表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
世界最強ヒーラー、サービス終了したゲーム知識で現実ダンジョンを攻略する ~伝説のギルド《Aegis》復活~  作者: PeterP4n
第四章 白炎竜討伐戦

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

55/111

第54話 討竜

#第54話 討竜


 Rainは地面を蹴った。


《飛燕》


 砕けた岩盤が弾け飛ぶ。


 身体が前へ飛び出す。


 熱風が頬を叩く。


 白炎が視界を埋め尽くす。


 それでも。


 止まらない。


 視線の先。


 白炎核。


 そして。


 Arcが見つけた勝ち筋。


 亀裂の右側。


 そこだけを見ていた。


 あと少し。


 本当にあと少しだった。


 火炎龍も理解していた。


 危険なのはRainだ。


 核へ届く存在。


 自分を殺せる存在。


 だから。


 絶対に近付けない。


 黄金の瞳がRainを捉える。


 巨大な翼が広がる。


 白炎が荒れ狂う。


 熱風が爆発する。


 砕けた岩盤が吹き飛ぶ。


 溶岩が波のように揺れる。


 世界そのものがRainを拒絶しているようだった。


「止まるな!」


 Crowが叫ぶ。


《Shadow Shift》


 影が揺れる。


 次の瞬間。


 火炎龍の死角へ現れる。


 短剣が閃く。


 一撃。


 二撃。


 三撃。


 鱗が削れる。


 火花が散る。


 決定打じゃない。


 それでもいい。


 今必要なのは致命傷じゃない。


 Rainが届くための数秒。


 それだけだった。


「前だけ見ろ!」


 Rainは頷く。


 視線を核へ戻した。


 Crowは舌打ちした。


 まだ足りない。


 Rainが届くには。


 あと少しだけ時間が必要だった。


《Shadow Shift》


 再び影が揺れる。


 火炎龍の死角へ潜り込む。


「こっち見ろ化物」


 短剣が閃く。


 一撃。


 二撃。


 三撃。


 火花が散る。


 火炎龍の黄金の瞳が動く。


 Rainから。


 Crowへ。


 その瞬間。


 Garmが割り込んだ。


「まだだぁぁぁ!!」


 Garmが前へ出る。


《Fortress》


 重盾が白く輝く。


 火炎龍の鉤爪が振り下ろされる。


 激突。


 轟音。


 衝撃。


 大地が陥没した。


 踏み締めた岩盤が砕ける。


 足首まで地面へ沈む。


 腕が軋む。


 骨が悲鳴を上げる。


 重い。


 今まで受けたどんな攻撃より重い。


 だが。


 退かない。


 Rainが前へ出ている。


 若い連中が命を懸けている。


 なら。


 自分も立つ。


 それだけだった。


「Rain!!」


 Garmが叫ぶ。


「決めてこい!!」


《Fire Ball》


《Flame Lance》


 Novaの魔法が飛ぶ。


 炎弾。


 炎槍。


 連続。


 連続。


 連続。


 爆発が戦場を埋め尽くす。


 火炎龍の視界を奪う。


 注意を逸らす。


「全部使ってやるわよ!!」


 額から汗が流れる。


 魔力も残り少ない。


 それでも杖は止まらない。


 Siaは静かに弓を引く。


 呼吸を整える。


 焦らない。


 狙うべき場所は見えている。


 Rainが作った傷。


 Crowが広げた裂傷。


 そこだけが脆い。


《Break Shot》


 弦が鳴る。


 矢が飛ぶ。


 真っ直ぐ。


 迷いなく。


 傷口へ突き刺さる。


 火炎龍が苦痛の咆哮を上げた。


 傷がさらに広がる。


 まだ届く。


 まだ通せる。


 だから放つ。


 必要なのは一発。


 Rainへ繋がる一発だった。


 全員が繋いでいる。


 全員が戦っている。


 全員がRainへ託している。


 Arcはその光景を見ていた。


 疲労。


 消耗。


 痛み。


 全部見えている。


 それでも。


 誰も止まらない。


 誰も折れない。


 だから。


 勝てる。


 Rainは前を見る。


 近い。


 白炎核が目の前だった。


 亀裂。


 傷口。


 白炎。


 脈動。


 全てが見える。


 あと一撃。


 本当にあと一撃だった。


 熱い。


 痛い。


 苦しい。


 それでも。


 足は止まらなかった。


 十階層。


 十五階層。


 二十階層。


 ここまで全員で登ってきた。


 だから。


 ここで終わる訳にはいかなかった。


 黄金の瞳がRainを捉える。


 怒り。


 憎悪。


 そして。


 恐怖。


 初めてだった。


 二十階層の支配者。


 火炎龍が。


 目の前の小さな人間を脅威として見ていた。


 その瞬間。


 火炎龍の顎が開いた。


 まずい。


 本能が叫んだ。


 逃げろと。


 全身の毛穴が開く。


 嫌な汗が噴き出す。


 白炎が収束していく。


 圧縮される。


 凝縮される。


 空気が震える。


 岩盤が赤く染まる。


 溶岩が泡立つ。


 まだ放たれていない。


 それなのに。


 死が見えた。


 避けられない。


 防げない。


 間に合わない。


 回復も追い付かない。


 死ぬ。


 そう理解した。


 初めてだった。


 戦闘中に。


 こんなにも鮮明に死を想像したのは。


 白炎が放たれる。


 轟――――――ッ!!


 世界を飲み込む白い奔流。


 一直線。


 Rainへ向かっていた。


 白炎が迫る。


 速い。


 あまりにも速い。


 熱風だけで皮膚が焼ける。


 髪が焦げる。


 視界が白く染まる。


 近い。


 もう目の前だった。


 間に合わない。


 本能が叫ぶ。


 逃げろと。


 それでも身体は動かなかった。


 白炎が目前まで迫る。


 あと一瞬。


 本当にあと一瞬だった。


 終わった。


 そう思った瞬間。


 Arcの背筋を悪寒が走った。


 間に合わない。


 回復も。


 援護も。


 全部間に合わない。


 その瞬間だった。


「前見てろ」


 聞き慣れた声だった。


 白炎の前へ。


 一人の男が飛び出す。


 Cain。


《疾駆》


 地面が爆ぜる。


 砕けた岩が舞う。


 一直線。


 白炎へ突っ込む。


「んなもんで!!」


 大斧を握る。


《闘身》


 魔力が爆発する。


 Cainの身体から熱気が噴き上がる。


 筋肉が膨張する。


 血管が浮き上がる。


 踏み込んだ地面が砕ける。


 空気が震える。


 それでも。


 止まらない。


 怖くない訳じゃない。


 相手は二十階層の支配者。


 真正面からぶつかれば命なんて簡単に消える。


 だが。


 振り返れば仲間がいる。


 なら。


 前へ出るだけだった。


「仲間を!!」


 大斧を振り上げる。


「殺させるかぁぁぁぁぁ!!」


《重閃》


 轟――――――ッ!!


 衝撃が爆発した。


 大斧が白炎へ叩き込まれる。


 白い炎が嵐のように荒れ狂う。


 岩盤が吹き飛ぶ。


 溶岩が空へ舞う。


 熱風が戦場を駆け抜ける。


 一直線だった白炎が歪む。


 裂ける。


 軌道が逸れる。


 Rainの頭上を掠めながら白炎が通り過ぎた。


 だが。


 止め切れた訳じゃない。


 凄まじい衝撃がCainを襲う。


 足元の岩盤が砕ける。


 膝が沈む。


 腕が軋む。


 骨が悲鳴を上げる。


 握った大斧が震える。


 押し負ける。


 一瞬そう思った。


 それでも。


 退かない。


 後ろには仲間がいる。


 だから。


 押し返す。


 ただそれだけだった。


 衝撃が爆発する。


 白炎が左右へ流れる。


 砕けた岩盤が蒸発する。


 溶岩が吹き飛ぶ。


 後方の岩壁が溶け落ちる。


 熱風が戦場全体を薙ぎ払った。


 まるで災害そのものだった。


 黄金の瞳が見開かれる。


 火炎龍ですら予想していなかった。


 人間が。


 正面から白炎へ飛び込んだ。


 その背中は小さい。


 それなのに。


 白炎が消える。


 視界が戻る。


 そこにいたのは。


 立ったままのCainだった。


 肩で息をしている。


 腕も震えている。


 《闘身》の反動。


 《重閃》の負荷。


 全身が悲鳴を上げている。


 それでも。


 前に立っていた。


 目の前には。


 大斧を振り抜いたCainの背中があった。


 Cainは振り返らない。


 視線は火炎龍だけ。


 それでも。


「行け」


 それだけで十分だった。


 Rainは思わず笑った。


 無茶苦茶だ。


 正面から火炎龍のブレスへ飛び込むなんて。


 普通じゃない。


 だけど。


 それがCainだった。


 目の前にはCainがいる。


 後ろには仲間がいる。


 だから。


 一人じゃない。


 届く。


 今なら届く。


 Rainは白炎核を見据える。


 そして。


 再び地面を蹴った。


 《飛燕》


 景色が流れる。


 熱風が後ろへ吹き飛ぶ。


 白炎が流れる。


 もう迷わない。


 もう止まらない。


 Cainが作った道。


 Crowが繋いだ時間。


 Garmが支えた前線。


 NovaとSiaが広げた傷。


 Arcが見つけた勝ち筋。


 全部が背中を押していた。


 火炎龍が咆哮する。


 轟――――――ッ!!


 怒り。


 憎悪。


 恐怖。


 全てが混ざった咆哮だった。


 巨大な翼が暴れる。


 白炎が荒れ狂う。


 暴風が吹き荒れる。


 溶岩が巻き上がる。


 砕けた岩盤が宙を舞う。


 だが。


 遅い。


 もう遅かった。


 Rainは核の目前まで迫っていた。


 近い。


 本当に近い。


 白炎核が視界を埋め尽くす。


 ドクン。


 ドクン。


 脈動する度に。


 白炎が火炎龍の全身へ流れていく。


 翼へ。


 爪へ。


 筋肉へ。


 傷口へ。


 生命そのものを送り込んでいるようだった。


 間違いない。


 ここだ。


 ここで終わる。


 Rainは双剣を握り締めた。


 熱い。


 痛い。


 苦しい。


 腕も悲鳴を上げている。


 脚も限界だった。


 それでも。


 止まれない。


 振り返る。


 見えた。


 Cain。


 Crow。


 Garm。


 Nova。


 Sia。


 そして。


 Arc。


 全員がいた。


 Rainは笑った。


「終われぇぇぇぇぇ!!」


《飛燕》


 砕けた岩盤が弾け飛ぶ。


 身体がさらに加速する。


 世界が遅くなる。


 視界には白炎核だけ。


 全力。


 渾身。


 今出せる全てを込める。


 双剣が閃いた。


 白銀の軌跡が走る。


 一直線。


 核へ。


 そして。


 刃が突き刺さる。


 硬い。


 信じられないほど硬い。


 腕が止まる。


 だが。


 止めない。


「砕けろぉぉぉぉ!!」


 Rainはさらに踏み込む。


 足元の岩盤が砕ける。


 筋肉が悲鳴を上げる。


 骨が軋む。


 それでも。


 押し込む。


 ゴッ――――――!!


 衝撃が爆発した。


 白炎核が大きく歪む。


 亀裂が走る。


 一筋。


 二筋。


 三筋。


 蜘蛛の巣のように広がっていく。


 Rainの刃が。


 ついに核の中心へ届いた。


 火炎龍の動きが止まった。


 巨大な身体が硬直する。


 翼が止まる。


 爪が止まる。


 白炎が揺らぐ。


 黄金の瞳が見開かれた。


 信じられない。


 そんな表情だった。


 Arcは拳を握った。


 届いた。


 そう確信した。


 パキッ。


 小さな音だった。


 世界が止まった。


 誰も動かない。


 誰も声を出さない。


 ただ。


 白炎核だけが軋んでいた。


 パキッ。


 パキッ。


 パキパキパキッ――――!!


 亀裂が走る。


 広がる。


 止まらない。


 核全体を飲み込んでいく。


 そして。


 次の瞬間。


 白炎核が砕け散った。


 眩い光が戦場を埋め尽くす。


 白炎が天へ噴き上がる。


 火炎龍が天を裂くように絶叫した。


 轟――――――――――ッ!!


 世界が震えた。


 空気が揺れる。


 溶岩が跳ね上がる。


 岩盤が砕ける。


 それは断末魔だった。


 二十階層の支配者が迎える最期の叫びだった。


 白炎が暴走する。


 巨体の至る所から光が溢れ出す。


 鱗の隙間から。


 傷口から。


 口から。


 目から。


 制御を失った白炎が噴き出していた。


 火炎龍が暴れる。


 巨大な翼が振るわれる。


 爪が大地を抉る。


 尾が岩盤を粉砕する。


 だが。


 もう遅い。


 核は砕けた。


 命の源は失われた。


  終わりだった。


 核は砕けた。


 命の源は失われた。


 それでも。


 火炎龍は倒れない。


 巨大な翼が暴れる。


 爪が大地を抉る。


 尾が岩盤を粉砕する。


 白炎が制御を失い。


 巨体の至る所から噴き出していた。


 まるで。


 身体そのものが崩壊しているようだった。


「全員離れろ!!」


 Arcが叫ぶ。


 即座に反応した。


 Aegisは全員が動く。


 Rainが跳ぶ。


 Crowが影へ潜る。


 Garmが後退する。


 NovaとSiaが距離を取る。


 Cainも大斧を引きずりながら離脱した。


 次の瞬間だった。


 轟――――――――――ッ!!


 白炎が爆発した。


 光。


 熱。


 衝撃。


 全てが戦場を埋め尽くす。


 砕けた岩盤が宙を舞う。


 溶岩が吹き上がる。


 暴風が吹き荒れる。


 世界そのものが崩壊したようだった。


 火炎龍が絶叫する。


 いや。


 それはもう咆哮ではなかった。


 悲鳴だった。


 断末魔だった。


 巨大な身体が揺れる。


 白炎が消えていく。


 翼が崩れる。


 爪が砕ける。


 鱗が剥がれ落ちる。


 今まで絶対的だった存在が。


 少しずつ崩れていく。


 誰も言葉を発しない。


 ただ見ていた。


 二十階層の支配者。


 灼熱の王。


 火炎龍の最期を。


 巨大な身体が傾く。


 ゆっくり。


 本当にゆっくりだった。


 山が崩れるように。


 火炎龍が倒れていく。


 そして。


 轟――――――――――ッ!!


 大地が震えた。


 岩盤が砕ける。


 溶岩が跳ね上がる。


 土煙が舞う。


 その中心で。


 火炎龍は動かなくなった。


 静寂。


 さっきまでの戦いが嘘みたいだった。


 誰も動かない。


 誰も声を出さない。


 息をすることすら忘れていた。


 目の前には。


 二十階層の支配者。


 火炎龍の骸。


 本当に。


 終わったのだ。


「……終わった?」


 Novaが呟く。


 誰も答えない。


 視界に文字が浮かぶ。


『二十階層ボス《火炎龍》討伐を確認』


『攻略条件達成』


『二十階層踏破を確認』


『経験値を獲得しました』


『レベルが上昇しました』


 一瞬。


 誰も動かなかった。


 理解が追い付かなかった。


 そして。


「勝ったぁぁぁぁぁぁ!!」


 最初に叫んだのはNovaだった。


「やったぁぁぁ!!」


 その場で飛び跳ねる。


 涙まで浮かべている。


「うるせぇ……」


 Cainが笑う。


 そのまま地面へ座り込んだ。


 腕が震えている。


 全身が痛い。


 それでも。


 笑っていた。


「生きてる……」


 Rainも膝をつく。


 息が上がる。


 指先まで震えている。


 それでも。


 笑いが止まらなかった。


「ははっ……」


 Crowが肩を落とす。


「もう二度とやりたくねぇな」


「毎回言ってる」


 Siaが小さく笑った。


 Garmは倒れた火炎龍を見ていた。


 長い沈黙。


 そして。


「よくやった」


 短い言葉だった。


 だが。


 それだけで十分だった。


 Arcは火炎龍を見つめる。


 サービス終了したゲーム。


 Depth Chronicle。


 何度も倒したボスだった。


 攻略法も知っていた。


 弱点も知っていた。


 だが。


 現実は違う。


 痛みがある。


 恐怖がある。


 死がある。


 Cainが命を懸けた。


 Crowが時間を稼いだ。


 Garmが受け止めた。


 NovaとSiaが道を開いた。


 Rainが届いた。


 だから。


 勝った。


 Arcは静かに笑う。


「攻略完了だ」


 その言葉と同時に。


 Aegis全員の表情が緩んだ。


 二十階層。


 踏破。


 だが。


 誰も知らない。


 この先に待つものを。


 まだ。


 これは始まりに過ぎなかった。

第五十四話を読んでいただきありがとうございます!


ついに二十階層ボス《火炎龍》討伐です。


今回はRainだけでなく、Cain、Crow、Garm、Nova、Sia、そしてArcと、Aegis全員で繋いだ勝利を書きたかった回でした。


次回は討伐後の報酬やレベルアップ、そして二十階層突破によって見えてくる新たな変化を描いていきます。


引き続き応援よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ