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《剣聖》になった弟に追放された俺のスキルは《会員》でした ~ハズレスキルだと思っていたら、ポイントで好きな能力を買えるらしい~  作者: アカメノコバチ
第2章 ダンジョンへ行こう

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18/202

第18話 強くなった魔弾

 翌朝。


 《銀麦亭》で朝食を済ませ、俺たちは冒険者ギルドへ向かった。


 今日は七階へ行く。


 Dランク用の掲示板を確認すると、ちょうどいい依頼があった。


【グランドリザード 二体討伐】


【対象:ベルガント西部ダンジョン第七階層】


【報酬:120,000ジェニー】


「これにします?」


「はい」


 依頼書を受付へ持っていく。


 いつもの受付嬢は内容を確認すると、少し驚いた顔をした。


「七階へ行かれるんですか?」


「そのつもりです」


「昨日まで六階でしたよね?」


「はい」


「……分かりました。ただ、七階からは魔物もさらに強くなります。

無理だと思ったらすぐに戻ってきてください」


「分かりました」


 依頼を受け、ダンジョンへ向かった。


 ◇


 一階から六階までは、ほとんど足を止めずに進んだ。


 二階でケイブラットを六体倒す。


【30P獲得】


 三階ではストーンリザードが一体現れた。


 飛びかかってきたところをかわし、腹へ剣を入れる。


【120P獲得】


【累計獲得P:10,150P】


【保有:440P】


 それ以外の魔物とはほとんど遭遇せず、そのまま六階を抜けた。


 七階へ続く階段の前で、フェリシアが立ち止まる。


「いよいよですね」


「魔弾、試してみましょう」


「はい。魔力が増えて、どこまで変わるのか見てみたいです」


 二人で階段を下りた。


 ◇


 七階は六階よりも通路が広かった。


 岩壁は湿っていて、ところどころ水が滴っている。


 ランタンを持って進んでいると、大きな身体が通路の奥から現れた。


「グランドリザードです」


 依頼書に描かれていた魔物だ。


 四本脚の巨大なトカゲ。


 三階にいたストーンリザードより二回り近く大きく、背中から脇腹まで分厚い鱗に覆われている。


「グルルル……」


 グランドリザードが低く唸った。


「まず私が撃っていいですか?」


「お願いします」


 フェリシアが杖を向ける。


「《魔弾》!」


 光弾が飛ぶ。


 バシッ!


 グランドリザードの肩へ命中した。


「グギャッ!」


 だが、分厚い鱗にはほとんど傷がない。


「……威力は前と変わってないですね」


「魔力は増えてるんですけどね」


 フェリシアが杖の先を見る。


 グランドリザードが動いた。


「《魔弾》!」


 二発目。


 今度は外れる。


 グランドリザードがそのままフェリシアへ走ってきた。


 俺が間へ入ろうとする。


「大丈夫です!」


 フェリシアが横へ動いた。


 巨大な顎が空を切る。


 共有のおかげで、七階でも身体の動きには十分ついていけている。


「《魔弾》!」


 三発目が前脚へ当たった。


 グランドリザードの動きがわずかに鈍る。


 フェリシアが距離を取った。


「普通に撃つだけだと、やっぱり前と同じです」


「でも、使える魔力は増えてるんですよね」


「はい」


 フェリシアが少し考える。


「だったら、一発に使う魔力を増やせるかもしれません」


「そんなことできるんですか?」


「やってみます」


 フェリシアはすぐには撃たなかった。


 杖の先へ意識を集中する。


 少しずつ光が大きくなる。


 いつもの《魔弾》より明らかに魔力が集まっていた。


「グルアアッ!」


 グランドリザードが再び走る。


「フェリシアさん!」


「もう少し……!」


 距離が縮まる。


 フェリシアが顔を上げた。


「《魔弾》!」


 ドンッ!


 さっきまでとは違う音がした。


 光弾がグランドリザードの肩へ直撃する。


「グギャアッ!」


 分厚い鱗が割れた。


「……割れた」


 フェリシア自身が一番驚いていた。


「かなり違いますね」


「はい。いつものより、ずっと魔力を入れました」


 グランドリザードが身体を起こす。


「仕留めます」


「お願いします!」


 踏み込む。


 動きは十分見える。


 割れた鱗のところへ剣を入れた。


「グギャッ!」


 もう一撃。


 巨体が地面へ倒れた。


【500P獲得】


【累計獲得P:10,650P】


【保有:940P】


「五百P」


「七階だけあって多いですね」


 魔石と鱗を回収する。


 フェリシアはまだ杖の先を見ていた。


「どうしました?」


「使い分けられそうです」


「使い分け?」


「今まで通りなら、すぐ撃てますし魔力もあまり使いません。

でも、さっきみたいに多く魔力を込めれば、時間はかかりますけど威力を上げられます」


「なるほど」


「相手によって変えた方がよさそうです」


 フェリシアが少し嬉しそうに笑った。


「練習してみます」


 ◇


 さらに七階を進む。


 次に現れたのは、アーマードエイプより一回り小さな猿型の魔物だった。


 口から長い牙が伸びている。


「ファングエイプです!」


「ウギャアッ!」


 地面を蹴る。


 速い。


 最初からフェリシアを狙っていた。


「《魔弾》!」


 今度は溜めない。


 すぐに一発。


 ファングエイプが身体をひねってかわす。


 そのまま横から回り込む。


 フェリシアも動いた。


「《魔弾》!」


 二発目が脚へ当たる。


「ギャッ!」


 速度が少し落ちる。


 フェリシアがさらに距離を取った。


「《魔弾》!」


 三発目。


 同じ脚。


 ファングエイプの体勢が崩れる。


 俺が踏み込んだ。


 首へ剣を入れる。


【450P獲得】


【累計獲得P:11,100P】


【保有:1,390P】


「今度は多く込めなかったんですね」


「はい。あんなに速い相手だと、溜めてる間に近づかれちゃいます」


「確かに」


「普通に撃つ方と、強く撃つ方。両方練習します」


「いいと思います」


 俺たちはさらに奥へ進んだ。


 ◇


 二体目のグランドリザードを見つけたのは、それからしばらくしてからだった。


「グルルル……」


「今度こそ私だけで鱗を割ってみます」


「お願いします」


 フェリシアが杖を向ける。


 最初からいつもより多く魔力を込め始めた。


 光が大きくなる。


「《魔弾》!」


 放たれた。


 だが、グランドリザードが首を動かす。


 高出力の魔弾は肩の横を抜け、岩壁へぶつかった。


「外した!」


 グランドリザードが走ってくる。


 フェリシアは横へかわしながら距離を取る。


「やっぱり、溜めながら狙うのは難しいですね」


 今度はすぐに撃った。


「《魔弾》!」


 前脚へ命中。


 もう一発。


「《魔弾》!」


 同じ場所に当たる。


 グランドリザードの動きが鈍った。


 そこでフェリシアが足を止める。


 杖の先へ魔力を集めた。


「今度こそ……!」


 グランドリザードはまだ思うように走れない。


「《魔弾》!」


 ドンッ!


 高出力の一撃が脇腹へ入った。


 鱗が割れる。


「やった!」


「行きます!」


 割れたところへ剣を入れた。


 もう一撃。


【500P獲得】


【累計獲得P:11,600P】


【保有:1,890P】


 フェリシアが駆け寄ってくる。


「今のはよかったですね」


「はい。最初から強いのを狙う必要はないんですね」


「動きを止めてからなら当てやすいですし」


「普通の魔弾で動きを止めて、強い方を当てる」


 フェリシアが頷く。


「これなら使えそうです」


 依頼対象は二体とも倒した。


 まだ時間はある。


「どうします?」


 俺が聞く。


 フェリシアは少し考えてから答えた。


「もう少し行きません?」


「大丈夫ですか?」


「はい。七階でも戦えそうです」


「俺もまだ余裕があります」


「じゃあ行きましょう」


 その後もしばらく七階を探索し、夕方になる前に戻ることにした。


 ◇


 ギルドへ戻り、グランドリザード二体分の討伐証明を出す。


「確認しました。依頼達成です」


 報酬は十二万ジェニー。


 続いて今日集めた素材を査定してもらう。


 グランドリザード二体分の魔石と鱗。


 ファングエイプの魔石と牙。


 道中で倒した魔物の素材。


 査定額は四十三万ジェニーだった。


「依頼報酬と合わせて、五十五万ジェニーです」


「五十五万……」


 フェリシアが金額を見る。


 二人で分ければ、一人二十七万五千ジェニー。


「七階になると、また上がりましたね」


「素材の質も高くなりますから」


 受付嬢が答える。


「それにしても……」


「どうしました?」


「七階の依頼を受けたの、今朝ですよね?」


「はい」


「怪我もないんですか?」


「ありません」


 受付嬢が俺とフェリシアを交互に見る。


「……すごいですね」


 フェリシアが少し笑った。


「七階でも大丈夫そうです」


「もうですか?」


「はい」


 受付嬢は何か言いたそうだったが、それ以上は言わなかった。


 そのとき、表示が現れる。


【依頼達成を確認しました】


【100P獲得】


【本日の獲得P:1,700P】


【累計獲得P:11,700P】


【保有:1,990P】


 依頼を達成した分もしっかりPになった。


 ◇


 夜。


 《銀麦亭》の部屋で《会員》を開いた。


【保有:1,990P】


 能力強化なら一回買える。


【筋力強化(大) 1,000P】


【耐久強化(大) 1,000P】


【敏捷強化(大) 1,000P】


【魔力強化(大) 1,000P】


 その下にある《固有スキル購入》も開く。


【《付与》 10,000P】


 今回は使わない。


 《付与》を買うまでは貯めると決めた。


 表示を閉じ、一階の食堂へ下りる。


 フェリシアは先に席についていた。


「明日はどうします?」


「高出力の魔弾をもう少し練習したいです」


「じゃあ七階?」


 フェリシアが少し笑う。


「……八階、行ってみません?」


「俺もそう言おうと思ってました」


「じゃあ決まりですね」


 明日は八階だ。


累計獲得P=11,700P



最後まで読んでいただきありがとうございます。

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