現代にまで至る投擲武器のトラディショナル
どうしたものかと、義兄を見上げると「……構わん」とのお許しの言葉。
礼を述べて今度こそ、立ち去る俺たち。俺に用があると言う御老人の住まいに向かう道の途中、義兄は、先程の鋳型についての文句を垂れ流し続けていた。
「そもそもが……だ。あの魔族の もののぐが有る以上、投石紐など……使いどころなぞあるまい」
もっともらしい、お言葉ではあるけれども……分かってる。分かってるよ? 義兄ちゃん。
オークはみんな、もののぐ大好きだもんね。射程が~ぁ、威力がぁ~、連射性能がー……じゃないんだよね。
……分かってる 分かってる。
小さい子が、物凄く欲しかった玩具を買って貰って、子供であることを包み隠すかの様に
「別に欲しく無かったし……」と、のたまうのにも似た この物言い。
その体躯に まるで似つかわしくない 可愛らしさを発揮する義兄に笑ってしまいそうになるのを 必死に噛み殺し
「そうでも無いよぉ? 義兄ちゃん。俺たちの住んでた場所でもさ? バレアス諸島の投石兵とかは、歴史書に記されるほど有名だし? 聖書って本には投石紐ひとつで 巨人を倒した、それはもう……有名過ぎる程、有名な英雄も登場するし? その頃の医術書には、皮鎧を着た兵士のドテっ腹を貫いた、青銅で鋳られた礫を取り除く手術の仕方まで残されてる――」
「ほぅ……」
関心深げに声を上げる義兄。大男総身に……なんて誰が言った言葉なのやら。はっきり言って、人の話をまともに聞いて……くれる事もあるだけに、キャプテンたち なんかとは、まるで比べるべくもない。
「それにね? 風の影響を受け易いんだわ。アルパゴンが渡したアレはさ。その点、質量……目方が大きい分、投石紐の方が影響を受けにくいこともあるし?」
「弾の補充が容易なのは、言わずもがなだし……」




