教授と院生とハロウィン ~その1~
『教授、教授!』
『どうしたんだい?院生君。そんなに慌てて。』
『もうすぐハロウィンですね!!
ウキウキしますね!!』
『ハロイン?』
『えっ?
まさか教授はハロウィンをご存知ないのですか?
あの有名なハロウィンを!?
教授ともあろうものが!?』
院生君は、教授をあたかも馬鹿にしたような目つきで見ております。
『ば、馬鹿言うでない。
教授ともあろうわしが、ハロインを知らんと思っておるのか?
あんな美味しいものはない!大好物じゃよ!』
『そうですよね!知っていますよね!
ハロインではなくて、ハロウィンですが。
食べ物でもないですがね!』
『も、もちろん。
知っておったよ!
冗談じゃよ!冗談!!』
ドギマギしている教授。本当は知らないのでしょう。
冷や汗が滝のように流れております。
そんな教授を、院生君は冷ややかに見ながら提案しました。
『それでは教授!!
明日ハロウィンパーティを教室でやりましょうよ!
お祭りです!!
みきちんにも話してみます。
仮装してください!!』
『火葬とな!!』
『はいそうです!
仮装です!』
『むむむ...
教室で火葬か...火事になって事件にならんかのう...
それに誰を燃やそうかのう...屯島君でも燃やそうか...』
『教授!?何か勘違いしておりませんか?
仮装です!!もしくは変装ですよ!!』
『そ、そうじゃった!!
仮装じゃったね!!まかせておかんかい!!
これでもわしは、若い頃「ハロウィンの神様」と呼ばれた男じゃ!!
明日が楽しみじゃのう!!
では明日までご機嫌よう!!』
涙ぐんだ教授は白衣をさっと翻し、研究室に飛び込んでいきました。
院生君はそんな教授を見て思いました。
『教授、大丈夫かなぁ。ハロウィンを知らなかったんだぁ...
ちょっとかわいそうなことしちゃったな。
でもいっか!教授の世間知らずにもほどがあるから、これで少しは社会の流れにのれるもんね!!』
院生君はカバンを背負うと、教室を後にしました。
一方教授は、とても悔しかったのでしょう。歯を食いしばり、Wikipediaでハロウィンを真剣に勉強しております。PCを見つめるその目からは涙が流れております
『くやしいのう...
あんな院生なんかに馬鹿にされ...
今に見ておれ、うんこたれ院生が...
なになに...ハロウィンとはと...
ハロウィンとは、毎年10月31日に行われる、古代ケルト人が起源と考えられている祭りのこと。
もともとは秋の収穫を祝い、悪霊などを追い出す宗教的な意味合いのある行事であったが、現代では特にアメリカで民間行事として定着し、祝祭本来の宗教的な意味合いはほとんどなくなっている。
カボチャの中身をくりぬいて「ジャック・オー・ランタン」を作って飾ったり、子どもたちが魔女やお化けに仮装して近くの家々を訪れてお菓子をもらったりする風習などがあるとな...(Wikipediaより抜粋)』
ふむふむと、頷きながら教授はモニターを眺めております。
なにか閃いた様子。
『よし!わかったぞ!!
要するに皆を驚かせるお祭りなのじゃ!
お面とかかぶるんじゃな。
で、人々を怖がらせるようなセリフを言ったら良いんじゃ!!
飾り物もいるんじゃね!』
泣きはらした目を拭きながら、PCの電源を切りました、
そこに屯島君がやってきました。
『教授!何をしているのですか?
こんな真っ暗な教室で...』
『おお、屯島君か。
いつの間にか真っ暗じゃのう。
ところで君は、人を驚かすのは得意か?』
『驚かすことですか...
あまり得意ではありませんが...』
『そうか。
明日この教室でお祭りをするんじゃ。
ただ決まりがあってな、みんなを驚かせねばならん。
祭りの名前がね...あれ?忘れてしまった!
PCの電源も切ってしもうたか。
名前は何じゃったかのう。確か4文字くらいじゃったかな。
まあ良いか。
屯島くん。とりあえず飾り物も持ってきてくれ。』
『ふうん...人が驚くお祭りですか...
4文字くらいの名前のお祭りねぇ...
で、教授は何をされるのですか?』
『わしは今考え中じゃ。』
『そうですか。じゃ僕も考えよっと!!
人をびっくりさせるお祭りなら心当たりがあるぞ!!』
『わしも準備を始めねば!
明日が楽しみじゃね!!さっそく準備じゃ!!』
『はい!!気合入ってきました!!みんなをびっくりさせましょう!!』
2人は何か考えついた様子で、勢いよく教室を飛び出して帰宅しました。
ところで教授。
ハロウィンのこと、誤解しておりませんか?
それに屯島君に伝えたこと、それで良かったのでしょうか?
屯島君も勘違いしておりませんかね...
明日のハロウィンパーティ、うまくいきますように。
このお話は続きます。




