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《剣聖》になった弟に追放された俺のスキルは《会員》でした ~ハズレスキルだと思っていたら、ポイントで好きな能力を買えるらしい~  作者: アカメノコバチ
第9章 ドラン帝国、サハル王国侵攻

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第167話 バスク

「バスク!」


 叫びながら本陣へ向かう。


「将軍を守れ!」


「止めろ!」


 周囲にいた兵士たちが一斉に俺の前へ出てきた。


 十人。


 その後ろにもいる。


「囲め!」


「一人だ! 数で押せ!」


 右から剣。


 かわして斬る。


【280P獲得】


 左から槍。


 竜爪剣で弾き、そのまま踏み込む。


【340P獲得】


 二人が同時に来る。


 正面の剣を受け流し、もう一人の懐へ入った。


【195P獲得】


 身体を回す。


【310P獲得】


「くそっ!」


「何で止まらない!」


 さらに兵士が集まってくる。


 でも、その向こうではバスクの周囲が慌ただしくなっていた。


「将軍! 馬を!」


「急げ!」


 逃げるつもりだ。


「行かせない!」


「直属隊、前へ!」


 今までより立派な鎧を着た兵士たちが並ぶ。


 一人目。


 剣をかわす。


【360P獲得】


 二人目。


 槍を弾き、斬る。


【295P獲得】


 三人目。


【410P獲得】


「直属隊まで……!」


 ドラン兵たちの顔が変わった。


 それでも前へ出てくる。


「将軍を守れ!」


「ここを通すな!」


【330P獲得】


【275P獲得】


【385P獲得】


 次々と数字が流れる。


 昨日見た夢が頭をよぎった。


 俺が倒しているのは魔物じゃない。


 人間だ。


 それは分かってる。


 忘れちゃいけない。


 でも、ここでバスクを逃がせば戦いは続く。


「どいてください!」


 竜爪剣を振る。


【315P獲得】


「アレン!」


 後ろからクロードさんの声が聞こえた。


 振り返らない。


 本陣までもう少し。


「将軍、急いでください!」


 バスクが馬へ向かう。


「何をしている!」


 振り返り、兵士たちへ怒鳴った。


「たった一人だぞ!」


「止まらないんです!」


「馬鹿な!」


 その時、一人の男が俺の前へ出た。


「これ以上は行かせん」


 周囲の兵士が道を空ける。


「隊長!」


「将軍はお逃げください!」


 大きな剣を構える。


 今までの兵より強い。


「頼んだぞ!」


 バスクが馬へ向かう。


「行かせない!」


「お前の相手は俺だ!」


 男が踏み込んだ。


 大剣が横から来る。


 竜爪剣で受けた。


 ガンッ!


 すぐに二撃目。


 身体をずらす。


 地面を削るように大剣が通り過ぎた。


「はあっ!」


 三撃目。


 四撃目。


 速い。


 でも、全部見える。


「くっ!」


 男の顔が歪んだ。


「なぜ当たらん!」


 また大剣を振り上げる。


 その前に踏み込んだ。


「っ!」


「遅い!」


 懐へ入り、竜爪剣を振るう。


「ぐ……!」


 男が膝をついた。


「将……軍……」


 そのまま倒れる。


【480P獲得】


「隊長!」


 道が開いた。


「バスク!」


「っ!」


 バスクが馬へ飛び乗った。


「行け!」


 馬が走り出す。


「逃がさない!」


 地面を蹴った。


「アレン!」


 クロードさんの声。


 フェリシアとルナの声も聞こえる。


 それでも止まれない。


 バスクをここで逃がせば、西からの脅威が残る。


 ベルガント伯爵の作戦も崩れる。


 北へ向かうのも遅れる。


「止まれ!」


 さらに速度を上げた。


「なっ……!」


 バスクが振り返る。


「馬に追いつくだと!?」


 途中の兵士が俺の前へ入る。


「将軍を守れ!」


 一人。


【260P獲得】


 二人。


【305P獲得】


 三人。


【350P獲得】


 その後も何人もの兵士が立ちはだかった。


 数字が次々と視界を流れる。


 それでも走り続けた。


「くそっ!」


 バスクが馬を止めた。


 前からドラン兵たちが後退してきている。


 サハル軍が押し込んでいるんだ。


 別方向へ逃げようと馬首を向ける。


 でも、もう遅い。


「バスク!」


 追いついた。


「っ!」


 バスクが馬から飛び降り、剣を抜く。


「アレン・ヴァルディス……!」


「はい」


「どこまで私の邪魔をする!」


 剣を構える。


 俺も足を止めた。


 この人が。


 あの魔物たちを戦場へ放った。


「一つだけ聞かせてください」


「何だ!」


「あの魔物たちに薬を使わせたのは、あなたですか?」


 バスクが俺を見る。


 少しして鼻で笑った。


「ああ。それがどうした」


「……」


「使えるものを戦争に使った。それだけだ」


 テリーの母親を思い出す。


 拘束された跡。


 傷だらけの身体。


 薬で理性を失って暴れていた姿。


「そうですか」


「何だ?」


「分かりました」


 もう聞くことはない。


 竜爪剣を構える。


「ここで止めます」


「小僧が!」


 バスクが踏み込んだ。


 剣が来る。


 かわす。


「なっ!」


 すぐに振り返してきた。


 竜爪剣で弾く。


 ガンッ!


「くっ!」


 大きく体勢を崩した。


 強くない。


 少なくとも、ここまで倒してきた直属隊の騎士たちよりは。


「まだだ!」


 バスクがもう一度斬りかかってくる。


 身体をずらす。


 懐へ入った。


「……終わりだ」


「待――」


 竜爪剣を振り抜いた。


「ぐっ……!」


 バスクの身体が止まる。


 手から剣が落ちた。


「ば……かな……」


 膝をつく。


 そのまま倒れた。


【420P獲得】


「……」


 また一人。


 俺が殺した。


 一度だけ目を閉じる。


 息を吐いた。


「アレン!」


 声が近づいてくる。


「クロードさん」


 クロードさん。


 フェリシア。


 ルナも追いついた。


「一人で行かないでって言ったでしょ!」


「ごめん」


「本当にもう!」


「アレン、大丈夫?」


「うん」


 ルナが俺を見る。


「怪我は?」


「大丈夫」


 クロードさんは倒れている男を見た。


「……こいつがバスクか?」


「はい」


「討ったんだな」


「……はい」


「そうか」


 クロードさんはそれ以上何も言わなかった。


「バスク将軍が!」


 近くにいたドラン兵の声が響く。


「バスク将軍が討たれた!」


「何だと!?」


「将軍が!」


 声が周囲へ広がっていく。


「バスク将軍が討たれたぞ!」


 ドラン兵たちの動きが乱れた。


 剣を下げる者。


 後退する者。


 周囲を見回す者。


「今だ!」


 遠くからスコッティ公爵の声が響いた。


「敵将は討たれた!」


「残る敵を押し返せ!」


「おおおおおおっ!」


 サハル軍が一気に前へ出る。


「将軍がいない!」


「退け!」


「下がれ!」


 ドラン兵たちは次々と逃げ始めた。


 昨日のような統率された撤退じゃない。


 完全に崩れている。


「アレン!」


 ベルガント伯爵もこちらへ来た。


 倒れているバスクを見る。


「……討ったか」


「はい」


 ベルガント伯爵が小さく頷いた。


「よくやった」


「これで西は?」


「ああ」


 ベルガント伯爵が周囲を見る。


「少なくとも、すぐに我々の背後を脅かせる軍はなくなった」


「じゃあ……」


「予定通りだ」


 ベルガント伯爵が北を向く。


「次は北だ」


 俺も北を見る。


 ドレイモンド公爵軍は壊滅した。


 ヴァルディス侯爵家をはじめとした援軍も、今もそこで戦っている。


 そして、ドラン帝国第十三皇子ジェリド。


「行きましょう」


「ああ」


 西の戦いは終わった。


 次は、ジェリドを止める。


【保有:70,000P】

【累計獲得P:520,210P】



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― 新着の感想 ―
わざと逃がして瞬足で追いつく方がいいよね A級冒険者の何倍もステータスあるから普通は止められない 暗殺した方が楽にやれる 夜に監視の範囲外から一気に侵入してやるのがいいと思うし、 兵糧燃やすとか…
こういう絶対に討たないといけない奴は、隠密使って確実に暗殺すべきだと思いました。
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