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《剣聖》になった弟に追放された俺のスキルは《会員》でした ~ハズレスキルだと思っていたら、ポイントで好きな能力を買えるらしい~  作者: アカメノコバチ
第9章 ドラン帝国、サハル王国侵攻

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150/200

第150話 戦う前に

 リーベ村。


 クロードさんたちも向かっている。


 その先では帝国軍の部隊まで確認されている。


「……」


 手綱を握りながら考える。


 この先、本格的な戦闘になるかもしれない。


 前回の戦争では、《剣聖》とも戦った。


 今回はそれ以上の規模だ。


「フェリシア、ルナ」


「何?」


「少し止まっていい?」


「どうしたの?」


 街道脇で馬を止める。


 二人も続いた。


「今のうちに能力を上げておこうと思う」


「あ」


 フェリシアがすぐに気づいた。


「P使うの?」


「うん」


 《会員》を開く。


【保有:124,010P】


【累計獲得P:453,720P】


「十二万P使えるのか」


「そんなにあるの?」


 ルナが驚く。


「ここ最近、使ってなかったからね」


「全部使う?」


「ほとんど」


「また?」


 フェリシアが苦笑する。


「でも、全回復の分は残すよ」


 全回復は一回五百P。


 四千P残せば、八回使える。


「四千十P残す」


「本当にぎりぎりまで使うんだね」


「この先、何があるか分からないから」


 負けた後にPが残っていても意味がない。


 今まで何度もそう思ってきた。


 まず現在の能力を確認する。


【名前:アレン・ヴァルディス】


【会員ランク:プラチナ】


【基礎能力】


【筋力:2,120】


【耐久:2,560】


【敏捷:3,240】


【魔力:3,980】


「かなり上がってる」


 最後に確認してから、ずっと戦ってきた。


 セルヴァン。


 アルスレインのダンジョン。


 南西の森。


 ミラディアでも三週間、何度も魔物を倒した。


 Pで買った分だけじゃない。


 戦った分だけ、俺自身の基礎能力も伸びている。


「どう上げるの?」


 ルナが聞く。


「全部。でも魔力は多めにする」


「魔力?」


「フェリシアもルナも使うから」


 《共有》で、俺の能力は二人にも渡る。


 特に魔力はフェリシアの《魔弾》、ルナの回復魔法にも大きく関わる。


 長い戦闘になるなら余裕が欲しい。


「じゃあ使うよ」


 《会員》を操作する。


【筋力強化(極) 5,000P】


【耐久強化(極) 5,000P】


【敏捷強化(極) 5,000P】


【魔力強化(極) 5,000P】


【一回の購入につき基礎能力値+400】


 筋力を五回。


【筋力:2,120 → 4,120】


 耐久を五回。


【耐久:2,560 → 4,560】


 敏捷を六回。


【敏捷:3,240 → 5,640】


 そして。


「魔力は八回」


「八回?」


 フェリシアが聞き返す。


「うん」


【《魔力強化(極)》を8回購入しますか?】


【必要:40,000P】


「買う」


【魔力:3,980 → 7,180】


【合計120,000Pを使用しました】


【保有:4,010P】


「……っ」


 身体の奥から一気に力が湧き上がる。


 視界まで変わったように感じた。


 もう一度確認する。


【基礎能力】


【筋力:4,120】


【耐久:4,560】


【敏捷:5,640】


【魔力:7,180】


「七千……」


 思わず声が出る。


 最初の頃。


 俺の魔力は十八しかなかった。


 それが今では七千を超えている。


「あっ」


 フェリシアが自分の手を見る。


「来た?」


「うん。一気に」


「私も」


 ルナも身体を確かめている。


 《共有》を開く。


【共有メンバー:3名】


【フェリシア・ロート】


【ルナ・アルヴェイン】


【テリー】


【共有率:20%】


【共有値】


【筋力:824】


【耐久:912】


【敏捷:1,128】


【魔力:1,436】


「千四百三十六……」


 フェリシアが呟く。


「魔力だけで?」


「うん」


「それだけで私の元々の能力を遥かに超えてるんだけど」


 フェリシアが自分の能力を確認する。


【名前:フェリシア・ロート】


【筋力:38+824】


【耐久:42+912】


【敏捷:58+1,128】


【魔力:91+1,436】


「……すごい」


「どう?」


「魔力が千五百を超えてる」


 フェリシアが杖を握った。


「《魔弾》、今までと同じ感覚で撃ったらまずそう」


「最初は抑えてね」


「うん」


「私も見る」


 ルナも能力を開く。


【名前:ルナ・アルヴェイン】


【筋力:34+824】


【耐久:37+912】


【敏捷:62+1,128】


【魔力:69+1,436】


「……敏捷、共有だけで千超えてる」


「うん」


「ちょっと動いてみていい?」


「気をつけて」


 ルナが馬から降りる。


 軽く地面を蹴った。


「えっ!?」


 一瞬で数メートル先へ移動する。


 慌てて止まった。


「危なっ!」


「だから気をつけてって」


「こんなに変わると思わなかったんだもん」


 ルナが戻ってくる。


「慣れるまで抑えた方がいいね」


「うん」


「ワフ?」


 テリーがルナを見上げている。


「あ。テリーもだ」


 ルナがしゃがんだ。


 テリー自身は、以前能力を確認してからほとんど戦っていない。


 基礎能力はほぼ変わっていない。


【テリー】


【筋力:28+824】


【耐久:31+912】


【敏捷:51+1,128】


【魔力:58+1,436】


「すご……」


 ルナが目を丸くする。


「ワフ?」


「テリー、すごく強くなったよ」


「ワフッ!」


 尻尾を勢いよく振った。


「でも走らないでね」


「ワフ?」


「今急に全力で走ったら、私でも怖いから」


「ワフッ!」


「返事だけはいいんだから」


「キュ?」


 俺の肩にいるステフが首を傾げる。


「ステフは《共有》に入ってないからそのまま」


「キュ!」


 ステフには《共有》していない。


 まだ幼い。


 少し飛べるようになった。


 火も少し吐けるようになった。


 でも、戦闘経験はない。


これから行く場所は、ステフには危険すぎるかもしれない。


「それと、布陣を決めておこう」


 二人が俺を見る。


「俺が前に出る」


「うん」


「フェリシアとルナは後ろから援護して」


「分かった」


「うん」


「ルナはテリーとステフも見ててほしい」


「任せて」


 ルナが二匹を見る。


「テリーもステフも、私のそばにいるんだよ」


「ワフッ!」


「キュ!」


「前に出ちゃ駄目だからね」


「ワフッ!」


「キュ!」


 《共有》中の自分の能力も確認した。


 三人へ能力を渡している分、俺自身には十五%の負担がある。


【《共有》適用中】


【筋力:3,502】


【耐久:3,876】


【敏捷:4,794】


【魔力:6,103】


 それでも十分高い。


「これなら」


 戦える。


 表示を閉じる。


 西を見る。


 黒い煙はまだ上がっていた。


「行こう」


「うん」


 三人とも馬へ乗る。


 再びリーベ村へ向かった。


 ◇


 村が近づく。


 煙がどんどん濃くなっていった。


「焦げ臭い」


 フェリシアが言う。


「うん」


 風に乗って煙が流れてくる。


 やがて。


 村の入口が見えた。


「……」


 壊れた柵。


 倒れた荷車。


 地面に散らばった荷物。


 焼けた家。


「クロードさんたちは?」


「分からない」


 馬をゆっくり進ませる。


 その時。


「アレン……」


 ルナの声がした。


「何?」


 視線を追う。


 街道の脇。


 人が倒れている。


 馬を止め、近づく。


 鎧は着ていない。


 武器も持っていない。


 普通の服だった。


「……」


 動かない。


「死んでる……」


 フェリシアが小さく言った。


 その先にもう一人。


 さらに向こうにも。


 帝国兵じゃない。


 騎士でもない。


 村の人たちだ。


「なんてひどいことを……」


 ルナが呟く。


 騎士から聞いていた。


 民間人まで殺している。


 でも、聞くのと見るのは違った。


 クロードさんたちは?


 残っている住民は?


 帝国軍は?


 どうなっているかわからない。


 竜爪剣の柄を握った。


「行こう」


「うん」


「……うん」


 俺たちは、死体が転がるリーベ村へ足を踏み入れた。


【保有:4,010P】

【累計獲得P:453,720P】



最後まで読んでいただきありがとうございます。

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