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《剣聖》になった弟に追放された俺のスキルは《会員》でした ~ハズレスキルだと思っていたら、ポイントで好きな能力を買えるらしい~  作者: アカメノコバチ
第8章 アルスレイン王国

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第144話 南西の掃除屋

 翌朝。


 ベイルン家の王都屋敷へ行った。


「申し訳ありません。王宮からの返答はまだ届いておりません」


 昨日と同じだった。


 返事が来るまでは待つしかない。


 屋敷を出る。


「このあとどうする?」


 フェリシアが聞いた。


「今日も森?」


 ルナも俺を見る。


「うん」


「やっぱり」


「待ってても仕方ないしね」


「それはそうだね」


 俺たちはそのまま冒険者ギルドへ向かった。


 ◇


「また南西森林ですか?」


 受付の女性が依頼票と俺たちを交互に見る。


「はい」


「昨日、かなり討伐していただいたのですが……」


「まだ魔物はいるんですよね?」


「それは、もちろん」


「じゃあ行ってきます」


「……お気をつけて」


 昨日と同じ依頼を受けて、南西の森へ向かった。


 森の奥には、まだたくさんの魔物がいる。


 オーガ。


 アーマーベア。


 グランドリザード。


 見つける。


 倒す。


 《収納》へ入れる。


 俺が倒した分だけ、Pも増えていった。


【2,360P獲得】

【依頼達成:100P】

【保有:68,450P】

【累計獲得P:398,160P】


 依頼料と素材買取。


 合わせて金貨十六枚。


「昨日より稼いだね」


 ルナが言う。


「まだ森にはかなりいるみたいだしね」


 そして翌日。


「今日も森?」


「うん」


 また南西へ。


【3,240P獲得】

【依頼達成:100P】

【保有:71,790P】

【累計獲得P:401,500P】


 依頼料と素材買取で金貨十九枚。


 さらに翌日。


「王宮からは?」


「まだ返答はございません」


「分かりました」


 また森へ向かった。


【4,120P獲得】

【依頼達成:100P】

【保有:76,010P】

【累計獲得P:405,720P】


 依頼料と素材買取。


 金貨二十三枚。


「結構増えてきたね」


 フェリシアが言う。


「Pもお金も」


「待ってる間に、こんなに増えるとは思わなかった」


 ルナが笑った。


 ◇


 それからも同じような日が続いた。


 朝。


 ギルドへ行く。


 依頼を受ける。


 南西の森へ向かう。


 魔物を狩る。


 夕方。


 大量の魔物を《収納》に入れて戻ってくる。


 最初は毎日のように驚いていたギルド職員たちも、少しずつ俺たちに慣れてきた。


 ある日の夕方。


 解体場へ入ると、一人の職員が俺たちを見つけた。


「来たぞ!」


 大きな声が響く。


「南西の掃除屋が帰ってきたぞ!」


「場所空けろ!」


「今日も多いぞ!」


「……」


 俺たちは顔を見合わせた。


「今、何て言った?」


 ルナが聞く。


「南西の掃除屋?」


 フェリシアも首を傾げる。


 近くにいた冒険者が笑った。


「お前らのことだよ」


「私たち?」


「他に誰がいるんだ」


「何で掃除屋なの?」


「毎日南西の森に行って、魔物を片っ端から狩ってくるからだよ」


 別の冒険者も話に入ってくる。


「お前らが通い始めてから、森の入口付近じゃ強い魔物をほとんど見なくなったって話だぞ」


「……」


 ルナが微妙な顔をする。


「もっと格好いい呼び方なかったの?」


「分かりやすくていいだろ」


「掃除屋……」


「間違ってはいないけどね」


 フェリシアが笑った。


「アレンは気にならないの?」


「別に」


「気にしてないんだ」


「困る名前でもないし」


「私はちょっと嫌だなあ」


「ワフッ!」


「キュ!」


「テリーとステフは気に入ってるみたいだよ」


「絶対分かってないよ」


 でも。


 翌日になると。


「あ、南西の掃除屋だ」


「今日は何体だ?」


「解体場空けとけ!」


 さらに翌日。


「南西の掃除屋が帰ってきたぞ!」


「……」


 ルナがため息をついた。


「もう諦めた」


 完全に定着したらしい。


 ◇


 森へ通っている間に、ステフにも少し変化があった。


「キュ!」


 ふわっ。


「あ」


 ステフの身体が浮かぶ。


 以前なら地面から少し離れるだけだった。


 でも今は。


 ふよ。


 ふよ。


 俺の胸くらいまで上がってくる。


「ステフ、上手くなったね」


 ルナが言う。


「キュ!」


 もう少し。


 ふわっ。


 そのまま俺の肩へ乗った。


「お」


「キュ!」


「自分で乗れるようになったな」


 頭を撫でる。


「キュ!」


 嬉しそうに鳴いた。


 その時。


 ステフが俺の肩から少し離れた。


「キュ……」


「どうした?」


 地面へ降りる。


 前を向いて、大きく口を開いた。


「キュウウウ……」


 力を入れている。


「何してるの?」


 フェリシアが聞く。


「分からない」


「キュウウウウ……!」


 ぷすっ。


「……」


 口から小さな煙が出た。


「煙?」


 ルナが目を丸くする。


「もしかして火を吐こうとしてる?」


「キュ!」


 もう一度。


「キュウウウ!」


 ぷすっ。


 また煙だけ。


「まだ火は出ないみたいだね」


 フェリシアが笑う。


「キュ……」


 ステフがしょんぼりする。


「そのうちできるよ」


 頭を撫でる。


「キュ!」


「ワフッ!」


 テリーが走り出した。


「キュ!」


 ステフも追いかける。


「あ、もう忘れた」


 ルナが笑った。


 ◇


 さらに翌日。


【5,000P獲得】

【依頼達成:100P】

【保有:81,110P】

【累計獲得P:410,820P】


 依頼料と素材買取。


 金貨二十八枚。


 そして、その次の日。


【5,800P獲得】

【依頼達成:100P】

【保有:87,010P】

【累計獲得P:416,720P】


 依頼料と素材買取。


 金貨三十二枚。


「……すごいね」


 ルナが言った。


「何が?」


「王都に来た時より、かなりお金増えてるよ」


「Pもね」


 フェリシアが言う。


「待たされてるのも、悪いことばっかりじゃないね」


「それはそうだけど」


 本当の目的は忘れていない。


 ドラン帝国。


 セルヴァンから連れ去られた魔物。


 できることなら、早く先へ進みたい。


 ◇


 その日の夕方。


 いつものようにギルドへ戻った。


「南西の掃除屋が帰ってきたぞ!」


「今日はどれくらいだ?」


「かなりあります」


「やっぱり!」


 解体場へ向かおうとした時だった。


「アレンさん」


 受付の女性に呼び止められる。


「はい?」


「お客様がお見えです」


「俺に?」


「はい。ベイルン家の方です」


「え?」


 三人で顔を見合わせた。


「王宮から返事が来たのかな」


 フェリシアが言う。


「多分」


 ギルドの一角。


 ベイルン家の王都屋敷で何度か見た男性が待っていた。


「アレン様」


「はい」


「王宮から返答がございました」


「本当ですか?」


「はい」


「どうでした?」


 男性の表情は少し硬かった。


「結論から申し上げます」


「はい」


「アルスレイン王国側からドラン帝国へ入国するのは、極めて困難とのことです」


「……」


 やっぱり。


「理由を聞いてもいいですか?」


「現在、両国の国境では警戒がかなり強まっています。ドラン帝国側は、外国人の通行を厳しく制限しているそうです」


「冒険者でも?」


「はい」


 男性が頷く。


「そして、特にアレン様の場合です」


「俺?」


「サハルでドラン帝国軍と交戦されていますね?」


「……はい」


「王宮が確認したところ、アレン様の名前や特徴が帝国側へ伝わっている可能性が高いとのことです」


「やっぱりか」


 フェリシアが俺を見る。


「前にも言われてたよね」


「うん」


「アルスレイン王国から紹介状を出してもらうことはできないんですか?」


 ルナが聞く。


「それも難しいそうです」


「どうして?」


「現在の情勢で、ドラン帝国軍との交戦歴がある外国人冒険者をアルスレイン王国が正式に送り込んだ形になれば……」


「何か目的があると思われる?」


「その通りです」


 なるほど。


 俺たちのために、アルスレイン王国まで疑われる可能性がある。


「王宮としては、皆様の目的については理解している。しかし、ドラン帝国への入国を支援することはできない、とのことでした」


「分かりました」


「お力になれず、申し訳ございません」


「いえ。調べてもらっただけでも助かりました」


「バルド様にも結果を報告しておきます」


「お願いします」


 男性は頭を下げ、ギルドを出ていった。


 ◇


「どうする?」


 フェリシアが聞く。


「アルスレインから無理に入る?」


 少し考える。


「やめよう」


「ドランに行くのを?」


 ルナが聞く。


「違うよ」


 首を振る。


「アルスレインから入るのを諦める」


「じゃあ、別の道?」


「うん」


 ここまで来たからといって、危険な国境を無理に越える必要はない。


 目的はドラン帝国へ入ることじゃない。


 セルヴァンから連れ去られた魔物の行方を追うことだ。


「他にどこから入れるかな」


 フェリシアが考える。


「あ」


「何?」


「ミラディアは?」


「聖教領?」


「うん」


 フェリシアが頷く。


「聖教領ミラディアからなら、ドラン帝国へ行ける道があるよね?」


「確かに」


 地図を思い浮かべる。


「でもミラディアって……」


 ルナが言う。


「戻ることになるね」


「うん」


 アルスレイン王都から東へ。


 ブランカ方面へ戻る。


 さらにラグナ河。


 渡し船で川を越える。


 俺たちがアルスレイン王国へ入ってきた道を、かなり戻ることになる。


「結構戻るね」


「そうだね」


「せっかくここまで来たのに」


 ルナが言った。


「でも」


 フェリシアが笑う。


「来てよかったよね」


「うん」


 俺もそう思う。


 ガイルと知り合った。


 一緒に稽古をした。


 王都まで一緒に旅をした。


 そして。


「キュ?」


 肩にいるステフを見る。


「ステフとも会えたし」


「キュ!」


「ナッシュも生まれたね」


 ルナが言う。


「うん」


 アルスレイン王国も見られた。


 巨大な王都。


 夜でも明るい街灯。


 じゃがいも料理。


 リバーシ。


 美味しい麺料理。


 知らなかったものをたくさん見た。


「アルスレインって面白い国だったね」


 ルナが言う。


「まだ少ししか見てないけどね」


「それでも十分すごかったよ」


「あと」


 フェリシアが笑う。


「Pとお金もかなり増えたし」


「それも大きい」


 ルナが笑った。


 来た道を戻る。


 でも、無駄足だったとは思わない。


 ガイルと知り合った。


 ステフが仲間になった。


 この国で色々なものを見た。


 そして。


「南西の掃除屋にもなったしね」


 フェリシアが笑う。


「それはいらなかった」


 ルナが即答した。


「はは」


 思わず笑う。


「じゃあ決まりだね」


 フェリシアが言った。


「うん」


「次は聖教領ミラディア?」


「うん」


 まずは東へ戻る。


 ラグナ河を渡る。


 その先へ。


「ミラディアから、ドラン帝国へ入る方法を探そう」


「うん」


「ワフッ!」


「キュ!」


 次の目的地が決まった。


【保有:87,010P】

【累計獲得P:416,720P】



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― 新着の感想 ―
ハル氏にはあわないの?
クロスオーバー要素って必要?まあ、作者のやりたいようにやればいいと思うけど。
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