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世界最強ヒーラー、サービス終了したゲーム知識で現実ダンジョンを攻略する ~伝説のギルド《Aegis》復活~  作者: PeterP4n
第四章 白炎竜討伐戦

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第47話 白炎の核

#第47話 白炎の核


 次の瞬間。


 Captainが巨大な剣を振り上げる。


 狙いは。


 Cainではない。


 上空のArcだった。



「Arc!」


 Rainが叫ぶ。


 巨大な剣が振り抜かれる。


 熱風。


 轟音。


 そして。


 赤い斬撃が空を裂いた。


 Arcは即座に身体を傾ける。


《Fly》


 空中で強引に軌道変更。


 斬撃が鼻先を通過した。


 直後。


 背後の時計塔が吹き飛ぶ。


 轟音。


 崩落。


 巨大な石材が雨のように降り注ぐ。


 数十メートル離れた建造物が一撃で崩壊した。


「嘘だろ……」


 Crowが呟いた。


 届くはずのない距離だった。


 それなのに。


 CaptainはArcを狙った。


 偶然ではない。


 間違いなく。


 狙った。


「やっぱり知能がある!」


 Novaが叫ぶ。


 Captainの赤い眼がArcを捉えている。


 他の誰でもない。


 Arcだけを。


 まるで。


 指揮官を排除しようとしているようだった。



 Arcは上空から戦場を見る。


 嫌な予感がした。


「来るぞ!」


 直後。


 Captainが剣を振る。


 すると。


 周囲のFlame Skeletonが一斉に動いた。


「東から八!」


 Siaが叫ぶ。


「西から六!」


「南から四!」


 Crowも報告する。


 だが。


 敵の向かう先がおかしい。


 Garmではない。


 Cainでもない。


 全て。


 Arcの真下へ集まっている。


「Arc狙いか!」


 Cainが舌打ちした。


 強化されたFlame Skeleton達も。


 迷いなくArcの真下へ集まり始める。


 偶然ではない。


 敵は理解している。


 誰が戦場を動かしているのかを。


 Captainは気付いている。


 誰が指揮しているのか。


 誰が全体を見ているのか。


 誰を倒せばAegisが崩れるのか。


 だから。


 Arcを狙う。


「面倒な敵だな」


 Arcが呟く。


 ゲームにはいなかった。


 少なくとも。


 Arcの知るCaptainはこんな敵ではない。


 ゲーム時代にも指揮個体は存在した。


 だが。


 ここまで明確に指揮を執る個体は見たことがない。


 現実化による変異。


 それとも。


 さらに深層の影響か。


 Arcには判断できなかった。



「Arc!」


 Novaが叫ぶ。


「上!」


 弓兵。


 屋根の上。


 崩れた建物。


 時計塔跡地。


 十体以上。


 弓を構えている。


「ちっ」


 一斉射撃。


 炎の矢が空を埋めた。


 赤い軌跡が幾重にも重なり。


 逃げ道を塞ぐ。


 Arcは回避する。


 上昇。


 下降。


 旋回。


 避ける。


 だが。


 完全には避けきれない。


 一発。


 肩を掠めた。


 焼けるような痛みが走る。


「Arc!」


 Rainが叫ぶ。


「問題ない!」


 即答。


 傷は浅い。


 だが。


 Captainの狙いが見えた。


 足止め。


 弓兵。


 増援。


 包囲。


 全て。


 Arcを空から引きずり下ろすため。


「面白ぇ」


 Cainが笑う。


 Captainを見る。


「俺達と同じ事考えてやがる」


 敵の指揮官。


 味方の指揮官。


 先に潰した方が勝つ。


 単純な話だった。



「なら」


 Cainが斧を担ぐ。


「こっちも潰すだけだ」


《疾駆》


 地面が爆ぜる。


 一瞬で距離を詰める。


 Captainが剣を構える。


 迎撃。


 だが。


 その前に。


「Sia!」


「見えてる」


《Break Shot》


 矢が空気を裂く。


 一直線。


 Captainの胸部へ命中した。


 鈍い衝撃音。


 金属が軋む。


 巨体が僅かによろめいた。


 白い核を庇うように上半身が揺れる。


 赤黒い鎧の一部が砕け。


 破片が石畳へ飛び散った。


「今!」


 Arcが叫んだ。


 Novaが杖を掲げる。


「任せて!」


《Lightning》


 雷光が空を裂く。


 白い閃光がCaptainを飲み込んだ。


 轟音。


 熱気を押し返すように雷が弾ける。


 Captainの巨体が初めて後退する。


 石畳を削りながら数歩下がった。


 焼けた鎧が剥がれ落ちる。


 赤熱した破片が地面へ転がった。


 その奥。


 白い光が見える。


 脈打つ核。


 まるで心臓のように鼓動していた。


「見えた!」


 Arcが叫ぶ。


 確信だった。


 胸。


 あそこだ。


 あの核こそが本体。


 ゲーム知識ではない。


 観察。


 経験。


 そして。


 戦場で積み重ねた情報。


 それが答えを導いた。


「Cain!」


「分かってる!」


《闘身》


 全身に力が漲る。


 筋肉が膨張する。


 熱気が揺れる。


 そして。


 大斧を構えた。


 Captainも動く。


 赤い眼が光る。


 白い核が脈動する。


 次の一撃。


 互いに決定打になる。


 そんな予感がした。


 灼熱廃都全体が震える。


 指揮官同士の戦い。


 その決着が。


 近付いていた。


 Captainが迎撃する。


 巨大な剣が振り下ろされた。


 轟音。


 石畳が爆ぜる。


 直撃していれば終わっていた。


 だが。


 Cainはそこにいない。


《疾駆》


 横へ。


 さらに前へ。


 一瞬でCaptainの懐へ潜り込む。


「遅ぇ!」


 大斧が振り抜かれた。


《重閃》


 衝撃。


 鈍い音が広場へ響く。


 斧刃がCaptainの胴へ叩き込まれた。


 火花。


 砕ける石畳。


 巨体が僅かに揺れる。


 だが。


 吹き飛ばない。


 傷も浅い。


「硬ぇな!」


 Cainが笑う。


 普通なら驚く場面だった。


 だが。


 Cainは違う。


 強敵ほど楽しそうだった。



 Captainが反撃する。


 横薙ぎ。


 熱風。


 炎。


 巨大な剣が空気を切り裂く。


「Cain!」


 Arcの声。


 即座に反応する。


 しゃがむ。


 頭上を剣が通過した。


 直後。


 後方の建物が吹き飛ぶ。


 石壁が砕ける。


 瓦礫が路地へ降り注ぐ。


 数トンはある石材が転がった。


「相変わらず便利だな!」


 Cainが笑った。


 Arcは返事をしない。


 上空から戦場全体を見ていた。


 Captain。


 弓兵。


 増援。


 そして。


 白い核。


 あれだけが異質だった。


 敵の中心。


 指揮能力。


 強化能力。


 全てがあそこへ繋がっている。



 強化されたFlame Skeleton達が押し寄せる。


「Garm!」


「おう!」


《War Cry》


 咆哮が響く。


 周囲のスケルトン達が一斉に振り向いた。


 炎を纏った眼がGarmへ向く。


「Captainは任せた!」


 巨大な盾を構える。


 炎剣が叩き付けられる。


 槍が突き出される。


 斧が振り下ろされる。


 轟音。


 衝撃。


 だが。


 Garmは退かない。


《Guard Stance》


 重盾が全てを受け止める。


「来いよ!」


 咆哮。


 正面を支え続ける。


 その間に。


 Aegisの主力はCaptainへ集中できる。



「Nova!」


「分かってる!」


 杖を掲げる。


 額から汗が流れる。


 Heat環境。


 連続詠唱。


 決して楽ではない。


 それでも。


 Novaは杖を下ろさない。


《Lightning》


 雷光。


 轟音。


 白い閃光がCaptainを包み込む。


 熱気が押し返される。


 空気が震える。


 白い核が露出する。


 僅かに。


 だが確実に。


「もっとだ!」


 Arcが叫ぶ。


「任せて!」


 再び雷撃。


 雷光が胸部へ集中する。


 Captainが初めて後退した。


 石畳を削りながら数歩下がる。


 焼けた鎧が剥がれ落ちる。


 赤熱した破片が地面へ散った。


「揺れた!」


 Rainが叫ぶ。



「私も行く!」


《飛燕》


 Rainが飛び込む。


 Captainの側面。


 死角。


 双剣が閃く。


 火花。


 金属音。


 赤黒い鎧に傷が刻まれた。


 Captainの視線がRainへ向く。


「おっ」


 Cainが笑う。


「削れてるじゃねぇか」


 その瞬間。


 Crowが動いた。


《Shadow Shift》


 姿が掻き消える。


 次の瞬間。


 Captainの背後へ現れた。


 死角。


 短剣が振るわれる。


 火花。


 金属を削る音。


 Captainの脚部へ傷が走った。


 巨体が僅かに揺れる。


「こっちもいるぞ」


 Crowが呟く。


 Captainの注意が散る。



 その一瞬。


 Arcは見逃さなかった。


「今だ!」


 Siaが弓を引く。


《Break Shot》


 矢が一直線に飛ぶ。


 空気を裂く音。


 次の瞬間。


 核の周囲へ命中した。


 轟音。


 鎧が砕ける。


 飛び散る破片。


 白い光が溢れる。


 隠されていた核が完全に姿を現した。


「見えた!」


 Arcが叫ぶ。


 鼓動している。


 生きているように。


 脈打っている。


 白い光が規則的に明滅していた。


 まるで。


 Captainそのものの心臓だった。



 Captainが怒ったように剣を振る。


 熱風。


 炎。


 周囲のFlame Skeletonが一斉に強化される。


 炎が激しく燃え上がる。


 動きも速くなる。


「またか!」


 Novaが顔をしかめた。


 だが。


 Arcは逆に笑った。


「終わりだ」


 全員が見る。


 Arcの視線は核だけを見ていた。


 あれを壊せば終わる。


 確信だった。


「Cain」


 上空から声が落ちる。


「決めろ」


 Cainが笑った。


「言われなくても」


 大斧を握り直す。


《闘身》


 さらに力が増す。


 Captainも剣を構える。


 赤い眼。


 白い核。


 互いに譲らない。


 そして。


 二体が同時に踏み込んだ。


 轟音。


 大斧と大剣が激突する。


 衝撃波が広場を駆け抜けた。


 周囲の骨が吹き飛ぶ。


 石畳が砕ける。


 だが。


 今度は違った。


 Cainは押し負けない。


 《闘身》。


 《ヘイスト》。


 そして。


 仲間達が作った好機。


「押せぇぇぇぇ!」


 Cainが咆哮する。


 筋肉が軋む。


 石畳が割れる。


 大斧が少しずつCaptainを押し返していく。


 巨体が揺れた。


 初めて。


 明確に。


 Captainが押された。



「今!」


 Arcが叫ぶ。


 Novaが杖を掲げる。


 額から汗が流れる。


 魔力も体力も削られている。


 Heat環境。


 連続詠唱。


 決して楽ではない。


 それでも。


 Novaは笑った。


「まだ終わってない!」


《Lightning》


 雷光。


 轟音。


 白い閃光が核へ突き刺さる。


 続く。


《Break Shot》


 Siaの矢。


 空気を裂く音。


 矢が核周辺へ命中する。


 砕ける鎧。


 飛び散る破片。


《飛燕》


 Rainが側面を駆け抜ける。


 双剣が閃いた。


 火花。


 金属音。


 核周辺の装甲が削られる。


《Shadow Shift》


 Crowが背後へ現れる。


 短剣が脚部へ突き立てられた。


 Captainの巨体が僅かに沈む。


 動きが止まる。


 ほんの一瞬。


 だが。


 十分だった。



「Cain!」


「終わらせろ!」


 Cainが笑う。


「任せろ」


 大斧を高く掲げる。


 全身の力。


 勢い。


 体重。


 全てを乗せる。


《重閃》


 振り下ろされた。


 轟音。


 空気が裂ける。


 大斧が白い核へ直撃した。



 一瞬。


 世界が静止したように見えた。


 そして。


 白い核に亀裂が走る。


 一本。


 二本。


 三本。


 白い光が隙間から漏れ出す。


 Captainの赤い眼が揺れた。


 初めて。


 恐怖するように。


 次の瞬間。


 核が砕ける。


 白い光が溢れた。


 Captainの胸部から噴き出す。


 炎が暴走する。


 熱風が広場を吹き抜ける。


 赤い眼が激しく明滅した。


 巨体が大きく後退する。


 そして。


 核が完全に砕け散った。



 Captainが止まる。


 巨大な剣が手から落ちた。


 鈍い音が広場へ響く。


 そして。


 膝をついた。


「終わったか……?」


 Rainが呟く。


 誰も動かない。


 全員がCaptainを見ていた。


 巨体が崩れる。


 腕。


 脚。


 胴。


 炎が消える。


 骨が砕ける。


 無数の破片となって崩壊した。


 そして。


 完全に動かなくなった。



 その瞬間だった。


 周囲のFlame Skeleton達が止まる。


 一体。


 また一体。


 次々と崩れ落ちる。


 武器が地面へ落ちる。


 炎が消える。


 骨が砕ける。


 まるで糸が切れた人形だった。


「やっぱりな」


 Arcが呟く。


 予想通りだった。


 Captainが中核。


 指揮官の消滅。


 それが軍勢の崩壊を意味していた。


 正面では。


 最後まで耐えていたGarmが大きく息を吐く。


「終わったか」


「助かった」


 Crowが肩を回した。



「勝ったぁ!」


 Rainが飛び跳ねる。


「まだだ」


 Arcが降下する。


 Captainが崩れた場所へ向かった。


 そこに残っていた。


 一つの魔石。


 だが。


 普通ではない。


 赤ではない。


 白い。


 炎のように揺らめく魔石だった。


 Arcの目が見開かれる。


「まさか……」


 ゆっくり拾い上げる。


 熱くない。


 だが。


 内部で白い炎が燃えている。


 まるで鼓動しているようだった。


 魔石なのに。


 生きているように見える。


 見ているだけで視線を引き寄せられる。


 十五階層までの魔石とは明らかに違う。


「白炎核……?」


 思わず呟いた。


「知ってるの?」


 Rainが聞く。


「いや」


 Arcは首を振る。


「でも」


「普通のドロップじゃない」


 それだけは断言できた。


 ゲーム時代にも見たことがない。


 少なくとも。


 Captainの変化と無関係とは思えなかった。



 その時。


 Siaが顔を上げる。


《Arrow Vision》


 遠方を確認する。


 そして。


 表情が変わった。


「反応」


 全員が振り返る。


「敵か?」


 Cainが聞く。


 Siaは頷いた。


 だが。


 視線は遥か先。


 灼熱廃都の奥へ向いている。


「大きい」


 短い報告。


 しかし。


 それだけで十分だった。



 直後。


 大地が震えた。


 轟音。


 咆哮。


 灼熱廃都全体が揺れる。


 Rainが顔を上げる。


「なんだ今の」


 誰も分からない。


 だが。


 Arcだけは知っていた。


「……火炎龍」


 その名前を口にする。


 全員が振り返る。


 二十階層。


 そこにいるはずの存在。


 まだ姿は見えない。


 だが。


 確かに生きている。


 本物の階層ボスが。

第四十七話を読んでいただきありがとうございます。


今回は十五階層の中ボス《Captain》との決着回でした。


ゲーム知識だけでは説明できない行動や、《白炎核》という未知のドロップ。


Arcの知る《Depth Chronicle》と現実のダンジョンとの差も少しずつ見え始めています。


そして最後に聞こえた咆哮。


姿はまだ見えませんが、次なる目標は二十階層の支配者《火炎龍》です。


Aegisは無事に二十階層へ辿り着けるのか。


次回も楽しんでいただけると嬉しいです。


ブックマーク、評価、感想などいただけると執筆の励みになります。


それではまた次回。

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