表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『世界最強ギルド《Aegis》、サービス終了したゲーム知識で現実ダンジョンを攻略する』  作者: そら


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

12/29

第十一話 第七階層

# 第十一話 第七階層


 探索者協会前。


 朝だというのに、大量の探索者たちで溢れていた。


「見ろよ……《Aegis》だ」


「マジで七階層行くのか?」


「いや普通死ぬだろ……」


 視線が集まる。


 それにももう少し慣れてきていた。


「完全に見世物だね」


 Rainが苦笑する。


「有名税だろ」


 Garmが肩を回した。


 その横で。


 協会職員が真剣な表情を浮かべている。


「現在、七階層以降は非常に危険です」


「モンスター活性化も確認されています」


「無理はしないでください」


 悠真は静かに頷いた。


「無理なら行きません」


 だが。


 その目は完全に攻略者のものだった。


 本当にこの男は新人なのか。


 協会職員も思わず息を呑む。


 その時。


 後方モニターへ表示が映る。


《CURRENT DEEPEST FLOOR》


1位:《Aegis》

Depth:6


2位:《Fenrir》

Depth:6


 周囲がざわつく。


「世界最前線……」


「まだ誰も七階層行けてないんだよな」


「化け物しかいねぇ」


 悠真たちはそのままダンジョンへ向かった。


 そして。


 第七階層。


 空気が変わる。


「……空気重い」


 Rainが小さく呟いた。


 壁は黒く侵食されている。


 床にも赤黒い線。


 魔力濃度も明らかに高い。


「深層側に近づいてるな」


 悠真が静かに言う。


「分かるの?」


 Novaが振り返る。


「……嫌でもな」


 デプクロ後半層。


 あの空気に近い。


 嫌な予感しかしなかった。


 その瞬間。


 奥から複数の足音。


「接敵まで五秒」


 悠真が静かに告げる。


 空気が一気に張り詰めた。


 そして。


《ヘイスト》


 最初に光が包んだのはRain。


 斥候職。


 最も機動力を必要とする前衛。


 瞬間。


 Rainの感覚が加速する。


 身体が軽い。


 視界が広い。


 思考速度すら上がったように感じる。


 だが。


 ヘイストは切れた瞬間が危険だ。


 急激に身体感覚が鈍る。


 一瞬の遅れが死に繋がる。


 だからこそ。


 Arcの“切らさない支援”は絶対だった。


 続けて。


《プロテクション》


 Garmへ防御強化。


 さらに。


《メディック》


 継続回復を事前付与。


 戦闘開始前。


 既に支援が完成していた。


 観測していた協会探索班がざわつく。


「はや……」


「もうバフ終わってるぞ……」


「いや判断速度どうなってんだ?」


 Rainが笑う。


「来た来た、Arcの開幕バフ」


「行けるぞ」


「おう!!」


 次の瞬間。


 Garmが最前線へ飛び出した。


 闇の中から現れたのは。


《侵食兵》

《侵食ゴブリンメイジ》


 通常個体じゃない。


 しかも。


 後衛付き。


「連携型!?」


 Novaが目を見開く。


 普通のゴブリンとは違う。


 完全に役割分担している。


「メイジ優先!」


 悠真が即座に指示を飛ばす。


「Crow、左回れ!」


「了解」


「Rain、右から詰めろ!」


「任せて!」


「Garm、前抑えろ!」


「おう!!」


 侵食兵が突撃してくる。


 Garmが盾を叩きつけた。


《ウォークライ》


 咆哮。


 周囲ヘイト強制固定。


 侵食兵たちの視線が一斉にGarmへ向く。


「来いよ化け物!!」


 直後。


 激突。


《アイアンウォール》


 重い衝撃。


 だがGarmは踏み止まる。


「っ……火力上がってるぞ!」


「侵食で強化されてる!」


 Novaが即座に分析する。


 その間にも。


 後衛メイジが詠唱を始めていた。


「Nova、詠唱潰せ!」


「了解!」


《ファイアボルト》


 火球直撃。


 だが。


「硬っ!?」


 普通のゴブリンより耐久が高い。


 その瞬間。


「ヘイスト残り二秒」


《ヘイスト》


 Rainへ再付与。


 完璧な更新。


 Rainが目を見開く。


「……また切れてない」


 普通の支援職なら不可能。


 戦闘中。


 複数人。


 しかも他スキルと同時管理。


 周囲で観測していた探索班もざわつき始める。


「ヘイスト切れてなくないか?」


「いや、あれ維持率どうなってる……?」


「タイミング完璧すぎるだろ……」


 その間にも。


 Rainは加速する。


 一般探索者では視認すら困難な速度。


 一瞬で後衛メイジへ到達した。


「もらった!」


《クロスエッジ》


 二連斬撃。


 侵食ゴブリンメイジ撃破。


 だが。


 悠真は止まらない。


「Garm、プロテクション更新」


《プロテクション》


 防御強化。


 直後。


 侵食兵の攻撃が炸裂する。


 轟音。


 だが。


「耐えた!?」


 観測班が驚愕する。


「今ので押し切られないのか!?」


 しかも。


 悠真は同時に前へ出る。


「Arc!?」


 Rainが目を見開く。


 普通の神官ならありえない位置。


 そして。


《ホーリー》


 聖光弾。


 侵食兵を撃ち抜く。


 爆ぜる聖属性。


 侵食兵が大きく怯んだ。


「ヒーラーが前出てる!?」


「しかも火力高っ!」


 だが。


 敵の視線はGarmから動かない。


「なんでヘイト向かないんだよ!?」


 観測班が混乱する。


 悠真は冷静だった。


 Garmのヘイト量。


 敵残HP。


 スキルヘイト倍率。


 全部計算している。


「今ならもう一発通る」


《ホーリーランス》


 光槍。


 侵食兵を貫通。


「Nova!」


「了解――《フレアボルト》!」


 爆炎。


 侵食兵撃破。


 静寂。


 だが。


 悠真だけは奥を見ていた。


「……まだいる」


 次の瞬間。


 第七階層全体が揺れた。


 轟音。


 侵食が壁を走る。


「っ!?」


 Rainが振り返る。


 そして。


 奥。


 巨大な扉。


 そこに浮かび上がった文字。


《RAID BOSS AREA》


 全員が固まる。


「……は?」


 Novaが呟く。


「七階層でレイドボス?」


 本来ありえない。


 少なくとも。


 《Depth Chronicle》には存在しなかった。

読んでいただきありがとうございます。


【用語解説】


《探索者》

ダンジョンへ侵入し、戦闘や素材回収を行う者たちの総称。

現在は探索者協会への登録が推奨されている。


《侵食》

一部階層で確認されている異常現象。

モンスター強化やダンジョン変異との関連が疑われている。


《RAID BOSS AREA》

本来は大人数攻略用ボスエリアを示す表示。

七階層での出現は、デプクロ時代にも存在しなかった異常事態である。


次回、七階層レイドボス戦。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ