過酷な稼業
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-カタパルト破孔-
「海兵隊はぁ、過酷な稼業とぉきたも~んだ!」
FF-25ライナーの隊長機、ウルフ・リーダーのジョージ・マッコイ大尉は跳ね上がる心拍とは裏腹に、妙な節で口ずさむ。
第2波により破壊された、迎撃機用カタパルト。その僅かな侵入口に向けて、ライナーは加速した。
「ウルフ中隊、遅れんじゃねぇぞ!」
「大尉、減速して下さい!!」
後席のナビゲーター、ケン・アリエス少尉が悲鳴を上げる。
防宙システムの大半を叩いたと言っても、最接近時の迎撃砲火はハリネズミその物だ。キャノピーを掠るように疾る光芒は脅威である。
「馬鹿やろー、速度落としゃぁ砲火の餌食だろうが!!」
その後方で閃光が上がる。
「8番機直撃!」
「くそ!」
尚更速度は落とせない。しかし、破口は針の穴のようだ。
「破口まであと10秒!大尉、減速を!!」
「ざけんじゃねぇ、腹ぁ括れ!」
ダイモスの岩肌が急接近。
「うわぁぁぁ!」
アリエス悲鳴を背中に、マッコイは無理に笑う。
「っせい!!」
直前で急制動を掛けたライナーが、破口で主翼を削って突入した。
「し、死ぬかと思った……」
停止した機体の中で、アリエスは大きく息を吐く。
ライナーの主翼はもがれ、ランディング・ギアは折れ、壁面まであと数センチ。よくぞ停止したものだ。
「アリエスよぉ、ぐずぐずすんなよ」
キャノピーを爆破排除、マッコイはヘルメットを投げ捨てた。
「これからが海兵の腕の見せ所だぜ」
シート脇に固定されたライフルとライトニング・ブレードを装備し、機体より飛び下りた。
侵入に成功した機体が、白煙上げて多数擱坐していた。
その中より、口髭を蓄えた男が近寄った。ファルコン・リーダーのコーツ大尉だ。
「よぉコーツ、怪我ねぇか」
「そんなヘマはせんよ」
装備を整えて降りて来たアリエスがコーツに敬礼。コーツもそれに応えた。
「お互い機体壊しちまうとは情けねぇな」
すると、コーツの隣りに若い少尉が駆け寄った。
「ファルコン中隊、準備完了しました!」
一つ頷くコーツ。
マッコイは軽く手を振ると、背後へ振り返る。そこに部下達、ウルフ中隊の精鋭が整列していた。
「よぉし、ウルフ中隊、意地みせるぞ!」
-第2連絡通路-
銃声が耳朶を衝く。
港までを繋ぐ連絡通路で、習性からコールとクリスティーナは行き足を止めた。
「もう来たか!?」
コールがクリスティーナへ目配せ。彼女は意識を空に飛ばす。
「大丈夫だ。まだ格納庫跡地で食い止めてる」
重苦しい雰囲気と相反し、クリスティーナの字は『疾風』。風の守護神を持つ。この大気が、彼女に情報をもたらした。
「エステールまでは、その格納庫を通過するんだがな」
すると、クリスティーナは目を細くしてコールを見やる。
「戦闘を恐れているのか?」
コールは苦笑した。
「いや。連邦の兵士が哀れなだけだ」
しかし、不意にクリスティーナが表情を歪めた。
「そんなことばかり言っていられない……」
コールが眉を顰めた。
「今、先鋒の騎士達が全滅した」
舌打ち一つ、身を翻す。
「クリス、急ぐぞ!」




