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教授と院生とハロウィン ~その2~

~ハロウィンパーティ当日~


院生君はドラキュラの格好をして、教室に入りました。

どうやら彼が一番乗りのようです。

午後5時からの開始ですが、院生君は少し早目に到着したのでした。

彼は教室の時計を眺め、楽しそうに言いました



『あと10分で始まるんだ。

 楽しみだな!

 みきちん、どんな格好でくるかな?

 かわいい魔女の姿かな?てへ!』



院生君はミニスカートを纏った美樹ちゃんを想像し、ニタニタと気持ち悪い笑顔を浮かべています。


ガラガラ...


教室のドアが開きました!

誰かやって来た様子です!!

何か叫びながら教室に入ってきました!!!



『院生のうんこたれーー!!

 酒好きの女好きーーー!!』


『えっ!?

 なんてひどいことを...

 一体誰!?

 あなたは誰なのさ!?

 なんで僕のことそんなにひどく言うのさ!?』




悔しくて泣き出す院生君。

開いたドアの前には、ヤツデの形をした大きなウチワを持った、白装束の天狗が立っていました。




『あなたは一体誰!?

 なんで天狗の格好をしているのさ!?』



院生君は尋ねましたが、天狗はそれをあざ笑うかのように舞い、さらにはやし立てます。



『院生の酔っ払いーーー!

 鼻ッたれーーー!!』


『あれ?その声は...

 みきちん!?』


『ばれちゃいましたか?

 やーい!院生のエロおやじーー!!』


『みきちん...ひどいや...なにもそこまで言わなくても...

 ひっくひっく...』


『えっ?なんで院生さん泣くんですか?』


『だって...だって...』


『屯島さんが、教室で4文字くらいのお祭りで、院生さんを驚かすお祭りをするって言ったから...

 そしたら私、茨城のこのお祭りかな?って思って...』


『天狗の格好して人に悪口を言うお祭りがあるの!?』


『はい!笠間市の「悪態祭り」です!!

 本当は天狗に悪口を言うんですけどね。

 でも悪口なんか言われたくないから、私が院生さんに悪態をつきますの!!

 じゃあ行きますよ!!

 やーい!!

 院生のくそったれーーー!!!口臭おやじーーー!!酒乱のすけべーーー!!

 やーい!!やーい!!』


『ひ、ひどい...ひどすぎる...

 わーんわーん!!!』



美樹ちゃんは華麗にウチワを翻し、号泣してしゃがみこんでいる院生君の周りを乱舞しております。

本当に楽しそうです。


しばらくすると再びドアが開きました。

また誰か入ってきた模様です。

その人物も大声でわめきながら、教室に入ってきました。



『泣く子はいねがーー!!

 悪い子はいねがーーー!!』


『今度はなにさ!?

 なんなのさ!!』



目を真っ赤に腫らせた院生君は、声のする方に顔を向けました。

そこには蓑笠をかぶった赤鬼が仁王立ちしていました。

赤鬼はハバキを着用し、右手には大きな出刃包丁を持っております。

下半身はなぜか、白のブリーフ一丁です。

しかし放つオーラは凄まじく、今にも院生君を飲みこんでしまうかのような雰囲気です。



『下はブリーフ1枚?この寒い中を!?

 へ、変質者だ!!怖いよ!!

 みきちん!!警察、警察!!』


『院生のへっぽこ大魔王ーーー!!』



美樹ちゃんは、そんなおっかない赤鬼のことなどまったく気にしない様子でひらひら舞っております。

赤鬼が猛ダッシュで近づいてきました。



『うわーん!助けて!!』



教室中を逃げ惑う院生君。

赤鬼は出刃包丁を振りかざし、そんな彼に猛突進。

とうとう院生君を捕まえた赤鬼。



『怖いよぅ!!

 助けてーー!!

 変質者が僕を殺そうとしているよぅ!!』


『変質者とは失礼な!!』


『うわーん!うわーん!

 殺さないでよう!!』


『しっかりせんか!

 わしじゃよ!!院生君!!』


『ひっくひっく...

 ...その声は、教授ですか...?』


『さよう!!

 人を驚かせて「泣く子はおらんかい?」って騒ぐお祭りと言ったらこれしかないじゃろう。』


『...なまはげ...ですか?』


『そう!その通り!!』


『...教授...

 「泣く子はおらんかい?」って、「ジャック・オー・ランタン」の聞き間違いですか?

 間違いにもほどがありますよ!!』


『まあどうでも良い!!

 研究しねえ子はいねがーーー!!

 酒臭いエロおやじはいねがーーー!!

 あっ!目の前におった!

 研究しない酒臭いエロなうんこったれドラキュラがおったおった!』


『院生の馬鹿ッたれーーー!!!』


『うわーん!みんなひどいよ~!!おーいおいおい...』

 


天狗と赤鬼が、おいおい泣いている「うんこったれドラキュラ」の周りをまわっていると、またまた教室のドアが開きました。



『わっしょい!わっしょい!!』



威勢の良い掛け声とともに、大きなピンクの神輿が入ってきました。なんだか卑猥な形をしております。

そんな神輿をピンクのハッピを着た男が担いでいます。

下はふんどし一丁の、これまた変態に分類されそうな出で立ちです。

そしてその男は雄たけびを上げました。



『でっかいマラ!でっかいマラ!!

 カナマラーーー!!!』


『うわーー!!!!

 なに!?このお神輿は!?

 何が乗っているかと思ったら、ピンクの巨大な男根!?

 そして担い手は屯島君!?

 ひ、卑猥すぎる!!』



院生君の開いた口がふさがりません。


そう。

この神輿の名は「エリザベス神輿」

巨大な立派すぎるピンクの男根を乗せた、それはそれは卑猥な感じの大神輿です。

ピンクの一物は2メートルはあるでしょうか。天高くピーンと反り上がった太く長く逞しい男根。

その存在感は、とても神々しいものであります。



『教授!院生さん!!美樹さん!!

 とても神聖なお祭り、カナマラ祭りのお神輿ですよ!!

 エリザベス神輿!!美しいでしょう!!

 でっかいマラ!!でっかいマラ!!カナマラーーー!!』


『あら...逞しい...てかっていて美しいわ...

 惚れましたわ...私...』



頬をピンクに染めた美樹ちゃんは、そのお神輿に釘付けです。



『うう...屯島君まで...

 なんで誰もハロウィンパーティを真面目にやってくれないのさ...

 わーんわーん!!』



天狗と赤鬼とピンクの男根、そして女々しい「うんこったれドラキュラ」の楽しい宴は深夜まで続いたそうです。



【このお話に出てきた世界のお祭り】


ハロウィン

ハロウィン、あるいはハロウィーン。

毎年10月31日に行われる、古代ケルト人が起源と考えられている祭り。

もともとは秋の収穫を祝い、悪霊などを追い出す宗教的な意味合いのある行事であったが、現代では特に宗教的な意味合いはほとんどなくなっている。

カボチャをくりぬいて「ジャック・オー・ランタン」を作って飾ったり、子どもたちが仮装して近くの家々を訪れてお菓子をもらったりする風習などがある。

ちなみに教授は、「ジャック・オー・ランタン」を「泣く子おらんかい?」と聞き間違えた。



悪態まつり (茨城県笠間市岩間愛宕山)

江戸時代中期に年貢米に苦しむ農民の不満を聞くために、うっぷん晴らしをさせ悪態をつくことを許すことから始まったと伝えられている奇祭。

怨霊や厄病を退治するという”悪退”の一種とする説もある。

戦前までは夜に男性のみで行われ、悪態をつかれる天狗は井戸水で身を清め、この神事を行ったといわれている。

かつては暗闇の中で行われていたということもあり、参詣者が天狗を罵倒する行為が自由に行われたそうだが、現在は明るい時間帯に行われるため、悪態をつく参拝者も少なくなっている。

美樹ちゃんの出身地、古河市とは違う場所のお祭りであるが、それもご愛嬌である。



なまはげ

「なまはげ」とは悪事を諌め、災いを祓いにやってくる使者のことを表す。

年の終わりに大きな出刃包丁を持ち、鬼の面、ケラミノ、ハバキをまとった「なまはげ」が、家々を訪れ「悪い子はいねがー」「泣ぐコはいねがー」と奇声を発しながら練り歩き、家に入って怠け者、子供や初嫁を探して暴れまわる。

訪れられた家では正装をして丁重にこれを出迎え、主人が今年1年の家族のしてしまった日常の悪事を釈明するなどした後に、酒などをふるまって送り返すとされている秋田県のお祭り。


かなまら祭り

金山比古神かなやまひこのかみ金山比売神かなやまひめのかみを祀ったお祭り。

イザナミの神が火の神カグズチをお産みになり、下半身に大火傷を負った時、この神が看病したとの伝説によりお産、下半身の病気の守護神と言われる。

御神体は金属製の男根であることから、「かなまら様」(金魔羅様)とも呼ばれている。


この両神は特に子孫繁栄・夫婦和合・性病快癒・安産・下半身の傷病治癒などに霊験があるとされている。エイズ除けを祈願する者も多い。

現在ではその他にも、不妊治療に携わる医療関係者、性病快癒を願う性風俗関連産業関係者などの参拝も多い。

境内には多数の男根形が奉納されている。

かなまら祭では「かなまら舟神輿」・「エリザベス神輿」・「かなまら大神輿」の3基の神輿が巡幸する。


・かなまら舟神輿

台部が舟型で屋根が付いた神輿。内部に黒光りする鉄製の男根が上向きに納められている。

日立造船より寄贈されたものだそうである。


・エリザベス神輿

巨大なピンク色の男根の張形が上向きに載せられた神輿。

浅草橋の女装クラブ「エリザベス会館」から寄贈されたものである。

担ぎ手はエリザベス会館の女装者が中心であり、「かなまら!でっかいまら!」という独特の掛け声で巡行する。


・かなまら大神輿

台部が正方形で屋根が付いた神輿。

内部に木製の男根が上向きに納められている。最も古いお神輿。

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