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《剣聖》になった弟に追放された俺のスキルは《会員》でした ~ハズレスキルだと思っていたら、ポイントで好きな能力を買えるらしい~  作者: アカメノコバチ
第9章 ドラン帝国、サハル王国侵攻

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第170話 雷帝を討つ

「行くぞ!」


 スコッティ公爵が剣を抜いた。


「ジェリド軍の背後を突く!」


「おおおおおっ!」


 騎士たちが一斉に馬を走らせた。


「行こう!」


「うん!」


「はい!」


 俺たちも続く。


 丘を一気に駆け下りる。


 目の前にはドラン軍。


 その向こうでは、サハル軍との戦いがまだ続いている。


「敵だ!」


 一人のドラン兵がこちらに気づいた。


「後ろだ!」


「後方からサハル軍!」


「何だと!?」


 次々と兵士たちが振り返る。


「どうしてこっちから!」


「トンプソン大橋はどうした!」


 騒ぎが一気に広がった。


「前にもサハル軍がいるぞ!」


「挟まれた!」


「落ち着け!」


 指揮官らしい男が怒鳴る。


「後ろの敵は少数だ! 迎え撃て!」


 ドラン兵たちがこちらへ向きを変えた。


「行きます!」


 馬から飛び降りる。


 着地して、そのまま走った。


「止めろ!」


 槍が来る。


 身体をずらす。


 竜爪剣を振るった。


【人間討伐を確認しました】


【90P獲得】


 次。


【115P獲得】


 右から剣。


 受け流して斬る。


【130P獲得】


「アレン、前!」


「うん!」


 フェリシアの声。


 正面に兵士たちが集まっていた。


「《魔弾》!」


 いくつもの光が飛ぶ。


「うわっ!」


「散れ!」


 隊列が崩れた。


 その間へ飛び込む。


【160P獲得】


【210P獲得】


 止まらない。


「弓兵!」


 奥で指揮官が叫んだ。


「撃て!」


 ヒュッ!


「ぐっ!」


 その指揮官の胸に矢が刺さる。


「何っ!?」


 ルナだ。


 すぐに次の矢をつがえる。


「そこ」


 ヒュッ!


「がっ!」


 別の指揮官も倒れた。


「指揮官を狙われてるぞ!」


「弓兵はどこだ!」


「分からない!」


 敵の動きがさらに乱れる。


「今だ!」


 スコッティ公爵が叫んだ。


「一気に押し込め!」


「おおおおおっ!」


 騎士たちが突っ込んでいく。


 前からはサハル軍。


 後ろからは俺たち。


「どっちを向けばいいんだ!」


「前が押されてる!」


「後ろもだ!」


 ドラン軍が完全に混乱していた。


 でも、俺が見ているのは一人だけ。


「……いた」


 あれがジェリド。


◇


「殿下!」


「後方が突破されています!」


「王国騎士団です!」


「前方のサハル軍も攻勢に転じました!」


「……」


 ジェリドが周囲を見回した。


「殿下、ご指示を!」


「使えない者共め」


「……え?」


「たかが百にも満たない兵に、何を慌てている」


「ですが――」


「黙れ!」


 バチッ!


 ジェリドの身体から青白い光が弾けた。


「俺がやる」


「殿下?」


「前も後ろも関係ない」


 片手を上げる。


 バチバチバチッ!


 凄まじい魔力が集まり始めた。


 周囲にいたドラン兵たちの顔色が変わる。


「離れろ!」


「殿下が《雷神》を使われるぞ!」


「巻き込まれる!」


 味方まで慌てて逃げ始めた。


「最初からそうしていればよかったんだ」


 ジェリドが笑う。


「雑魚共が!」


 さらに雷が集まる。


「全部まとめて消してやる!」


◇


 来る。


 ジェリドが手を上げた。


 凄まじい魔力だ。


 まともに撃たせたらまずい。


「アレン!」


 後ろからスコッティ公爵の声が聞こえる。


「ジェリドを止めろ!」


「はい!」


 走る。


「殿下へ近づけるな!」


 兵士が前へ出た。


 斬る。


【95P獲得】


 次。


【145P獲得】


 二人が同時に来る。


 構わず踏み込んだ。


【180P獲得】


【250P獲得】


「止めろ!」


 今度は騎士。


 そのまま斬った。


【260P獲得】


 道が開く。


 ジェリドまで一直線。


「……」


 強い。


 間違いなく強い。


 あの雷を撃たれれば、何人死ぬか分からない。


 でも、怖くなかった。


 これまで何度も怖い思いをした。


 死ぬと思ったこともある。


 どうすれば生き残れるのか。


 どうすれば相手を倒せるのか。


 必死に考えてきた。


 だから分かる。


 ジェリドは違う。


 周りしか見ていない。


 前の軍。


 後ろの軍。


 どこへ雷を落とすか。


 自分のすぐ近くまで敵が来るなんて考えていない。


 自分が死ぬなんて最初から考えていない。


「雑魚共が!」


 ジェリドが腕を高く上げた。


 雷が一気に膨れ上がる。


「全員――」


 今だ。


 地面を蹴った。


 一気に距離を詰める。


「――消えろ!」


 手を振り下ろそうとした、その瞬間。


 ジェリドの目が俺を捉えた。


「……」


 目が見開かれる。


「あ」


 もう遅い。


 俺はジェリドの懐にいた。


 竜爪剣を両手で握る。


「はっ!」


 一気に振り抜いた。


 ガキンッ!


 硬い音が響く。


 豪華な鎧。


 きっと普通の剣じゃ斬れない。


 でも、竜爪剣は止まらない。


 鎧ごとジェリドを真っ二つに斬った。


「……」


 手に集まっていた雷が消える。


 ジェリドの身体が地面へ崩れ落ちた。


 動かない。


 即死だった。


 そして。


【人間討伐を確認しました】


【30,000P獲得】


「……!」


 三万。


 一瞬、数字を見た。


 レッドドラゴン。


 ゴールデンゴーレム。


 同じだ。


 人間一人で三万P。


 やっぱり、とんでもない強さだったんだ。


 でも戦いは強さだけじゃない。


「……殿下?」


 近くにいたドラン兵が呟いた。


「ジェリド殿下?」


 返事はない。


 兵士の顔から血の気が引いていく。


「嘘だ……」


「……」


「殿下が……」


 周囲の兵士たちも動きを止めた。


「ジェリド殿下が討たれた!」


「何!?」


「嘘だろ!」


「《雷帝》だぞ!」


「雷帝が……!」


 動揺が一気に広がる。


 その時、サハル側から大声が上がった。


「見ろ!」


「ジェリドだ!」


「ジェリドが倒れたぞ!」


 一人の騎士が剣を高く掲げた。


「皇子を仕留めたぞ!」


 一瞬の静寂。


 そして。


「うおおおおおおおおっ!」


 戦場が揺れた。


「ジェリド皇子を討ち取った!」


「雷帝を倒したぞ!」


「押せ!」


「今だ!」


 サハル軍の勢いが一気に増した。


「おおおおおっ!」


 前から。


 後ろから。


 ドラン軍へ襲いかかる。


「殿下が……」


「どうする!」


「誰が指揮を取るんだ!」


「退け!」


「どこへ退くんだ!」


「後ろにもサハル軍がいるぞ!」


 ジェリド軍が崩れていく。


 さっきまでサハル軍を押していた軍とは思えない。


「今だ!」


 スコッティ公爵の声が響いた。


「《雷帝》は討たれた!」


「前方の味方と挟み込め!」


「一人も好きに動かすな!」


「おおおおおっ!」


 騎士たちが俺の横を駆け抜けていった。


「アレン!」


 フェリシアが走ってくる。


「大丈夫!?」


「うん」


 ルナも追いついた。


「怪我は?」


「してないよ」


 二人が地面に倒れたジェリドを見る。


「この人が……」


「うん」


 フェリシアが戦場を見る。


「さっきまで、あんな雷を一人で……」


「すごく強かったよ」


 もう一度だけジェリドを見る。


「でも、終わった」


「アレン!」


 スコッティ公爵も来た。


「やったな!」


「はい」


 ジェリドを見て、息を吐く。


「……本当に《雷帝》を討ち取るとはな」


 すぐに顔を上げた。


「だが、まだ終わりではない」


「はい」


「ジェリドを失って敵は混乱している。今ここで崩し切る」


「分かりました」


 周囲ではサハル軍が勢いを増している。


 挟み撃ち。


 そして、その中心にいた《雷帝》はもういない。


「押し切るぞ!」


「はい!」


 竜爪剣を握り直した。


【保有:102,000P】

【累計獲得P:552,210P】



最後まで読んでいただきありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
緊迫感はあるんだけど、強敵も雑魚にみえるアレンの強さ ただポイント数が只者じゃなかったのを上手く示してるね 性格も悪そうだし、ちゃんと倒せてよかった
まさに才能にあぐらをかいてたって奴
そろそろ「何とかの目」を取得してくれー(もう正式名称も忘れてもうたよ、、) 転生ものじゃないからそこら辺の理解度が違うのがこの作品のいいところでもありもやもやするところだったりするのよね 自分だったら…
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