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《剣聖》になった弟に追放された俺のスキルは《会員》でした ~ハズレスキルだと思っていたら、ポイントで好きな能力を買えるらしい~  作者: アカメノコバチ
第7章 セルヴァン王国

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125/202

第125話 次の目的地

 翌朝。


 俺たちはリゼルの宿の食堂で朝食を取っていた。


「すみません。パン、もう一つお願いします」


「私も!」


 フェリシアに続いて、ルナも手を上げる。


 二人の前には、すでに空になった皿が何枚か重なっていた。


「二人とも、本当によく食べるな」


「そう?」


 フェリシアが首を傾げる。


「昨日かなり動いたからじゃない?」


「私はいつもこれくらいだよ」


 ルナは普通に答えながら、運ばれてきたパンへ手を伸ばした。


「それは知ってる」


 旅を始めてから何度も一緒に食事をしているが、毎回感心する。


 二人とも細い身体のどこに入っているんだろう。


「アレンが少ないんじゃない?」


「俺は普通だと思うけど」


「もう一枚食べれば?」


「まだこれも残ってるから」


 自分の皿を指す。


「ワフッ!」


 足元から元気な声がした。


 テリーだ。


 今日はルナの椅子の横に置いてもらった皿から、焼いた肉を食べている。


 周りの席には他の宿泊客もいる。


 少し前までなら、人が多い場所へ入っただけでルナの後ろへ隠れていたのに、今は落ち着いて肉を頬張っていた。


「テリー、おいしい?」


「ワフッ!」


「よかったね」


 ルナが嬉しそうに頭を撫でる。


 バレインで過ごした時間が大きかったのだろう。


 知らない人が急に近づけばまだ警戒するが、人間がいるだけで怯えることはほとんどなくなった。


「それで」


 俺はパンを食べ終えた。


「これからどうする?」


 二人がこちらを見る。


「今回の依頼は終わったんだよね?」


 フェリシアが聞く。


「正式な報告と報酬はこれからだけど、俺たちがやる調査は終わりだと思う」


 施設はギルドが引き継いだ。


 犯人たちの取り調べも、薬の詳しい調査も、ここからはギルドの仕事になる。


「バレインへ戻る?」


「それも考えてる」


「従魔契約?」


 ルナが聞く。


「ああ。結局、最後まで覚えてないからな」


 もともとセルヴァンへ来て興味を持ったものの一つが従魔契約だった。


 感応石を使って魔力を細く流す練習もした。


 ところが、その途中でテリーを見つけた。


 しかも俺が契約を覚えるより先に、テリーが自分からルナと契約してしまった。


「まだ覚えたいの?」


「興味はあるよ」


「従魔が欲しい?」


「今すぐ欲しいわけじゃない」


 テリーを見る。


「テリーもいるしな」


「ワフ?」


「お前はルナの従魔だけど」


「ワフッ!」


「じゃあ、バレインに戻ったら続きを習う?」


 フェリシアが聞く。


「それもありだけど……今回はどうしようかな」


 昨日見つかった書類のことが頭に残っている。


「ドラン帝国のことが気になるんだ」


 二人の表情が少し変わった。


「やっぱり?」


「ああ」


 ドラン帝国とは、以前戦ったことがある。


 あの時は戦争に巻き込まれ、ドランの剣聖とも戦った。


 その国の名前が、今回さらわれた魔物たちの輸送先として出てきた。


「帝国そのものが関わってるかは分からない。でも、ドラン側で強い魔物を集めている奴がいるらしい」


 さらに、あの施設では魔物を凶暴化させるような薬まで試していた。


「偶然って感じはしないよね」


 フェリシアが言う。


「俺もそう思う」


「私も気になる」


 ルナがすぐに続けた。


「まだ助けられてない子たちがいるから」


 昨日救出できたのは、施設に残されていた魔物だけだ。


 何頭かはすでに別の場所へ送られている。


「どこにいるか分からないけど、生きてるなら放っておきたくないな」


 ルナがテリーの背中を撫でる。


「キューン」


「テリーも、あの施設をすごく怖がってたしね」


「ああ」


 テリー自身も、あの連中に捕まっていた可能性が高い。


「フェリシアは?」


「私はもう少しセルヴァンを見てみたかったかな」


「そうなんだ」


「まだバレインとリゼルくらいしか見てないし」


 フェリシアが少し笑う。


「でも、ドラン帝国のことも気になるよ。あの薬を何に使うつもりなのかも分からないし」


「じゃあ、三人ともそっちは気になってるんだな」


「そうみたいだね」


 俺たちの意見は大体同じだった。


「問題は、どこから追うかだな」


 昨日見た地図を思い出す。


 ドラン帝国方面へ向かうルートはいくつかある。


 北からならサハル王国。


 中央からならミラディア。


 そして西からなら、アルスレイン王国を通る。


「昨日の記録だと、さらわれた魔物の一部はアルスレインを通ってたんだよね?」


 ルナが聞く。


「ああ。地理的にはミラディア経由よりアルスレイン経由の方が良さそうだしね」


「だったら、アルスレインから追うのが一番良いんじゃない?」


 フェリシアが言う。


「俺もそう思ってる」


 ここからアルスレインへ向かうなら、まず一度バレインへ戻る。


「バレインから西へ行けば、ラグナ河に出る」


「私たちがセルヴァンに入った時に渡った河?」


「そう」


 大きなラグナ河。


 今度はバレイン側から西へ向かい、河を渡ってアルスレイン王国へ入ることになる。


「じゃあ、結局バレインには戻るんだね」


 ルナが言う。


「そうなるな」


「従魔契約も習えるんじゃない?」


「時間があればな。ただ今回は先に進みたい」


 従魔契約は逃げない。


 でも、すでに運び出された魔物たちは今もどこかへ移されているかもしれない。


「アルスレインって大きな国なんだよね?」


 ルナが聞く。


「ああ。大陸でも有数の大国らしい」


「セルヴァンみたいにジェニーは使えるの?」


「そこも違う」


「違うんだ?」


「金貨、銀貨、銅貨を使ってるらしいよ」


「じゃあ両替が必要だね」


 フェリシアが楽しそうに言う。


「国が変わるって感じがするね」


「そうだな」


 文化もセルヴァンとはかなり違うのかもしれない。


「アルスレインって言えば」


 フェリシアが思い出したように言う。


「セリカ王女が嫁いだ国だよね?」


「ああ」


 セリカ・サハル。


 サハル王国の第一王女だった女性だ。


「王族同士で結婚したってこと?」


 ルナが聞く。


「そういうこと」


「じゃあサハルとも関係が深いんだね」


「多分ね」


 大陸屈指の大国。


 サハル王家とのつながり。


 そして今回、さらわれた魔物が通った可能性のある場所でもある。


「まずアルスレインへ行ってみる?」


 フェリシアが言った。


「そこで魔物のことを調べて、それからドランへ行くか決める?」


「それがいいと思う」


 ルナも頷いた。


「私も賛成」


 俺にも異論はない。


「じゃあ決まりだな。まずバレインへ戻ろう」


「うん」


「それからラグナ河を渡って、アルスレインだね」


「ワフッ!」


 テリーも元気よく返事をする。


「テリーも賛成だって」


 ルナが笑う。


「ワフッ!」


 まずはバレインへ戻り、そこから西へ向かう。


 次の目的地は、ラグナ河の向こうにあるアルスレイン王国だ。


【保有:10,630P】

【累計獲得P:340,340P】



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