亜空間フィールド
-翔龍姫-
「ここを開けろ!!」
雷は京子を取り込む円筒を殴り付けた。
「イゾーデ!!」
コンソールに反応。一部のシステムが切り変わる。
「……DLS解除。調整開始します」
イゾーデが目覚めた。
「調整はいい、ここを開けろ!京子を出すんだ!!」
イゾーデは雷の剣幕に気圧された。
「ライツ様、今は外の状況が……」
「そんなことはいい!京子を解放しろ!!」
もう、雷に見えているのは京子のバイタルだけだ。
「……分かりました」
イゾーデが表情硬く頷き、京子を包む隔壁が解放された。
-ガーヘルト-
「アンカー照準合わせやした!」
クックは笑みを浮かべて右手を握り込む。
「頭ぁ!エステールが突っ込んで来やす!」
「無視しろ、こっちが早い!アンカー射出!!」
艦首より低い響きをさせて、アンカー射出。固形燃料ロケットによって加速するアンカーが、違うことなく漂流する翔龍姫へ。
待つこと数秒、アンカーは翔龍姫を確実に捕獲した。
-エステール-
それは、エステールの光学映像で確実に捉えられた。
「ガーヘルト、翔龍姫捕獲!」
その報告にコールが鋭い視線を投げた。
「まだだ!アンカーに繋がれたに過ぎん!!」
……そう、まだだ。
翔龍姫だけでも……。
「副長!有効圏内到達!」
コールが顔を上げた。
「よし!カタパルト要員スタンバイ!」
「準備完了しています!」
「座標軸固定!亜空間フィールド展開!!」
-ガーヘルト-
満面の笑みだ。
再び後部の装甲がフォクスターの主砲により破損するものの、クックは会心の笑みを隠さない。
……まずは、地図を手に入れた。
頭の中は薔薇色の財宝三昧だ。
すると、その妄想に警報が割り込んだ。
「おかしいっす!重力変移感知しやした!!」
クックは舌打ち一つ、現実に引き戻された。
「どこからだ!?」
「へい……翔龍姫周辺っす!」
……なんだと!?
「翔龍姫は機関停止してんじゃねぇのかよ!」
「未だに動いちゃいやせんよ!……いや、こいつぁ外部からの」
息を呑む。
「いけやせん!こいつぁエステールの跳躍カタパルトっす!!」
「なぁにぃ!!」
……その手があったか!
跳躍カタパルトの亜空間フィールドを展開させ、そこへ船を強引に放り込む。この惑星付近で、しかも機関の停止した船を強引に跳躍させる……多少強引だが、或いは超小型船の翔龍姫なら重力の影響が少ない筈だ。
こんなことをやるのは……。
「忘れてたぜ。野郎も海賊だったな!」
クックの口端に小さく笑みがかすめた。が、次の瞬間には口を引き締める。
「とにかく急げ!ホールイン前に回収……」
亜空間レーダーが悲鳴を上げた……直後、光を放って翔龍姫消失。
いや、それどころか、ガーヘルトの艦首ごと亜空間にもぎ取られた。
「っの野郎!!」




