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第一艦橋大破

     5

  -フォクスター-

 「射撃管制、修正急げ!」

 「目標の後方より2艦急加速!巡洋艦エステールとミーティア、損傷は見受けられません!!」

 「誤差修正、エネルギー充填完了!」

 「副砲第四射、撃て!!」

 「エステールとミーティア、対空機関砲射程距離まであと30秒!!」

 行き交う情報と命令の狭間で、クラウスが小さく微笑んだ。

 「逃げる気なし、か。突っ込んでくるとはな。さすがはジョーカーの鍛えた部隊だ」

 「ジョーカー・クロウ……艦長の同期でしたな」

クラウスは頷いた。

 「あの翔龍姫からは奴の臭いがする。……まさかとは思うが」

 クラウスの思考を邪魔するように、警戒警報が耳を打つ。

 「敵巡洋艦2、主砲発射しました!!」

 「対光フィールド展開!急ぎ応射、これは威嚇ではない、墜とせ!!」

 射程距離ぎりぎりで放たれた主砲のエネルギーの束は、フォクスター内に轟音を響かせるものの、フィールドに阻まれ漆黒に蒼いスパークを発して霧散した。

 「主砲、撃ぇ!!」

 全9門、連邦の誇る荷電粒子の主砲が號と吠えた。打撃戦開始の轟砲のように。


    -翔龍姫-

 頭上を巨大なエネルギーの束が駆け抜けた。

 連邦軍巡洋艦の荷電粒子砲。防衛のみを考えたフェストの物とは格が違う。後方で加速するエステールとミーティアを掠めた。掠めただけで、ミーティアの左舷より炎が上がる。

 「くそ、なんて威力だよ!」

 銀河系を制した武力、伊達ではない。

 ……早くカタを付けないとヤバい!

 「主砲用意!艦橋狙えるか!?」

 「計測します」

 精密射撃は演算装置が命だ。この高機動中、どれだけ安定して標的へのブレを予測できるか……。

 「行けます。5秒でロックオン……どうぞ」

 ……こっちも伊達じゃぁないらしい。

 「京子、撃て!」

 翔龍姫の船首より光の束が放たれた。



   -フォクスター-

 頭上より轟音。イナーシャルキャンセラーの能力を大幅に上回る衝撃が艦内をかき回す。ディスプレイ上に警報が点滅した。

 「翔龍姫からの主砲、直撃です!第1艦橋大破!!」

 この直上だ。さすがのクラウスも顔色を変えた。

 「大破だと!?対光フィールドはどうした!」

 「それが……中和されました……」

 「中和されただと……」

 しかし、クラウスは即座に命令を飛ばした。

 「原因は!?」

 「兵器の種別、判別不能!ただ、大破した第一艦橋周辺に反物質の反応が残留しています!!」

 クラウスの脳裏に閃く物があった。

 あれは確か……

 「反中間子」

 オペレーターのハンプトンが思わず振り向いた。

 「艦長それは……」

 それこそ伝説級の兵器だ。

 「有り得ない、か?しかし、奴はフェストの遺産だぞ」

 ハンプトンは喉を鳴らした。

 「そうとなれば、多少は対策が練れます。フィールド配列変更します!ただし、有効範囲40%減!!」

 「よし、弾幕を厚くしろ!翔龍姫を近付けるな!!」

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