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《剣聖》になった弟に追放された俺のスキルは《会員》でした ~ハズレスキルだと思っていたら、ポイントで好きな能力を買えるらしい~  作者: アカメノコバチ
第9章 ドラン帝国、サハル王国侵攻

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第174話 Sランク

 数日後。


 俺たちはサハル王都へ到着した。


「大きいね」


 ルナが前を見る。


「うん」


 高い城壁。


 その向こうには、たくさんの建物が並んでいる。


 さらに奥には大きな王宮。


「ワフ!」


「キュ!」


 テリーとステフも一緒だ。


 そして、その後ろには。


「……」


 大きなフェンリル。


 テリーのお母さんもいる。


 もう普通に歩けるくらいまで回復していた。


 ◇


「止まれ!」


 王宮の門へ近づいたところで、衛兵がこちらを見た。


「……ん?」


 一人の顔が固まる。


「フェ、フェンリル!?」


「え?」


「フェンリルだ!」


 衛兵たちが一斉に槍を構えた。


「待ってください!」


 ルナが慌てて前へ出る。


「敵じゃありません!」


「だが!」


「テリーのお母さんです!」


「テリー?」


「この子です」


「ワフ!」


 衛兵がテリーを見る。


 次に、その何倍も大きな母親を見る。


「いや、そう言われても……」


「ですよね」


 俺もそう思う。


「グル……」


「お、おい!」


 母フェンリルが動いただけで、衛兵たちが一歩下がった。


「大丈夫です」


「本当か?」


「はい」


 今度は迷わず答えた。


 そこへ王宮の騎士が走ってくる。


「アレン・ヴァルディス殿ですね?」


「はい」


「話は伺っております」


 騎士が俺たちを確認する。


 そして、やっぱり母フェンリルのところで止まった。


「……こちらも報告にあったフェンリルですか?」


「はい。薬で操られていたんです」


「なるほど」


 少し考える。


「申し訳ありませんが、王宮内へ入れることはできません」


「分かりました」


「騎士団の訓練場に隣接した庭を使ってください。そこなら問題ありません」


「ありがとうございます」


 ルナがテリーたちを見る。


「ここで待っててね」


「ワフ!」


「グル」


「キュ!」


 ステフもテリーの横へ移動した。


「ステフも残るの?」


「キュ!」


「そっか」


 三匹なら寂しくないだろう。


「じゃあ、行ってくるね」


「ワフ!」


 俺とフェリシア、ルナの三人で王宮へ入った。


 ◇


 長い廊下を歩く。


「緊張する?」


 フェリシアが聞く。


「少し」


「私はかなり緊張してる」


「私も」


 ルナも小さく頷いた。


 やがて、大きな扉の前へ着く。


「アレン・ヴァルディス殿」


「はい」


「フェリシア・ロート殿」


「はい」


「ルナ・アルヴェイン殿」


「はい」


「お入りください」


 扉が開く。


「……」


 広い。


 奥には国王。


 その周囲には重臣や軍人たちが並んでいる。


 三人で前へ進み、指定された場所で止まった。


「アレン・ヴァルディス」


「はい」


「フェリシア・ロート」


「はい」


「ルナ・アルヴェイン」


「はい」


 国王が俺たちを見る。


「まずは三人とも、よく帰ってきてくれた」


「ありがとうございます」


 三人で頭を下げる。


「今回のドラン帝国による侵攻では、多くの者が命を落とした。ドレイモンド公爵も、その一人だ」


「……」


「だが、帝国軍の侵攻は退けられた」


 国王の視線が俺たちへ向く。


「その勝利に、三人が大きく貢献したと報告を受けている」


 一人の役人が前へ出た。


「ルナ・アルヴェイン殿」


「はい!」


「スコッティ公爵軍撤退時における負傷者への治療支援。遠距離からの敵指揮官及び魔法士への攻撃。また、トンプソン大橋攻略において敵伝令を阻止」


 ルナが小さく頭を下げる。


「フェリシア・ロート殿」


「はい」


「敵軍による大規模な矢の攻撃を迎撃。帝国魔法部隊からの攻撃を複数回阻止。撤退戦及び反攻作戦においても前線を支援」


「はい」


「そして、アレン・ヴァルディス殿」


「はい」


「スコッティ公爵軍救援。帝国軍中央突破。バスク将軍討伐。トンプソン大橋攻略」


 そこまで読み上げて。


 一度、間が空いた。


「さらに、ドラン帝国第十三皇子――《雷帝》ジェリド討伐」


「……」


 一瞬。


 あの顔が浮かんだ。


『あ』


「……」


 手に力が入る。


「アレン?」


 フェリシアの小さな声。


「大丈夫」


 前を見る。


 国王が俺を見ていた。


「アレン」


「はい」


「お前がジェリド皇子を討たなければ、北部ではさらに大きな被害が出ていたであろう」


「……はい」


「三人とも、よくやってくれた」


「ありがとうございます」


「よって、王国より今回の戦功に対する報奨を与える」


 役人が再び紙を見る。


「アレン・ヴァルディス殿。五千万ジェニー」


「……五千万?」


 思わず聞き返した。


 周囲から小さな笑いが起きる。


「不満か?」


 国王が聞く。


「いえ! 逆です!」


「そうか」


 国王が少し笑った。


「フェリシア・ロート殿。二千万ジェニー」


「ありがとうございます」


「ルナ・アルヴェイン殿。一千五百万ジェニー」


「……そんなに?」


「ルナ」


「あっ、すみません!」


 また周囲から笑いが起きる。


「三人とも」


 国王の声が少し低くなった。


「これは命を懸けたことへの代価ではない」


「……」


「命に値段など付けられん」


 国王が俺たちを見る。


「王国を守った功績に対する、我々からの感謝だ」


「ありがとうございます」


 今度は素直に頭を下げることができた。


 ◇


「さて」


 国王が言う。


「王国からの話は以上だ」


「?」


「だが今日は、もう一人、お前たちに会うために来た者がいる」


 扉が開いた。


 一人の男が入ってくる。


 六十歳くらいだろうか。


 大柄な男だ。


 短い髪には白いものが混じっている。


 貴族のような派手な服装ではない。


 それなのに男が歩いてくると自然と周囲が道を空けた。


「え……」


 フェリシアが小さく声を漏らす。


「知ってる人?」


「アレン、本当に知らないの?」


「うん」


「嘘でしょ……」


 男が俺たちの前まで来た。


「初めましてだな」


「はい」


「レオルド・グランツだ」


「レオルド……」


「冒険者ギルド総本部の総長を務めている」


「……え?」


 総長?


「アルスレイン、セルヴァン、サハルをはじめ、各国の冒険者ギルドを統括している」


「すごい人?」


「すごい人!」


 フェリシアが即答した。


「そうなの?」


「何で知らないのよ!」


「すみません」


 レオルドさんが笑った。


「構わん」


「え?」


「冒険者が俺の顔を知っている必要はない」


「そうなんですか?」


「依頼の内容と、帰る場所さえ知っていれば十分だ」


「……」


 なんか。


 ちょっと好きかもしれない。


「さて」


 レオルドさんが俺たちを見る。


「まずは冒険者として、一つ仕事を終わらせてもらう」


「仕事?」


 一枚の紙を取り出す。


「お前たちが受注した緊急依頼」


 そして読み上げた。


「《スコッティ公爵領東部・避難民誘導及び護衛》」


「あ」


 そうだった。


 元々、俺たちはこの依頼を受けていた。


「本来の目的は、帝国軍との戦闘ではない」


「はい」


「領民を安全な場所へ避難させること」


「はい」


「その目的は達成された」


 レオルドさんが書類を閉じる。


「よって、冒険者ギルドは本依頼を正式に達成と認定する」


 その瞬間。


【依頼達成を確認しました】


【100P獲得】


「……!」


 表示が出た。


 依頼達成。


 人を倒した時とは違う表示。


「……」


 ほんの少し肩の力が抜けた。


「三人には通常の依頼報酬に加え、今回の働きに対する特別加算を支払う」


「いくらですか?」


 フェリシアが聞く。


「一人一千万ジェニー」


「……え?」


 三人とも黙った。


「一千万?」


「ああ」


「一人?」


「ああ」


「三人合わせてじゃなくて?」


「ああ」


「……」


 フェリシアが俺を見る。


「すごいね」


「うん」


「今回、そればっかりね」


「だって、すごいから」


 レオルドさんが少し笑った。


「当然だ。当初の想定を遥かに超える危険に晒されたうえ、それ以上の成果を上げた」


 王国からの報奨と合わせれば。


 俺は六千万ジェニー。


 フェリシアは三千万。


 ルナは二千五百万。


「そんなにもらっていいんですか?」


 ルナが聞く。


「働きに対して報酬を払う。それがギルドだ」


「……はい」


「遠慮するな」


「ありがとうございます」


 ◇


「そして」


 レオルドさんが続ける。


「今回の依頼を含むこれまでの活動実績をもとに、冒険者ランクの再審査も行った」


「ランク?」


「ああ」


 レオルドさんが俺たちを見る。


「今回、昇格者は二名だ」


「二人?」


「まず」


 ルナを見る。


「ルナ・アルヴェイン」


「は、はい!」


「現Bランク」


「はい」


「これまでの依頼実績。治療能力。長距離狙撃。そして今回の戦時依頼における功績」


「……」


「総合的に審査した結果、本日付でAランクへ昇格する」


「……」


 ルナが固まった。


「ルナ?」


「A?」


「ああ」


「私が?」


「そうだ」


 新しい冒険者証が渡される。


 ルナが両手で受け取った。


 そこに書かれた文字を見る。


「……Aランク」


「やったね!ルナ!」


 フェリシアが嬉しそうに言う。


「うん……」


 少しずつルナの顔が笑顔になる。


「やった」


「おめでとう」


「ありがとう」


「そして、もう一人」


 レオルドさんが俺を見る。


「アレン・ヴァルディス」


「はい」


 さっきまでとは少し空気が変わった。


「現Aランク」


「はい」


 レオルドさんが手元の書類を見る。


 これまで倒してきた相手の名前が読み上げられる。


「各地における高難度依頼」


「……はい」


「救助実績」


「はい」


「ドラン帝国との戦闘」


「はい」


「バスク将軍討伐」


 そして。


「《雷帝》ジェリド討伐」


「……」


 また胸の奥が少し重くなる。


 でも、目は逸らさなかった。


「戦闘能力」


 レオルドさんが言う。


「依頼実績」


「はい」


「判断力」


「はい」


「救助実績。そして冒険者ギルド及び各国からの信用」


 一度言葉を止める。


「総本部で審査した」


「……」


「結果は全会一致だった」


「え?」


 レオルドさんが新しい冒険者証を取り出す。


「アレン・ヴァルディス」


「はい」


「本日付で、お前をSランク冒険者として認定する」


「……」


 差し出された冒険者証を受け取った。


【アレン・ヴァルディス】

【冒険者ランク:S】


「……」


 S。


「……Sランク」


「ああ」


 レオルドさんが頷く。


「お前は今日からSランクだ」


「……」


 最初は、ただ生きていくために冒険者になった。


 依頼を受けた。


 少しずつランクが上がった。


 仲間ができた。


 強い魔物とも戦った。


 そして、いつかSランクになりたいと思うようになった。


「……」


 冒険者証を見る。


「……嬉しいです」


 自然に言葉が出た。


「そうか」


 レオルドさんが笑う。


「なら、胸を張って受け取れ」


「はい!」


 冒険者証を握った。


 ◇


 王宮を出る。


「ワフ!」


「キュ!」


 庭で待っていたテリーとステフが走ってきた。


「ただいま」


「ワフ!」


「キュ!」


 その後ろには母フェンリル。


「グル」


「お待たせ」


 ルナがテリーの頭を撫でる。


「見て」


 新しい冒険者証を見せる。


【冒険者ランク:A】


「ワフ!」


「Aになったんだよ」


「ワフッ!」


「アレンは?」


「……」


 自分の冒険者証を見る。


【冒険者ランク:S】


「やったね」


 フェリシアが言う。


「ずっと目標にしてたでしょ?」


「うん」


「目標、達成だね」


「……うん」


 もう一度、Sの文字を見る。


 英雄と言われても、まだ自分のことだとは思えない。


 戦争に勝ったと言われても心から喜ぶことはできなかった。


 でも、これは。


「……やった」


 少しだけ笑った。


「うん」


「ワフ!」


「キュ!」


 ずっと目指していたSランク。


 ようやく手が届いた。


【保有:101,600P】

【累計獲得P:552,310P】



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1000万とか5000万ジェニーと言われてもリオン達の国のお金にしたら金貨100-500枚だし日本円だとそのまま1000-5000万円。なによりアレン達はダンジョン潜ったら数日で稼げてしまう額だからル…
ケモ吸いしていいぐらいお疲れ様なんですよアレン君。 ちょっとゆったり休憩していいきがする。 ママリル(母フェンリル)にゆったり背中預けておやすみしよう!!
この先はどうするんだろうか? 元Sランク冒険者、引退後スローライフを目指すが周りが許してくれません が始まる?
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