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《剣聖》になった弟に追放された俺のスキルは《会員》でした ~ハズレスキルだと思っていたら、ポイントで好きな能力を買えるらしい~  作者: アカメノコバチ
第10章 再び南へ

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190/204

第190話 動かない魔物

新連載はじめました!

『王女殿下、まずは拳をお下げください ~転生執事と最強王女の成り上がり~』という作品です。

お手すきの際に是非!

https://ncode.syosetu.com/n5173mx/1からご覧いただけます。

 目の前にある大きな岩。


 その表面が、わずかに動いた。


「……あれ?」


 俺は目を凝らした。


 すると、岩の下から何かが伸びてきた。


 太くて短い脚だ。


「アレン?」


 ルナが不思議そうに俺を見る。


「あの岩、魔物みたいだよ」


「えっ?」


「《魔力感知》でも反応があるし、今、脚が見えたんだ」


「本当!?」


 ルナが岩を見つめる。


 俺は《鑑定》を使った。


「《鑑定》」


【ロックミミック】


【岩に擬態する魔物】


【硬い外殻で身を守り、近づいた獲物を襲う】


【移動時には外殻の下から脚を伸ばす】


「ロックミミックっていう魔物みたいだね」


「へえ! 岩に化けてるんだ!」


 ルナが目を輝かせる。


「普通の冒険者なら、気づかずに近づいちゃいそうだね」


 フェリシアが言った。


「そうだね」


 俺は《魔力感知》で周囲を確認した。


 同じような反応が、ほかにも四つある。


 どれも動く様子はない。


「全部で五体いるみたい」


「でも、どれが魔物なのか全然分からないよ!」


 ルナが岩場を見回す。


「そうだよね。俺も《魔力感知》がなかったら分からなかったと思う」


「すごい擬態だね」


 フェリシアが感心したように呟いた。


 ◇


「じゃあ、倒してみようか」


「うん!」


 俺は一番近くにあるロックミミックへ近づいた。


 表面はごつごつしていて、色も周囲の岩と変わらない。


 これが魔物だというのだから不思議だ。


 あと数歩というところまで近づいたときだった。


 ガタッ!


 岩の下から四本の脚が伸びた。


「おっ!」


 ロックミミックが身体を持ち上げる。


 そして、そのまま突っ込んできた。


「アレン!」


「大丈夫!」


 俺は横へかわした。


 ロックミミックが勢い余って岩壁へぶつかる。


 ゴンッ!


 硬そうな音が響いた。


「思ったより速いね!」


 ルナが驚いている。


「うん。でも、動きは単純みたいだ」


 ロックミミックが方向を変えた。


 再びこちらへ向かってくる。


 俺は竜爪剣を構えた。


 脚を伸ばした瞬間、その付け根へ剣を振る。


 ザシュッ!


 ロックミミックの身体が大きく傾いた。


 続けて、外殻の下へ刃を突き入れる。


【550P獲得】


 動かなくなった。


「やった!」


 ルナが声を上げる。


「外側は硬いけど、下の方はそうでもないんだね」


「そうみたい」


 俺は倒したロックミミックを見下ろした。


 岩のような外殻には、ほとんど傷がついていない。


 でも、脚の付け根や身体の下側は比較的柔らかかった。


 なるほど。


 そこを狙えば簡単に倒せそうだ。


 ◇


「ねえ、アレン」


 フェリシアが声をかけてきた。


「何?」


「今の魔物、動くときに身体が持ち上がってたよね?」


「うん」


「そのときなら、硬い外側を攻撃しなくてもよさそうだね」


「そうだね。下の方を狙えばいいと思う」


 フェリシアが周囲を見回した。


「でも、ほかの魔物は全然動かないね」


 確かにそうだ。


 すぐ近くで仲間が倒されたのに、残る四体は岩に擬態したままだ。


「近づかないと動かないのかな?」


 ルナが首を傾げる。


「そうかもしれないね」


 俺が答えると、フェリシアが少し考え込んだ。


「だったら、遠くから動かせないかな?」


「遠くから?」


「うん。ルナの矢を当ててみるのはどう?」


「なるほど」


 確かに、試してみる価値はありそうだ。


「ルナ、お願いできる?」


「もちろん!」


 ルナが弓を構えた。


 ◇


 シュッ!


 矢がロックミミックの外殻に命中した。


 カンッ!


 乾いた音が洞窟に響く。


 しかし、魔物は動かなかった。


「あれ?」


 ルナが首を傾げる。


「全然反応しないね」


「もう一度、別の場所を狙ってみる?」


 フェリシアが言った。


「うん!」


 ルナが少し狙いを下げた。


 シュッ!


 今度は外殻の端に命中した。


 カツンッ!


 岩がわずかに揺れた。


 でも、脚を伸ばす様子はない。


「うーん。駄目みたい」


 ルナが残念そうに弓を下ろした。


「そっか……」


 フェリシアも考え込む。


「やっぱり、近づかないと襲ってこないのかな?」


「その可能性は高そうだね」


 俺は頷いた。


 遠くからの攻撃には反応せず、獲物が近づくのを待っている。


 そういう習性なのかもしれない。


「じゃあ、俺が近づいて動かそうか」


「うん。でも、ちょっと待って」


 フェリシアが俺を見た。


「さっきの魔物、脚を伸ばした瞬間に下の部分が見えたよね?」


「うん」


「だったら、アレンが近づいて、私たちがそこを狙うのはどうかな?」


「それなら、うまくいきそうだね」


「本当?」


「うん。やってみよう」


 フェリシアがほっとしたように笑った。


 最初の方法はうまくいかなかったけど、今度はどうだろう。


 ◇


 俺たちは次のロックミミックへ向かった。


 さっきよりも少し大きな岩だ。


「じゃあ、行くよ」


「うん!」


 俺はゆっくりと近づいた。


 五歩。


 四歩。


 三歩。


 ガタッ!


 ロックミミックが突然、身体を持ち上げた。


「今!」


 シュッ!


 ルナの矢が脚の付け根に命中する。


 グラッ!


 魔物の身体が傾いた。


「《魔弾》!」


 ドンッ!


 フェリシアの魔弾が、露出した身体に直撃した。


 ロックミミックは、そのまま地面へ倒れた。


「やった!」


 ルナが嬉しそうに笑う。


「うまくいったね!」


 フェリシアも笑った。


「うん。二人ともありがとう」


 俺は頷いた。


 こうすれば、わざわざ硬い外殻を壊す必要がない。


 なかなか効率的だな。


 そのときだった。


「ワフ!」


 テリーが短く吠えた。


「どうしたの?」


 テリーは少し離れた場所にある岩を見つめている。


 俺も《魔力感知》を使った。


 ……ああ、なるほど。


「あそこにもいるね」


「えっ?」


 ルナがテリーの視線を追う。


「テリーも分かったの?」


「ワフ!」


 テリーが尻尾を振った。


「すごいね!」


 ルナが嬉しそうに頭を撫でる。


 テリーは気持ちよさそうに目を細めた。


 魔物の気配でも感じ取ったのかな。


 頼もしい仲間だ。


 ◇


 残るロックミミックは三体。


 俺たちはテリーが見つめていた魔物へ向かった。


「今度は私が先に狙うね!」


 ルナが弓を構えた。


「うん。お願い」


 俺が近づくと、ロックミミックが脚を伸ばした。


 ガタッ!


 その瞬間。


 シュッ!


 矢が脚の付け根に命中する。


 魔物が大きく傾いた。


 そこへ俺が踏み込む。


 ザンッ!


【550P獲得】


 よし。


 これで三体目だ。


 次の一体は、フェリシアの《魔弾》で仕留めた。


 そして最後の一体へ向かったときだった。


「キュ!」


 ステフが俺の肩から飛び立った。


「どうしたの、ステフ?」


 ステフはロックミミックの上を小さく旋回している。


 すると、魔物がわずかに身体を揺らした。


「あっ!」


 ルナが声を上げる。


「ステフに反応してる!」


 どうやら、頭上を動くステフが気になるらしい。


 ロックミミックが少しずつ脚を伸ばし始めた。


「今だ」


 俺は竜爪剣を構えた。


 魔物が身体を持ち上げる。


 その隙に踏み込んだ。


 ザシュッ!


【550P獲得】


 ロックミミックが動かなくなった。


「終わったね!」


 ルナが弓を下ろした。


「うん。これで五体全部だね」


 俺は《魔力感知》を使った。


 近くに魔物の反応はない。


「全部倒せたみたい」


「やった!」


 ステフが俺の肩へ戻ってきた。


「キュ!」


「ステフもありがとう」


 頭を撫でてやると、嬉しそうに鳴いた。


 ◇


「それにしても、変わった魔物だったね」


 ルナが倒れたロックミミックを眺めている。


「そうだね。見た目は岩なのに、あんなに素早く動くなんて」


 フェリシアが答えた。


「でも、弱いところが分かれば簡単だったね!」


「うん。フェリシアが考えてくれたおかげだよ」


 俺が言うと、フェリシアが少し驚いた顔をした。


「私?」


「うん。遠くから動かそうっていうのは、面白い考えだったと思う」


「でも、失敗しちゃったよ?」


「そうだけど、そのあと別の方法を考えてくれたでしょ?」


「……そうかな?」


 フェリシアが少し照れたように笑った。


「私も、脚が出てくるところを狙いやすかったよ!」


 ルナが嬉しそうに言う。


「ありがとう」


 フェリシアが微笑んだ。


 俺は二人を見た。


 強い魔物を力で倒すだけなら、今の俺たちには難しくない。


 でも、相手の特徴を知って、戦いやすい方法を考えるのも大切だ。


 それに、今回のように自分では思いつかない方法が見つかることもある。


 こういうところも、仲間と冒険する楽しさなんだろうな。


 ◇


 俺は倒したロックミミックを《収納》へ入れた。


 外殻は岩のように硬い。


 素材として使えるかもしれないし、ギルドで聞いてみよう。


「じゃあ、先へ進もうか」


「うん!」


 俺たちは十四階層の奥へ向かった。


 岩だらけの洞窟が続いている。


 でも、さっきの魔物の正体が分かった今では、不気味さも少し薄れていた。


 しばらく歩くと、大きな石の門が見えてきた。


「あっ! 階段だ!」


 ルナが指差す。


「十五階層だね」


 フェリシアが地図を確認した。


「ようやく今日の目標まで来たね」


「そうだね」


 俺は頷いた。


 十階層から先も順調だった。


 途中で変わった魔物に出会ったり、道を探したりしたけど、まだまだ余裕がある。


「ねえ、アレン」


 ルナが階段を見つめる。


「十五階層には、どんな魔物がいるのかな?」


「どうだろうね」


 フェリシアが笑った。


「でも、十五階層まで行ったら、一度戻るか考えるんだったよね?」


「うん。そのつもりだよ」


 俺は頷いた。


 無理をして進む必要はない。


 十階層の転移石も登録してあるし、帰ろうと思えば帰れる。


「じゃあ、行ってみよう!」


 ルナが元気よく言った。


「うん!」


 俺たちは階段を下り始めた。


 ◇


 十五階層。


 階段を下りると、これまでとは違う景色が広がっていた。


「……わあ」


 ルナが足を止める。


 目の前には、巨大な空間が広がっている。


 天井は高く、遠くまで続く岩壁には青白い光が点々と輝いていた。


「綺麗だね……」


 フェリシアが呟いた。


「うん。でも、何だろう?」


 湖の中央に、何かが見える。


 水面から突き出した、大きな黒い岩のようなものだ。


 俺は《魔力感知》を使った。


「……あれ?」


「どうしたの?」


「湖の中に、大きな反応がある」


「魔物?」


「うん。しかも……」


 俺は湖の中央を見つめた。


 水面から出ている黒い物体が、ゆっくりと動いた。


 ザバァ……。


 水面に大きな波紋が広がる。


「……えっ?」


 ルナが目を見開いた。


 黒い物体が、さらに持ち上がっていく。


 どうやら、あれも魔物らしい。


 でも、十四階層のロックミミックとは比べものにならない大きさだ。


 俺は思わず笑った。


「……これは、ちょっと面白そうだね」


【保有:106,210P】

【累計獲得P:563,420P】



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