Jc.099
3
-駐車場-
店の裏手に逃げ込んだ雷たちは、真っ直ぐ裏の駐車場に向かった。
「親父、今まで何してたんだよ!」
首を巡らせるジョーカーに雷は疑問を投げ掛けた。
「カウンターで酒飲んでたの、気付かなかったか?」
「んなこと訊いてんじゃない!地球で墜落したろーが!!」
唐突にジョーカーが振り返る。
「言い直せ。墜落じゃぁない。不時着だ!!」
プライドに抵触したらしい。
「んじゃ、その不時着後、どーしてたんだよ。こっちは大変だったんだぜ!」
「後で話す。今は逃げ出すことが先決だ」
正論である。ジョーカーは1台の車に目を止めにんまり笑う。
「あれだ」
ウォーケン社の4WD。その車体を前に、京子はぎょっとした。タイヤが、自分の背丈程もある。
「これ……おじさんの車?」
雷は肩を竦めた。
「まさか」
ジョーカーは掌をドアのキーにひたりと付けた。
「トール!」
小さな雷光が疾り、電子ロックが解除された。
「借りるらしい」
「ぐずぐずするな、早く乗れ!」
運転席より二人を呼ぶジョーカー、既にエンジンを始動させていた。
-Jc.099軍港-
アメリア・フィールズより離れること2000km。まるでJc.(ジャンクション)の衛星のように周回するドックがある。連邦軍AFJc.099軍港である。宇宙島内に軍艦を乗り入れるのを、機密上での配慮をした連邦が特設した軍専用の港である。
現在停泊する艦は5。駆逐艦ハーベイ、カルタス、ミルトン。巡洋艦ホールデンそして、フォクスターである。はぐれ狼のクラウス座乗艦、フォクスターに通信が為されたのはつい今しがただ。
「艦長に、ですか?」
通信士官のレイラ・バートン准尉は一瞬戸惑った。通信相手はウルフ中隊のアリエス少尉。通称マッコイの日陰者。
『そう、艦長に繋いで下さい!急ぎなんですよ!!』
「それが……」
出来ないのだ。艦長はリュヒテン管区の司令に呼び出され、この艦を離れていた。
「准尉、貸しなさい」
「はいっ」
横よりぬっと手が伸びる。
副長のロックハート中佐だ。ロックハートはヘッドセットを耳に当てた。
「ロックハートだ。私では不服かな?」
『ふ……副長!い、いえ、めっそうもありません、サー!!』
「済まんが艦長は不在だ。緊急の報告か?」
『サー!そうであります!!』
移動中なのだろう、荒い息遣いの中に、かなりの緊張を感じた。
『フェストのセリア、及びクロウ海賊団のジョーカーとライツ、発見いたしました!!』
ロックハートの顔が険しく引き締まる。
「どこだ!!」
『アメリア・フィールズ6番街をウルフ中隊で追跡中であります!至急増援を要請します!!』
報告を聞きつつロックハートの手はコンソールのキーを走っていた。出港を求める電信と、出向中のクラウスに向けた暗号文だ。
「了解した!マーカー絶やすな、ベア中隊がそっちに居る。我々も出港、6番埠頭へ突入する。絶対に逃がすな!!以上!」
『Yes Sir!!』
通信が切れると、ロックハートは艦内放送のマイクを取り上げた。
「フォクスター全艦に告げる!各員至急持ち場に急行せよ!本艦は1400時を以って作戦行動に移る!!」
艦内各所に設置された回転灯が点灯。フォクスター乗組員は、一瞬の後待ってましたとばかりに廊下を駆けだした。




