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《剣聖》になった弟に追放された俺のスキルは《会員》でした ~ハズレスキルだと思っていたら、ポイントで好きな能力を買えるらしい~  作者: アカメノコバチ
第8章 アルスレイン王国

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139/199

第139話 共有

 領都西ダンジョンへ着く。


 昨日と同じ入口。


 でも今日は、一階から歩く必要はない。


 転移石へ手を触れた。


「十階」


 一瞬、視界が白くなる。


 次の瞬間。


 昨日、キングオーガと戦った広い部屋に立っていた。


「やっぱり便利だね」


 ルナが周囲を見る。


「一階からここまで飛ばせるのは助かる」


 フェリシアも頷いた。


「ワフッ!」


 テリーはもう十一階へ続く階段を見ている。


「行こうか」


「うん」


 階段を下りた。


 ◇


 十一階。


 通路へ出て少し進む。


 《魔力感知》にいくつもの反応があった。


「前に五体」


「多いね」


「しかも大きい」


 曲がり角を抜ける。


「グオオッ!」


 アイアンオーガが二体。


 その後ろには、両腕が大きな鎌になった魔物が三体いた。


「ブレードマンティス」


 以前にも見たことがある。


「十一階からこれ?」


 ルナが弓を構える。


「昨日より明らかに強いね」


 フェリシアも杖を向けた。


 アイアンオーガが走ってくる。


「《魔弾》!」


 青白い光がいくつも飛ぶ。


 一体目の顔と脚へ集中して当たった。


「グオッ!」


 動きが止まる。


「今だ!」


 地面を蹴り、一気に懐へ入る。


 一閃。


 一体目。


 二体目が棍棒を横から振る。


 身体を沈めてかわす。


「アレン、右!」


 ルナの声。


 ブレードマンティスの鎌が迫っていた。


 竜爪剣で受け流す。


 その瞬間。


 シュッ!


 矢が目へ刺さる。


「ギィッ!」


「ありがとう!」


 俺はアイアンオーガへ向き直った。


 棍棒が振り下ろされる。


 横へかわし、そのまま首を斬る。


【アイアンオーガ二体を討伐しました】


【4,000P獲得】


【累計獲得P:365,860P】


 残ったブレードマンティス三体。


「《魔弾》!」


 フェリシアが一体を吹き飛ばす。


 ルナの矢がもう一体の目を射抜く。


「ワフッ!」


 テリーが最後の一体へ飛びついた。


「強いな」


「誰が?」


「みんな」


「今さら?」


 フェリシアが笑う。


 ◇


 十二階。


 グランドリザード六体。


「来るよ!」


 三体は俺。


 残りはフェリシアとルナたちへ。


 一体目。


 首を斬る。


 二体目。


 横から迫る口をかわし、そのまま胴へ剣を入れる。


 三体目も一撃。


【グランドリザード三体を討伐しました】


【1,500P獲得】


【累計獲得P:367,360P】


 残り三体もすぐに倒された。


「次行こう」


「早いね」


 ◇


 十三階。


 通路の先に、大きな影が見えた。


「キングオーガ?」


 一体。


 昨日の階層主と同じ魔物が、普通に通路を歩いている。


「十階の階層主だったよね?」


 ルナが聞く。


「うん」


「ここでは普通に出るんだ」


 フェリシアが杖を構える。


「このダンジョン、本当に難しいんだな」


「グオオオッ!」


 キングオーガが走ってくる。


 でも昨日、一度戦っている。


 動きも分かる。


 巨大な棍棒が迫る。


 かわす。


 懐へ入りながら竜爪剣へ魔力を流す。


 一閃。


 巨体が倒れた。


【キングオーガを討伐しました】


【5,000P獲得】


【累計獲得P:372,360P】


「五千P」


「やっぱりそっちなんだ」


 フェリシアが笑った。


「強い魔物だし」


「Pも高いし?」


「うん」


「素直だね」


 ◇


 十四階。


 グランドリザード。


 ブレードマンティス。


 十五階。


 アイアンオーガ。


 大型の狼型魔物。


 階層を下りるたび、魔物の種類も数も増えていく。


 それでも進めた。


「右!」


「分かった!」


「ルナ、後ろ!」


「見えてる!」


「ワフッ!」


 俺が前へ出る。


 フェリシアが《魔弾》で動きを止める。


 ルナが矢で急所を狙う。


 テリーが死角から飛び込む。


 敵が俺に集中すれば、二人が攻撃する。


 フェリシアやルナへ向かえば、俺が入る。


 自然と身体が動いていた。


 十五階までで、さらにアイアンオーガ一体とグランドリザード二体を倒した。


【3,000P獲得】


【累計獲得P:375,360P】


 ◇


 十六階。


 戦闘が終わったところで、ルナが大きく息を吐いた。


「ふう」


「疲れた?」


「まだ大丈夫」


 ルナが弓を持ったまま、自分の手を見る。


「でもさ」


「何?」


「アレンの《共有》って、とんでもないスキルだよね」


「急にどうしたの?」


「だって」


 弓を軽く引く。


「私一人だったら、こんなに戦えてないよ」


「ルナは元々弓が上手いだろ」


「それはそうだけど」


 ルナが首を振る。


「前より速く動けるし、弓も引きやすい。魔物が近くまで来ても、前ほど怖くない」


 少し考える。


「私自身が強くなったのもあるけど、アレンの力もかなり大きいんだよね」


「私もそう思う」


 フェリシアが言った。


「もう《共有》があるのが当たり前になってるけど」


「うん」


「なかったら、こんな戦い方できてないと思う」


 フェリシアを見る。


 《魔弾》も以前とは違う。


 威力。


 数。


 速度。


 狙い。


 でも。


「二人とも自分でも強くなってるよ」


「それは分かってる」


 フェリシアが笑う。


「でも、自分の力に《共有》が加わってるから、もっと強く戦えるってこと」


「そうそう」


 ルナが頷く。


「アレンが強くなると、私たちも強くなるし」


「確かに」


 最初はフェリシア一人だった。


 今はルナもいる。


 俺自身も、以前とは比べものにならないくらい強くなった。


 その力の一部が、二人へ渡っている。


「やっぱりすごいな。《共有》」


「ようやく分かった?」


「前から分かってたよ」


「ワフッ!」


 二人が笑った。


 ◇


 十七階。


 十八階。


 さらに下へ進む。


 魔物は強くなっていた。


 でも、俺達の方が強い。


 フェリシア。


 ルナ。


 テリー。


 任せられるところは任せる。


 俺が倒したアイアンオーガ一体とグランドリザード二体で、さらに三千P。


【3,000P獲得】


【累計獲得P:378,360P】


 ◇


 十九階。


 《魔力感知》にいくつもの反応。


「……多い」


「何体?」


「九体」


 通路の先。


 アイアンオーガ。


 グランドリザード。


 ブレードマンティス。


 それ以外にも、見たことのない大型魔物がいる。


「どうする?」


 フェリシアが聞く。


「俺とテリーが中央」


「うん」


「フェリシアは右」


「分かった」


「ルナは左」


「任せて!」


「ワフッ!」


 魔物たちが一斉に走り出した。


「《魔弾》!」


 フェリシアの魔弾が右側へ飛ぶ。


 一発。


 二発。


 三発。


 次々と脚や顔へ当たり、動きを崩す。


 左ではルナ。


 矢を放つ。


 一体。


 二体。


 続けて急所へ命中。


「行くよ!」


「ワフッ!」


 中央へ走る。


 アイアンオーガの棍棒をかわし、一閃。


 グランドリザードが横から口を開く。


 テリーが飛びついた。


「ワフッ!」


 頭が逸れる。


「ありがとう!」


 そのまま首を斬る。


「アレン!」


 フェリシアの声。


 振り返る。


 ブレードマンティス。


 鎌が迫る。


 身体を反らす。


 目の前を通り過ぎた。


「《魔弾》!」


 鎌へ直撃。


 腕が弾かれる。


 一歩踏み込む。


 首を斬った。


 その後も戦闘は続いた。


 でも、一体ずつ減っていく。


 最後の魔物が倒れた。


「……終わった?」


 ルナが周囲を見る。


「終わったみたい」


 フェリシアが息を吐く。


「九体は多いね」


「でも勝てたよ」


「うん」


 俺たちは顔を見合わせた。


 まだまだ動ける。


 少し先にある階段を見る。


 次は二十階だ。


 ◇


 階段を下りる。


 大きな扉があった。


 昨日の十階より明らかに大きい。


「いるよね」


 ルナが言う。


「いると思う」


 扉へ手をかける。


「行こう」


 三人で中へ入った。


 広い。


 天井も高い。


 中央。


「……何あれ」


 ルナが呟いた。


 巨大な魔物。


 獅子の身体。


 背中には黒い山羊の頭。


 長い尾の先には、大きな蛇の頭。


 三つの頭が同時にこちらを向いた。


「キマイラ?」


 フェリシアが杖を構える。


 でも、以前見たものより大きい。


 《鑑定》。


【アークキマイラ】

【複数の魔獣の特徴を持つ大型魔物】

【獅子の爪、山羊の魔力攻撃、蛇の尾による三方向からの攻撃を得意とする】


「アークキマイラか」


「強そうだね」


 ルナが弓を構える。


「グオオオオオッ!」


 獅子の頭が吠えた。


 空気が震える。


「来る!」


 アークキマイラが地面を蹴った。


 速い。


「俺が前に出る!」


 竜爪剣を構える。


 前脚。


 受ける。


 ガンッ!!


「っ!」


 重い。


 身体が後ろへ押される。


 鎧は問題ない。


 でも衝撃は身体まで届いた。


「強い!」


 踏み直す。


 反撃。


 首へ剣を振る。


 その瞬間。


「メエエッ!」


 背中の山羊の口元に魔力が集まる。


「アレン!」


 横へ飛ぶ。


 直後。


 ドンッ!


 さっきまでいた地面が砕けた。


「《魔弾》!」


 フェリシアの攻撃。


 五発。


 山羊の頭へ飛ぶ。


 ドドドドドッ!


「メエッ!」


 頭が大きく揺れる。


「シャアアッ!」


 今度は蛇。


 フェリシアへ向かう。


「危ない!」


 ルナの矢。


 蛇の顔へ当たった。


「シャッ!」


 向きが変わる。


「ありがとう!」


 三方向。


 正面だけ見ていたら駄目だ。


 獅子。


 山羊。


 蛇。


 一人で全部を見るのは難しい。


「フェリシア!山羊をお願い!」


「任せて!」


「ルナは蛇!」


「うん!」


 これでいい。


 全部一人でやる必要はない。


 獅子の頭を見る。


「こっちは俺だ!」


「グオオッ!」


 再び前脚。


 かわす。


 もう一撃。


 鎧へ当たった。


 ガンッ!


「ぐっ!」


 でも止まらない。


 竜爪剣を振る。


 肩へ入る。


「グオオオッ!」


 浅い。


「硬いな」


「アレン、下がって!」


 フェリシアの声。


 すぐ横へ飛ぶ。


「《魔弾》!」


 大きな一発。


 さっき俺が斬った傷へ直撃。


 ドンッ!!


「グオッ!」


 アークキマイラがよろめく。


「今!」


 ルナの矢。


 一発。


 二発。


 三発。


 全部、蛇の頭へ。


「シャアッ!」


 蛇が大きく仰け反った。


「ワフッ!」


 テリーが後ろ脚へ飛びつく。


 体勢が崩れる。


「アレン!」


「分かった!」


 地面を蹴る。


 正面。


 山羊の口元へ、また魔力が集まった。


「フェリシア!」


「任せて!」


「《魔弾》!」


 五発。


 同じ場所へ集中。


 山羊の顔へ次々と当たる。


 集まっていた魔力が散った。


「メエエッ!」


「今だ!」


 一気に懐へ。


 竜爪剣へ魔力を流す。


 獅子の首に向けて振り抜く。


 ザンッ!


 大きな頭が落ちた。


 巨体が揺れる。


「まだ!」


 蛇が動く。


「ルナ!」


「うん!」


 矢が目へ刺さる。


「シャアッ!」


「《魔弾》!」


 フェリシアの魔弾が同じ場所へ直撃。


 蛇の頭が大きく弾かれた。


 俺はもう一度踏み込む。


 竜爪剣を振る。


 蛇の首を落とした。


 数歩。


 アークキマイラがふらつく。


 そして。


 ドォン!!


 巨体が地面へ倒れた。


「……」


 動かない。


「倒した?」


 ルナが聞く。


「多分」


 近づく。


 反応はない。


【アークキマイラを討伐しました】


【12,000P獲得】


【保有:61,150P】


【累計獲得P:390,860P】


「一万二千P」


「高いね」


 ルナが言う。


「それだけ強かったってことかな」


 フェリシアがアークキマイラを見る。


「でも」


 ルナが俺たちを見る。


 そして笑った。


「やったね!」


「うん!」


 フェリシアも笑う。


「ワフッ!」


「やった!」


 俺も笑った。


 一人だったら、もっと苦戦していたと思う。


 三人とテリーだったから倒せた。


 その時。


 ゴゴゴゴゴ……。


 部屋の奥で音がした。


「何?」


 大きな扉がゆっくり開いていく。


 その先には、青白く光る転移石。


「またある」


「二十階だからね」


 さらに奥。


 下へ続く階段も見えた。


「まだ続いてるね」


 ルナが言う。


「二十一階」


「どうする?」


 ルナが俺を見る。


 階段を見る。


 身体はまだ動く。


 大きな怪我もない。


 でも。


「帰ろう」


「行かないの?」


「うん」


 もう一度、倒れたアークキマイラを見る。


「二十階でこれだけ強かったんだ。二十一階からは、もっと強くなると思う」


「確かに」


 フェリシアが頷く。


「今日はここまでにしよう」


「私もそれでいいと思う」


 ルナも頷いた。


「無理して行く必要ないしね」


「うん」


「また来ればいい」


「そうだね」


「ワフッ!」


 アークキマイラを《収納》にいれ、転移石へ向かう。


 昨日は十階。


 今日は二十階。


 十分だ。


 転移石へ手を触れた。


【保有:61,150P】

【累計獲得P:390,860P】



最後まで読んでいただきありがとうございます。

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