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《剣聖》になった弟に追放された俺のスキルは《会員》でした ~ハズレスキルだと思っていたら、ポイントで好きな能力を買えるらしい~  作者: アカメノコバチ
第10章 再び南へ

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188/203

第188話 光る魚の秘密

新連載はじめました!

『王女殿下、まずは拳をお下げください ~転生執事と最強王女の成り上がり~』という作品です。

お手すきの際に是非!

https://ncode.syosetu.com/n5173mx/1からご覧いただけます。

 青白い光が、巨大な影の周囲に集まっている。


「……何だろう、あれ?」


 ルナが不思議そうに呟いた。


「近づいてくるね」


 フェリシアが杖を構える。


 俺も竜爪剣に手をかけた。


 やがて、水面から大きな頭が現れた。


「……亀?」


 ルナが首を傾げる。


 続いて、巨大な甲羅が水面から姿を見せた。


 甲羅の長さだけでも五メートルはありそうだ。


 その周囲を、ルミナフィッシュたちが泳いでいる。


「すごく大きいね!」


「うん。十階層の階層主より大きいかもしれないね」


 俺は《鑑定》を使った。


「《鑑定》」


【ルミナタートル】


【巨大な甲羅を持つ水棲魔物】


【温厚な性格で、ほかの魔物を積極的に襲うことは少ない】


【甲羅に生える藻をルミナフィッシュが食べる共生関係にある】


「ルミナタートルっていう魔物みたいだよ」


「ルミナタートル?」


「うん。温厚な性格らしい」


「へえ!」


 ルナが目を輝かせた。


「じゃあ、襲ってこないの?」


「こっちから刺激しなければ、大丈夫かもしれないね」


 ルミナタートルは水面から頭を出したまま、ゆっくりと泳いでいる。


 こちらに気づいているはずなのに、攻撃してくる様子はない。


「でも、どうして魚が集まってるんだろう?」


 フェリシアが首を傾げた。


「《鑑定》によると、甲羅に生える藻を食べてるみたいだよ」


「藻?」


「うん。ほら、あそこ」


 俺は甲羅の一部を指差した。


 よく見ると、甲羅の表面には緑色の藻が生えている。


 ルミナフィッシュたちは、その周囲を泳ぎながら、何かをつついていた。


「あっ、本当だ!」


 ルナが嬉しそうに声を上げる。


「じゃあ、亀は身体を綺麗にしてもらってるんだね!」


「そういうことみたいだね」


 フェリシアが微笑む。


「魚たちは餌を食べられるし、亀は甲羅を綺麗にしてもらえる。お互いに得をしているんだね」


「面白いね!」


 ルナが水面を覗き込む。


 こんな関係もあるんだな。


 魔物といえば、襲ってくるものばかりだと思っていた。


 でも、ここでは違うらしい。


 ◇


 俺たちは少し離れた岩場から、その様子を眺めていた。


 ルミナフィッシュたちはルミナタートルの周囲を泳ぎ続けている。


 青白い光がゆっくりと揺れ、まるで水の中に星が散らばっているみたいだ。


「綺麗だねえ」


 ルナがうっとりしている。


「うん。ずっと見ていられそう」


 フェリシアも笑った。


 そのときだった。


 《魔力感知》に、新しい反応が入ってきた。


「……あれ?」


「どうしたの?」


「別の魔物が近づいてきてる」


 水の奥に、三つの反応がある。


 しかも、こちらへ向かっているようだ。


「三体いるね」


「また魔物?」


「うん。ちょっと様子を見よう」


 俺たちは水面を見つめた。


 すると、突然、ルミナフィッシュたちの動きが変わった。


「あっ!」


 ルナが声を上げる。


「魚たちが逃げてる!」


 青白い光が一斉に散らばった。


 その直後。


 バシャッ!


 水面から細長い魔物が飛び出してきた。


 鋭い歯が並んだ大きな口。


 細長い身体。


 背中には鋭いヒレが並んでいる。


「《鑑定》」


【リッパーイール】


【鋭い歯を持つ肉食性の水棲魔物】


【小型の水棲魔物を好んで捕食する】


【素早い泳ぎで獲物に接近する】


「リッパーイールっていう魔物だね」


「魚を食べちゃうの?」


「そうみたい」


 リッパーイールがルミナフィッシュへ向かって突進した。


 次の瞬間。


 ザバァッ!


 ルミナタートルが大きく身体を動かした。


 巨大な甲羅が、リッパーイールと小魚たちの間に入る。


「……あっ!」


 ルナが目を見開いた。


「亀、魚たちを守ってる!」


 確かにそう見える。


 リッパーイールは方向を変え、別のルミナフィッシュを追いかけ始めた。


 しかし、ルミナタートルが再び身体を動かし、その進路を塞ぐ。


「すごいね」


 フェリシアが呟く。


「自分よりずっと小さな魚を守ってるんだ」


 でも、相手は三体いる。


 ルミナタートルが一体を防いでも、残りの二体が別の方向から近づいてくる。


「あっ! 危ない!」


 ルナが叫んだ。


 一体のリッパーイールが、逃げ遅れたルミナフィッシュへ迫っていた。


「アレン!」


 ルナが俺を見る。


「あの魚たち、助けてもいい?」


「もちろん」


 ルナが弓を構えた。


 シュッ!


 ルナの矢が放たれた。


 水面から飛び出したリッパーイールの頭部を正確に射抜く。


 魔物が水面へ落ちた。


「よし!」


「私も!」


 フェリシアが杖を構える。


「《魔弾》!」


 ドンッ!


 二体目のリッパーイールに魔弾が命中した。


 大きな水しぶきが上がる。


 残る一体が水中へ潜った。


 《魔力感知》で追いかける。


 ……いた。


 水中を大きく回り込み、ルミナフィッシュの群れへ向かっている。


「そっちか」


 俺は岩場を蹴った。


 一気に水辺へ移動する。


 すると、リッパーイールが水面から飛び出してきた。


 大きな口を開き、俺へ噛みつこうとしてくる。


「おっと」


 身体を横へずらし、竜爪剣を振る。


 ザシュッ!


【480P獲得】


 リッパーイールが動かなくなった。


「終わったね!」


 ルナが嬉しそうに駆け寄ってくる。


「うん。三体とも倒せたよ」


 フェリシアも杖を下ろした。


 俺は倒したリッパーイールを《収納》へ入れた。


 これも素材になるかもしれない。


 ◇


 危険が去ると、散らばっていたルミナフィッシュたちが戻ってきた。


 青白い光が、再びルミナタートルの周囲に集まっていく。


「よかったあ」


 ルナが胸を撫で下ろした。


「魚たち、無事だったね!」


「うん。間に合ってよかった」


 フェリシアも微笑む。


 すると、ルミナタートルがゆっくりとこちらへ近づいてきた。


「……あれ?」


 ルナが首を傾げる。


「亀が来るよ?」


「大丈夫。敵意はなさそうだよ」


 俺は《魔力感知》で様子を確かめた。


 ルミナタートルは岩場の近くで動きを止めた。


 そして、大きな頭をゆっくりと下げた。


「……えっ?」


 ルナが驚いた顔をする。


「もしかして、お礼を言ってるの?」


「そうかもしれないね」


 俺が答えると、ルナが嬉しそうに笑った。


「どういたしまして!」


 ルナが大きく手を振る。


 ルミナタートルはしばらくその場にいたあと、ゆっくりと頭を上げた。


「なんだか可愛いね」


 フェリシアが笑う。


「うん! すっごく可愛い!」


 ……五メートル以上ある巨大な亀だけどね。


 まあ、気持ちは分かる。


 テリーもステフも、最初は魔物だった。


 でも、今では大切な仲間だ。


 魔物だからといって、必ずしも襲ってくるわけじゃないんだな。


 ◇


 ルミナタートルは、再び水の奥へ泳ぎ始めた。


 その周囲にはルミナフィッシュたちが集まっている。


 青白い光がゆっくりと遠ざかっていく。


「行っちゃったね」


 ルナが少し残念そうに呟いた。


「そうだね」


 フェリシアも水面を見つめている。


 俺は周囲を見回した。


「さて、俺たちも先へ進もうか」


「うん!」


 フェリシアが地図を広げた。


「十三階層への階段は、向こう側みたいだね」


 水辺に沿って、岩の道が続いている。


「じゃあ、行こうか」


「うん!」


 俺たちは歩き始めた。


 途中でルナが振り返る。


「あっ!」


「どうしたの?」


「亀、まだいるよ!」


 遠くの水面に、青白い光が見えた。


 ルミナタートルの大きな甲羅が、ゆっくりと動いている。


 その周囲をルミナフィッシュたちが泳いでいた。


「本当だね」


「また会えるかな?」


「どうだろう。でも、ここに来れば会えるかもしれないね」


「そっか!」


 ルナが笑った。


「じゃあ、また来たいな!」


 そのとき、ステフが俺の肩で鳴いた。


「キュ!」


「どうしたの、ステフ?」


 ステフは水面をじっと見つめている。


 すると、遠くにいたルミナタートルが、もう一度こちらを向いた。


「……あれ?」


 俺が首を傾げると、ルナが嬉しそうに声を上げた。


「ほら!亀もまた会いたいんだよ!」


「そうかもしれないね」


 俺は笑った。


 こういう出会いも、冒険の楽しさなんだろうな。


 ◇


 しばらく進むと、水辺の奥に大きな石の門が見えてきた。


 その先には、下へ続く階段がある。


「あっ!階段だ!」


 ルナが指差した。


「十三階層だね」


 フェリシアが地図を確認する。


「うん。次へ進めそうだね」


 俺は振り返った。


 遠くでは、まだ青白い光が揺れている。


 ルミナタートルとルミナフィッシュ。


 大きさも姿も違う魔物同士が、互いに助け合って暮らしている。


 こんな場所があるなんて、思ってもみなかった。


「アレン!」


 ルナが階段の前から呼んでいる。


「早く行こう!」


「うん!」


 俺は二人のもとへ向かった。


 次はどんな魔物がいるんだろう。


 まだまだ知らないことがたくさんありそうだ。


 俺たちは十三階層への階段を下り始めた。


【保有:101,960P】

【累計獲得P:559,170P】



最後まで読んでいただきありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
共生してる敵意のない魔物は攻撃しないように、ギルドに報告して欲しいな。 馬鹿が攻撃を掛けないように。
 こういう長閑な平和な展開は、先の悲惨な戦乱が在ってこそ物語として成り立つのだよなと思いながら読んでいます。  作者によっては、 この長閑な展開のみの話があったり、その逆のみの話があったり、それはそれ…
また会いたいならルナが見つけた狭い隙間道はギルドに報告しないようにしないとね 甲羅目当てに冒険者が来るかも?リッパーイールは仕方ないとして共生してる敵意のない魔物は不干渉がいいんじゃないかなと思う
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