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《剣聖》になった弟に追放された俺のスキルは《会員》でした ~ハズレスキルだと思っていたら、ポイントで好きな能力を買えるらしい~  作者: アカメノコバチ
第8章 アルスレイン王国

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143/200

第143話 王都の冒険者ギルド

 翌朝。


 朝食を食べたあと、俺たちはベイルン家の王都屋敷へ向かった。


 昨日決まった宿を知らせるためだ。


 大通りを歩く。


「今日も見られてるね」


 ルナが小声で言った。


「昨日より慣れたけど」


 俺の肩にはステフ。


 ルナの横にはテリー。


「キュ?」


「ワフッ!」


 やっぱり目立つ。


 しばらく歩いて、ベイルン家の王都屋敷へ着いた。


 門番に名前を伝えると、すぐ中へ案内された。


「アレン様ですね」


「はい」


「ご宿泊先をお知らせに来られたと伺っております」


「はい。この宿です」


 宿の名前と場所を伝える。


「承知しました。王宮から返答があり次第、お知らせいたします」


「もう返事は来てますか?」


「いえ。まだ届いておりません」


「そうですか」


「書状は昨日のうちに王宮へ届けております。もうしばらくお待ちください」


「分かりました」


「ガイルは?」


「ガイル様たちは、今朝早くリオン男爵領へ向けて出発されました」


「やっぱり早いな」


「ガイルらしいね」


 ルナが笑う。


「ナッシュも元気でしたか?」


「はい。ずっとガイル様の肩に乗っていましたよ」


「そっか」


「キュ?」


 ステフが首を傾げる。


「ナッシュの話だよ」


「キュ!」


 これで用事は終わったので屋敷を出る。


「このあと、どうする?」


 フェリシアが聞いた。


「返事が来るまで待つしかないんだよね?」


「うん」


 ルナが俺を見る。


「じゃあ、ギルド?」


「うん」


「やっぱり」


 ◇


 王都の冒険者ギルドへ入る。


 朝からかなり混んでいた。


 受付。


 依頼掲示板。


 大勢の冒険者。


 そして。


「……おい」


「何だ?」


「あれ」


 何人もの視線が集まる。


「白いの、犬か?」


「いや、魔物じゃないのか?」


「それより肩!」


「え?」


「あれ、ドラゴンじゃないか?」


 今度はステフへ視線が集まった。


「キュ?」


「やっぱり目立つね」


 フェリシアが言う。


「うん」


「もう慣れた」


 ルナは気にせず依頼掲示板へ向かった。


「何かあるかな」


 依頼を順番に見ていく。


 護衛。


 採取。


 討伐。


 街道警備。


「あ」


 一枚の依頼票が目に入った。


【王都南西森林・魔物討伐】


【推奨ランク:B】


 内容を読む。


 王都南西の森林奥部で、最近強い魔物が増えているらしい。


 今のところ街道まで出てくる数は少ない。


 だが、このまま増えれば旅人や行商人に被害が出る可能性がある。


 そのため、できるだけ数を減らしてほしい。


「これどう?」


 フェリシアに見せる。


「Bランクか」


「森の奥みたいだね」


 ルナも覗き込む。


「いいんじゃない?」


「じゃあ、これにしよう」


 依頼票を持って受付へ向かった。


「こちらの依頼を受けたいんですけど」


「南西森林の討伐依頼ですね」


「はい」


「冒険者証を確認してもよろしいですか?」


 三人分を渡す。


「Aランクが二名、Bランクが一名……問題ありません」


「ありがとうございます」


 冒険者証を返してもらう。


 その時。


 受付の女性が、俺の肩にいるステフを見た。


「ところで……」


「はい?」


「そちらの魔物は、従魔でしょうか?」


「あ、そういえばステフの従魔登録してない」


「キュ?」


 ステフが俺を見る。


「冒険者の方が魔物を連れて行動される場合、原則として従魔登録をお願いしています」


「そうですよね」


「テリーも登録したしね」


 ルナが言った。


「ワフッ!」


「あ、そうだったね」


「登録証を確認してもよろしいですか?」


「はい」


 ルナが荷物から従魔登録証を取り出した。


「これです」


「ありがとうございます」


 受付の女性が受け取る。


 確認して。


「……」


 動きが止まった。


「どうしました?」


「少々お待ちください」


 もう一度見る。


 そしてテリーを見る。


 登録証。


 テリー。


 また登録証。


「……フェンリル?」


「はい」


「ワフ?」


 受付の女性が目を見開いた。


「フェ、フェンリルって……あのフェンリルですか?」


「多分?」


「多分って……」


 ルナが首を傾げる。


「テリーはテリーだから」


「ワフッ!」


 受付の女性は登録証を見たままだ。


「フェンリルって、伝説に出てくる魔物ですよね?」


 今度は受付の方が驚いている。


「非常に知能が高く、強力な魔物として記録されています。人に従うこと自体、ほとんどないはずですが……」


「ワフ?」


 テリーは気にせず尻尾を振っている。


「全然そんな感じしないけどね」


 ルナが頭を撫でる。


「ワフッ!」


「……本当にフェンリルなんですね」


「はい。登録証にもそう書いてありますよね?」


「そうですけど……」


 受付の女性がしばらくテリーを見つめる。


 やがて気を取り直した。


「失礼しました。登録に問題はありません」


「よかった」


「それで……」


 今度はステフを見る。


「こちらは?」


「グリーンドラゴンです」


「……」


「キュ?」


 また受付の女性が固まった。


「グ、グリーンドラゴン?」


「はい」


「生まれたばかりです」


「生まれたばかり……」


「登録できますか?」


「か、確認します!」


 受付の女性が立ち上がる。


 奥へ走っていった。


「また驚かれたね」


 フェリシアが言う。


「うん」


「フェンリルとドラゴンだから仕方ないんじゃない?」


 ルナが言った。


「ワフッ!」


「キュ!」


 しばらくして受付の女性が別の職員と一緒に戻ってきた。


「お待たせしました」


「登録できます?」


「はい。グリーンドラゴンでも従魔登録は可能です」


「よかった」


「ただ……」


「ただ?」


「ドラゴンを登録する方は、私も初めてです」


「そうなんですね」


「普通はそうだと思うよ」


 フェリシアが言った。


 必要事項を記入する。


「名前は?」


「ステフです」


「性別は?」


「男の子です」


「キュ!」


「所有者……ではなく、従魔主はアレン様でよろしいですか?」


「はい。まだ従魔契約はしてないですけど」


 受付の女性が書き込む。


「種類はグリーンドラゴン……」


 書きながら、またステフを見る。


「本当にドラゴン……」


「キュ?」


「大人しいですよ」


「そのようですね」


 しばらくして。


「登録が完了しました」


「ありがとうございます」


 従魔登録証を受け取る。


「これでステフも正式に登録されたね」


 ルナが言う。


「うん」


「キュ!」


「分かってる?」


「キュ!」


「かわいいね」


 フェリシアが笑った。


 受付の女性もようやく気を取り直す。


「それでは改めまして、南西森林の討伐依頼ですね」


「はい」


「森の奥は最近かなり危険です。オーガやアーマーベア、グランドリザードなどが確認されています」


「なるほど」


「無理に全て倒す必要はありません。危険だと判断したら戻ってきてください」


「分かりました」


「討伐した魔物は、可能であれば討伐証明を持ち帰ってください。討伐数に応じて追加報酬も出ます」


「はい」


 依頼を受ける。


「じゃあ行こうか」


「うん」


「ワフッ!」


「キュ!」


 ◇


 王都を出て、南西へ向かう。


 しばらく街道を進むと、大きな森が見えてきた。


「あれかな」


「多分」


 入口付近には、まだ人がいる。


 薬草を採っている人。


 木を運んでいる人。


 でも、奥へ進むほど人の気配はなくなっていった。


「魔力反応ある?」


 ルナが聞く。


「ある。前に三体」


「近い?」


「うん」


 少し進む。


「グオオッ!」


 オーガ。


 三体。


「俺が行く」


 竜爪剣を抜く。


 一気に距離を詰める。


 一体目。


 斬る。


 二体目。


 横から来る腕をかわして、胴へ剣を入れる。


 三体目が武器を振り下ろした。


 横へ避ける。


 そのまま斬った。


 三体が地面へ倒れる。


【オーガを三体討伐しました】


【900P獲得】


【累計獲得P:391,760P】


「早いね」


 フェリシアが言う。


「まだ入口だからね」


 死体へ手を向ける。


「《収納》」


 三体が消えた。


「全部持って帰るの?」


「せっかくだし」


「そうだね」


 さらに奥へ進む。


 ◇


 依頼に書かれていた通り、魔物は多かった。


「右!」


 ルナが弓を引く。


 シュッ!


 矢がアーマーベアの目に突き刺さった。


「グオオッ!」


 もう一体がルナへ向かう。


「《魔弾》!」


 青白い光が横から直撃した。


 巨体が地面へ倒れる。


 その奥。


 もう一体。


 俺が地面を蹴る。


 振り下ろされた爪をかわし、そのまま首へ竜爪剣を入れた。


【アーマーベアを討伐しました】


【80P獲得】


【累計獲得P:391,840P】


「《収納》」


 三体をまとめて収納する。


 さらに進むと今度はグランドリザードがいたので三人で倒した。


【グランドリザードを三体討伐しました】


【1,500P獲得】


【累計獲得P:393,340P】


「結構増えたな」


「何が?」


 ルナが聞く。


「P」


「ああ」


「まだ魔物も多そうだしね」


「うん」


 死体を全部《収納》へ入れる。


 さらに奥へ。


【オーガを四体討伐しました】


【1,200P獲得】


【累計獲得P:394,540P】


【アーマーベアを二体討伐しました】


【160P獲得】


【累計獲得P:394,700P】


【グランドリザードを二体討伐しました】


【1,000P獲得】


【累計獲得P:395,700P】


「……多いね」


 フェリシアが周囲を見る。


「依頼になるだけあるよ」


「でも、かなり減らしたんじゃない?」


 ルナが言う。


「多分ね」


 倒した魔物を次々と収納する。


 気づけば、《収納》の中にはかなりの数の魔物が入っていた。


「ワフッ!」


「キュ!」


 少し離れた場所ではテリーとステフが遊んでいる。


 テリーが走る。


 ステフが追いかける。


「キュ!」


 ふよ。


 ふよ。


 少し浮かぶ。


 でも。


 ぽてっ。


「ワフ!」


 テリーが戻ってくる。


「キュ!」


 また追いかける。


「完全に遊んでるね」


 ルナが笑う。


「楽しそうだからいいんじゃない?」


「そうだね」


 ステフも森に慣れてきたみたいだ。


 空を見る。


 日はかなり傾いている。


「そろそろ戻ろうか」


 フェリシアが言った。


「うん」


「結局どれくらい倒したんだろう」


「ギルドで出してみれば分かるよ」


「全部出すの?」


「全部」


 ルナが笑う。


「また驚かれそう」


「ブランカでも驚いてたね」


「もう慣れたよ」


 俺たちは王都へ戻った。


 ◇


 夕方。


 冒険者ギルドへ入る。


「依頼の報告をお願いします」


「はい。南西森林の討伐依頼ですね」


「そうです。数が多いので解体場へ行ってもいいですか?」


「はい」


 案内された先は、かなり広い解体場だった。


「こちらへ出してください」


「分かりました」


 《収納》。


 ドサッ。


 オーガ。


「はい」


 ドサッ。


 アーマーベア。


 グランドリザード。


 次々と出す。


「……」


 受付の女性が黙った。


「まだあります」


「まだ?」


「はい」


 さらに出す。


 ドサッ。


 ドサドサッ。


 魔物の死体がどんどん積み上がっていく。


 近くにいた職員まで手を止めた。


「これ……全部今日ですか?」


「はい」


「南西森林で?」


「そうです」


「何体いるんですか?」


「分かりません」


「分からない?」


「途中から数えてなくて」


 受付の女性が魔物の山を見る。


「……少々お待ちください」


「はい」


 奥へ走っていった。


 しばらくすると、職員が何人も出てくる。


「これ全部か?」


「まだあるそうです」


「まだ!?」


「あと少しです」


 残りも出す。


「……」


 職員たちが黙った。


「やっぱり驚かれたね」


 ルナが言う。


「うん」


「最近、毎回こんな感じだね」


 フェリシアが笑った。


「そのうち慣れるんじゃない?」


「誰が?」


「ギルドの人が」


「無理だと思う」


 査定にはかなり時間がかかるらしい。


 正式な報酬は明日になると言われた。


「じゃあ帰ろうか」


 受付へ戻る。


 その時。


「そこだ!」


「角取った!」


「うわっ!」


「それはまずいぞ!」


 奥の飲食スペースから、大きな声が聞こえてきた。


「何だろう」


 ルナが振り向く。


「見てみる?」


「うん」


 ◇


 何人もの冒険者が、一つのテーブルを囲んでいた。


 テーブルの上には四角い盤。


 黒と白の丸い駒が並んでいる。


 一人が黒い駒を置いた。


 挟まれていた白い駒が黒へひっくり返る。


「何これ?」


 ルナが言う。


 近くにいた冒険者が振り向いた。


「リバーシ知らないのか?」


「リバーシ?」


「ああ」


 男が盤を指す。


「黒と白に分かれて、相手の駒を挟めば自分の色にできる。最後に自分の色が多い方の勝ちだ」


「へえ」


「王都じゃ、ほとんどみんな知ってるぞ」


「そんなに有名なんですか?」


「ああ」


「誰が考えたんですか?」


「リオン・ハル男爵だよ」


「リオン?」


 またその名前が出た。


「ガイルが言ってた人?」


 ルナが俺を見る。


「うん」


「王立学院にいた頃に考えた遊びらしい。今じゃ王都中で遊ばれてる」


「そんなに?」


「ああ。簡単だからな」


 男が笑う。


「やってみるか?」


「いいんですか?」


「もちろん」


 椅子へ座る。


 俺が黒。


 男が白。


「ここに置けば取れるんですよね?」


「ああ」


 置く。


 白い駒が黒へひっくり返る。


「お」


 次も。


 さらに次も。


 黒が増えていく。


「アレン勝ってない?」


 ルナが言う。


「俺もそんな気がする」


 盤の半分以上が黒になっていた。


 簡単じゃない?


 そう思った。


「じゃあ、ここ」


 男が白い駒を角へ置いた。


「角?」


「ああ」


 そこからだった。


 白。


 白。


 白。


 次々とひっくり返される。


「え?」


「ここも」


「え?」


「こっちもだな」


「ちょっと待って」


 最後。


 盤を見る。


 白だらけ。


「……負けた?」


「負けたな」


「途中までかなり取ってたのに」


 男が笑う。


「最初に取りすぎても駄目なんだよ」


「そういうゲームなの?」


「そういうゲームだ」


「面白いな」


「だろ?」


「私もやる」


 フェリシアが椅子へ座った。


「さっきの見てたから、私は大丈夫」


「おっ」


 男が笑う。


「じゃあやってみるか」


 ◇


「……」


 フェリシアが盤を見つめる。


 かなり白い。


「負けたね」


 ルナが言う。


「……負けた」


「慎重にやってたのにね」


「何でこうなるの?」


「じゃあ次、私」


 ルナが椅子へ座る。


「しょうがないわね」


「自信あるの?」


「二人の負け方を見たから」


「なるほど」


「今度こそ勝てるよ」


 ◇


「……」


 ルナが盤を見る。


「負けたね」


 俺が言う。


「……なんで?」


 フェリシアが笑う。


「二人の負け方を見たんじゃなかったの?」


「見たよ!」


「同じように負けてるよ」


「違うと思ったのに!」


 男が大笑いした。


「最初はそんなもんだ!」


「もう一回」


「ルナ」


「次は勝てる!」


「ねぇ、ルナ。お腹空いてない?」


「……あ、そういえば、空いたな」


「じゃあ今日は終わりにしよう」


「うーん、仕方ない。次は勝つからね」


「また来いよ!」


 男が笑って手を振った。


 ギルドを出る。


「リオン・ハル男爵か」


 俺が呟く。


「ガイルが何度も言ってた人だよね」


「うん」


「ゲームまで考えるんだね」


 フェリシアが言う。


「変わった人なのかな」


「ガイルも変なやつって言ってたよね」


「言ってた」


 どんな人なんだろう。


 ◇


 夕食の店を探す。


 大通りから少し入ったところ。


 何人もの客が出入りしている店があった。


「ここどう?」


 ルナが言う。


「混んでるね」


「人気なのかな」


「入ってみよう」


 店内には木のテーブルと椅子が並んでいた。


 家族連れ。


 商人らしい人。


 冒険者もいる。


「いらっしゃい!」


 席へ案内される。


「何食べよう」


 料理を見ていく。


「これ何だろう」


 細長い麺の上に、赤いソースがかかった料理。


「美味しそう」


「じゃあ俺これ」


「私も」


「私も同じのにする」


 料理を頼む。


 しばらくすると、三皿運ばれてきた。


「お待たせしました!」


 挽き肉と細かく刻んだ野菜が入った赤いソース。


 麺から湯気が上がっている。


「いい匂い」


 ルナが一口食べる。


「……おいしい」


「ほんとだ」


 フェリシアも食べる。


「このソース、麺にすごく合うね」


「肉も入ってる」


 俺も食べる。


 少し酸味のあるソース。


 肉。


 野菜。


 全部一緒に食べると、ちょうどいい。


「これ好きかも」


 ルナがどんどん食べている。


「キュ……」


 俺の横で、ステフが皿を見つめていた。


「これは駄目」


「キュ……」


「そんな顔しても駄目」


「ワフ……」


 テリーまで見ている。


「テリーも?」


「ワフ」


「二人には肉を頼もうか」


「キュ!」


「ワフッ!」


「急に元気になった」


 フェリシアが笑う。


 肉を追加で頼む。


「王都って面白いね」


 ルナが言った。


「うん」


 森で魔物を狩って。


 リバーシをやって。


 三人とも負けて。


 最後に美味しい料理。


 まだ王都へ来て二日目。


 それでも、知らないものがたくさんある。


 そして、リバーシを考えたという、リオン・ハル男爵。


 ガイルが何度も話していた人。


 食事を終え、俺たちは宿へ戻った。


【保有:65,990P】

【累計獲得P:395,700P】



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