震えるガロワ公
俺と義妹の間で言葉も無しに、思考の中だけで完結してしまう意思疎通に、微笑みつつも、疑問符を浮かべる公。
「目が合った時にムド!! って……ちょっと、脅かすだけだもん!」
そんな空気の中、小さな手の平をこちらに突き出す彼女の可愛らしさは、微塵も変わる事は無かったり……。
* * *
開き切った扉の中に足を踏み入れると――ガロワ公は、その身体を振るわせ、呻くような声。
「こ、こんな……こんな……」
石造りの巨大な玉座にかけるゲシュパキアドの威容に、言葉も出ない様子。
そして、それにサービス過剰なトキノが悪ノリ。咎の神像が、玉座から立ち上がり始める。
「お、おおおおぉぉおぉぉお!?!?!?」
巨大な廟を狭苦しく感じさせる騎体が立ち上がると――公は、それを見上げたまま、言葉も無い様子で立ち尽くしていた。
そしてデシレアは公の、その様子に機嫌を良くしたのか――
「トキノちゃん! ゲシュパキアドを お外に出して差し上げて!」
仲良しの姪っこに、お願い。
外部スピーカーから返される声と同時に、像は廟の外へと踏み出して――陽光の中へ、その姿を露わにした。
常時、デシレアに弄り倒されているゲシュパキアドだけに、不思議でも無いけど……なんだか、以前と……だいぶ、また姿が違う様な?
今迄以上に輪をかけて、殺人的な性能向上が図られていたりしたらと……不安で考え込んでしまっていると――俺は、興奮した様子の公に突然、両肩を掴まれていた。
「へ、辺境伯……ど、殿……わ、わ、わ、私に……私に……どうか……どうか」
なんだか肝を潰しちゃいそうになる、公の鬼気迫る様子。……怖い。
肝が太い方では決してない上に、コミュ症の気まである俺。
公のその様子から、なんとか逃れられないものかと……居心地悪くしていると、
「私に! この像を基底に……え、え、え、絵を描かせては貰えないザンスか?!」
「……はい?」
――良く分からない御希望に、俺は間の抜けた声を出してしまっていた。




