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エルダニア大戦記〜敗残兵に飯と役目を与えていたら、乱世の国づくりが始まりました〜  作者: 志摩 伊純
第3章:灰衣大乱

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第79話 ノイティス


 朝になっても、青い布は同じ荷車の竿に結ばれていた。


 昨日の夕方に見た時より布の端が少し湿っていて、その下ではノエルがもう帳面を広げている。横にはザイデルが座り、ヴェルナー子爵家の書記役と三人で、昨日入った組の札を一枚ずつ見比べていた。


 僕が近づいた時には、ちょうど元兵側から来た組頭が人数を伝えているところだった。


「夜の間に一人増えたわけではありません。昨日、負傷者のところへ移した男をこちらから引いていなかっただけです」


 ザイデルが昨日の帳面を指で押さえる。


「でしたら、こちらを一人減らして、負傷者側へ移した記録だけ残してください。名前をもう一度書き直す必要はありません」


 ヴェルナー側の書記役は、横に置いた別帳に数字を書き足した。少し先では水桶を持った男たちが組ごとに並び、ブルーノが昨日と同じ場所で順番を崩さないよう声を飛ばしている。


 負傷者を寝かせた天幕の前では、ニルスがしゃがんだまま一人の足を見ていた。その後ろでルッツが藁をずらし、通路にはみ出した荷物を家族に寄せてもらっている。


 昨日は、どこへ行っても誰かが僕を探していた。


 今朝は、僕が歩いていても、ほとんど誰もこちらへ来ない。


「兄上。そこに立つなら、せめて日の当たらない側にしてください。帳面が見づらいです」


 ノエルに言われて、僕は荷車の反対側へ回った。


「今日は何をすればいい?」


「領都へ行ってください」


「もう?」


 ノエルは僕を見るより先に、書記役から戻された札をザイデルへ渡した。


「子爵殿から呼ばれているんですよね。昨日は受け入れを優先しろと言われたので残ってもらいましたけど、今日は行ってください」


「でも、まだ人数も全部合ってないんでしょう?」


「合っていません。水も、今日一日でどれだけ使うか見ないといけません。食料も、後から来る人が増えれば変わります」


「それなら、僕も残った方がよくない?」


「兄上が残ると、その人数が合うんですか?」


「……合わないね」


「水が増えますか?」


「それも増えない」


「でしたら、行ってください」


 ノエルはそこでようやく僕を見た。


「昨日よりは回っています。何も問題がないわけじゃありません。でも、兄上が数日いなくても、昨日みたいに全員がどこへ行けばいいのか分からなくなることはありません」


 その横で、ザイデルが一枚の札の端を揃えながら付け足した。


「組頭も場所を覚えました。ヴェルナー家の書記の方々も番号の付け方を把握しています。今朝から新しく説明したことは、ほとんどありません」


「ほとんど、なんですね」


「全部、とは申しません。言い切ると、その直後に何か起きますので」


 それは何となく分かる気がした。


 水場の方から、ブルーノの声が聞こえた。


「昨日と同じだ! 先に来た奴から好きなだけ持ってくんじゃねえ! 組の桶を前へ出せ!」


 今朝初めて聞く声ではなかった。


 でも、その前にはもう組ごとの桶が並んでいて、昨日みたいに全員が樽へ押し寄せているわけでもない。


「ブルーノにも聞いてくるよ」


「兄上が行けば、たぶん追い返されますよ」


「昨日も追い返されたけど、一応」


 僕が水場へ向かうと、ノエルの予想通りだった。


「お前、まだいたのか」


 ブルーノは桶を一つヴェルナー兵へ渡しながら、僕の方へ顎を向けた。


「まだいたって。僕、ここにいる人なんだけど」


「子爵んとこ行くんだろ。だったら行ってこい。こっちは昨日より楽だ」


「水、足りそう?」


「足りるかどうかは今日使ってみねえと分からねえ。けど、昨日みたいに最初の連中で樽を空にすることはねえよ。足りなくなりそうならノエルに言う」


「僕にじゃなくて?」


「お前、領都から水運んで戻ってくんのか?」


「それは無理だね」


「なら邪魔すんな」


 言い方はいつも通りだったけれど、ブルーノはもう僕から目を外し、次に来た組の桶を確認していた。


 少し離れた元兵側では、ガレスとマルクが朝の並びを見ている。昨日引いた縄の内側から外へ出ている者はいない。組頭が二人、朝食の配り方について話していて、その間をベルントが抜け、前日の人数と違うところがないか聞いて回っていた。


 僕が近づくと、ガレスは先に用件を察したらしい。


「領都へ行くのか」


「うん。ノエルにもブルーノにも、もう行けって言われた」


「それなら行った方がいい。子爵殿への報告を延ばす理由もない」


「ガレスも一緒に来てくれる?」


「そのつもりだ。戦場のことを聞かれて、お前一人で全部説明できるとは思っていない」


「そこまで言わなくてもいいと思う」


「東門を開けるまでなら説明できるだろう。その後は、お前自身も途中から何が何だか分からなかったと言っていたじゃないか」


「それはそうなんだけど」


 マルクが僕たちの話を聞きながら、元兵側の縄の端を持ち上げた。


「こっちは俺が見ます。昨日と同じ組で動かすだけなら、急に変えることもありません」


 ガレスは元兵側を一度見渡し、組頭の一人を呼んで朝の人数だけ確認してから、僕の方へ戻った。


「昼までに出るなら準備する。案内はヴェルナー家から出るんだろう?」


「そこはまだ聞いてない。オルステッド殿に聞いてくるよ」


「なら道の心配はないな」


 そこへ、僕の少し後ろからカインの声がした。


「アズール様。出発するのでしたら、荷物は増やさない方がよろしいかと。数日の道ですし、案内の方が付くなら、宿泊場所も確認できるでしょう」


「カインも来るの?」


「領都へ初めて行かれるのでしょう。私が残る理由もありません」


「いや、ここにも仕事はあるし」


「ここには、私より向いている方が大勢います」


 そう言ってカインは、僕の返事を待つより先に、腰の剣帯を少し締め直した。


 近衛とか護衛とか、そういう役目を誰かが決めたわけではない。


 それでも、僕がどこかへ行く時にカインが一緒に来るのは、だんだん説明のいらないことになっている気がした。


 最後にオルステッド殿のところへ行った。


 草地の南側では、新しく張った縄の位置をヴェルナー兵が確認している。オルステッド殿はその少し外側で馬を降り、人足の一人が持ってきた地面の報告を聞いていた。


「南へもう一列だけなら広げられます。荷車を入れる道は昨日の場所を使います」


「広げるのは必要になってからでいい。空いているからと先に使うな」


 人足が離れてから、僕は声をかけた。


「オルステッド殿。今日、領都へ行こうと思います」


「そうしろ。昨日の使者にも、こちらは俺が見ると伝えてある」


「数日、戻れないと思いますけど」


「それで困るなら、子爵殿はお前を呼ばん」


 オルステッド殿は縄の内側へ目を向けた。


「昨日は、お前のところへ聞きに来る者が多かった。今朝は組頭と書記のところで止まっている。それなら十分だ」


「十分なんですね」


「今の段階ではな。全部終わるのを待っていたら、いつまでも報告には行けん」


 僕が少し黙っていると、オルステッド殿は続けた。


「正式な処遇は子爵殿の判断も要る。ここにいる連中をいつまで置くのか、それ以前に何として置くのかも決まっていない。お前が報告を済ませなければ、先へ進まん話もある」


「分かりました。ガレスとカインを連れて行きます」


「それでいい。道案内にこちらの兵を数人付ける。ノイティスまでは数日だ。寄り道をしなければ迷う道でもないが、お前たちは初めてだからな」


*


 その日の昼前、僕たちは草地を出た。荷物は少なかった。僕とガレスとカイン。それにヴェルナー子爵家の兵が数人。大勢で出た南門外とは比べるまでもない。


 歩き出してから振り返ると、青い布は昨日と同じ荷車に残っていた。


 その下ではノエルとザイデルが帳面を広げ、組頭が二人並んで順番を待っている。少し離れた水場からブルーノの声が聞こえ、元兵側ではマルクが縄の外へ出た荷物を中へ戻させていた。


 僕がいなくなっても、誰も追いかけてこなかった。


「アズール、前を見ろ。道の端がぬかるんでいる」


 ガレスに言われて、僕は足元へ目を戻した。


「うん。転んで戻るのは嫌だね」


「戻る理由としては最悪だな」


 カインが後ろから、少しだけ呆れた声を出した。


「せめて領都へ着いてから戻ってください」


 そうして僕たちは、ヴェルナー子爵家領の奥へ向かった。


 数日の道中では、特に大きな問題は起きなかった。


 北端の草地を離れると、道の両側から水の多い土地が少しずつ減っていった。完全になくなるわけではなく、低い場所には細い水路が走り、道の脇には水を逃がす溝が続いている。


 何度か小さな橋を渡った。


 どれも立派な石橋というわけではなかったが、荷車の車輪が落ちそうな板は取り替えられ、橋の前後には泥が溜まりすぎないよう土が盛られている。


 集落の近くでは、畑から道へ出る細道と領都へ向かう街道が交わり、荷を積んだ車とすれ違った。兵を見て避ける者はいても、道そのものが途切れているところはなかった。


 二日目の午後、前を行くヴェルナー兵が橋の向こうで荷車を先に通した。僕たちは道の端で待ちながら、車輪の下を流れる水を見ていた。


「ヴェルナー子爵殿の軍がちゃんとしてるのも、少し分かる気がするね」


 僕が言うと、ガレスは橋の板より、その向こうへ続く道を見ていた。


「軍だけ整えて、こうはならないだろうな。道が使えなければ荷も兵も動かせない」


「戦ってる時は、こんなところまで見なかったね」


「俺たちは使う側だったからな。誰かが直していることまでは気にしなかった」


 案内の兵が、前の荷車が渡り終えたのを見てこちらへ手を上げた。


「通れます。次の宿までは、この先を真っ直ぐです」


 それ以上、僕たちは道について話さなかった。

 村を通り、倉の横を抜け、夜は案内の兵が知っている宿に泊まった。


 翌朝になればまた歩く。戦場へ向かう時みたいに、斥候が戻らないこともなければ、途中で列が切れることもない。遠くで煙が上がっていても、それが敵の合図なのかと身構える必要もなかった。


 何も起きないまま道を進むのは、思っていたより久しぶりだった。


 そして数日後。


 昼を少し過ぎたころ、前を行く兵の一人が道の先を指した。


「あれがノイティスです」


 最初に見えたのは壁だった。畑の向こうに長く続き、その上から屋根が何列も見える。壁の向こうには少し高い建物もあり、道はそのまま大きな門へ吸い込まれていた。


 近づくほど、門から出てくる荷車の数が増えた。


 二台並んで通れるほど道幅があり、穀物らしい袋を積んだ車、木材を縛った車、空荷で戻る車が順番に行き交っている。徒歩の人間も多く、兵の姿も珍しくない。


「……大きいね」


 思ったまま口にすると、案内の兵が少し振り返った。


「ノイティスへ来るのは初めてでしたね」


「はい。ヴェルカよりずっと大きく見えます」


「ヴェルカよりは大きいですよ。この辺りの荷は、かなりここへ集まりますから。ただ、港都ルミナほどではありません」


「ルミナと比べると、さすがに小さいね」


 遠くから見えるだけでも、港都ルミナの広がりとは違った。


 ルミナでは、どこまで行っても倉と人と荷が続き、その先には港があった。船から降りた荷が別の倉へ運ばれ、知らない土地の商人まで普通に歩いていた。


 ノイティスには海も大きな港も見えない。


 代わりに、僕たちが来た道だけではなく、門の前で別の街道も合流している。そこからも荷車が来ていた。


「ここが子爵家の領都か」


 ガレスは門だけでなく、その外へ広がる畑と道を見ている。


「ヴェルカとは役目が違うな」


「どう違うの?」


「俺にも全部は分からん。だが、港がなくてこれだけ人と荷が集まるなら、周りの領地からここへ集めているんだろう」


「なるほど」


「分かった顔をするな。俺も今見て言っただけだ」


「今ちょっと賢そうだったのに」


「お前に言われると腹が立つな」


 カインが僕たちの間へ入ることなく、少し後ろから門の方を見た。


「お二人とも、門の前では少し静かにしてください。案内の方々までこちらを見ています」


 前を歩くヴェルナー兵の肩が少し動いた。


 聞こえていたらしい。


 門前では、入る荷車と出る荷車の列が分けられていた。


 僕たちは案内の兵と一緒だったので長く止められることはなく、門兵が案内役に一度確認を取ると、そのまま中へ通された。


 門をくぐった途端、道の音が変わった。


 外では土の上を車輪が鳴っていたのに、内側は踏み固められた道に石が混じり、車輪の音が近くの建物へ返ってくる。道沿いには二階のある建物も多く、店先へ箱を出している商人の前を、兵と荷車が絶えず行き交っていた。


 港都ルミナほど、人の流れが入り乱れてはいない。


 それでもヴェルカの中心部より、ずっと広い。


 門の向こうへ入ってからも、大通りは先まで続いていた。


「子爵家の館は、この先です」


 案内の兵が言い、僕たちは人の流れに沿って進んだ。


 市場らしい広場の脇を抜ける時、干した肉を並べる店の前で足を止めそうになったが、ガレスに背中を押された。


「見るのは後にしろ」


「見てただけだよ」


「足が止まっていた」


「数日歩いたから、お腹が空いてるんだよ」


「宿へ行けば飯は出る」


「そういう問題じゃなくて」


 言い合っているうちに、前を歩いていた案内の兵が立ち止まった。


 道の先に、こちらへ向かってくる男がいた。最初は顔より、左腕の方が目に入った。左腕を身体の脇へ少し寄せたまま歩く姿に見覚えがある。


「……ロイター殿?」


 僕が声を上げると、男は右手を軽く上げた。


「来たか。思ったより早かったな」


「ロイター殿!」


 近くまで来ると、間違いなかった。


 マルティン・ロイター殿は以前より少し日に焼けたように見えたが、左腕を身体の脇へ寄せるところは、最後に会った時とあまり変わっていない。


「お久しぶりです。腕、まだ悪いんですか?」


「使えないわけじゃない。ただ、長く動かすと邪魔になる。お前たちの方は、ずいぶん元気そうだな」


「元気というか……いろいろありました」


「それは報告を読めば分かる」


 ロイター殿は僕の後ろにいるガレスとカインにも目を向けた。


「ガレスも一緒か。ちょうどいい。戦場の話でアズールが怪しくなったら、お前が補え」


「そのつもりです」


「カインは護衛か?」


「アズール様の付き添いです。正式な役目があるわけではありません」


「相変わらずそこは曖昧なんだな」


 ロイター殿はそれ以上聞かなかった。


 案内についてきた兵たちが一歩前へ出て、草地から無事に到着したことを報告する。ロイター殿は右手で受け取った小さな札に目を通し、そのまま兵たちへ戻した。


「ここまででいい。草地へ戻る者は、今日のうちに出るなら西門側の詰所で水を足していけ」


 兵たちが礼をして離れる。


 急に、僕たちはノイティスの中で三人になった。いや、ロイター殿を入れれば四人だった。


「わざわざ迎えに来てくれたんですか?」


「お前たちはノイティスが初めてだと聞いた。子爵殿から、着いたら宿まで通せと言われている」


「子爵殿は、もうオルステッド殿からの報告を読んでるんですか?」


「読んでいる」


「それなら、僕から説明することって残ってます?」


 ロイター殿は歩き出しながら、僕にもついて来るよう右手で示した。


「あるから呼ばれたんだろう」


「やっぱりありますか」


「俺も報告は一通り見た。南門を開けたところまでは分かる。その後、門の外へ人が出始めたところも、武器を置かせたところも、書いてあること自体は分かる」


「じゃあ、ほとんど分かってるじゃないですか」


「書いてある順番はな」


 大通りを一本曲がる。少し人通りが減り、道沿いの建物も店より倉や役所らしいものが増えていった。


 ロイター殿は歩調を落とさず続けた。


「なぜ、あの人数がお前のところへ集まる話になった」


「それは……」


「今から話すな」


「まだ何も言ってないですよ」


「言い始める顔をしていた。俺に一度説明して、明日また子爵殿の前で最初から話すつもりか?」


「それはちょっと嫌ですね」


「俺も二度聞くのは面倒だ。明日、子爵殿の前で話せ」


 ガレスが僕の隣で小さく笑った。


「だから俺を連れてきたんだ」


「ガレスまで楽しそうにしないでよ」


「楽しんではいない。お前が何を忘れるか考えているだけだ」


「それ、余計に嫌だなあ」


 ロイター殿がちらりとこちらを見る。


「忘れているなら、ガレスに話させればいい。子爵殿が聞きたいのは、お前一人の立派な報告じゃない。何が起きたかだ」


「それなら少し安心しました」


「安心するところか?」


「僕、ちゃんとした報告って苦手なので」


「知っている」


 ロイター殿は迷わず言った。

 僕は少しだけ傷ついた。でも、たぶん間違ってはいない。


「今日は宿へ入れ。数日歩いてきたんだろう。子爵殿への報告は明日だ」


「明日ですか」


「何か困るのか?」


「いえ。むしろ、今からじゃなくてよかったです」


「なら休め。ただし、明日になってから『何から話せばいいですか』と俺に聞くな。南門へ入ったところからでも、その前からでもいい。順番に話せばいい」


 僕は隣のガレスを見た。


「ガレス、覚えてる?」


「お前よりはな」


 後ろからカインも続ける。


「私も、アズール様と一緒にいたところまでは覚えています」


「二人とも僕より自信あるんだね」


「お前が自信なさすぎるんだ」


 道の先に、少し広い敷地と門が見えてきた。子爵家の館そのものなのか、客を泊める場所なのか、僕にはまだ分からない。

 ロイター殿はそちらへ向かいながら、右手で僕たちを呼んだ。


「とにかく、今日は飯を食って休め。明日は子爵殿の前だ」


「分かりました」


 一度返事をしてから、僕は少し考えた。


「ロイター殿」


「今度は何だ」


「報告、やっぱり変でした?」


 ロイター殿は数歩そのまま進んだ。


「変かどうかは知らん」


 それから、こちらを見ずに続けた。


「ただ、どうしてあの報告書の最後に、ヴェルナー子爵家領で大勢を預かる話が書かれているのかは、俺にもよく分からん」


「僕も、途中からよく分からなくなってました」


「なら明日、分からなくなったところから説明しろ」


 それで説明になるのかなと思ったけれど、ロイター殿はもう宿の方へ歩いている。


 僕はガレスとカインを見てから、その後を追った。


 ノイティスへ着いた最初の日は、こうして終わることになった。


 子爵殿への報告は、明日だった。


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