獲得】


 同じ通知が次々と現れた。


 《魔力感知》で確認すると、今斬った十二体の反応はすべて消えていた。


「……よし!」


 これで新たに360P。


 さっきの300Pと合わせれば、660Pだ。


「アレン、すごい!」


 ルナが嬉しそうに笑った。


「でも、まだまだいるね!」


「うん。かなりの数が集まってるみたいだ」


 俺は巨大なスウォームロックを見上げた。


 あれだけ倒したのに、ほとんど小さくなっていない。


 いったい何体いるんだろう。


 ◇


「ねえ、アレン」


 フェリシアが声をかけてきた。


「何?」


「あの小さな魔物たち、どうして同じ場所に戻っていくんだろう?」


「同じ場所?」


「うん。さっき散らばったときも、みんな湖の中央へ向かってたでしょ?」


 言われてみれば、確かにそうだ。


 俺は《魔力感知》を使った。


 巨大な身体からは、無数の小さな魔力反応が感じられる。


 でも、その奥に……。


「……あれ?」


「どうしたの?」


「一つだけ、大きな反応がある」


「大きな反応?」


「うん。ほかの魔物より、ずっと強いみたいだ」


 俺は巨大な身体の中心付近を見つめた。


 そこには、ひときわ大きな黒い岩があった。


 周囲の小型魔物たちは、その岩を取り囲むように集まっている。


「もしかして、あれが原因なのかな?」


 フェリシアが呟く。


「ちょっと調べてみるね」


 俺はその岩に意識を向け、《鑑定》を使った。


「《鑑定》」


【スウォームロック・コア】


【スウォームロックの群れを統率する特殊個体】


【周囲の個体を集め、巨大な身体を維持する】


「……なるほど」


「何だったの?」


 ルナが聞いた。


「あの大きな岩が、ほかの魔物たちを集めてるみたい」


「へえ!」


「コアっていう特殊な個体なんだって」


 フェリシアが頷いた。


「じゃあ、あれを倒せば、集まれなくなるかもしれないね」


「うん。試してみようか」


「分かった!」


 ◇


 俺たちは湖の近くに立った。


 巨大なスウォームロックは、すでに岸辺まで来ている。


 水中にあった身体の大部分も持ち上がり、黒い岩の塊が目の前にそびえていた。


 その中心にあるコアは、無数の小型魔物に覆われている。


「まずは、あの外側を崩さないといけないね」


 フェリシアが杖を構えた。


「私がやってみる」


「うん。お願い」


「《魔弾》!」


 ドンッ!


 魔弾がスウォームロックの身体に命中した。


 黒い岩が大きく弾け飛ぶ。


 でも、すぐに周囲の小型魔物たちが集まり始めた。


「……早いね」


 フェリシアが驚く。


「うん。でも、少しの間なら隙間ができるみたい」


 俺は竜爪剣を構えた。


「フェリシア、もう一度お願いできる?」


「うん!」


「そのあと、俺が中まで斬り込むよ」


「分かった!」


 ルナも弓を構える。


「私はどうすればいい?」


「コアが見えたら、狙ってくれる?」


「うん! 任せて!」


 これで準備はできた。


 そのとき、スウォームロックの身体から、また黒い塊が飛び出してきた。


 ドドドッ!


 今度は八体の小型魔物が、俺たちの前に落ちてきた。


「……あっ!」


 ルナが弓を向ける。


「大丈夫。ここは俺がやるよ」


 せっかくPをもらえるんだ。


 倒しておこう。


 俺は八体へ向かって駆け出した。


 竜爪剣を左右に振り、近づいてくる小型魔物を次々と斬り倒す。


 最後の一体を倒すと、P獲得の通知が八回続いた。


 これでさらに240P。


 今日、この階層で獲得したPは900Pになった。


 なかなかいい感じだ。


「アレン、準備できたよ!」


 フェリシアが声をかけてきた。


「うん。じゃあ、お願い!」


 ◇


「《魔弾》!」


 ドンッ!


 フェリシアの魔弾が、巨大な身体に命中した。


 黒い岩が散らばる。


 その瞬間、俺は地面を蹴った。


 一気に距離を詰める。


 そして、竜爪剣を大きく振り抜いた。


 ザンッ!


 巨大な身体の一部が、さらに崩れた。


 黒い小型魔物が、ばらばらと落ちていく。


 でも、すぐに集まり始める。


 早いな。


 俺は剣を振り、コアの前を塞ごうとする小型魔物たちを弾き飛ばした。


 その奥に、ひときわ大きな黒い岩が見えた。


「ルナ!」


「うん! 見えてる!」


 ルナが弓を引き絞った。


 だが、コアの周囲には小型魔物が集まり始めている。


 もう少しで隠れてしまいそうだ。


 俺はもう一度竜爪剣を振る。


 ザンッ!


 コアまで一直線に隙間ができた。


 シュッ!


 ルナの矢が放たれた。


 矢は集まりかけた小型魔物の隙間を抜けていく。


 そして。


 ガキィンッ!


 コアの中心へ命中した。


 バキッ!


 次の瞬間、コアの表面に大きな亀裂が走った。


 さらに亀裂が広がっていく。


 バキバキバキッ!


 コアが砕け散った。


「やった!」


 ルナが声を上げる。


 すると、巨大なスウォームロックの身体が大きく揺れ始めた。


 ゴゴゴゴゴ……。


 黒い岩が、次々と崩れ落ちていく。


 湖の中央にそびえていた巨大な身体が、あっという間に崩壊していった。


「……すごい」


 フェリシアが呟いた。


「本当に崩れちゃったね」


「うん!」


 ルナが嬉しそうに笑う。


 ◇


 やがて、湖の水面が静かになった。


 巨大な身体を作っていた小型魔物たちは、ばらばらになって泳いでいる。


 その多くは、湖の奥へ逃げていった。


「全部倒したわけじゃないんだね」


 ルナが言った。


「そうだね。でも、もう集まれないみたいだ」


 俺は《魔力感知》で確認した。


 さっきまであった大きな反応は消えている。


 コアは確かに倒せたらしい。


「フェリシアのおかげだね」


 俺が言うと、フェリシアが首を傾げた。


「私?」


「うん。魔物たちが同じ場所へ戻っていくって気づいたでしょ?」


「でも、アレンが見つけたんだよ?」


「そうだけど、フェリシアが言ってくれなかったら、気づくのが遅れたと思う」


「そうかな?」


 フェリシアが少し照れたように笑った。


「それに、ルナの矢もすごかったね!」


「ちゃんと当たってよかった!」


 ルナが嬉しそうに笑う。


 さすが《弓聖》だな。


 あんな小さな隙間を通して、正確にコアを射抜くなんて。


 俺には真似できない。


 それにしても、かなりPを稼げたな。


 小型魔物を三十体倒して、900P。


 こうやって数を積み重ねていくのも悪くない。


 ◇


「さて……」


 俺は湖を見回した。


 コアが砕けたあたりに、黒い欠片がいくつか落ちている。


 その一つが、淡い青色の光を放っていた。


「……あれ?」


 俺は近づいた。


 水際に落ちていたのは、握り拳ほどの大きさの石だった。


 黒い表面の内側で、青白い光がゆっくりと揺れている。


「綺麗だね!」


 ルナが覗き込んだ。


「何だろう?」


「ちょっと調べてみるね」


 俺は《鑑定》を使った。


「《鑑定》」


【群晶石】


【スウォームロック・コアが残す希少な魔石】


【周囲の魔力に反応して微弱な光を放つ】


「群晶石っていうみたい」


「群晶石?」


「うん。珍しい魔石らしいよ」


 フェリシアが興味深そうに見つめた。


「魔石なら、ギルドで買い取ってもらえるかもしれないね」


「そうだね」


 俺は群晶石を《収納》へ入れた。


 どれくらいの価値があるんだろう。


 ちょっと楽しみだな。


 ◇


 俺たちは湖の周囲を進んだ。


 巨大なスウォームロックがいた場所は、もう静かになっている。


 小型魔物たちも、こちらへ近づいてくる様子はなかった。


 しばらく歩くと、湖の奥に大きな石の門が見えてきた。


「あっ! 階段だ!」


 ルナが嬉しそうに指差した。


「十六階層へ続いてるのかな?」


 フェリシアが地図を確認する。


「うん。そうみたい」


「じゃあ、行ってみる?」


 ルナが期待に満ちた顔で俺を見る。


 俺は少し考えた。


 まだ疲れてはいない。


 でも、十五階層まで来たら、一度戻るか考える約束だった。


「今日はここまでにしようか」


「えっ?」


「この先も気になるけど、もう十五階層まで来たしね」


「そっかあ」


 ルナが少し残念そうな顔をした。


 すると、フェリシアが笑った。


「また来ればいいんだよ」


「……そっか!」


 ルナが顔を上げる。


「そうだよね!また来ればいいんだ!」


「うん」


 俺も笑った。


「それに、今日は珍しい魔物にも会えたし、素材もたくさん手に入ったからね」


「そうだね!」


 ◇


 俺たちは来た道を引き返した。


 十四階層。


 十三階層。


 十二階層。


 そして十一階層。


 途中で魔物を見かけたけど、《隠密》のおかげで襲ってこなかったので、そのまま通り過ぎた。


 水位が下がるのを待ってから通路を抜け、十階層へ戻った。


「あっ! 転移石だ!」


 ルナが嬉しそうに声を上げる。


 俺たちは以前登録した転移石のある小部屋へ入った。


「じゃあ、帰ろうか」


「うん!」


 転移石が青白く輝く。


 次の瞬間、周囲の景色が変わった。


 見慣れた一階層の洞窟だ。


「帰ってきたね!」


 ルナが大きく伸びをした。


「今日はずいぶん進んだね」


 フェリシアも笑う。


「うん。十五階層まで行けるとは思ってなかったよ」


 俺も頷いた。


 魔物をたくさん倒したし、珍しい素材も手に入った。


 それに、ルミナタートルみたいな不思議な魔物にも出会えた。


 なかなか充実した探索だったな。


「ねえ、アレン」


 ルナが声をかけてきた。


「何?」


「あの亀、また会えるかな?」


「どうだろうね。でも、あそこに行けば会えるかもしれないよ」


 ルナが嬉しそうに笑った。


 そういえば、ルミナタートルがいた場所は、ギルドの地図にも詳しく載っていなかった。


 あの亀は、ほかの冒険者に見つかっても大丈夫なんだろうか。


 少し気になるな。


 ギルドに戻ったら、報告する内容も考えないといけないかもしれない。


 ◇


 俺たちは出口へ向かった。


 今日の探索で手に入れた素材も、そろそろ売却したい。


 それに、群晶石がどれくらいの価値を持つのかも気になる。


 ギルドで聞いてみようかな。


 こうして、俺たちの今日のダンジョン探索は終わった。


【保有:107,110P】

【累計獲得P:564,320P】



最後まで読んでいただきありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
このダンジョンのレベル的にはフェリシアやルナがソロでも問題なくクリア出来そうな感じだけれど、雑魚相手にしてるアレンに対して毎回「すごい!」って言い続けるのはなんだろう...PTSDになってるアレンに気…
ポイント積み立てコツコツ。 こういうのもいいですね。
感想一覧
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