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《剣聖》になった弟に追放された俺のスキルは《会員》でした ~ハズレスキルだと思っていたら、ポイントで好きな能力を買えるらしい~  作者: アカメノコバチ
第10章 再び南へ

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185/204

第185話 ミナリア西ダンジョン

新連載はじめました!

『王女殿下、まずは拳をお下げください ~転生執事と最強王女の成り上がり~』という作品です。

お手すきの際に是非!

https://ncode.syosetu.com/n5173mx/1からご覧いただけます。

 翌朝。


 俺たちは冒険者ギルドを訪れていた。


「あった! アレン、これ!」


 ルナが掲示板の前で手を振っている。


「ダンジョンの依頼?」


「うん!」


 俺とフェリシアも近づき、依頼書を覗き込んだ。


【Bランク依頼】


【ミナリア西ダンジョンの調査】


【調査内容:中層へ続く通路および魔物の生息状況】


「ミナリア西ダンジョンか……」


「ここから西にあるんだね!」


 ルナが地図を指差した。


「海沿いのダンジョンみたいだよ」


 フェリシアが言う。


「へえ。どんなところなんだろう」


「面白そう! 行ってみようよ!」


「うん。そうしようか」


 久しぶりのダンジョン探索だ。


 俺もちょっと楽しみだな。


 俺たちは依頼書を持って受付へ向かった。


 ◇


「ミナリア西ダンジョンの調査ですね」


 受付の女性が依頼書を確認した。


「はい。詳しい話を聞かせてもらえますか?」


「もちろんです」


 女性は地図を広げた。


「ミナリア西ダンジョンは、ここから西へ徒歩で二日ほどの場所にあります。海沿いの岩壁に入口がある洞窟型のダンジョンです」


「海の近くなんですね」


「ええ。実は、内部の一部が海とつながっているんですよ」


「中にも海があるの?」


 ルナが興味深そうに聞いた。


「大きな水場もあるそうです。ただ、気をつけていただきたいことがありまして……」


 女性が地図の一部を指差した。


「このダンジョンでは、潮の満ち引きによって通路の水位が変わるんです」


「潮の満ち引き?」


 フェリシアが聞き返す。


「はい。満潮になると、水没してしまう通路もあります。行きは通れても、帰りには通れなくなることがあるんですよ」


「それは危ないですね」


「ええ。ですから、魔物だけでなく水位の変化にも注意してください」


 なるほど。


 今まで探索してきたダンジョンとは、少し勝手が違いそうだ。


「今回の依頼では、中層へ続く通路の状態と、出現する魔物の種類を確認していただきます」


「分かりました」


「こちらが現在の地図です。過去の調査記録もお渡ししますね」


 地図には、いくつもの通路が描かれていた。


 ただし、奥へ進むほど書き込みが少なくなっている。


「奥の方は、まだ調べられていないんですか?」


「調査記録はあるのですが、水位によって通れる場所が変わるので、十分に確認できていないところもあるんです」


「そうなんですね」


「危険だと思ったら、無理に進まないでくださいね」


「はい。ありがとうございます」


 俺は地図と記録用紙を受け取り、《収納》にしまった。


「ねえ、どんな魔物が出るの?」


 ルナが聞いた。


「甲殻を持つ魔物が多いそうですよ。カニに似たものもいるそうです」


「大きなカニ!?」


 ルナの目が輝く。


「はい。素材もそれなりの値段で買い取れます」


「へえ!」


 どんな魔物なんだろう。


 新しいダンジョンに行くとなると、やっぱりわくわくするな。


 ◇


 ギルドを出た俺たちは、必要なものを確認した。


「食料は?」


「《収納》に入ってるよ」


「水も?」


「うん。十分ある」


「じゃあ、準備は大丈夫そうだね!」


 ルナが笑った。


 以前のダンジョン探索で使っていた道具も、ほとんど《収納》に入ったままだ。


 ランタンに縄、野営道具。


 必要なものは揃っている。


「じゃあ、出発しようか」


「うん!」


「ワフ!」


「キュ!」


 テリーとステフも元気よく鳴いた。


 俺たちはミナリアを出て、西へ向かった。


 ◇


 海沿いの街道を進む。


 片側には丘が続き、反対側には青い海が広がっていた。


 潮風が気持ちいい。


「ねえ、アレン!」


「何?」


「久しぶりのダンジョンだね!」


「そうだね」


「どんな魔物がいるのかな!」


 ルナが楽しそうに言う。


「カニみたいな魔物がいるって言ってたね」


 フェリシアが答えた。


「大きいのかなあ?」


「普通のカニよりは大きそうだね」


 俺が言うと、ルナが笑った。


「楽しみ!」


 ルナは本当に冒険が好きなんだな。


 もちろん、俺も楽しみだ。


 まだ知らない場所へ行き、初めて見る魔物と出会う。


 考えてみれば、ダンジョン探索にはそういう面白さがあった。


 道中では、テリーが周囲の様子を確かめながら歩いていた。


 ステフはときどき翼を広げ、俺たちの頭上を飛んでいる。


 夕方には街道沿いの宿場へ到着した。


 そこで一泊し、翌朝また西へ向かう。


 そして、二日目の午後。


「あっ!」


 ルナが前方を指差した。


「あれじゃない!?」


 海沿いの岩壁に、大きな洞窟が口を開けていた。


 入口の周辺には、数人の冒険者が集まっている。


「たぶん、そうだね」


 俺たちは洞窟へ近づいた。


 ◇


 ミナリア西ダンジョン。


 入口は思っていた以上に大きかった。


 海に面した岩壁にぽっかりと穴が開いており、奥は薄暗い。


 どこからか波の音が響いてくる。


「すごいね……」


 フェリシアが洞窟を見上げた。


「本当に海のすぐ近くだ!」


 ルナも興味津々だ。


 入口の脇では、何人かの冒険者が装備を整えていた。


 俺たちも少し離れた場所で地図を広げる。


「まずは浅いところから調べようか」


「うん!」


「水位が変わる場所には気をつけようね」


 フェリシアが言った。


「そうだね。帰り道が塞がれないようにしないと」


 俺は地図をしまった。


「じゃあ、行こうか」


「うん!」


 テリーとステフを連れ、俺たちは洞窟へ入った。


 ◇


 中へ入ると、ひんやりとした空気が肌に触れた。


 足元には濡れた岩が続き、壁のあちこちから水が滴っている。


 奥からは波の音が聞こえていた。


「何だか不思議な感じだね」


 ルナが辺りを見回す。


「普通の洞窟とは違うね」


 フェリシアが答えた。


 岩壁には水が流れた跡があり、ところどころに小さな貝殻も落ちている。


 本当に海とつながっているんだな。


 俺は《魔力感知》を使った。


 ……あ。


 少し先に反応がある。


 一つだけ。


「この先に魔物がいるみたい」


「もう?」


 ルナの目が輝いた。


「うん。気をつけて進もう」


 俺たちは通路を進んだ。


 しばらくすると、少し広い場所に出た。


 足元には浅い水溜まりがいくつもできている。


 そして、岩陰から何かが動く音が聞こえた。


 ガサッ。


「……あ!」


 ルナが声を上げる。


 現れたのは、大きなカニだった。


 いや、普通のカニとは大きさが違う。


 甲羅の幅だけでも一メートルほどあり、両側には巨大なハサミがついている。


 灰青色の甲羅は、まるで岩のようにごつごつしていた。


「うわ、大きい!」


 ルナが驚く。


「あれがシオガラガニかな?」


 フェリシアが杖を構えた。


「たぶんね」


 俺は魔物の動きを観察した。


 シオガラガニは身体を横に動かしながら、こちらを警戒している。


 大きなハサミを持ち上げた。


「甲羅が硬そうだね」


 フェリシアが言う。


「うん。でも、関節の部分なら攻撃が通りそうだ」


「じゃあ、私が狙うね!」


 ルナが弓を構える。


「私はハサミを抑えるよ」


 フェリシアも準備を整えた。


「分かった。じゃあ、お願い」


 俺は竜爪剣を抜いた。


 ◇


「ギシャアッ!」


 シオガラガニが動いた。


 横向きのまま岩場を駆け、大きなハサミを振り上げる。


 見た目よりも素早い。


「《魔弾》!」


 フェリシアが魔弾を放った。


 ドンッ!


 魔弾がハサミに命中し、振り下ろされるはずだった腕が横へ弾かれる。


 シオガラガニの脚の付け根が露わになった。


 ルナが矢を放つ。


 シュッ!


 矢は硬い甲羅を避け、脚の関節に正確に突き刺さった。


「ギシャッ!?」


 魔物の身体が傾く。


 さすがルナだ。


 あの小さな隙間を、迷わず射抜くんだから。


「アレン!」


「うん!」


 俺は地面を蹴った。


 一瞬でシオガラガニとの距離を詰める。


 魔物が残ったハサミを振り上げた。


 でも、その動きは俺にはゆっくりと見えた。


 ハサミが振り下ろされるより早く、懐へ潜り込む。


 そして、竜爪剣を一閃。


 ザシュッ!


【220P獲得】


 シオガラガニの身体が崩れ落ちた。


「……よし」


 俺は剣を収めた。


「やった!」


 ルナが嬉しそうに笑う。


「やっぱりアレンは速いね!」


「二人が動きを止めてくれたからだよ」


「でも、私たちが攻撃したあと、もう倒してたよ?」


 フェリシアが笑った。


「そうかな?」


「そうだよ!」


 ルナが頷く。


 まあ、俺も以前よりずっと速く動けるようになっている。


 最近は、その力を当たり前のように使っているけど。


「それにしても、すごい甲羅だね」


 フェリシアが倒れた魔物を眺めた。


「うん。かなり硬そうだ」


「でも、関節はちゃんと狙えたよ!」


 ルナが得意そうに胸を張る。


「さすがだね」


 俺はシオガラガニに近づいた。


 この甲羅も、素材として売れるんだろうな。


「《収納》」


 魔物の身体が消えた。


「じゃあ、先へ進もうか」


「うん!」


 ◇


 俺たちは地図を確認しながら、さらに奥へ進んだ。


 途中には、いくつもの分かれ道があった。


 壁には水が流れた跡が残り、足元が濡れている場所も多い。


「この先、二つに分かれてるみたいだね」


 フェリシアが地図を覗き込んだ。


「うん。片方は水が溜まっている通路みたい」


 やがて分岐点に到着した。


 左側は地面が低くなっており、奥の方まで水が溜まっていた。


 一方、右側は高い岩場の通路になっている。


「どっちに行く?」


 ルナが聞く。


「ちょっと待って」


 フェリシアが左側の通路を指差した。


「あそこの水、動いてない?」


「……あ」


 確かに、水面がゆっくりと揺れていた。


 壁をよく見ると、俺の腰よりも高い位置に、水が届いた跡が残っている。


「満潮になると、ここまで水が来るのかな」


「そうかもしれないね」


 フェリシアが頷いた。


「今は通れても、帰りに水没してたら困るよね」


「じゃあ、右に行こう!」


 ルナが岩場の通路を指差した。


「うん。そっちにしようか」


 俺は地図を広げ、左側の通路に印をつけた。


 水位が変わる場所は、ちゃんと記録しておこう。


 今回の依頼は調査だ。


 魔物を倒すだけじゃなく、こういう情報も大切なんだろう。


 右側の通路は、地面が周囲より高くなっていた。


 足元は乾いており、壁にも水が届いた跡は見当たらない。


「こっちなら、帰りも通れそうだね」


 フェリシアが言った。


「うん。念のため、途中でも確認しながら進もう」


 俺たちはさらに奥へ向かった。


 ◇


 岩場の通路を進んでいく。


 足元には大小の石が転がり、ところどころに段差があった。


 テリーは器用に岩を越えていく。


「ワフ!」


「テリー、速いね!」


 ルナが笑った。


 ステフも小さく翼を広げ、低い位置を飛んでいる。


「キュ!」


「ステフ、あまり先へ行かないでね」


 フェリシアが声をかけた。


 しばらく進んだところで、ルナが足を止めた。


「……あれ?」


「どうしたの?」


「風が来てる」


 ルナが顔を上げる。


 俺も足を止めた。


 確かに、奥からひんやりした風が流れてくる。


「広い場所につながってるのかも」


 ルナが言った。


「そうなの?」


「うん。さっきまでとは風の流れが違うんだ」


 俺も耳を澄ませた。


 ……水の音がする。


 でも、入口の近くで聞いたものとは違う。


 もっと広い場所で、水が動いているような音だ。


「行ってみようか」


「うん!」


 俺たちは慎重に進んだ。


 やがて、通路の先に青白い光が見えてきた。


「……何だろう?」


 ルナが足を速める。


「ルナ、気をつけて」


「うん!」


 俺たちは光の方へ向かった。


 そして、通路を抜けた。


「…………!」


 思わず足が止まった。


 目の前に、巨大な空間が広がっていた。


 天井は高く、無数の鍾乳石が垂れ下がっている。


 岩壁のあちこちには、青白く光る鉱物が埋まっていた。


 その光が、広い空間を淡く照らしている。


 そして、その下には……。


「……すごい」


 思わず声が漏れた。


 巨大な湖が広がっていた。


 青白い光を映した水面が、遠くまで続いている。


 ときおり小さな波が岩壁にぶつかり、静かな音を響かせていた。


「これ……海なの?」


 ルナが目を丸くする。


「海につながっているのかもしれないね」


 フェリシアが言った。


 確かに、潮の匂いがする。


 海の水が、こんな地下深くまで入り込んでいるのか。


「すごいね……」


 フェリシアも感心している。


「うん」


 俺たちはしばらく湖を眺めていた。


 青白い光が水面に揺れ、天井の鍾乳石がその上に影を落としている。


 地上では、こんな景色は見られないだろう。


「ねえ、アレン!」


 ルナが遠くを指差した。


「あそこ!」


 湖の対岸に、大きな岩の門のようなものが見えた。


 その奥は暗く、さらに通路が続いているらしい。


「あっちにも行けるのかな?」


「どうだろう」


 俺は地図を取り出した。


 現在地を確かめる。


「この辺りから、中層へ続くみたいだね」


「じゃあ、あの門の向こうかな?」


「その可能性はあるね」


 フェリシアが湖を見つめた。


「でも、どうやって渡るんだろう?」


 確かに。


 湖は広く、対岸まではかなり距離がある。


 泳いで渡るのは避けたいところだ。


 すると、ルナが首を傾げた。


「……あれ?」


「どうしたの?」


「さっきより、水が減ってない?」


「えっ?」


 俺も水面を見た。


 よく見ると、岸辺にあった水の線が少しずつ下がっている。


 しばらく待つ。


 すると、湖の中央付近に何かが見えてきた。


「あっ!」


 ルナが指差す。


「石が出てきた!」


 水面から、大きな平たい石が姿を現した。


 一つ。


 二つ。


 さらにその向こうにも。


 まるで、対岸へ向かって並んでいるようだ。


「……なるほど」


 フェリシアが呟いた。


「潮が引くと、道が現れるんだね」


「そうみたいだ」


 俺は周囲を見渡した。


 石の並ぶ先には、対岸の岩の門がある。


 これなら、水位が十分に下がれば歩いて渡れるかもしれない。


「すごい!」


 ルナの目が輝いた。


「ダンジョンの中なのに、時間によって道ができるんだ!」


「面白いね」


 フェリシアも笑った。


「でも、帰りに水が増えるかもしれないから、渡る前にちゃんと確認しようね」


「うん。そうだね」


 俺も頷いた。


 幸い、ここまでは水に沈まない高い通路を通ってきた。


 帰り道は確保できている。


 あとは、湖を渡れる時間を確かめればいい。


 俺は地図に石の並ぶ位置を書き込んだ。


 水位が変わるにつれて、さらに石が現れてくる。


「ねえ、アレン!」


 ルナが嬉しそうに笑った。


「向こうまで行ってみようよ!」


「うん。安全に渡れるのを確認したらね」


「やった!」


 俺も湖の向こうにある門を見つめた。


 あの先には、何が待っているんだろう。


 久しぶりのダンジョン探索。


 やっぱり、冒険って面白いな。


【保有:96,400P】

【累計獲得P:553,610P】



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― 新着の感想 ―
主人公はいい加減魔法の習得はしないのか? ルナの回復魔法やフェリシアの魔法はスキルではなく学んで習得したものだよね 魔法使いに必要なスキルを沢山取ってるのになんで学ばないとダメってなっただけで一切習得…
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