跳躍弾頭
-フォクスター-
「突貫か……」
クラウスの口が一文字に引き結ばれた。フェストの現在の戦力を考えれば、それもいた仕方あるまい。
「巡洋艦ミーティアに砲火集中!足を止めろ!!」
戦いに於いては冷徹にして峻烈。クラウスに手加減の文字はない。
「エネルギー反応が異常です!」
「予測は?」
「機関部より加熱……80%の確率で暴走させています!」
クラウスはディスプレイの熱源反応を睨め付けた。
「主砲、機関部へ集中!メルトダウン前に轟沈しろ!!」
フォクスターの主砲が一斉回頭、翔龍姫やエステールに向けられていた照準が、ミーティア一艦に集中した。
「撃ぇ!」
ロックハートの号令一下、光の束がミーティアを強襲。至近より放たれたエネルギーは、艦の中央を易々と貫通、爆発に艦体が大きく揺らぐ。しかし、足は止まらない。
「く……質量がありすぎる」
ロックハートより苦渋の言葉が漏れる。
「副長、使うとしよう」
クラウスの言葉に、ロックハートは息を詰めた。
「……新兵器ですか」
クラウスは顎を引く。
「このままでは両者轟沈。テスト段階だが、跳躍弾頭弾を使用する」
ブリッジがざわめいた。
「魚雷発射菅、弾頭換装用意!」
クラウスの命令を合図に、再びブリッジが動き出す。
「副長、認証コードの用意だ」
クラウスのコンソールに小さなパネルが突出した。
「ミーティア、最接近!限界圏内まであと5000!!」
「艦首回頭、ミーティアに向けろ!」
パネルにクラウスとロックハートが手を当てる。
ロック解除。
封印された兵器が解放された。
-フォクスター魚雷菅室-
艦長と副長の承認を必要とする新兵器、跳躍弾頭弾。
つい1年前に開発が終了したばかりの出来立てだ。基の技術は……古代フェスト王国。つまり、奪ってきた技術だ。
その兵器が、菅室に搬送され、機械要員が弾頭を装着した。
「ぐずぐずするな!遅れるとこっちも消滅だぞ!!」
激を飛ばす班長も必死だ。動力炉を暴走させて突っ込んでくるなど正気の沙汰じゃぁない。
あるいは……追い込んだのは俺達連邦か。
班長はかぶりを振った。今は自分の命だ。
「装填完了しました!」
班長は顎を引き、伝声菅を掴んだ。
-フォクスター ブリッジ-
ベルの音に反応し、ロックハートが受話器を掴む。菅室からだ。
「艦長、準備整いました!」
クラウスは顎を引く。
「1番から4番発射菅開け!魚雷、跳躍弾頭弾4線、目標敵巡洋艦ミーティア!」
もはや目前と迫ったミーティアに、波紋追尾信号がセットされた。
「撃て!!」
新兵器が4本の光の筋となって放たれた。




