白兵戦用意
-医務室-
イゾーデ、翔龍姫は今どうなってる?」
照明が非常灯に切り替わり、切迫した状況を伺わせる。
「変わらず3号埠頭です」
「ここから起動できるか?」
イゾーデは柔らかく微笑んだ。
「しております」
「いいねぇ。京子、準備はいいか?」
「……うん」
明らかに京子の表情は堅かった。
「心配ないって」
明るく言ってのけた雷がドアを開けると、そこに3人、騎士の制服を着用した青年が待っていた。
「ライツ、1人で格好付ける気か?」
軽く敬礼を見せる彼らに、思わず顔が綻んだ。
「……ハル」
同期の、本国脱出後に騎士に任官されたハリー・ヘンドリック。そしてロイ・ヘンドリックとケイト・スカイラインだ。
「男ばかりじゃ、王女にも悪いでしょ」
赤毛のケイトが片目を瞑る。
「やめてくれ。ケイトが一緒だと、京子のじゃじゃ馬に拍車がかかる」
「ちょっと雷、それどぉいうことよ」
京子が雷の襟を後ろより引っ張った。
「お前も行動で肯定するなよ」
「あ……」
唖然と京子の行動を見詰める騎士達。京子は赤面して手を引いた。
「京子、王女の幻想壊すなよ」
「ちょっと何、これってあたしのせい?」
「あ、2人ともやめようよ……」
か細い声で止めたロイ。気弱そうな目付きと、ハリーに比べて貧弱な体躯。ロイ&ハリーのヘンドリック兄弟の、これでも兄である。
「止めるなよ兄貴、面白いとこだったのに」
「あ、いや……それどころじゃないし……」
と、雷の首筋にちりちりした感触が疾った。
「そうだな、そんな場合じゃ……」
突き上げるような衝撃。6人は膝を付く。
「イゾーデ!」
イゾーデは翔龍姫よりダイモス・セントラルコンピュータにリンク。
「連邦軍の攻撃機が内部に侵入しました」
雷は京子を助け起こしつつ舌を打つ。
「スットコ海賊の次は連邦軍かよ……」
続けて警報。
『白兵戦用意!騎士団は帯剣して侵入路に向かえ!』
解析室のランディからだ。
「ロイ、ハル、ケイト!」
ハリーとケイトが悪戯っぽく笑い、腰のライトニング・ブレードを叩いた。
「やっと俺たちの見せ場だぜ」
「いいこと、ゲィツばかりが騎士じゃないのよ」




