不良中年
『暴走中の車、止まりなさい!!』
正面を警察の装甲車が塞ぎ、その陰より機動隊がメガホンで喚き立てた。
「やっかましぃ!!」
止まるどころか、ジョーカーは更にアクセルを踏み込んだ。
「ちょ……おじさん、アレは踏み越えらんないでしょ!」
「お京はベルトにしがみ着いてろ!雷、援護!!」
「はいな!種別は?」
ジョーカーの無精髭が妖しく歪む。
「跳ぶ」
思わず雷は吹き出した。
「あっはっは、それ乗った!!」
腰より銃を引き抜き、装弾を確認。助手席より身を乗り出した。機動隊の構えるSMGが慌てて雷へ。
「遅い!」
連射。雷の放った弾丸はSMGの機関部を破壊、機動隊の射列が沈黙した。
「腕上げたじゃねぇか!」
「ったりまえだろ!」
「んじゃ、行くぜ!!」
ジョーカーは路側に寄せて停車するパトカーへ。
「掴まってろ!!」
逃げ惑う機動隊をよそに、乗り上げる。そして浮いた車体はそのまま装甲車を踏み台にジャンプ!
「いぃぃぃやっほぅ!!」
機動隊が呆然と見上げる中、ビックホイールの4WDが宙を飛んで着地した。
「さいっっこぉだぜ!!」
……不良中年!
海賊に対して京子の見解は少しおとなしいのでは……。
「京子、無事かぁ!?」
激しく揺れた車内、雷はリアシートを振り返る。
「ぎりぎり無事……」
しかし、その目は京子を見ていない。
「……え?」
直後、背後より閃光が駆け抜け、
「いやぁぁぁぁ!!」
先程とは比べ物にならない激震、そして轟音が車を揺さぶった。
「な、何なのよぉぉ!」
京子は悲鳴と非難をまくし立てた。シートにしがみついていた雷は舌を打つ。
「装甲車が爆発した」
未だ上がる爆炎の中より、スポーツタイプの4WDが飛び出した。




