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第40章:運命は彼を・・

宝塚病院の一室。

試合後に倒れたシュートはまだ意識を失ったまま

看護師のケアのもと個室病室に担ぎ込まれていた。


一人の女性が、病室に真っ青な顔で飛び込んできた。

「秀太。どうしたの目を開けて」

看護師の止めるのも聞かずに、シュートに縋りついた。


静かに、担当医らしき初老の男性が声をかけた。

「佐伯くんのお母さんですね?ご安心ください。

今は、鎮静剤も投与しているので、しばらくは意識が戻りません」


「先生、秀太を助けてください。お願いします」


「彼から何も聞いていないのですか?」

「一ヶ月ほど前に体調不良で検査に来ています。

てっきりお母さんに話していると。。。」


「いいえ聞いていません」

母親はオロオロしながら答えた。


「彼は今意識がないのでお母さんにお伺いします」

「秀太くんの血縁で心臓の欠陥で亡くなられた方は

いませんか?」


母親は俯きながら答えた

「父親が一昨年心臓の欠陥で亡くなっています」

母親は目に瞑りながら

「秀太はどうなるのですか」と聞いた。


「この前の検査でわかりましたが、彼も心臓に欠陥を抱えています。

多分お父様の遺伝だと思いますが、より精密の検査と入院が必要です」


「これ以上のことは今の段階で言えません」

「秀太君には伝えないようにお願いします」

母親は目頭を抑え頷いた。


その日の夕方

ミッチはいつものように「シュプール」でシュートとの

待ち合わせでかれこれ二時間待っていた。


(今日は、試合だったので来れないのかなぁ)

そう気になっていた時、しっちゃんとのりっぺが

店に入ってきた。


「あら、お二人でどうしてここがわかったの」

「洋子先生にここじゃないかと言われた」


「何かあったの?」


「シュートが試合の後に倒れて病院に運ばれた」

しっちゃんが静かな口調でミッチに伝えた。


“えっ”とゆう表情を浮かべミッチは席を立ち上がった

急いで、出て行こうとするミッチを二人は引き留めた。


「今日は面会謝絶のはずなので明日みんなでお見舞いに行こう」


「明日朝迎えに行くから今日はお家に帰りましょう」

のりっぺはミッチをささえるように家まで送っていった。


翌日、3人は暗い顔をして宝塚病院のエントランスにいた。


「しっちゃん、面会の申し込みをしてくれる?」

ミッチがか細い声で頼んだ。


しっちゃんは3人の名前を受付簿に書き、案内をまった。


「3階の101号室です。面会時間は30分です。厳守ください」

「あと、患者の容態はあまり良くありませんので、興奮さないように

注意ください」

受付の看護師が事務的に伝えた。3人は病室へと向かった。


「しっちゃん、先に入ってくれる」のりっぺが頼み込むように伝えた。


3人は静かに、病室に入った。

シュートは上半身を起こし、ベッドに横たわっていた。

そばには、母親らしき女性が着替えを手に座っていた。


「おっつ。3人お揃いでどうした」

シュートが軽く笑いながら声をかけた。


ミッチがしっちゃんの横を通り抜け、シュートの前に立ち尽くした。

真っ赤な目をして。


「バカ。みんな心配してるんだよ」

俯いて泣いているのがわかった。


シュートはミッチのかたを優しく叩き

「悪かった。ちょっと恥ずかしかったんだ」

と呟いた。


しっちゃんがシュートを見ながら

「体の調子はどうだ?」

と尋ねた。


「全然大丈夫だ。次の試合が待ち遠しい」


それを聞いた母親は

「今から検査がありますので、別室へどうぞ」

と3人を促した。


隣の部屋で3人と母親は待機している。


母親がしっちゃんの方を向いて

「あなたが松岡君ですね。秀太は元気そうに見えますが

しばらくサッカーはできません。彼の命に関わります。

秀太がサッカーをしないように説き伏せてください。

勝手なお願いですが、あなたの言うことは尊重すると思います」


「そんなに悪いのですか」

「わかりましたできる限りやってみます」


ミッチとのりっぺの方を見て

「秀太が『女の子の友達が2人できたんだ。一人は僕の

ガールフレンドになってくれそうなんだ』」と話していました。


のりっぺがミッチを母親の前に少し押し出して言った

「この子、ミッチがガールフレンドです」


「病院でお会いするとは思いませんでした。勝手なお願いですが

秀太のささえになってあげてください。お願いします」


ミッチは母親見つめ大きく頷いた。


秀太の検査が終わり、彼の顔を見た後3人は病院を後にした。


のりっぺがしっちゃんに呟いた。

「しっちゃん、シュートをどう納得させるの?」


しっちゃんは黙ってくれゆく夕日を見つめていた。


翌日、宝梅中学のサッカー部部室には部員全員と顧問が

集まっていた。

しっちゃんが、前に出て話出そうとする。


「キャプテンはどんな様子でしたか?」

「次の試合は出れますか」 ・・・

部員から様々な質問が飛び出してくる。


しっちゃんはそれを一通り聞いた後、みんなに伝えた

「キャプテンは精密検査が必要で当分サッカーはできない」

「全国大会の残りはこのメンバーで戦っていくことになる」


顧問が尋ねた

「そんなに悪いのか?」


「検査の結果はわかりませんがお母さんから「しばらくサッカーはできません」

と言われました。残りメンバーで力を合わせて戦うしかありません」


あるメンバーから

「キャプテンのお見舞いに行きたいです」と声が上がった。


しっちゃんが言った。

「多人数でお見舞いはできない。今からサッカーボールに全員の

メッセージを書いてもらう。それを僕が届ける」

「くれぐれも次の試合へ出てほしいなどのことは書かないでくれ」


しっちゃんは全員のメッセージが書かれたボールを大事そうに

傍に抱え、出ていった。


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