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《剣聖》になった弟に追放された俺のスキルは《会員》でした ~ハズレスキルだと思っていたら、ポイントで好きな能力を買えるらしい~  作者: アカメノコバチ
第2章 ダンジョンへ行こう

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16/200

第16話 六階の日々

 それから三日間、俺たちは六階へ通い続けた。


 朝、《銀麦亭》で食事を取ってから冒険者ギルドへ行く。


 六階で達成できる依頼を受け、そのまま西部ダンジョンへ向かう。


 夕方まで戦い、集めた素材をギルドへ持ち帰る。


 宿に戻ったら湯で身体を洗い、食事をして眠る。


 そんな生活が始まった。


 ◇


 一日目。


 受けたのはアーマードエイプ二体の討伐依頼だった。


【アーマードエイプ 二体討伐】


【対象:ベルガント西部ダンジョン第六階層】


【報酬:80,000ジェニー】


 一階から五階までは、ほとんど足を止めずに抜ける。


 途中で何体か魔物を倒したが、大きな問題にはならなかった。


 六階へ着いて間もなく、アーマードエイプが現れた。


「ウオオオッ!」


 巨体がこちらへ走ってくる。


 昨日、初めて戦ったときは、動きを確認しながら慎重に戦った。


 今は違う。


 振り下ろされた拳を横へかわす。


 懐へ入った。


「はっ!」


 脚を斬る。


「ウオッ!」


 体勢を崩したところへ、もう一撃。


 アーマードエイプが腕を振り回すより早く背後へ回り、首元へ剣を入れた。


 巨体が倒れる。


【400P獲得】


「……早いですね」


 後ろからフェリシアの声がした。


「昨日より遅く見えました」


「アーマードエイプが?」


「はい」


「そんなことあります?」


「俺の方が速くなったんだと思います」


 魔石と使えそうな皮を回収し、さらに奥へ進んだ。


 次に現れたアーマードエイプはフェリシアへ向かった。


「《魔弾》!」


 胸に命中する。


 それでも止まらない。


 フェリシアが横へ動く。


 拳をかわし、距離を取った。


「《魔弾》!」


 二発目。


 今度は顔。


 アーマードエイプが怒ったように腕を振り上げる。


 フェリシアはすぐに後ろへ下がった。


「昨日より避けやすいです!」


 身体の動きには余裕が出ている。


 だが、アーマードエイプはまだ倒れない。


「《魔弾》!」


 三発目が肩へ当たった。


 俺が横から入り、脚を斬る。


 続けて首へ剣を入れた。


【400P獲得】


 フェリシアが倒れたアーマードエイプを見る。


「身体はすごく動くんですけどね」


「魔弾は?」


「昨日と変わらない気がします」


 自分の手を見る。


「共有で身体が強くなっても、魔法まで勝手に強くなるわけじゃないみたいです」


「そうみたいですね」


 その後も六階で戦い続けた。


 夕方までに依頼を終え、魔石や素材を抱えてギルドへ戻る。


 その日の依頼報酬は八万ジェニー。


 素材の買取は三十万ジェニーになった。


「合わせて三十八万ジェニーです」


 受付嬢から代金を受け取る。


 二人で分けて、一人十九万ジェニー。


「一日で十九万……」


「六階は稼げますね」


「危険なのも分かりますけど」


「はい」


【本日の獲得P:1,180P】


【累計獲得P:7,520P】


【保有:1,510P】


 ◇


 その夜。


 《銀麦亭》の部屋で《会員》を開いた。


【基礎能力】


【筋力:836】


【耐久:828】


【敏捷:881】


【魔力:18】


 昨日より少し上がっている。


 今日一日戦った分だろう。


 貯まったPは、その日のうちに強化へ回すことにした。


 筋力、耐久、敏捷をそれぞれ五回ずつ強化する。


【筋力強化(中)を5回購入しました】


【筋力:836 → 986】


【耐久強化(中)を5回購入しました】


【耐久:828 → 978】


【敏捷強化(中)を5回購入しました】


【敏捷:881 → 1,031】


【1,500Pを使用しました】


【保有:10P】


 さらに表示が増えた。


【前回購入後、基礎能力値1000以上への到達を確認しました】


【敏捷:次回購入分より上位能力帯強化が適用されます】


【敏捷強化(中) 200P】


「また上がったか」


 五百を超えたときは百Pになった。


 今度は二百P。


 表示を閉じた。


 翌朝、食堂へ下りると、フェリシアが俺を見るなり眉を上げた。


「また使いましたね?」


「分かります?」


「身体が昨日と違います」


「千五百P使いました」


「千五百……」


「ほとんど残ってません」


「本当に貯めませんね」


「また今日稼げばいいですから」


 フェリシアは呆れたように笑った。


 ◇


 二日目。


 六階へ着くころには、昨日よりさらに身体が馴染んでいた。


 アーマードエイプが二体同時に現れる。


「二体です!」


「俺が左をやります」


「はい!」


 一体目が拳を振り下ろす。


 かわす。


 腹へ剣を入れた。


 横から腕が飛んでくる。


 その下を抜ける。


 もう一撃。


【400P獲得】


 すぐに振り返った。


 もう一体はフェリシアを追っている。


「《魔弾》!」


 フェリシアが動きながら魔弾を撃つ。


 拳をかわし、少し距離を取る。


 また撃つ。


「《魔弾》!」


 昨日より余裕がある。


「フェリシアさん!」


「はい!」


 走る。


 アーマードエイプがこちらを向いた。


 振り下ろされた腕の横を抜け、腹へ一撃。


 そのまま背後へ回る。


「ウオッ!?」


 首へ剣を振った。


【400P獲得】


「もう一体倒してたんですか?」


「はい」


「早すぎません?」


「俺もそう思います」


 六階では、もう一体ずつならほとんど怖さを感じない。


 その日も夕方まで戦い続けた。


 依頼報酬と素材の買取を合わせて四十一万ジェニー。


 一人二十万五千ジェニー。


【本日の獲得P:1,230P】


【累計獲得P:8,750P】


【保有:1,240P】


 宿へ戻る。


 湯で身体を洗い、食事を取ってから《会員》を開いた。


【基礎能力】


【筋力:987】


【耐久:979】


【敏捷:1,033】


【魔力:18】


 今日も少しだけ基礎能力が伸びている。


 まず筋力を一回強化する。


【筋力強化(中) 100P】


【筋力:987 → 1,017】


 続いて耐久。


【耐久強化(中) 100P】


【耐久:979 → 1,009】


 表示が切り替わった。


【筋力:次回購入分より上位能力帯強化が適用されます】


【耐久:次回購入分より上位能力帯強化が適用されます】


【筋力強化(中) 200P】


【耐久強化(中) 200P】


 残りは1,040P。


 敏捷を五回強化する。


【敏捷強化(中)を5回購入しました】


【敏捷:1,033 → 1,183】


【1,000Pを使用しました】


【保有:40P】


 これで三つとも基礎能力が千を超えた。


 ◇


 三日目。


 六階へ向かう前に、フェリシアが自分の能力を確認していた。


【名前:フェリシア・ロート】


【筋力:11+101】


【耐久:13+100】


【敏捷:17+118】


【魔力:33+1】


「私自身もちょっと上がってます」


「毎日戦ってますからね」


「でも、共有分がすごすぎて自分の分が小さく見えます」


「十一とか十七でも、最初より上がってますよ」


「そうなんですけどね」


 フェリシアが表示を閉じる。


「今日は六階でも大丈夫そうな気がします」


「無理はしないでくださいね」


「それ、アレンさんが言います?」


「俺は無理してませんよ」


「ブラッドボアの突進を手で止めた人が言ってます」


 返す言葉がなかった。


 ◇


 六階。


 アーマードエイプが拳を振り下ろしてくる。


 遅い。


 一歩ずれるだけで避けられた。


 腹へ剣を入れる。


 アーマードエイプが振り返る。


 その前に反対側へ回った。


「ウオッ!?」


 脚。


 首。


 三撃目で倒れる。


【400P獲得】


 少し離れたところでは、フェリシアが別の一体と戦っていた。


「《魔弾》!」


 拳をかわす。


 撃つ。


 アーマードエイプが腕を振る。


 フェリシアは余裕を持って後ろへ下がった。


「《魔弾》!」


 もう一発。


 身体の動きだけなら、昨日より明らかに余裕がある。


 俺は助けに入らず、そのまま見ていた。


 フェリシアが五発目を撃つ。


「《魔弾》!」


 アーマードエイプがまだ向かってくる。


 フェリシアはそれもかわした。


「アレンさん!」


「はい!」


「やっぱり倒せません!」


「手伝います!」


 踏み込む。


 一撃目を脚へ入れる。


 二撃目を首へ。


【400P獲得】


 戦闘が終わると、フェリシアが小さく息を吐いた。


「身体はもう大丈夫です」


「六階でも?」


「はい。攻撃も見えますし、避ける余裕もあります」


「ならよかったです」


「でも、魔弾が全然追いついてません」


 フェリシアが人差し指を立てる。


「威力も前と同じです。撃てる速さも、狙ったところに当てる精度も変わってません」


「共有じゃそこまでは変わらないんですね」


「身体だけ強くなっても駄目ですね」


「これから練習すればいいですよ」


「はい。もっと速く、もっと正確に撃てるようになりたいです」


 フェリシアが笑う。


「アレンさんばっかり強くなるの、悔しいですから」


「競争ですか?」


「勝てる気はしませんけど」


 その日は昼を過ぎても六階で戦い続けた。


 三日前とは、六階の見え方がまるで違っていた。


 ◇


 夕方、ギルドへ戻った。


 今日の依頼は六階で集めた魔石の納品だった。


 受付嬢が数を確認する。


「はい。必要数あります。依頼達成です」


 報酬は十万ジェニー。


 集めた素材の買取は三十四万ジェニーになった。


 合わせて四十四万ジェニー。


 一人二十二万ジェニーだ。


「この三日だけで、かなり稼ぎましたね」


 フェリシアが受け取った金を確認する。


 一日目が三十八万。


 二日目が四十一万。


 今日が四十四万。


 二人合わせて百二十三万ジェニー。


「百万超えてますね」


「三日で……」


 フェリシアが少し笑った。


「最初のころ、一万ジェニーでも大きなお金に見えたのに」


「今でも大きいですよ」


「それはそうですけど」


 そのとき、視界に表示が出た。


【依頼達成を確認しました】


【100P獲得】


【本日の獲得P:1,250P】


【累計獲得P:10,000P】


【保有:1,290P】


「一万……」


 次の表示が現れた。


【会員ランク上昇条件を達成しました】


【会員ランクが上昇します】


【シルバー → ゴールド】


「……え?」


 累計獲得P=10,000P



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次のランクまでのPが出なくなったのは何故なんだろう?
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