黒魔術かと、思っちゃった
――と言った具合で、
ひとところ、本で読みふけった事柄を(最後のは漫画の内容でしか無いが……)滔々と、そんな類のことを つらつらと――口にしている間に、呪術師ウウォ・ムサ・ワンケの、こちらでの住まいに辿り着いていた。
* * *
その小さな生き物たちは、愛媛ミカンの段ボール箱の中で、元気に……よたついていた。
身の程知らずにも、勇敢に声を上げる それらの――可愛いらしいこと、可愛いらしいこと。
トキノが見たいと言って、大騒ぎを始め、ハンズ・フリーを嵌めたままの鼓膜は、痺れんばかりで――仕方無しに陶片を取り出すと、彼女にも見える様にカメラを向けてやった。
「……良いのか?」
尋ねる義兄に呪術師ウウォ・ムサ・ワンケが、心底面倒臭そうに息を吐く。
「持って行けと……言うておろうが。育て方なりは、お主の義理の弟御が持っとるそれに聞けい。七面倒臭いのぉ……時々、本当に面倒臭いぞ」(と、時々?)
むっさいむっさい……絵面にも厳しい、むさ苦しさが溢れんばかりの……そんなやり取りの中で、黄色い声を響き渡らせるトキノ。
「ちっちゃい! か、かわいい! かわいいよ! ぱぱぁ!?――こ、この仔たち……情報が少な過ぎて、ままに 聞いてみないと断定できないけど……多分、アザワクだよ?!」
(……なに、それ?)
アザワクと言う語に思わず――若かりし日の女優。佐伯日菜子がセーラー服姿で、ごぅ! と火を噴き上げるキッチンに立ち、
大仰な身振りと、能面のように冷たい表情で――ごりっ……ごりっ……ごりっ……と、ペッパー・ミルを捻り、大鍋でカレーを作っている様子が思い浮かんだが……。
まあ、きっと……多分。
そんな猟奇な話には……結びつかないよ……ね?
だけども、よくよく考えてみれば、ここは呪術師ウウォ・ムサ・ワンケの……お住まい。無い話でも……無いのか。
畜生めぇ……まだ全然、安心できやしねぇ。




