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45(結婚式編)

1話ずつ毎日21時頃の更新予定です。

 朝起きた時から、私の特別な日は始まった。純白のドレスに身を包む。幾重にもレースが重なるボリュームのあるフレアスカート。透け感のあるハイネックに、ロングスリーブで、首から全身に星が降るみたいに花の刺繍が施されている。鎖骨の透けた肌が、大人っぽい…まるで自分じゃないみたい。


 長いベールを付けてグラニタ大聖堂に降り立つと、緊張した面持ちのお父様とお母様が待っていた。


「この日を迎えられたのもお二人のおかげです。」と言うと、お母様が感極まって泣いてしまう。お父様が「この喜ばしい日を私達に与えてくれてありがとう。」と、私の手を腕に組ませてくれる。


 澄み渡った秋晴れの日差しが、大聖堂の窓から降り注ぐ。厳かなパイプオルガンの音色の中、お父様がゆっくり手を引いてくれる。この先、リアンが待つところまで…。


「ミリィ、とても綺麗だ。」

 ベールをあげて、リアンが破顔する。緊張で冷たくなった手が、リアンの温かい手で包まれて溶けていく。


 私は、リアンをいつの間にか愛してた。


「神様がもう一度チャンスをくれたんだわ。」


「リアン様です。私の好きな人。」


「リアン様です。私が結婚したい人は。」


 地味でも貧乏でも…叶うなら、好きな人と結婚したいもの。あの時、勇気を振り絞った言葉が、私の人生を変えてくれたのだと思う。目の前には、大好きな人。


 誓いの言葉と優しいキス。


 ゆっくり目を開けると、拍手が湧き立つ。お父様、お母様、リック、コール伯爵、伯爵夫人、マリア。号泣しているビアンカとジェイク。駆けつけてくれたルキや友人達。たくさんの笑顔に祝福され、私達は歩き出す。


 大聖堂を抜けると、高い高い空に清々しい風が吹く。送り出してくれる皆へ、白百合のブーケをふわっと投げる。手を伸ばすビアンカの横からマリアさんの逞しい腕が伸びて掴み取る。


「マリア…あいつ。」

 リアンが苦い顔をする。


 特別な日は、まだ始まったばかり。



 家族や友人達を招いたパーティで、黒いタキシードのリアンと、薄紫の胸元から裾の黒色へグラデーションになっている豪華なドレスを着た私は、ファーストダンスを踊らなければいけない。


 緊張して、リアンを見つめることで精一杯…。ぎこちなく動く私に「ミリィ、上手だよ。」と冗談を言うので、頬を膨らませながら「私、真剣なのよ!?」と囁くと、「ははっ…、本当に上手だと思ったんだよ。信じて?」と笑われる。つられて私も笑ってしまう。


 何とか踊り切ると、ビアンカに「ミリィ達って二人の世界よね…恥ずかしくてこっちが見てられないわ。」と言われ、穴があったら入りたいと汗が噴き出る。ルパルト領産の食材を使った料理も好評で、あっという間に楽しい時間は過ぎていく。



 まだ、私の特別な日は終わらない。コール伯爵家のタウンハウスに帰ると、シーサとモニカに磨かれる。これから始まる二人の夜。夫婦の寝室のベッドに座って、リアンを待つ。深く息を吸って、豪華な衣装を着て、立派な大聖堂でたくさんの人に祝福してもらった今日を思う。



「ミリィ…起こしちゃった?」

 疲れて少し寝てしまってた。私の髪を撫でるリアンを見て、いけないっと飛び起きる。

「ごめんなさい…。」

「いいよ。このまま寝る?」

 私は首を横に振る。だって…初夜だもの。


「ミリィ、今日はとても美しかった…。目に入れても痛くないほどだったよ。眠くなければ…ミリィ、少し時間をくれないか?」

 リアンは白いストールを私に掛け、「外は寒いから。」と手を引いて、寝静まった廊下を歩いて行く。


次回で完結となります。

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