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44(婚約編) リアン〜side〜

1話ずつ毎日21時頃の更新予定です。

 昼飯も食べずに、単騎で詰所から王立学園まで飛ばしてきた。急いでマリアを探す。


 食堂で皆が座って食べているところに、仁王立ちのマリア…あいつ何してるんだ?…マリアの前には、ぽつんと座って、昼飯を食べているリック。


 リックの目が死んでいる…。背後にいるマリアは、彼に覆い被さるようにして、キョロキョロと周りの奴等を牽制し、手には棍棒が握られている。


 おいおい、何してくれてるんだよ。俺はマリアの首根っこを掴んで、食堂から引きずり出す。


「おい、お前何してた?」

「兄貴??なんでいるの?今、護衛中だから邪魔しないで。」

「待て。護衛って何だよ?」

「リック様の護衛。離れたら、まずい。」

「おい、待てって。何故、リック君に護衛が必要なんだ?」

「兄貴も言ってたじゃん。リック君は家族なんだから、女生徒から守ってやらないと可哀想だぞって。」

「何のことだ?」

「ちょっと兄貴、後にしてくれる?今、護衛中なんだって。」


 戻ろうとするマリアを吊し上げる。

「何のことだって聞いてるだろ?」

「ゲホっ…学園のプリンスに、悪い虫が付かないように常時監視してるんだよー。離せー。」


 俺は衝撃を受けて、マリアを落とす。「やった!」と逃げ出すマリアの腕を捻り上げる。

「ちょ!痛い!兄貴、やめろよ!」


「お前が、悪い虫だろがっ!!!」


「…え?」


「お前のやっていることは、迷惑行為だ!目を覚ませ!」


「…え?」


「この際、お前の事情はどうでもいい…。金輪際、リック君に近づいてみろ?その時は、お前を領地に強制送還するからな!」


「…え?」


「まだ分からないのか?リック君に迷惑がられてるんだよ!お前、リック君とミリィに嫌われてもいいのか?」


「…それは、いやだ…。」


「学園でリック君の視界に入ったら、次は無いぞ。分かったな?」


「…はい…。」

 項垂れるマリアを放置する。昼休憩が終わるので、馬に飛び乗り詰所に向かう。この馬鹿妹が…!






 昨日の夜、ミリィに「リックがマリアさんに付きまとわれて迷惑しているから、今すぐ止めさせて。」と言われた時は、死ぬかと思った。


『カフェ・ルパルト』で仲の良い姉弟を目の当たりにして、微笑ましく思うと同時に、少し凹んだ。でも、そんなことはどうでもいいくらいの悩みをリック君が抱えていたなんて…。呑気に、ミリィに食べてもらえなかった苺のタルトを食べていた俺を殴りたい。


 さっさと仕事を終わらせ、事務棟に迎えに行く。外で一時間ほど待っていると、ミリィが出てきた。


「待った?」 


「今来たとこ。今日、マリアに止めるように言ってきたよ。」


「今日?随分、早いのね。ありがとう!」


「本当にごめん。リック君に悪いことしたな。厳しく言って聞かせたから、もう大丈夫だと思う。」


「えぇ、リアンを信じるわ。」





 タウンハウスに着くと、ディミトリから「ルパルト伯爵子息がお待ちです。」と言われ、ミリィに信じてもらったばかりなのに、問題発生の予感がして青ざめる。

「リック君、どうしたんだい?」


「夜分に申し訳ありません。昼の兄上の説得のおかげでマリア嬢の付きまといが無くなりました。でも、それから、聞こえるんです。泣き声が…。私の視界にマリア嬢が入ることはありません。ただ…午後、教室にいると窓の外から、廊下を歩くと横の扉から、寮室に戻ると天井から聞こえたので、さすがに恐ろしくなって…。先程も、馬車を降りると門の方から聞こえました。まさか、マリア嬢の泣き声ではないと思いたいのですが…。」


「ディミトリ、マリアを捕まえろ!!」



 しばらくすると捕縛されたマリアが連れて来られた。

「マリア、お前…。やってくれたな?」


「兄貴…私は、言い付けを守ってる。視界には入ってない!」

 泣き腫らした目で訴え、縄を引きちぎる勢いで暴れる。


「マリアさん、痛そうだわ。血が滲んでる。」

 割って入ってきたミリィが、柔手で縄を解こうとするので、「手を怪我するから。」と急いで引き離す。


「リアン、マリアさんの縄を解いてあげて。可哀想だわ…。失恋で自暴自棄になってるだけよ。」


「しつれん…?」

「しつれん…?」

 俺とマリアの声が共鳴する。


「そう、失恋よ。マリアさんは、リックに恋してたのよ。知らなかった?」


「こい…?」

「こい…?」

 再び俺とマリアの声が共鳴する。


「マリア嬢、私に恋している訳ではないかもしれないが、誤解の無いように言わせてくれ。私は、君を愛することはない。悪いけど、諦めてくれ。」


 真っ赤になったマリアの頭から湯気が出ている。

「フンっっっ!!」

 マリアの身体が一回り膨らんだように見えた。捕縛していた縄がパンッと弾け切れる。すごい勢いで走り出し、部屋から逃げていってしまった。



「いやーーーーーぁーぁーぁー。」

 遠くで、マリアの叫び声がこだまする。



「あ…待て…。」

 俺は一歩踏み出すが、もう手遅れだ。足元には、粉々になった縄の残骸。特注の強化縄も、マリアの馬鹿力の前では無惨な姿だ。怖すぎるだろ…兄として妹の未来が心配になった。


あと2話で完結となります。

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