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教授と院生と白い恋人

今日は日曜日。

教授と院生君と屯島君は北大での学会を終え、東京に帰るために、新千歳空港にいました。



『教授!やはり北海道は良いですね!!

 ラーメンも美味しかったし、魚は最高でしたね!

 ね!屯島君!!』


『そうですね!僕としてはジンギスカンがとってもおいしかったです!!』


『そうじゃのう。2人ともすすきのの街では大暴れじゃったね。

 ニューハーフのクラブも面白かったのう!!

 これが学会の醍醐味じゃ!』



3人はキャッキャッと騒ぎながら、スーツケースを引っ張っております。



『あっ!そうだ!!

 教授!!お土産を買いに行きたいです!!

 美樹ちゃんに何か買わなきゃ!!』


『院生さん!僕も行きます!!

 教室のみなさんに何か買って帰らないと、総スカンですものね!』


『そうじゃそうじゃ。

 特に事務の吉田さんなんか、お土産買い忘れたらお茶に何を入れられるかわからん。

 みんなで買いに行こうではないか。』



手荷物を預け終わった3人は、早速お土産コーナーに向かいました。

彼らはとても楽しそうに、空港店舗「BLUE SKY」に入っていきました。



『やっぱり北海道と言ったら「白い恋人」ですよね!』


『僕はマルセイ バターサンドです!院生さん!!』


『いやいや、じゃがポックルも捨てがたいぞ。』



教授と院生君、そして屯島君が物色していると、とても綺麗な1人の女性が近づいてきました。

折り目のピシッとした紺色の制服を着用したその方は、お年は20代くらい。香水の良い香りがします。

お店のスタッフでしょうか。

にっこりと笑って3人に声をかけてきました。

助平な院生君は鼻の下が伸びております。



『どういったお菓子をお探しですか?』


『はい!!

 お姉さん!!

 僕は院生と申します!

 北海道には綺麗な方が多いとは聞いておりましたが、本当でした!!』


『あら。ありがとうございます。お上手ですね。』



デレデレの院生君。そんな様子を教授と屯島君は、またかと言う顔で見ております。



『ところで、どんなお菓子をお探しですか?』



院生君は応えました。



『はい!!白い恋人を購入したいと思います!

 お姉さんのような方が、白い恋人になってくれたら嬉しいです!!』


『僕は屯島と申します!!

 僕もお姉さんの肌のように美しいバターでできた、マルセイバターサンドがほしいです!!』


『わしは教授じゃ。

 わしは「じゃがポックル」が欲しいのう。』


『はい、わかりました

 みなさんは可愛らしい方々ですね。

 「白い恋人」と「マルセイ バターサンド」、「じゃがポックル」ですね...

 でもですね、そんなあなた方に新商品のご説明をさせてください。

 皆さまにぴったりの商品がございますよ。』



ニタニタしている3人に素敵な笑顔でそう言うと、その女性はそばにあった引出から、何個かお菓子の箱を取りだしました。



『院生さんにはこれ。

 屯島さんにはこれ。

 そして教授さんにはこれ。』



白い華奢な手から、3人に菓子箱が渡されました。

院生君達は嬉しそうにその箱を抱きしめました。そして各々渡された菓子箱に目をやりました。



『ええと...僕のお菓子はなんだろう?

 白い恋人とはちょっとパッケージが違うなぁ。

 なになに...』



院生君はお菓子の箱に書いてある文字を、声を出して読み始めました。



『ええと...お菓子の名前はっと...

 ええっ!?

 「青白い変人 (あおじろいへんじん)」!?

 なんで変人なのさ!?それも青白いって!?』


『院生さん!!

 僕なんか「まあ臭い ぶたさん どう?」ですよ!!

 「マルセイ バターサンド」からかけ離れるにもほどがありますよ!!』


『わしは「じじい ぽっくり」じゃよ!!

 なんじゃい、このお墓と仏壇のパッケージは!!

 ご丁寧に線香までついとるぞ!!』



3人は涙を流して悔しがりました。そしてお姉さんの方に顔を向けました。

するとどうでしょう。

先ほどまで横にいた、綺麗なあの女性の姿がありません。

その代わり、先ほどまで女性がいたところには、一体の小さな紺色のストラップが落ちております。

教授はそれを拾い上げました。



『あれ?

 さっきのお姉さんはどこに行ったの?

 ねえ!教授!!屯島君!?』


『ホントだ!どこ行っちゃったんだろう?』


『ううむ。不思議なこともあるもんじゃのう。

 それにこのストラップはなんじゃろうね。』



教授はストラップをしげしげと見つめながら、腕を組んで考え始めました。

そして右手のこぶしを左の手のひらにポンと当て、こう言いました。



『わかったぞ!

 院生君、屯島君!!

 あれは北海道の妖怪「まりもっこり」じゃ!』


『まりもっこり?』


『そうじゃ。』


『あれは妖怪だったんですか?』


『うむ。

 ほれ。このストラップ。

 先ほどの女性の香水の香りがするじゃろう。』


『ほんとですね。

 ではこの「まりもっこり」が、先ほどの女性だと...

 でもこれはキャビンアテンダントの姿をしていますね。

 女性バージョンもあるのですね。』


『そうなんじゃよ。

 この女性版「まりもっこり」は、正式には「スッチーもこりん」と言ってな。

 最近見向きもされなかったから、売れているお菓子に嫉妬したのかもしれんな。』


『なるほど...

 この業界も大変なのですね。』


『そうじゃ!

 せっかくじゃから、「まりもっこり」もたくさん買って行こうではないか!』


『そうですね!!』



そして3人は「青白い変人」と「まあ臭い ぶたさん どう?」「じじい ぽっくり」を購入し、さらには「スッチーもこりん」「アテンションブリーフ」、「じゃがいもっこり」など多数の「まりもっこりストラップ」を買って帰りましたとさ!



【このお話で出てきたお菓子等】

「青白い変人」

 通常の白い恋人はラング・ド・シャでチョコレートを挟んだ、札幌市の石屋製菓さんが製造、販売している、言わずと知れた名菓。

 とても美味しく、北海道のお土産としては定番である。

 一方「青白い変人」は、某菓子メーカーがそれに対抗して作った海賊版である。

 ホワイトチョコレートにブルーハワイのシロップを混ぜただけのお菓子。

 変人の青白さを表現するために、何度も改良を加え「むむむ、これぞ変人」とまでフランス菓子職人に言わしめた名菓。

 味はただのホワイトチョコレートである。


「まあ臭い ぶたさん どう?」

 六花亭で製造されている「マルセイ バターサンド」がモチーフ。

 元祖バターサンドは知名度が高く、知らない方も少ないであろう。

 通常のバターサンドは1個当たり165キロカロリーだが、この「まあ臭い ぶたさんどう?」は1個当たり2000キロカロリーを超え、かなりの高カロリーである。

 味は「ぶたさん」の背脂を使っているので、かなりしつこい。

 

「じじい ぽっくり」

じゃがポックルをモチーフとした新商品。

ブラックジョークにもほどがあると、かなりの批判がでている問題作。

本家「じゃがポックル」は、カルビーが「ポテトファーム」のブランド名で製造しているスナック菓子。

生のじゃがいもをスティック状にしてそのままフライしている。

正式な商品名は「じゃがポックル オホーツクの焼き塩味」。

名前の由来は、アイヌ語で「ふきの下の人」を意味するコロポックルからである。

よく見かける「ジャガビー」との違いは、ジャガビーが北米産のポテトを使用しているのに対して、「じゃがポックル」は、北海道原産のジャガイモ(遺伝子組換えでない)と、オホーツクからとれる塩を使っている。

 ちなみに塩分はナトリウム45mg(塩0.1g)含まれている。

一方「じじい ぽっくり」は、農薬をたっぷり使ったジャガイモを使用。

さらに塩分はナトリウム4500mg(塩10g)を含み、健康に悪い事この上ない。

注意書きに「健康を害するので、食べ過ぎには注意してください」と書かれている。


「まりもっこり」

まりもっこりは、北海道生まれのマスコット。

「まりも」に「もっこり」をひっかけたキャラクターで、その名の通り、股間のふくらみが特徴である。

ご当地まりもっこりもあり、北海道のキャラクターが日本全国のストラップになっているのも面白いことである。

ただ「大仏もっこり」については、さすがに少々おふざけが過ぎたみたいではあるが、私個人としては、大好きである。

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