存在意義
-ガーヘルト-
『き……貴様ぁ!!』
ガーヘルトのディスプレイにクラウスの形相が。
「いいねぇ、その顔。遅れて来た甲斐があったってもんだぜ」
そしてクックはマントを払い、鋼鉄の左手を突き出した。
「野郎ども、今が機だ!お宝を手に入れろ!!」
「おぉっ!」
応じてガーヘルト転進。流された翔龍姫を補足し、捕獲へ向かう。
『三流海賊にやらせん!』
「ケツ向けて吠えねぇ方がいいぜ。主砲、照準なんてケチなもんはいらねぇ、フォクスターに向けて一斉射!!」
計9門の艦砲がフォクスターへ。殆んどのエネルギーは障壁によって中和するものの、余波が第1装甲板を吹き飛ばす。
「今のうちだ、急げ!」
-エステール-
コールは一瞬唖然とした。
「ガーヘルトだと……」
正直忘れていた。しかし、これは好機だ。
「キャスティー、翔龍姫と通信は!?」
「繋がりません!」
……となると、調整は出来ないか。
「レイ、本艦を翔龍姫前方200に合わせ!」
レイは眉を寄せた。
……200って、カタパルトを?
「副長まさか!」
コールは頷いた。
「運を天に任せる」
-フォクスター-
「取舵70度、射軸に入り次第主砲1番2番ガーヘルト、3番エステール、一斉射!同時に回収作業、ライナー1小隊を護衛にタグボート3機出撃!!」
「アイアイ・サー!」
席を立って叫ぶクラウス。もう成り振り構ってなどいられない。
……ここまでコケにされるなど!!
これ以上の恥の上塗りは耐えられぬ。
「照準よぉし!」
「撃て!!」
-ガーヘルト-
後部甲板の第1装甲版が吹き飛んだ。
「頭ぁ!至近距離からの主砲じゃぁ障壁役に立ちやせん!!反撃……」
「いらねぇ!撃たせておきゃぁいい!!」
-エステール-
艦首側より轟音とそして激震。瞬時にディスプレイが赤く染まる。
「主砲、艦首直撃!第2、第3区画閉鎖!!」
クリスティーナが振り返る。
「コール……」
「構うな!翔龍姫に集中しろ!王女を助けられなければ、我等に明日はない!!」
コールはブリッジに視線を巡らせた。
「この艦を放棄することも厭わん、王女を救え!!」
クリスティーナが小さく笑う。
「そう……だな。ボク等はその為に、存在する……」




