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フォクスター

3



  -木星軌道-

 太陽系内の第五惑星……最大の質量を持つ、ガスジャイアントだ。

 表面の水素ガスに描かれる縞と斑点模様が有名な木星だが、第二の太陽になりそこねた経緯は以外に知られていない。その木星に13ある衛星の中で、最も大きなイオ。その影より巨大な戦闘艦が姿を現した。

 連邦宇宙軍第225独立特務部隊所属、35000t級攻撃型巡洋艦、フォクスターだ。

 「波紋照合、クロウ海賊団のエステールです!」

 重力と波動の変移を音に変換して伝えるパッシブセンサー。そこに掛かった僅かな波。それを捉えたのは作曲家を自称するソナー要員、ライリー少尉だった。

 その報告に、艦長のヨハン・クラウス大佐は笑みを浮かべた。

 ……当たりだ!

 「波紋追尾!行き先を突き止めろ!」

 「既に確認済みです。第四惑星の衛星で信号が切れました!」

 ヨハンは隣りに控える副長のロックハート少佐に視線を送る。

 すると、痩せこけながらも背筋を伸ばす古戦士のロックハートは、腕を後ろに組みつつ頷いた。

 「恐らく、本拠地でしょうな」

 ……やっと詰めたぞ。

 ヨハンは改めて口許を引き締めた。

 「これだけ簡単に感知させるとは……或いは翔龍姫を起動させたか」

 応じてロックハートが眉根に深い皺を寄せた。

 「恐らく……。本艦を以て攻勢を掛けますか?」

 ヨハンはにやりと笑う。

 「いや……ジョーカーのことだ、網を張っているだろうさ」

 「見物、ではありますまいな」

 「まさか。攻勢を掛ける。攻城戦は後回しだ。先ずはかき回す」

 以心伝心。ヨハンの意を取ったロックハートは艦内放送用のマイクを手にした。

 「フォクスター全艦に告げる!敵根拠地を発見、これより戦闘準備に入る!!」

 ブリッジにベルの音が響き、照明が赤に切り替わる。

 「ライナー隊ウルフ中隊とファルコン中隊はB兵装で跳躍カタパルトに移動、発艦用意。パイロットは1500時までにブリーフィングルームへ。跳躍ミサイル発射管1番~4番開け!機関全力用意、1730時を以て作戦を開始する!!」

 ロックハートはマイクを切り、ヨハンに振り向いた。

 「よろしいですか?」

 ヨハンは顎を引く。

 「満点だ」

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