46(結婚式編)
完結となります。
屋敷から庭に向かって、小さくなった蝋燭が点々と灯されている。
暗い夜、池の夜凪に水面の月が鮮やかだった。
灯籠がちらちら揺らめく東屋に、赤い薔薇の花束が…リアンが跪き、私の両手を取る。
「今日は、俺に付き合ってくれてありがとう。夢が一つ叶った。」
「私の夢でもあるわ…。」
「俺のために、今日の結婚式を頑張ってくれた。」
「私のために、リアンも色々準備してくれたわ。」
「君に…。」
赤い薔薇の花束を捧げてくれる。
私は、誕生日にくれる花束が楽しみだった。豪華な衣装より、重たい宝飾品より…ずっとずっと私らしい。いつかは枯れてしまうのに、この一瞬を咲き誇る。
「君に、俺のすべてを捧げます。」
「…。」
「神に誓うでもなく、星に願うでもなく、俺は俺自身に刻む…君を幸せにすると。」
「…。」
赤い薔薇の花束を抱きしめる。
立派な会場も、厳かな音楽も何もいらない。大きなダイヤモンドより月の光を。純白のドレスより貴方の掛けてくれた暖かい白いストールを。地味でも貧乏でも、私はずっと幸せだった。肩を張らずに、そこそこがちょうど良いの。
「リアン、愛してるわ…。」
「大好きよ…。」と言うと、彼は怒ったような顔をして、私を横抱きして足早に歩き始める。
優しくベッドに落とされて、私を覆うように被さるリアンの真剣な瞳から目を離せない。
「俺の方が、ずっとずっと愛してる…。知ってるよね?」
ちゅっ……私から口付けする。
「私の方が、ずっとずっと愛してるわ。知らなかった?」と、くすっと笑う。
「……ミリィ、覚悟してね。」
漆黒の瞳が細められる。
「…?…あ……っん…ん、ん。ま、待って!」
「…待たない。」
「リア…ン…。待って…はぁ、はぁ…。」
体温が混じり合って、熱い。
「俺のこと、嫌いにならないで。」
リアンの舌が歯列をなぞり、唾液を吸い取っていく。
「あ、あ…っ。リア…ン、あいしてるわ…。」
リアンが心底困った顔をして、「ミリィが悪い。」と呟く。
私の特別な日は、まだ続く。恐れることなど何もない。リアンとなら、いつだって微笑んでいられると思うから…。秋の長い夜が、甘く甘く更けていく。
1ヶ月間、応援ありがとうございました。ブックマークをしてくださった方々に本当に救われました。初めてで、見切り発車でしたが、完結できて嬉しいです。「結婚編」が続くのですが、ムーン版として改稿してから順次公開したいと思っています。読んでくださった方、本当にありがとうございました。




