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『世界最強ギルド《Aegis》、サービス終了したゲーム知識で現実ダンジョンを攻略する』  作者: そら


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第十五話 深層核

# 第十五話 深層核


 七階層レイド戦。


 それが終わった瞬間。


 全員がその場へ座り込んだ。


「はぁっ……」


 Rainが床へ倒れる。


「死ぬかと思った……」


「今回はマジで危なかったな」


 Fenも大きく息を吐いた。


 黒炎。


 ヘイト崩壊。


 第二形態。


 今までの敵とは完全に別格だった。


「普通七階層で出るボスじゃない」


 Novaが真顔で呟く。


「完全に深層側の強さだった」


 その時。


 侵食竜兵の死体が、ゆっくりと崩れ始めた。


 黒い粒子。


 赤黒い魔力。


 そして。


 中心部から、一つの結晶が浮かび上がる。


 黒。


 だが内部には赤い光が脈打っている。


 まるで心臓。


「……なんだこれ」


 Fenが眉をひそめる。


 悠真は静かにそれを見つめた。


 嫌な感覚。


 魔石に近い。


 だが違う。


 もっと深い。


 もっと危険。


「普通の魔石じゃないな」


「分かるの?」


 Rainが聞く。


「魔力の質が違う」


 しかも。


 近付くだけで空気が重い。


 深層。


 あの感覚に近い。


 その時。


 Yoruが小さく呟く。


「……これ、生きてないか?」


 全員が黙る。


 黒い結晶。


 確かに脈打っている。


 ドクン。


 ドクン。


 まるで心臓のように。


「気持ち悪……」


 Novaが顔をしかめる。


 だが。


 Fenだけは真顔だった。


「Arc」


「……ああ」


 二人とも理解していた。


 これは。


 今までのダンジョンドロップと違う。


 未知。


 完全な未知。


「持ち帰るぞ」


 悠真が言う。


「解析が必要だ」


「協会案件だな」


 Fenが頷いた。


 その後。


 《Aegis》と《Fenrir》は七階層から帰還した。


 探索者協会。


 その瞬間。


 空気が変わる。


「帰ってきた!」


「マジでレイド突破したのか!?」


「しかも全員生還!?」


 周囲がざわつく。


 視線。


 歓声。


 驚愕。


 もう隠せる段階じゃない。


《Aegis》と《Fenrir》。


 世界最前線。


 その事実が、一気に広まり始めていた。


「うわぁ……」


 Rainが少し引く。


「めちゃ見られてる」


「当然だろ」


 Fenが笑った。


「今のお前ら世界トップだぞ」


 その時。


 協会職員たちが慌てて駆け寄ってくる。


「七階層レイドの件でお話を――」


「あとその素材!」


「そちらの黒結晶を確認させてください!」


 完全に騒ぎになっていた。


 数十分後。


 協会上層部専用会議室。


 重い空気。


 長机。


 そして。


 中央へ置かれた黒い結晶。


「……これが深層核」


 白衣の研究員が呟く。


 名前は仮称。


 だが。


 全員理解していた。


 普通の魔石じゃない。


「内部魔力密度が異常です」


「通常魔石の数十倍……いや、比較にならない」


「しかも自己循環している」


 研究員たちの顔が青ざめる。


「自己循環……?」


 Novaが聞き返す。


「つまり、自動で魔力を生成してる可能性があります」


 沈黙。


 全員の顔色が変わった。


 もしそれが本当なら。


 世界が変わる。


 発電。


 兵器。


 魔導機関。


 全部が変わる。


「……危険すぎるな」


 Fenが真顔になる。


 その時だった。


 黒い結晶が脈打つ。


 ドクン。


 室内温度が僅かに下がった。


「っ……!?」


 研究員が後退する。


「今、反応しました!」


「魔力波動増加!」


 悠真は静かに深層核を見る。


 嫌な感覚が強くなる。


 その時。


 研究員の一人が震えた声を出した。


「内部に……生体反応があります」


 空気が凍る。


「は?」


 Rainが固まる。


「魔石の中に?」


「そんなことありえません!」


 別の研究員も叫ぶ。


 だが。


 計測器は止まらない。


《UNKNOWN SIGNAL DETECTED》


 赤い警告が点滅する。


 悠真が目を細めた。


「……深層側か」


 その言葉で。


 室内の空気がさらに重くなる。


 Fenが舌打ちした。


「マジでゲームと違いすぎる」


「デプクロにも無かったの?」


 Aliceが聞く。


「少なくとも俺は知らん」


 Fenが答える。


「Arcは?」


「……俺も初めて見る」


 それが一番まずかった。


 最前線攻略組ですら知らない。


 未知。


 完全な未知。


 その時。


 協会上層部の男が口を開く。


「この件は国家管理案件へ移行します」


「外部情報は禁止」


「レイド情報も一部制限対象に――」


「無理だな」


 Fenが即答した。


「もう広まってる」


 実際。


 既にネットでは騒ぎになっていた。


【速報】

七階層レイド突破


【世界初】

《Aegis》&《Fenrir》合同攻略成功


【掲示板】

・ヒーラーまた前出てる

・なんで死なないんだよ

・支援量意味分からん

・深層核って何?

・七階層でレイドとか終わってる


 世界が動き始めていた。


 そして。


 その日の深夜。


《Aegis》ギルドホーム。


 研究室。


 Mistが深層核を見つめていた。


「これ……絶対おかしい」


 机上。


 黒い結晶が静かに脈打っている。


 ドクン。


 ドクン。


 悠真は無言でそれを見る。


 嫌な予感しかしない。


 その瞬間だった。


 黒いウィンドウが、空中へ浮かび上がる。


《SYNC RATE : 2%》


「……は?」


 悠真の目が細くなる。


 だが。


 表示はそれだけで終わらなかった。


《DEEP LAYER CONNECTION ESTABLISHED》

読んでいただきありがとうございます。


【用語解説】


《深層核》

侵食レイドボス撃破後に確認された未知の黒結晶。

通常魔石とは異なり、自己循環型の魔力反応を持つ。


《SYNC RATE》

深層核出現時に表示された謎の同期率。

詳細は不明だが、《DEEP LAYER CONNECTION》との関連が疑われている。


《最前線》

現在、深層攻略を進める上位探索者たちの総称。

《Aegis》と《Fenrir》はその中心として注目され始めている。


もし面白いと思っていただけたら、

ブックマークや評価などしていただけると励みになります!


次回、深層核解析と“深層接続”の正体へ。

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