表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
公爵令嬢フローラの選択  作者: ごろごろみかん。
2.宣戦布告と受け取ります

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

13/25

3.人形に自我は要らない 【後】

長い付き合いだ。

それだけでメルンシアは俺が隠し事をしていことを見破った。


「やっぱり……!うそつき、うそつき!」


彼女は僕の胸元をポカポカと拳で殴り付けた。

だけどちっとも痛くない。

彼女が非力だからだ。


だけど、メルンシアが腕を痛めてしまうかもしれない。

僕は彼女の両手首をそれぞれ掴んだ。


「う……嘘じゃない!」


今はまだ、言えないんだ。


だけどフローラが死ねば──儀式の生贄になり、俺が男寡になれば。

儀式の内容までは明かせないとしても、こういうことだったと説明できるだろう。


「僕を信じられないのか!?」


必死だった。

だけどそれは、メルンシアも同じだ。


「信じたいわっ……!それなら、信じさせてよ……!!」


メルンシアは泣きながら、必死に言葉を綴った。


「…………ごめん」


僕は、メルンシアを傷つけている。


本当にメルンシアを大切に思うなら、きっと、彼女に手を出すべきではなかった。


──フローラが死ぬまで、待つべきだった。


だけど──そうしているうちに、もし、メルンシアが婚約したら?

結婚してしまったら?


そんなの耐えられない。


「すまない、メルンシア。だけど今だけは……」


今だけは、僕を信じて欲しい。


世界は僕たちが結ばれることを許さなかった。

僕には運命があった。

フローラと結婚しなければならないのだ。

それが王族の責務で、義務だから。


メルンシアが嗚咽を零しながら、必死に言った。


「フローラなんてっ……だいきらいっ……!」


「……ごめん」


「どうして、あなたが謝るのっ……ネイサンは、わたしのものなのに……っ。そう、でしょ!?」


泣きながら僕に縋るその姿は痛々しくて、僕は彼女のくちびるを塞いだ。もうそれ以上、自分を傷つける言葉を口にしないで欲しかった。


もっと、フローラの存在を消すべきだった。

メルンシアが気にしないほどに、影を薄くするべきだった。

ああ、そういえばネイサンには婚約者がいたわね──そう言ってしまうほどに、フローラの影を消せたのなら。


(僕は間違えたんだ)


もっとやり方は他にもあった。

例えば、そうだ。

フローラを邸に閉じ込めておくようローレンシア公爵に命じるべきだった。


「あの子ばかり、ずるい!いつもそう!私には持っていないものばかり……持ってて、それなのに、フローラは」


「…………」


「フローラだって……あの子だって……!!不幸になればいい。何もかも、失って……──みたいに。可哀想になればいい……!惨めになっちゃえ……!!」


今まで溜まっていたものもあるんだろう。

メルンシアは苦しげに泣いた。本当に、辛そうだった。


「……分かった」


僕は、メルンシアの背を撫でている手を止めた。

不思議に思ったメルンシアが顔を上げる。


「フローラに復讐をしよう」


「え……?」


「彼女などどうでも良かったけど、事情が変わった。それなら──とびきり、フローラが不幸になれば……。そうすれば、きみは幸せかい?」


僕の質問に、メルンシアは唖然としていた。

だけどすぐに、彼女は笑う。

ふわりと、泡沫が弾けるような淡さで。


「ええ……!!」


それを聞いて、僕の気持ちは決まった。


メルンシアをこんなにも追い詰め、傷つけたんだ。


報いを受けてもらう。


(フローラ、きみもさ)


それくらいの覚悟、持ってるよね?


だいたい、道具のくせに自我を持つのがおかしい。


公爵にも、何度も釘を指したはずだ。


フローラ(あれ)に自我を持たせるな、と。


それなのに──この始末。

許せないんだよ。


メルンシアを傷つけるものは誰一人許さない。


僕が、彼女を守るんだ。

理不尽なこの世界で、僕だけが、メルンシアを。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
この2人、最低過ぎる‥‥思考がまったく理解できません。 どうしてそーなる??? どうかフローラが傷つけられませんように(祈) コイツらが地獄に堕ちますように(超祈)
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ