メルトダウン
-エステール-
臨時のオペレーター、クイネスがいち早く港の異変に気がついた。
「副長、隔壁開き始めました!」
その、待ちに待った報告に、各員一斉にディスプレイに視線を疾らせた。
「よぉし。キャスティー、ミーティアとリステン、翔龍姫へ連絡!レイ、機関出力上げろ!!」
「了解!」
クリスティーナが振り向いた。
「で、僕は?」
彼女は火器管制担当だ。
「港内で撃つ気かお前は……」
-翔龍姫-
「ライツ様、エステールのキャスティー様より通信です」
イゾーデの報告に、一瞬雷は眉を顰めた。
……キャスティーって、食堂のウェイトレスだろ!?
手元のコンソールに映像が回された。
「……キャスティーさん、なんであんたが?」
キャスティーは反射的に営業スマイルを浮かべた。
『はい、航法2級通信士の資格を持っていますので……いえ、そんなことより、隔壁が開き始めました』
雷はちらりと動力炉の映像へ視線を走らせた。
「知ってる。それより、副長と代わって下さい!」
程なくコールの厳めしい表情に切り替わる。
「副長、ランディさんが……」
『あぁ、分かってる』
「分かってるなら救助を……」
いや、そういうことか。雷の腹の奥が熱くなる。
『我々にはもう、余裕がない。いいか、お前は王女を第一に考えろ。ランディさんがそれ以外に何か望んだか?』
「くそ……正論すぎて泣けてきますよ!もういいです、俺が……」
ふと雷は動力炉の映像に異変を見た。
巨大な炉心に、微かな歪みが……。
-動力炉-
……ここで幕なのか!
突然耳朶を打った警報に、ランディの手は固まった。赤い回転灯が焦りを更に助長する。
『炉心が臨界点を超えました。作業員は速やかに退避してください。繰り返します……』
ランディは眉を顰めた。
……この録音やったのは、キャスティー嬢だったか?
背後より熱気が押し寄せた。炉心の異常加熱……それも末期的な。
「もう少し、もう少し時間を!!」
次の瞬間、鉄板のような熱風が全てを焼き尽くした。




