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第37章:主役への一歩

ミッチがいつものようにレッスンを受けに行った時、

珍しく、洋子先生は外出していた。


レッスンが終わり、帰り支度をしているところへ

洋子先生が軽やかな足取りでミッチに歩み寄り

話しかけてきた。


「小林さん。あなたにとって、いい知らせと悪い知らせがあるの」

「悪い知らせは、宝塚テレビロマンの”はいからさんが通る“が

無期限延期になるかもしれない」ってこと。


ミッチは残念そうに尋ねた。

「どうしてなんですか?よければ教えてください」


洋子先生はミッチの目をしっかり見つめながら

「はいからさんの主役の女の子が、出演を辞退したの。

どうやら、周りからの期待によるプレッシャーで精神的にまいったみたい」


「いい話は、主演の座があなたに巡ってくるっていうこと」

「あなたが主演を引き受ければ予定通りにオンエアされるの」


ミッチは思わず目を見開き洋子先生の言葉をまった。

「主役の座はたいへんだけど、受ける気持ちはおありになる?」


「はい。私の夢ですのでどんなことがあっても食らいつきます」


「わかりました。宝塚テレビロマンにはその旨伝えておきます」

「来週から、ハードになるけど、覚悟しなさいね」

「この台本を頭に叩き込んでおいてちょうだい」

と言いながら、分厚い台本をミッチに渡した。


その日のレッスンの帰りは、いつものようにシュートととの

シュープールでの待ち合わせだった。


がらーん。勢いよくミッチが店に飛び込んで行き、

シュートの前に駆け込むように座った


「そんなに慌ててどうしたんだ」

シュートが怪訝な顔で尋ねた。


「私ね、花村紅緒を主演できるかもしれないの!」

ミッチは、洋子先生との話をかいつまんでシュートに

伝えた。


「そうか。主役の子には悪いけどそれはよかったな。」


「そう。これからシュートと夢への競争よ」


「実は、シュートのサッカーへの夢が順調に進んでいて

 私、少し悔しかったの」


「これから二人でそれぞれの夢に向けたいっそ頑張ろうね」

 キラキラした目でミッチはシュートを見つめた。


「夢に向けて、俺は負けないよ」

 シュートはミッチの肩を叩き笑った。


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